曇天二ヒカルノハ、死ノヒカリカ、ソレトモ   作:インサイト

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初めまして、今回が処女作です。
できるだけ早め早めの投稿を頑張ります。
暖かい目で見守って下さいね。


儚げな

10月。

その日は、雨が降っていた。

少年は、絶望していた。

本来は真っ白なその髪が、今は、この世の穢れを全て吸ったような、どす黒く、汚らしい色になっていた。

傘も差さずに、ただただ幽鬼のように歩くのみ。向かう先は、この街で一番高いビル。

たどり着いたその先で、彼はーーーー

 

「何しようとしてるんですか?」

 

突然、声をかけられた。

流れるようにさらさらと靡く真っ白な髪。傘を差してはいるが、少し濡れている彼女は、美しかった。

だから、

 

「人何百人か巻き込んで、自殺しようとしてるとこ。」

 

と、正直に答えた。

「何故ですか?」

「あんたに話しても意味無いだろ」

「そんなこと無いです。話したら、気が楽になって、その気が無くなるかも知れませんよ」

そんなこと微塵も思ってなさそうな声音で。無表情で言った。

むかついてきた。

 

「な訳無いだろ。そんなことだったなら、僕はとっくに立ち直ってる。」

 

と、先ほどよりも少し不機嫌そうに言ってみた。

 

「お前は早く逃げなくて良いのか?死ぬぞ?」

「いえ、もう逃げても遅いですよ。」

「あっそ。じゃあーーー」

いつか、地獄で会えたら良いなーーーなんて、ニヒルにくちを歪めて、少年はビルから落ちていってーーー。

 

「あなたが、谷城凪斗《こくじょうなぎと》さんですか?」

「!」

 

足が、止まった。

もう、僕の名をしっている人間なんて、もうこの世に居ないとおもっていたのに。

 

「ある人から言われました。近頃の連続爆弾不祥事事件。それがあなたの仕業だって。」

 

彼女は、淡々と告げる。

僕は、足がすくんでしまった。

まだこの世界に僕の名を知っている人間がいる。それだけで、たったそれだけが、僕の決意を揺るがせた。

 

「あなたの特殊能力は、『爆発』なんですね。」

 

それが、本当に嬉しくて、でも、僕の心の奥底にあった、醜く汚い泥は、まだ消えずに。

僕は質問に答える。

「うん。そうだよ。君、警察の人?」

「いいえ。ただその人が、あなたを頼れ、そして支えてやれと言っていたので」

 

そうして、彼女は手を伸ばす。

 

「わたしにとって、その人は絶対の存在ですから。だから、あなたを頼り、支えてあげます。だから、一緒に来てください。」

 

不覚にも、言っていることがめちゃくちゃな彼女の手を、取ろうとしてしまった。しかし、僕の中にある絶望が、耳元で囁く。

ーーー諦めろ。

と。

ーーーこれ以上苦しみたくないだろう?

と。

こだまする。

だから僕はーーー

その手をはねのけた。

そしてーーー

 

「お前に何がわかる?」

と、呟いた。気がする。

「僕なんかの苦悩を知ろうともせずに、今までのうのうと幸せに暮らしてきたお前みたいなやつがーーー軽々しく、僕に触れるなァァあ!!!」

と、怒鳴ったら、

右頬に痛み。

殴られた。

 

「お前にこそ何がわかる!?わたしが、兄が、どれだけの思いで今を生きてきたか!お前なんかが想像もつかにいようなことを、わたしたちはされてきたんだ!その苦しみが、お前みたいな被害妄想野郎に、わかってたまるかァ!」

 

押し倒され、殴られる。

泣いていた。

涙か、顔に落ちる。もう感覚がなくなってしまった。

彼女の拳からは、血が垂れ落ちる。

 

「被害妄想だと⁉︎単なる被害妄想だったら、人を何百人も巻き込んで自殺なんかするか!お前の苦しみなんかーーー」

 

逆に押し倒す。

 

「僕の知ったこっちゃないんだよ‼︎」

 

二人とも、泣いている。

僕のは、悔し涙か、怒り涙が。

彼女も同じだろうか。

下の彼女を見下ろしてみると、ひどく儚げで、強くて、そういった矛盾が感じられ

彼女の瞳に映った僕は、今にも壊れそうな顔をしていて。

だからだろうか。だからだろうな。僕は、この子に憧れた。そして、守ってやりたいと、思ったかも、しれない。

思えば、僕はいつも下を向いていたから、この子の顔をちゃんと見ていなかった。

怒りなんて、吹き飛んだ。

 

「...何ですか。人の顔を覗き込んで。」

「いや、可愛い顔してるなって。」

 

彼女の顔が、少しだけ、朱に染まる。

嬉しい。

 

「なんなんですか。何か言ってください。」

そう言われて、僕は直感した。

僕には、この子が必要だと。

そして、彼女を支えたいと。

彼女の言うあの人とは誰なのか、わからないけれど。

その人の言うとおりだったな、なんて思ったり。

 

「僕は君を支えたいと思った。君は?」

「どういう風の吹き回しですか?あんなに拒絶したのに」

「さぁ?君が綺麗だったからかな」

「...」

物凄い半眼で見られた。しかし訂正しない。だって本当のことだから。

 

「あの人の言うことに、わたしは従います。だから、あなたを頼ります。」

「わかった」

 

そして、僕は彼女から退くと、手を差し伸べ、言った。

 

「僕は、谷城凪斗。君は?」

「わたしは友利奈緒。よろしくお願いします」

彼女は、そっと手をにぎりかえした。

 




文字数がなかなか出せない....!誰かコツ教えてくれません?
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