インフィニット・オオカミ   作:陸のトリントン

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皆さんお待たせしました。

オリ主の公開処刑(?)が始まります。


狼男の公開処刑

鈴さんの有り難い(?)お話を聞かされた僕は、翌日の昼休み、屋上で一夏と話をすることにした。

 

「鈴さんから大体の事情を聞いたのですが、彼女との約束を忘れたと聞きました。それについて詳しく聞かせてくれませんか?」

 

「別にいいけど・・・和也、どうしたんだ?何か、雰囲気が違うんだが」

 

「僕は至って普通ですが?」

 

「何というか、犯人を追い詰める名探偵みたいな感じでさ、何か緊張しちゃうんだ」

 

鈴さんを泣かした犯人なのは、間違いないですけど。

 

「じゃあ、昨日の出来事を詳しく話して下さい」

 

「ああ」

 

昨日の夜、泣きながら廊下を歩く鈴さんを見かけて部屋に招き入れた。何でも小学生の時、一夏と「ある約束」をした言う。その約束の内容は「料理の腕が上がったら、毎日酢豚を作ってあげる」と言う少し遠まわしなプロポーズなのだが、一夏本人は「酢豚を毎日奢ってくれる」と勘違いして覚えていた。それがショックで涙を流しながらぶって、部屋を出て行き、僕に見つかった。

 

確かに、約束を間違って覚えられていた事にショックを隠しきれない気持ちはよく分かる。それが自分の想いを込めた約束なら尚更だ。

 

だけど、遠まわしなプロポーズを一夏が完璧に理解できるとは思えない。僕だって小学生の頃にそんな約束をされても、それがどういう意味なのかすぐに理解できない。それに約束をしたのが小学生。まだ、恋愛そのものを理解できてる年頃でもない。だから、その時の一夏はご飯を奢ってくれる約束だと勘違いしているに違いない。だから、この昼休みを使って一夏に気付かせないといけない。

 

こうして、一夏の事情聴取が始まった。

 

「昨日の夕方、鈴がボストンバックを持って部屋にやって来たんだ」

 

「ボストンバックを?」

 

「ああ。それで突然、部屋を変わってくれって言いだしたんだ。簪も見知らぬ男と一緒にいるのは疲れるでしょって言って」

 

「その時、簪さんはどうしてましたか?」

 

「困惑してたよ。慣れ始めた時に突然、部屋を変わってくれと言われたんだからな」

 

「そうですか。話を続けてください」

 

「このままだと簪が何も言えずに話が進んじゃうから、話題を変えたんだ」

 

「昔、鈴さんと約束したことですか?」

 

「ああ」

 

「その約束をした事について覚えている限りでいいので、詳しく教えてくれませんか?」

 

「え?」

 

「鈴さんと小学生の時に約束した事を詳しく・・・」

 

「それも話さないといけないの!?」

 

一夏は僕の問いにかなりの焦りを感じているけど、もしかして何か隠しているのかな?

 

「どうして鈴さんが何故怒ったのか。それを知るには小学生の時の約束を聞かないといけないのです。一夏、その時の約束の事を話してください!」

 

「分かった!分かったからそんな剣幕な顔で近寄らないでくれ!」

 

「あ・・・ごめん」

 

さっきまで賑やかだった屋上は静けさを取り戻してしたかのように、僕と一夏以外いなかった。

 

「じゃあ気を取り直して、約束した時の状況を話してください」

 

「あ、ああ・・・」

 

一夏は顔を青くしながら、小学生に約束した時の話をしてくれた。

 

「あれは、俺と鈴が帰宅している時だった。鈴が突然、もし料理の腕が上がったら毎日酢豚を奢るからって言われたんだ」

 

「・・・それだけですか?」

 

「それだけ」

 

「他に何かありませんか?その時だけ恥ずかしながら言っていたとか、顔を赤くしながら話していたとか」

 

「そいうのは無かったな」

 

「・・・・・・」

 

「和也?」

 

鈴さんの想いを言っても一夏は気付かないだろうし、ここは鈴さんとの昔話を話をさせて気付かせてみるか。

 

「そういえば、一夏は鈴さんと幼馴染ですよね?鈴さんは昔からあんな感じなんですか?」

 

「あんな感じだったな。昔から言いたいことは、はっきり言うタイプだったね。俺なんか、初めて会った時に顔を殴られたからな」

 

「・・・随分、活発な人だったんですね」

 

「まあな。ああいう所は昔から変わってなくて、他には・・・」

 

「ちょっと待ちなさぁい!」

 

話を遮り、僕と一夏の間に全速力で割り込んできたのは・・・

 

「何、私の昔話を聞こうとしてるの!」

 

息を切らして、声を荒げてる鈴さんと、何かを考えているかのような笑顔をしている刀奈である。

 

「昨夜の喧嘩の原因を一夏に理解してもらおうと、お二人の昔話を聞こうとしてるだけですが?」

 

「何でそうなるのよ!どう考えても一夏が悪いじゃない!」

 

「僕はまだ、二人の事について色々と分からないのです。なので、お二人の過去を聞けば一夏が理解してくれると思ったのですが・・・どうして生徒会長が?」

 

「和也に用事があるから一緒に探してたのよ」

 

一瞬、僕の全身を悪寒が駆け巡った。

 

「織斑君と一緒にお昼ご飯ねぇ。私と一緒に食べるのは嫌がるのに、自分は織斑君と一緒にお昼ご飯なんだ・・・ふーん」

 

刀奈の張り付いた笑顔を見て、何か嫌な予感がする。

 

「可愛いガールフレンドをおいてけぼりする悪いオオカミ君にはお仕置きが必要ね」

 

スマートフォンを取り出し、指で何かをいじり始めた。

 

「えーっと・・・あった。『7月19日 夏祭り』」

 

「!?」

 

「どうしたんだ和也?突然、顔を真っ赤にして」

 

一夏は首を傾げ、鈴さんは顔をにやけ始めてる。それは・・・

 

「明日は、ご町内の夏祭りが開かれます。小さな神社での催しですが、賑やかなお祭りになると思います。夏祭りと言えば、去年先輩と・・・」

 

刀奈に送ったメールを読み始めた。

 

「わあぁぁぁ!」

 

「隙あり!」

 

顔を赤くしながら刀奈の携帯を奪おうと駆けつけようとした時、僕の足を軽く払い、転びそうになった所を背後に素早く回り込まれ、後ろから形で捕まえられた。

 

「ふふっ。捕まえた」

 

「先輩、離してください!」

 

「だーめ。私をひとりぼっちにさせたおしおきよ」

 

「自分のメールを読み上げられるなんて恥ずかしいですよ!」

 

「そうかしら?私は和也君の愛を感じたけど?」

 

絶対嘘だ・・・

 

「それを確かめるために・・・鈴ちゃんに後は任せましょう」

 

え・・・?

 

「去年先輩と一緒に行った時の事を思い出します。その時の先輩の浴衣姿は、今でも覚えています。もし、また二人で夏祭りに行けたら、その時の浴衣を着ていただけませんか?僕も頑張って先輩をエスコートして、楽しい夏祭りにさせますので期待して待ってます」

 

羽交い締めされてる僕の前で、鈴さんがわざとらしい演技でメールを読み終えた・・・あぁ、ベットに潜り込みたい。

 

「へぇ。恋人の前で少し背伸びしたいんだねぇ」

 

「それが和也君の魅力なの。私に対して真剣に悩んでくれたり、楽しませようと努力するの。織斑君も彼女が出来たら、それぐらいやって見せてね」

 

「は、はい。それより、和也が・・・」

 

「ん?」

 

「も、もう・・・駄目」

 

僕の顔は今頃、トマトの様に赤く染め上がってるに違いない。体には力が入らないし、頭が上手く回らない。そうか・・・僕、風邪をひいてしまったのかな?

 

「ねえ鈴ちゃん。他のも読んでくれない?」

 

「じゃあ・・・『12月18日 クリスマスまで1週間』」

 

・・・・・・早く、風邪をひきたい。




恋人に送ったメールを読まれるのは、物凄く恥ずかしいと思います。

私に恋人が出来た事は一度もないですが・・・
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