インフィニット・オオカミ   作:陸のトリントン

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皆さんお待たせしました。

クラス対抗戦の続きです。


狼男とクラス対抗戦 その2

黒煙が晴れ、姿を現わした黒いIS。腕がつま先まであり、顔は無数の赤い斑点が付けられており、肩には大型のビーム砲らしきものが付いている。しかも、そこから一歩も動かずただ呆然と立っており、人とは思えない不気味さを感じさせる。

 

「お前は、一体何者だ?」

 

「・・・・・・」

 

俺の問いかけにも答えない。鈴も正体を見極めているのか、黒いISから目を離さずにじっと見ていた。

 

「一夏、こいつ何なの?」

 

「分からない。ただ、並のISではないのは分かる」

 

「それぐらい分かるわよ。アリーナのシールドエネルギーを突き破って無傷な時点でただのISじゃないわ。そんなモノを作れるのは篠ノ之束以外にいないわ」

 

篠ノ之束。ISの開発者であり、天災の異名を持つ箒の姉。白騎士事件直後から姿を消しており、今も消息は不明。ISが登場したせいで箒は両親と離ればなれになってしまい、全国を転校しながら生活していた。そのせいで、友達も満足に出来なかった箒自身が言っていた。おまけに両親の消息は今も不明。両親に謝罪の言葉を言わずに束は雲隠れ。箒はそんな姉に好感など持てるはずもなかった。姉の事になると良い顔をせず、話を切り上げる。最近では、白騎士事件は束が仕組んだものではないのかと言い出す始末だ。

 

「それにしても、そこから一歩も動かないなんて不気味だわ」

 

「観客席にいる生徒達の避難が始まって、俺達がアイツ(黒いIS)の上にいるのに何の行動を起こさないなんて・・・」

 

すると、黒いISは突然周りを見渡し始めた。何かを探しているのか、それとも現状を把握しようとしてるのか、どちらにせよこいつが何のために来たのか突き止めないと。

 

『織斑君、鳳さん聞こえます?今先生達が・・・』

 

山田先生の通信に気を取られていた一瞬だった。大きな爆発音が観客席から起こった。

 

「何だ!?」

 

「何!?」

 

その音の方角を向いたら、黒いISが和也とのほほんさんがいる観客席に攻撃をしていた。

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

「皆、落ち着いて移動して。先生達がISで駆けつけてくるから、大丈夫よ」

 

アリーナに現れた黒いISで、クラス対抗戦は中止。生徒達を安全な所へ避難させるために誘導を始めた。

 

「和也君の所に誰も行かないなんて」

 

でも、誰も和也君と本音を誘導しようとしない。一部の教員がISで駆けつけるため、人手が不足してる所を私や三年生達で補ってる。本当なら私が和也君と本音の所に駆けつけたいけど・・・

 

「今は生徒達の誘導をスムーズに行わないと」

 

私はIS学園生徒会会長でロシアの国家代表。だからと言って、和也君を危険に晒していい筈がない。早く助けに行かないと。

 

「楯無さん。生徒の避難誘導が終わりました」

 

「分かったわ。あなた達は先に避難してて。私は・・・」

 

私の言葉を遮るように大きな爆発音が起こった。

 

「和也君!」

 

本能に従うかのように身体は、爆発した方へ全速力で走っていた。

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

「大丈夫ですか、のほほんさん!」

 

突如として現れた黒いIS。僕とのほほんさんを見つけた途端、肩に備わっているビーム砲らしきもので攻撃してきた。アリーナの遮断シールドは破られ、観客席を守るものは存在しない。打鉄は整備中で使えない。次の攻撃が来たら確実に観客席は粉微塵になる。

 

「た、たかやん。腰が抜けて、た、立てられない」

 

「肩を貸してください。狼男になれば、直ぐに離れる事はできます」

 

「う、うん」

 

制服の上着を脱いで狼男になろうとした時、何かが動く音が聞こえた。音の方角を向くと、黒いISが攻撃態勢に入ってる。

 

「少し乱暴な運びになりますけど、いいですか?」

 

「え?」

 

狼男になり、のほほんさんの返事を聞く事なく抱きかかえ、全速力でアリーナの通路口へ向かった。

 

「あわわわわ!た、たかやん!す、ストップ!」」

 

黒いISによる攻撃によって観客席は粉微塵になった時には、既にアリーナの通路口前に着いている。

 

「たかやん・・・怖かったよ」

 

「すみません。ですが、こうして通路口にたど・・・」

 

辿り着きましたと言ってドアを開けようとしたが、全く動かない。

 

「たかやん、どうしたの?」

 

「ドアが・・・開かない」

 

「ええ!ドアのロックは管制室しかできないよ」

 

「確か管制室にいるのは、織斑先生と山田先生の二人。二人がロックを掛けるはずはありません」

 

「どうしよう。このままじゃ、アリーナから出られないよ」

 

のほほんさんは突然の事態に慌てふためいてる姿を見て、8回の墜落に、5回の沈没、20回ほどの車両の破壊又は爆破を体験しても、いつも通りにトレジャーハンターをしてる父さんが凄いのかバカなのかどうか分からなくなってくる。

 

・・・こんな状況でそんなことを考えている僕も大概おかしいと思いますが。

 

「和也君、本音、大丈夫!?」

 

背後から息を切らしつつ、刀奈が僕達の所へ駆けつけて来た。

 

「他の生徒達の避難は終わってるから早く和也君達も・・・」

 

「かいちょ~!ドアにロックが掛かって開かないの!」

 

「ロックが掛かってる!?」

 

安堵の表情から一変、刀奈は制服のポケットからスマートフォンを取り出し誰かに連絡を取り始めた。

 

「楯無ですが・・・・・・はい、分かりました。こちらで対処します」

 

「どうしました?」

 

「織斑先生に連絡を取ってみたら、何者かが全てのドアにハッキングしてロックを掛けてるみたい」

 

「他に避難できるルートはないんですか?」

 

「残念だけど、先生達が来るまで・・・」

 

僕達の都合など考えず、黒いISによる砲撃で通路口の遮断シールドが大きな爆音と爆風と同時に破壊された。観客席を破壊した時のより大きな爆発音が僕の耳を襲った。

 

「!?」

 

煙で周りは見えなくなり、大きな耳鳴りで刀奈の声は一切聞こえない。あまりの苦痛に膝を付いた時、目の前を黒い手が視界を遮った。その直後、頭に激しい痛みを伴いながら意識を失った。

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

意識を取り戻した時、目の前に映ってたのはオレンジ色に輝く白い天井と蛍光灯に白いベット。

 

「ここは・・・保健室?」

 

身体を起こして周りを見てみたが、人は誰一人いなかった。

 

「そうだ!アリーナは!?刀奈は!?」

 

僕は急いでベットから降りて、病室の外へ出ようとした時ドアが開き葉山さんが現れた。

 

「葉山さん!アリーナは!?刀奈はどうなったんですか!?」

 

「それについて今から説明をする。だからベットに座ってくれ」

 

僕がベットに戻ったのを確認し、葉山さんは一枚の紙を見つめてた。

 

「和也。お前に良い報告と悪い報告がある」

 

「え?あの、良い報告からで良いですか?」

 

「分かった。良い報告と言うのは、アリーナに乱入して来た黒いISは一夏達の手によって破壊された。刀奈は怪我一つもしていなかったし、本音も無事だ」

 

僕は葉山さんの報告を聞いて、安堵と嬉しさが込み上がった。二人の安否が最も心配で知りたかった事柄であったから、無事で何よりだ。

 

「安心している所で悪いが、悪い報告をしなければならない」

 

葉山さんは複雑な表情で悪い報告を発表した。

 

「和也、良く聞いてくれ。悪い報告と言うのは・・・」

 

 

 

 

 

 

「お前に2週間の謹慎処分が下された」




次回は謹慎生活と事件の詳細を執筆する予定です。
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