ツナと共にイタリアに“帰って”来てから2日目。
引き継ぎという引き継ぎもなく、ランボはガナッシュに連れられてボンゴレ本部の屋上に来ていた。
「お前はまだ子どもだからな・・・他の守護者と違ってよくわからないことの方が多いだろう」
元はボヴィーノファミリーのヒットマンだったランボだが実際はただの子ども。
いくらバズーカや手榴弾などを所持していてもその使い道は癇癪の道具に過ぎず、殺しなどという言葉からは縁遠い。
「でも、オレっちは・・・ツナの役に立ちたいんだもんね」
大好きな兄のような存在であるツナや、少しムカつくが頼りになる獄寺、明るい性格が好ましい山本。引っ込み思案な所はあるが優しいクローム。そして、今ではツナの代わりにランボの教育係になったフゥ太。
そんな彼等の足を引っ張るだけの存在にはなりたくない。それが心からのランボの想いだった。
「・・・そうか。10代目の役に・・・俺もそうだった。9代目の守護者の中じゃ俺が一番歳が若くてな・・・どうやったら9代目の力になれるのかっていつも考えていた」
ファミリーの攻守の要となる雷の守護者。その存在意義は大きい。まだ子どものランボにどこまでその役割が務められるのか。
ただ一つランボにとっての救いは“10年バズーカ”を所持しているということだろう。足手まといになる前に10年後の自分と入れ替わることができる。それは彼の強みであると言える。
「今は、焦る必要はない。少しずつ、追い付いて行けばいいんだ」
「・・・うん」
頷いたランボに、ガナッシュは笑みをうかべる。
「お前の主になる10代目は、初代にも優るとも劣らない力を秘めていると9代目が言っていた。その守護者として相応しいとお前は認められたんだ。・・・自信を持て」
「・・・わかったんだもんね!」
ニカリ、と笑ったランボはボンゴレ本部の屋上から見降ろせる森や町を眺め、決意を新たにした。
***
引き継ぎが始まって3日目、9代目の雨の守護者であるブラバンダーは、特に何かを引き継ぐでもなく、山本を引き連れてボンゴレ本部の中を廻り歩いていた。
途中獄寺とすれ違うこともあり、その引き継ぎがボンゴレ本部の構造やら何やらを覚えることだと教えられ、自分もそうなのかと思ったが、どうもぶらぶらと歩いているようにしか思えない。
「・・・な、なぁ・・・その・・・引き継ぎって、やらないのか?」
さすがに暢気な山本でも、3日間もぶらぶらと城の中を歩いているのが引き継ぎとは思えず、始終無言のブラバンダーに声をかけた。
「引き継ぎ・・・そうだな。そろそろ良いか」
「???」
何をしたいのかよくわからないブラバンダーだが、ようやくやる気を出してくれたのかと山本は次の言葉を待った。
「お前は鬼ごっこが得意か?」
「・・・・・・えっと・・・お、鬼ごっこ?」
唐突に何を言い出すかの思えば、そんなことを聞かれた山本は大量の?マークを頭の上に飛ばした。
「そう、鬼ごっこだ。・・・特に、逃げる方じゃなく見つける方が得意だと、なお良い」
「・・・あ~、たぶん・・・得意、かどうかはわかんね―けど・・・体力には自信があるぜ?」
「そうか・・・なら、これから夕飯までに俺を捕まえろ。もちろん、抵抗もするし隠れたりもするぞ」
それが引き継ぎだと言われれば、山本に拒否権は無かった。
「じゃあ、30秒後にスタートだ。フィールドはこの本部内全てだ」
ブラバンダーは山本にそう告げると、あっと言う間に駆け出し、姿を消した。
「・・・え?もしかして・・・ぶらぶら歩いてたのって、コレの仕込み?」
獄寺以上にこれは厄介な引き継ぎじゃなかろうかと山本は口元を引き攣らせた。
「ちょ、あちこちにトラップがあるんだろ?・・・マジかよ」
持ち前の野生の勘で、トラップを回避し続けるしかない。
覚悟を決めた山本は30秒の後、ブラバンダーとの鬼ごっこを開始した。