いつもの事ながらオリ主はツッコミ役です。
僕が一夏を担いで緊急特別治療室に入ったら簪さんがいました。
替えの制服を着た僕は刀奈の事で色々とお世話になったので、簪さんと刀奈に関する話をしました。
僕が担いていた一夏は母さんが運んでくれて、簪さんは一夏と一緒に受診しに行きました。
たった三つの出来事に・・・
「2時間経っていたとは・・・」
時間は大切です。
僕は少し疲れながらも教室に向かっています。周りは授業中なので静かですけど・・・
「一夏の中二病・・・治って欲しいよ」
一夏が心配です。
中二病
それは医学書にも載っていない未知の病気。人も知ってて世も知ってるのに、具体的な治療法が発見されていない不治の病。感染経路、感染源は特定されず、ある年齢に達した特定の人物にだけ現れる病気。実際、中学に重症の生徒がいて治療するのに必死だった。幸い中二病は治ったには治ったけど、後遺症で『イタイ人』になってしまったのは悔やまれる。僕の力不足でなってしまったんだ!だから僕は中二病を楽観視しない。中二病を治せる治療法が見つかるまで僕は諦めない!
「でも、今は授業に集中しないと」
気持ちを切り替え、僕は教室のドアを開けた。
「皆さん、お騒がせしてすみません」
「か、和也か、助かった。実は頼みがあるんだ」
箒が物凄く慌ててやって来た。あの、教室が見えないんですが。
「頼みって何ですか?」
「実は・・・」
「お!待ってました!御大将!」
「ふっ・・・俺達を待たせるなんて、とんだ出世をしたものだな」
「4番!代打・・・高原和也!」
ああ・・・この3つの音色は間違いない。幼稚園から付き合いのある3人組だ。だとすれば、箒の頼み事は大体察しが付く。
「箒、頼みがあるけどいいかな?」
「何だ?」
「この後何があっても止めに入らないでくれる?」
「いいが・・・って、待て!私の頼み事が・・・」
「頼みは三人を止めて欲しいことですよね?」
「どうして分かったんだ・・・!」
「その後のやり取りを見れば分かるよ」
僕は意を決して教室の中へ入って行った。
教室の中は混沌としている。
山田先生はどこにもおらず、織斑先生は頭から煙を出して轟沈。生徒達はこの状況に耐え切れず硬直状態。のほほんさんを除いて。
そして、僕の席にいる3人が元凶だ。
赤の上着に白いシャツに、青のジーパン。黒の短髪に黒目、中肉中背という見た目は平々凡々で問題はないけど、口を開くとおバカな発言かか下ネタ発言しか言わない「
黒の革ジャンに白のシャツ、何だか分からない黒のズボン。黒の長髪に黒いサングラス、長身、若干痩せ気味で渋い声を出せる元中二病患者で現在イタイ人の「
クリーム色のパーカーに青の短パン。中肉中背に黒目と子供らしいスタイルだが、何を考えているのか全く分からず、ある種ISより謎の深い男「
この3人は地元でも、有名な3人組で「彼らがいる所、平穏息をせず」と、言われるほど揃えてはいけない人物達と言われてる。この3人とは幼稚園からの付き合いで、僕が何とか3人を纏めて事態を深刻化せずにしてきたけど、これは思っていた以上に混沌だ。
「おーい和也!遊びに来たぞ!」
「隆。今、授業中だから時間を改め・・・」
「何を言っている和也。俺達は創立記念日という素晴らしい日にやって来たんだ。もっと感謝するべきではないか?」
隆のボケにツッコむ前に丈のボケで折らされたよ。そう言えば母さんから聞いた話だと、この3人は同じ高校に通っているんだ。
「創立記念って、高校の?」
「いや・・・」
丈が黒いサングラスを外した。目は至って普通の黒目。さすがに丈が高校デビューなんて・・・
「俺と山田真耶の交際記念日だ」
「何してるんだぁぁぁぁぁ!」
「高原君、落ち着いて。私、丈君の事を・・・」
山田先生は顔を赤らめながら僕を止めてるけど、落ちるの早いです。
「丈!一体、山田先生に何を・・・」
「あなたの胸並みに心は広いと口説いた」
「それ口説きじゃなくて、ただのセクハラ発言だ!」
「だが、現実は違った」
「違ってるのは丈の台詞だから!」
「和也。恋というものはIS以上に不可解なものだ」
「丈の考えが不可解だよ!」
「でも、丈君は私をこんなに優しくしてくれて・・・」
「山田先生も目を覚ましてください!隆も何か言って・・・」
「和也、これが噂のブリキヒルデか?」
轟沈済みの織斑先生の頭をはたいていた。
「織斑先生の頭を叩くなぁ!あと、ブリキヒルデじゃなくてブリュンヒルデ!そう言えば、吉之助は・・・」
「友好の印に『カステラ』でっせー」
「『カステラ』とは~お主も悪よのぉ~」
のほほんさんと化学反応を起こしてる!?
「どれどれ開けてみますか~おやっ!これ、『カステラ』ちゃう!『カスタードケーキ』や!」
「ほんまやー!」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「「はははははぁ!」」
「笑う意味が分からない!」
もはや収集がつかない状態になってる。
「なあ和也。大した労力を使わずに彼女が出来る方法ってある?」
「そんなもの無いだろ!」
隆はいつもと変わらず無理難題を押し付けてくる。
「山田先生。俺と一緒に深い純愛に包まれましょう」
「ずっと・・・ずっと二人で・・・」
「ちょっと!二人で花園を作らないで!」
丈は山田先生と一緒にイタくなってる。
「共倒れ太郎」
「ぶわはっはっはっは!」
吉之助は新ネタを披露して、のほほんさんだけが大ウケしてる。
「・・・・・・」
久々に来たよ、この気持ち。うん、仕方がないよね。三人に常識が通用しないのは先刻承知。
「ん?和也、どうしたんだよ?」
「和也。俺は今からハネムーンに飛び立つ。二人の純愛を祝するため」
「和也。新ネタ作ろー!」
「お前達・・・」
「「「・・・ん?」」」
「さっさと、帰りやがれぇぇぇぇぇ!」
・・・・・・
「俺は全てを守ろうと考えていたけど、その全てを知ってたつもりでいた。けど、何にも知ってなかった。和也の事も、簪の事も、千冬姉の事も。全部知ってるつもりでいたんだ」
独り言をつぶやきながら、織斑一夏は一人廊下を歩いていた。
『緊急特別治療』によって、一夏のヒーローに対する偏見に近い価値観は修正された。
「和也のお母さんは、『全てを守るんじゃなくて、ルームメイトを守ってみたら?』って言ったけど、どうしてだ?簪は少なくとも俺よりISに乗ってる時間とか専用機を扱ってる時間は長いのに・・・」
ただ、和也のお母さんの発言に首を傾げていた。自分よりISについて詳しいルームメイトを守る理由が思い浮かばない。口数は決して多くはないが、的確なアドバイスを与え、特訓に付き合ってくれてる彼女を守るのは何故か?少し前の自分だったら理由なく守る事にしていたが、和也のお母さんの話を聞いて彼女を守る事について考えてみた。
「理由じゃないのは分かってる。誰かを助けるのに理由は要らないのは、和也のお母さんも理解してくれた。なら、和也のお母さんはどうして『簪を守る』って特定させたんだ?」
一夏は己の頭脳をフル回転させ、結論を導こうとした。
「・・・ダメだ。今の俺には分からない」
現時点の一夏には分からなかった。
「仕方がない。今は自分と周りの事を理解するか」
今後の課題を決めた一夏は一組の教室の前に辿り着いていた。
「そういえば千冬姉、大丈夫かな?」
そんな疑問を持ったまま、教室のドアを開けると・・・
「「ぷしゅー・・・」」
真っ白に燃え尽きている担任と副担任。
「ぐるる・・・」
爆睡中の狼男に・・・
「ふすぅ・・・」
それを布団代わりに寝ている本音。
「箒・・・一体何が・・・」
「色々と・・・あったんだ」
一夏の問いに箒は視線を逸らして答えるしかなかった。
この教室は混沌が支配していたなど誰も口を割ることはないからだ。
そう・・・
和也の怒りは混沌すら飲み込む混沌である事に。
穏やかな人ほど、怒った時の衝撃は凄まじいものです。