インフィニット・オオカミ   作:陸のトリントン

23 / 35
前回、オリキャラが登場しますと告知しましたが登場が先送りになってしまいました。

オリキャラ登場にご期待を寄せていた読者の皆様に迷惑を掛けてしまい、申し訳ございません。


狼男でもボケたい

結論から言うと『織斑一夏 クラス代表就任パーティー』で、僕と刀奈が付き合ってる事がばれてしまった。

 

刀奈が僕との出会いから告白を全部話してくれたお陰で、一部の生徒達から「ギャルゲーウルフ」というあだ名をまた付けられた。

 

中学とは違い、嫉妬の意味合いが強く含まれてると思う。僕にそれらをぶつけられても困るけど。

 

それに僕は刀奈との付き合いは穏便にして欲しかったのに・・・

 

「いいじゃん。私と和也君が付き合ってても何の問題は無いから」

 

と言って、話を切り上げられてしまう。

 

そう言う時に限って悪い予感しかしないんだ・・・「ギャルゲーウルフ」というあだ名を作った人が来そうな予感が。

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

「簪さんに怒られた?」

 

「ああ・・・」

 

『織斑一夏 クラス代表就任パーティー』から翌日。朝から一夏は少し暗かった。最初はパーティー疲れだと思って声を掛けなかったけど、朝のSHR前になっても暗さが一向に変わっていなかったのでSHRが終わった後、原因を聞いてみた。

 

「昨日の夜、簪にヒーローっているのかって聞かれたんだ」

 

「ヒーロー?」

 

「あれ?簪がヒーローアニメ好きだって言わなかった?」

 

「初耳だけど。それで、ヒーローがいるのかって聞かれてどうしたんだい?」

 

多分、簪さんの言うヒーローはテレビに出てくるどんなことがあっても挫けず、諦めず、最後に勝利を掴む。現実にいそうでいない『王道のヒーロー』を指して言っているんだろう。小さい頃から料理とか洗濯とか裁縫ばかりして、同世代の話について来れなかった僕が言うのもなんだけど。

 

「ヒーローはいないって答えたんだ」

 

一夏は敢えて現実の答えを突き出したんだな。それは人の願望を具現化した『王道のヒーロー』であって、現実にヒーローなど存在しないと考えて言ったんだな。もしいるとするなら、そのヒーローに憧れた『ヒーローの卵』ぐらいかな。

 

 

 

「ヒーローなんて奴らは泣きもしなければ、笑いもしないからな」

 

 

 

・・・え?

 

「って、言ったら簪が泣きながら俺をぶって・・・」

 

「ちょっと待って!」

 

「え?」

 

一夏は、僕が物凄く慌ててる理由が分からず呆然と見ているけど・・・えっと、ここにも・・・いやいやいやいや!僕は一夏の事をまだ分かっていない!箒と一夏に関するクイズを出されたら確実に完敗を喫する程、織斑一夏という人物を理解してない。中学まで一緒にいた仲の良いクラスメイトとは事情が違う。僕は一夏をよく知らない。中学まで一緒にいた仲の良いクラスメイトは幼稚園からの付き合いだからよく知っている。この違いは大きい。なら、一夏の話をよく聞こう。

 

「ヒーローが泣きもしなければ笑いもしないって・・・どういう意味?」

 

僕は汗を流し、唇を震えながら一夏に問いただしてみた。答えの内容によっては『緊急特別治療』をしなければならない。

 

「いや、完全無欠のヒーローなんて呼ばれてる奴って限界も無く、苦しむ事無く戦うじゃん。俺は限界だってあるし、苦しむこともある。だけど、俺は諦めない。逃げ出さずに戦える。それが・・・」

 

「駄目だぁぁぁぁぁ!」

 

「えっ!?和也!?」

 

僕は思わず机に顔を力強くぶつけた。机にサッカーボール程のへこみそのへこみの底に血が少し溜まったけど、気にしない。このままだと・・・

 

「和也・・・どうしたんだよ?血が流れてるのに、俺を睨んでるように見えるんだが・・・」

 

一夏は何か怯えてるように見えるが気にするな!一夏は自覚症状のない病気に掛かってるんだ!

 

「織斑一夏。あなたを・・・」

 

このままだと一夏は一夏じゃなくなる!

 

「あなたを『緊急特別治療室』へお送りします!」

 

「はぁっ!?」

 

僕は即座に狼男になり、一夏を米俵のようにを担いだ。靴と靴下、上着は見るも無残な姿になってしまったがどうでもいい。今は一夏の療養が先決だ。簪さんを泣かせてしまった以上、被害を最小限に抑えないと!

 

「和也!ちょっと待て!そこ窓だぞ!」

 

「落ち着いてください患者さん!」

 

僕は『緊急特別治療室』への最短ルートを通ろうとした時、一夏が子供の様に暴れ出した。

 

「俺は病気も怪我もしてないぞ!と言うより、和也が落ち着け!」

 

「自覚症状のない病気なので、健康であると思っているだけです!」

 

「話を聞いてる!?」

 

「それでは『特別治療室』へお送り・・・」

 

「俺の話を聞けよ!」

 

話を聞く時間すら惜しいんだ!

 

「待て和也!」

 

「落ち着いてください和也さん!」

 

「箒!セシリア!」

 

何で二人は止めに入るのぉ!?

 

「和也!その一夏は・・・・・・それが通常なんだ。病気でも何でもない!」

 

「箒!その妙に長い間は何だ!?」

 

「一夏さんがそうなった原因は分かりませんが、いくら何でも強引ではないですか?」

 

「セシリア。和也、とにかく落ち・・・」

 

「餅は餅屋!」

 

「セシリアに日本の諺は通じないから!」

 

「どういう意味ですの箒さん?」

 

「セシリアは箒に意味を聞くんじゃなくて、箒と一緒に和也を止めてくれ!」

 

どうして一夏はセシリアの日本語学習を邪魔するんだ!?

 

「そ、そうでしたわ。和也さん。どうか、落ち着いてください」

 

「セシリアは知らないんだ・・・一夏の体を蝕んでいる病気が何なのか」

 

「その病気とは何なんですの?」

 

「それは・・・」

 

病名を言おうとした時、僕の声を掻き消すかの如く教室のドアが勢いよく開いた。

 

目の隈を隠すかのような化粧。見るからに急いで結ばれた髪。そして・・・

 

「高原・・・何をしている?」

 

サービス残業や夜勤を4ヶ月連続で続けていると言われても違和感のない疲労感を漂わせる『世界最強(ブリュンヒルデ)』がそこにいる。

 

「織斑一夏の『緊急特別治療』です!」

 

「・・・病名は?」

 

「中二病です!」

 

「・・・担当の医者は誰だ?」

 

「僕の母さんです!」

 

僕は今日一日の中で、最高の笑顔を織斑先生に向けながら答えた。

 

「・・・・・・行っていいぞ。後で・・・山田先生の補修を受けろ」

 

「千冬姉!?」

 

「ありがとうございます!それでは行きます!」

 

「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

一夏の哀れな叫びを無視し、僕は『緊急特別治療室』へと向かった。

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

「あの・・・織斑先生」

 

「・・・どうした篠ノ之?」

 

織斑先生の様子が昨日と変わりすぎている事に戸惑いを隠せない。和也を除く全生徒の憧れである千冬さんがたった一日で疲れ果てた姿を見せるなんて・・・一体何があったんだ。

 

「何かあったのですか?」

 

「いや・・・ただ・・・」

 

「ただ?」

 

「高原の母さんが酔ったら・・・私が赤子当然の様に振り回される事実にショックを隠せなくてな」

 

「えっ?」

 

織斑千冬の『絶対神話』が食堂で働く一人の『お母さん』に崩され、新たな神話が生まれたのは別の話である。




ツッコミ役がボケ役に回った話でした。

オリ主のキャラが崩壊しない様に壮絶な勘違いを持たせるのは苦労します。

次回は一夏と簪の話を書こうか、オリ主の親友の話を出そうか考えています。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。