ローマ・フィウミチーノ空港
成田からの直行便を使い、出来うる限り早くイタリアへと飛んできた了平と雲雀。
ボクシングの試合で旅慣れている了平が手配したため、並盛を未だ離れたことのない雲雀は労せずしてイタリアの地を踏むことができた。
「・・・君に任せておいて大丈夫かと思ったけど・・・無事についたね」
「極限に失礼なヤツだ!・・・こう見えても遠征などで各地に飛んでいるのだぞ!」
「わかったよ・・・煩いから少し黙ってて」
「なにをぅ!!」
「何・・・やる気?」
一触即発、今にも戦いだしそうな2人に慌てて声をかけたのは、明るい茶髪の青年。
「さ、笹川殿!雲雀殿!!」
「ん?・・・君は確か」
「バジルではないか!」
「ご無沙汰しております、お2人とも。・・・向こうに迎えの車が停まっていますので、案内します!」
とにかく戦いだす前にボンゴレ本部に連れていかなければと、妙な使命感に燃えてバジルは勢いに任せて2人を空港から連れ出した。
数時間後
長時間車に乗せられ、雲雀の機嫌は急降下。了平も最初は景色を楽しんでいたのだが、徐々にトーンダウン。
「・・・だ、大丈夫ですか?」
思わずバジルが問うが、ギロリと雲雀に睨まれて身を竦ませる。
「ねぇ、まだ着かないの?」
「・・・も、もう少しかかるかと」
「うぉ~~~ッ!極限に休憩がしたいぞ~ッ!!」
そう訴える了平に、バジルは近くのサービスエリアに入るように運転手に告げる。
「30分後に出発しますので・・・ここに戻って来てくだされ」
そう言うバジルに頷き、了平と雲雀はふらりとサービスエリア内の店に入っていく。
「・・・ハァ、親方様に報告せねば」
携帯を取り出し、バジルは家光へと電話をかける。
『バジルか?』
「はい、親方様。今、笹川殿と雲雀殿を連れて本部へと向かっております。現在は途中のサービスエリアに寄っています」
『そうか、最後まで気は抜くなよ?・・・相手は晴と雲の守護者だからな』
「はい、お任せ下さい」
バジルは一通りの報告を終えて携帯電話をしまうと、軽く息を吐いた。
「はぁ・・・何事もなければいいのだが」
そんなバジルの願いも虚しく、問題は発生する。
「バジル!!」
守護者2人を見張る意味合いで傍につけていたチェデフの仲間が駆け寄って来る。
「・・・どうしたのですか?」
自分よりも年長者の彼がここまで慌てる所を見たことがないバジルは、首を傾げた。
「雲の守護者が晴の守護者ともめていて・・・どうやら、雲の守護者にケンカをふっかけた奴がいるようで・・・」
バジルは弾かれたように駆け出した。
雲雀と了平が戦い出したら、間違いなくとんでもない被害が出る。
「ああぁッ!!コレを難なくまとめられる沢田殿を、拙者は尊敬します~~ッ!!」
そう叫びながら、バジルは今にも自分の獲物を取り出して戦いだしそうな雰囲気の2人の間に割って入ったのだった。
ボンゴレ本部
「・・・で、ボロボロなわけだね?」
「・・・はい」
ぐったりとして頷くバジルに、ツナは憐れみの視線を向けた。
「バジル君も可哀想に・・・父さんもなんだって雲雀さん達の迎えにバジル君を使ったのか」
「・・・沢田殿が正式に10代目を継がれましたら、拙者が門外顧問を継ぐことになっておりますので・・・たぶん、予行演習的なものかと」
門外顧問は実質ボンゴレのNO.2だ。いくら守護者といえどそれに逆らうことは許されない。形式上は。
「そっか・・・門外顧問はバジル君が継ぐんだ」
ツナが言えば、隣にいたリボーンが首を傾げた。
「だが、俺達がイタリアに来る直前までは家光が続投という話だったじゃねぇか」
「ええ・・・ですが、やはり権力の集中は避けねばならないということになりまして。親方様は名誉門外顧問という立場になって、拙者のバックアップをしてくださることになったのです」
「権力の集中・・・まぁ、ツナと家光は親子だからな」
「あ、そっか。そういうことを気にする人がいるってことだね」
「・・・沢田殿、お気をつけください。未だに沢田殿の実力を目で見たことのない者は外見で判断するでしょうから」
バジルもまた柔らかい印象を与える外見のため、苦労をしているようだった。
「うん、忠告ありがとうバジル君」
「いえ・・・拙者にできることがありましたら、いつでもおっしゃってください」
「頼りにしてるよ。・・・でも、今日はゆっくり休んだ方が良いよ。あの2人の相手をしたんだから、体力的にも精神的にも疲れたと思うし。父さんと9代目には俺から言っておくよ」
「・・・・・・はい、ではお言葉に甘えさせていただきます」
さすがのバジルも“まだ頑張れる”とは言えないらしく、大人しくツナの言葉に従って自室へと戻っていった。
「さて、雲雀さんと了平さんの様子を見て来ないと。そろそろ9代目との面談も終わって引き継ぎに入っちゃうだろうし。そしたら夕飯まで会えないもんね」
「ああ、そうだな」
頷くリボーンを頭の上に乗せ、ツナは9代目の執務室へと向かった。