インフィニット・オオカミ   作:陸のトリントン

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皆さん、お待たせしました。

今回はオリ主の父と鈴が主役です。


狼男のおやじ

織斑一夏がISを起動させて数日後。

 

中国のどこかにある駅

 

「これでやっと日本に行けるわ」

 

ボストンバックを片手で担いでいるツインテールの小柄な少女は空港のチケットとIS学園入学手続きの書類を見ながら、これからの事に期待を胸に寄せていた。

 

「一夏・・・あの時の返事を待ってるから」

 

彼女の名前は凰鈴音。

 

中国代表候補生であり、第3世代IS「甲龍」の搭乗者である。

 

「さて、そろそろ時間だから列車に乗らないと」

 

彼女は軽い足取りで列車に乗り込み、どこかの駅に別れを告げた。

 

嬉しい予期せぬ事態。自分が想いを寄せている人物とまた一緒にいられる。それだけで彼女の心はいっぱいだった。

 

「えっと、空港に着くのは約1時間だから・・・」

 

「すみません。隣、座って大丈夫ですか?」

 

あの男に出会うまでは、幸せいっぱいであった。

 

「大丈夫です」

 

「ありがとう・・・ふぅ」

 

その男は黒の短髪の大柄な男。白のTシャツに青のジーンズというシンプルな服装。財布とパスポートとメモ帳以外に何も持っていない事に疑問を感じるが、一夏の事で頭がいっぱいの鈴は疑問を感じることなど無かった。

 

その後は何事も無く列車は走り続き、目的の空港に着くまであと20分を切った所であった。

 

「お前ら大人しくしろ!」

 

二人の強盗が列車に乗り込んで来たのである。突然の襲来に鈴は読んでいた雑誌を慌ててボストンバックに入れ、大柄な男は窓の風景を確認してから、強盗二人を見つめる。

 

「いいか。この列車は今から・・・」

 

「ちょっと何してるの?」

 

「あ?」

 

威勢のいい強盗の声を遮ったのは、不機嫌全開、頭に血管が浮き上がっている鈴であった。

 

「そんなふざけた事をするようなら、私が容赦しないわよ」

 

「ガキが舐めた口を言ってんじゃねえ」

 

「チビにそんな事が・・・」

 

強盗達の言葉が言い切る前に列車の外へ飛んで行った。正確には、鈴の部分展開したISの腕で地平線の彼方まで飛ばされたと言った方が正しい。

 

「車掌さんに強盗を追い払ったって言わないと」

 

鈴は何事も無かったかのように運転席に向かって行った。

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

列車 運転室

 

「いやぁ。君がISの操縦者、しかも中国代表候補生だったなんてな。ビックリしたよ」

 

「大丈夫なんですか運転は?」

 

「大丈夫だ。何度も列車を動かした事はあるから」

 

気を失ってる車掌の横で、鈴の隣に座っていた男が列車を動かしている事に不安を覚えていた。

 

自分が強盗と立ち向かっている間に、静かに素早く運転室に潜り込んだ男の正体が分からないと言うのが理由の一つである。大柄で普通にジョークや下ネタを飛ばし、見つかりやすそうな雰囲気を出しているにも関わらず、誰にも気付かれる事無く運転室に入り込んだ、掴みどころが無さそうな男に危機感を覚えていた。

 

「ところで、ここには観光で来たんですか?」

 

「仕事でここを通っただけだ」

 

「仕事?」

 

「チンギス・カンの墓を探してる」

 

「それ、本当に・・・」

 

「話を折るようで悪いが空港が見えたぞ」

 

男は空港がある方向に指をさし、鈴はその先にある空港を見た。

 

 

 

武装ヘリ

 

装甲車

 

戦車

 

傭兵部隊

 

 

 

4つの存在が空港の敷地内外を徘徊している光景を鈴は目の当たりにした。

 

「すごいな中国の空港セキュリティはここまで厳重になってたのかぁ」

 

「あれ・・・完全に武力制圧されてるじゃない」

 

これが凰の奇妙な冒険の始まりであった。

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

飛行機 運転室

 

ブルカン・カルドゥン上空で墜落中

 

 

 

「鈴!ISでどうにかならないか!このままだと、通算8回目の飛行機墜落を味わうんだぞ!」

 

「どうにもならないわよ!てか、8回も墜落にあってるのに懲りずに乗るわね!」

 

「仕事の都合で乗ってるだけだ!」

 

「言い訳にもなってないわよ!」

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

ブルカン・カルドゥン内

 

「見ろ鈴。この紙に書いてある事だと・・・」

 

「はぁ!?この雪山を登るの!?」

 

「ああ。後ろからは変な裏稼業やってる組織が追って来てるし、ISは政府が遠隔操作でロックして動かせない。残された道は一つしかない」

 

「嘘でしょ・・・」

 

「さあ、クヨクヨしても埒が明かない。行くぞ!」

 

「今日は厄日だわ・・・」

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

雪山の洞窟

 

「もっと速く走れ、鈴!雪男の餌になりたいのか!」

 

「ちょっと!何で雪男が実在するのよ!?」

 

「そんな事、俺が知るか!」

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

謎の遺跡

 

「そうか!チンギス・カンはこの白金の剣には呪いがあると思い込んでたんだ!」

 

「さっきから訳の分からない事を言ってるけど、どういうこと?」

 

「チンギス・カンは白金の剣を手に入れて、モンゴルは繁栄。それと同時に家臣が次々と死んていった。実際は風邪か病気の類が移って死んでしまっただけだが、彼はそれを剣の呪いと勘違いした。剣を手放せば呪いは解ける。だけど、剣を手放せば国が滅んでしまうと思った。そこで、彼は国の繁栄と呪いを解くために墓の場所を人知れずどこか深い場所を選んだ。しかも、春の時に雪や氷が溶けて遺体の入った棺桶がこの遺跡内に落ちる様に仕組んだ。これなら、遺跡の中に墓があるなんて・・・」

 

「・・・言ってる意味が全然分からない」

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

「あぁ・・・久しぶりのベット・・・」

 

鈴は今まで起こった一ヶ月の出来事を振り返りながら、ベットに体を沈めさせた。

 

飛行機が墜落してからは野宿で夜を過ごし、周辺の木の実や植物、野良の動物を狩って食事を済ませていた。何度か列車に乗り込み空港に行こうとする度に武装ヘリで破壊され、車に乗るたびに飛び降りて一命をとりとめたり、銃弾が飛び交う中を肉弾戦で対抗したり、半袖半ズボンで雪山の登山を行うなど、常識では考えられない事を体験した鈴は心身疲弊状態であった。

 

謎の組織との戦いで崩れ去る遺跡を全速力で駆け抜け、周辺を捜索していた中国政府に保護される形でIS学園に無事辿り着いたのである。

 

その後、チンギス・カンの墓は中国とモンゴルの共同捜査で見つかったというでっち上げを作り、謎の組織が和也のお父さんと鈴と争奪戦をしていた事実を抹消して、事態を無理矢理収集させた。

 

ちなみに、中国政府はIS学園に苦し紛れの言い訳で鈴が転入してこない事態を一ヶ月も凌いだという事実に改めて代表候補生として頑張らなければならないと決心した鈴だが・・・

 

「シャワー浴びたから・・・寝よう」

 

学園の生徒達が夕食を食べてる中、一か月ぶりのベットに身を委ねたのであった。

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

「あなた、これは?」

 

「白金の剣だ。かの有名なチンギス・カンの墓から見つかったんだ」

 

「まあ!これで預金不足が解消されるわ!」

 

「残念だけど・・・これはちょっとした事情で売れないんだ」

 

「残念」

 

和也のお父さんは妻との久しぶりの対面に喜びを感じていた。

 

「そうそう。明日、ちっちゃんと一緒に食堂でお料理を作る事にしたの!それを生徒の皆に食べさせようと思っているの」

 

「そうなのか!あの世界最強のIS操縦者がお前と料理をするのか!これは楽しみだなぁ」

 

「久しぶりに家族と一緒に食事は嬉しいわね」

 

「そうだな」

 

高原夫妻が喜びを分かち合っている中・・・

 

 

 

(どうして私が料理をしなければならない・・・初耳だぞ・・・そうか・・・これは夢だ。これは夢なんだ。目が覚めたら一夏は受験勉強をしていて、私は藍越学園の現代文担当の教師。周りの生徒達から親しまれ、同僚からの評判はそこそこ良い。彼氏は私より年下で、優しくて、私の心情をいち早く察してくれて、炊事や家事はお手のもの。一夏も私との付き合いに賛同してて、私から結婚指輪を渡そうとしたら相手から結婚指輪を渡されて嬉し涙を流す。その後、挙式を行うための・・・・・・)

 

 

 

織斑千冬は現実逃避をしていた。




話を執筆する度に千冬さんが壊れてきてる。

ラウラが来た時には、どんな状態になってるんだろう(すっとぼけ)
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