インフィニット・オオカミ   作:陸のトリントン

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タイトル通り、オリ主にかなりの受難が降り注ぎます。ご注意ください。


狼男の受難

一時限目が終わり僕は授業の準備をしている。

 

「篠ノ之さん。経緯は聞いて欲しかったな」

 

篠ノ之さんの発言にも一理ある。

 

僕は狼男だけど人間だ。人としてのマナーやルールは守らなければならない。心の何処かで狼男を理由に自分を特別扱いしてたかもしれない。

 

だけど・・・

 

「怖がらなくてもいいのに・・・」

 

物凄く怖がっていたのは目に見えて分かる。

 

それを誤魔化すように僕を睨みつけていたのも分かる。

 

「そういえば一夏は・・・」

 

僕は一夏に千冬さんと何を話したのか聞こうとしたけど

 

「あぁ・・・頭が・・・」

 

頭を抱えて机にうつ伏せになっていた。

 

「・・・そっとしておくか」

 

きっと千冬さんにこっぴどく叱られたに違いない。

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

放課後になり、僕は整備室で黛さんによるIS整備のいろはを教わっていた。

 

「呑み込みがなかなか早いねぇ」

 

「いえ。黛さんの教え方が上手なだけです」

 

「そう褒められると嬉しいなぁ」

 

本当に黛さんの説明は分かりやすい。教科書と照らし合わせながら整備の基本事項から注意事項を教え、実際に整備する際も手取り足取り教えてくれるから教わる側としても分かりやすい。

 

「そういえば、決闘の時に使う武器は決めてあるの?」

 

「近接ブレードで戦おうかと思ってますが」

 

「相手が射撃専門だったら?」

 

「相手の懐に飛び込めばいいのでは?」

 

とは言っても懐に飛び込める以前に歩くことすらままならないレベルだからどうしよう。

 

「たっちゃんから聞いてるわよ。まだISでまともに歩けないことを」

 

「知っていましたか」

 

「でも、どうして銃とか使わないの?」

 

「撃つ度に耳がものすごく痛くなるんです」

 

「でも、ISにはそれを抑える機能が備わっているんじゃないの?」

 

「それを使っても耳が痛くなるんです」

 

適性試験の時に千冬さんが防音設定を最大レベルにしてくれたけど、それでも耳が痛くなってうずくまったのを憶えている。

 

「だとすると、使える武器は弓矢とかボウガンタイプになるけど・・・学園にあったかな?」

 

「ISにもそのような武器があるんですか?」

 

「イベントとかで展示されてる事はあるけど、相当なモノ好きじゃないと試合で使われることはないからね」

 

だとすると、僕の戦い方は随分原始的な戦闘スタイルになるのか。

 

「後で学園にあるのか聞いてみるから。さあ、今度は武器の整備について教えるわよ」

 

その後、黛さんの講義は一時間ほど続いて・・・

 

「和也君。一緒の晩御飯食べましょう!」

 

刀奈に無理矢理、食堂に連れて行かれた。

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

「こんなに疲れたのは初めてだよ」

 

僕は刀奈との夕食を終えて、学園内をうろついていた。刀奈は僕が黛さんと仲良く講義を受けてる姿を見て焼きもちを焼いたと言うけど・・・

 

「刀奈が言い出したのになぁ・・・」

 

刀奈は甘えん坊な所があって可愛いけど、妹さんは知っているのかな。

 

「そういえばここは・・・」

 

気付いたら僕はどこかの道場の前にいた。その道場の中でどこか聞き覚えのある声が聞こえてくる。

 

「部活動かな?」

 

僕は興味本位で道場に入って行った。

 

 

 

「もっと、ぐいっと攻めないか!」

 

「だから、そのぐいって何だ!?」

 

「ぎゅっと行って、スパーンと決めることだ!」

 

「意味が分からない!」

 

 

 

一夏と篠ノ之さんが何か話してるけど一夏の言ってる事が良く分かる。僕も篠ノ之さんの言ってる意味が分からない。

 

「そっとしておこうか」

 

これ以上二人の邪魔をするわけにはいかないからこの場を・・・

 

「そこにいるのは誰だ!」

 

去ることができなくなった。ここは素直に謝って去らないと。

 

「ごめん。別に二人の邪魔をしに来たわけじゃなくて、聞き慣れた声がしたから入って来ただけなんだ」

 

説明はしたけど、二人は相変わらず怯えてる。

 

「えっと、二人の邪魔をしたくないから・・・」

 

「待て」

 

突然、篠ノ之さんの雰囲気が変わった。殺気が体から溢れて僕を圧倒しようとしている。

 

「私と戦え」

 

「い、嫌です。僕には戦う理由がありません」

 

「私にはある。お前が織斑先生を負かした程の実力を持っていると聞いた」

 

「千冬姉を負かした!?」

 

どこから手に入れた情報なのか、篠ノ之さんはIS実技試験の話を知っている。一夏は僕が千冬さんを負かしたと聞いて物凄く驚いてるけど、それは狼男の能力測定であって実際に戦ったわけではない。それに人としての力ははっきり言って並以下である。

 

「それは狼男の能力測定だから、別に戦ったわけではないから」

 

「だとしても、織斑先生を負かしたのは事実だ。その力を確かめさせてもらう!」

 

篠ノ之さんは構えをとって戦闘態勢に入ったけど・・・

 

「あの、篠ノ之さん」

 

「どうした!」

 

「その、どうして怯えてるんですか?」

 

「なっ!?」

 

冷静そうに見えるけど、息は若干荒く、腕は僅かに震え、目は僕を見ないようにちょっとずらし、足は固まってるように見える。別に怯えなくていいのに。

 

「昨日の遠吠えが原因だったら謝ります。でも・・・」

 

「あ、ああ!そうだ!昨日の遠吠えが原因だ!それが原因で私は・・・な、中々眠れなかったぞ!」

 

昨日の遠吠えじゃなくて僕自身に原因があるみたい。

 

「篠ノ之さん。僕のどこが・・・」

 

「な、馴れ馴れしく呼ぶな!」

 

物凄く震えながらも竹刀を僕に向けている。これだとまともに会話が続かない。早く誤解を解かないと。

 

「落ち着いてください。僕は・・・」

 

「いやぁぁぁ!」

 

僕が一歩踏み出した時、条件反射なのか篠ノ之さんが僕に竹刀を振り下ろしてきた。

 

「うわっ!」

 

僕は思わず狼男になり、竹刀を受け止めて篠ノ之さんを落ち着かせようとした。

 

「篠ノ之さん!落ち着いてください!僕は戦いに来たわけではありません!」

 

「あ・・・」

 

篠ノ之さんは我に返ったのか、竹刀をその場に落とした。

 

「篠ノ之さん。一体僕のどこがいけなかったのか教えてくれませんか?」

 

僕は理由を聞こうと篠ノ之さんに歩み寄ろうとした。

 

「く、来るな・・・」

 

「え?」

 

だけど、篠ノ之さんは僕が一歩近づくたびに一歩後ずさりする。狼男の姿に怯えてるようだ。

 

「大丈夫です。狼男になっても僕は・・・」

 

僕は篠ノ之さんを落ち着かせようと手を差し伸べようとしたが・・・

 

「箒!」

 

一夏が僕の前に現れた。

 

「あの、一夏・・・」

 

「箒に近づくな!」

 

「えっと・・・ごめん」

 

狼男から人に戻って謝ったけど、一夏の殺気が収まる気配がない。

 

「箒が怯えてるのにどうして近づいたんだ!」

 

「ごめん。狼男でも危害が無いと説明したくて歩み寄ろうとしただけなんだ」

 

「誰だって狼男は怖いだろ!どうして分からないんだ!」

 

一夏の言葉は段々過激になって来た。

 

「それに千冬姉を負かした時点で、どう危害が無いんだ!」

 

「能力測定だから戦っていないよ。それに千冬さんは手加減し・・・」

 

僕の必死の説明に一夏は僕の胸ぐらを掴んだ。

 

「千冬姉が狼男に手加減するはずが無いだろ!」

 

「い、一夏・・・く、苦しい・・・」

 

一夏は聞く耳を持たず、胸ぐらを掴んでる手を離さなかった。

 

「お前は・・・お前は・・・」

 

一夏は僕に言って欲しくない言葉を浴びせた。

 

 

 

「お前は人間じゃない!怪物だ!」

 

 

 

「ち、違う・・・僕は・・・人間・・・」

 

「人が狼になんか、なれないだろ!」

 

一夏の握る手が強くなる。

 

「か・・・かた・・・・・・な・・・・・・・・・」

 

世間から見たら僕はどれ程の異端なのか実感し、意識が途絶えた。




オリ主にとって辛い描写が続きますが、狼男が隣にいたら誰だって怯えると思います。

そう考えると、のほほんさんは物凄い人です。



オマケ

オリ主の母と千冬

「織斑先生。随分お疲れなご様子ですが?」

「あ、ああ。色々と書類を整理しないといけなくてな」

「では、私が仕事ができやすいように・・・」

「いえ。それには及び・・・」

「ダメです。人の好意をはぐらかすのでなく、ちゃんと受け取らないといけません」

「それでは・・・」

「織斑先生は他の人を頼ってください。山田先生も不安を抱いていましたよ」

「一般の・・・」

「私も立派な学園の職員です。私に頼っても罰はありません」

「・・・では頼む」

「『頼む』ではありません」

「よろしくお・・・」

「言葉がお固いですよ」

「・・・分かった」

その後、道場での騒ぎを聞いた千冬は修羅の形相となり、一夏と箒に一喝したのは言うまでもない。
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