IS適性試験
それは操縦者がISをどれ程動かせるのか調査する試験で、値が高ければISを使いこなせると言われている。僕が分かるのはこれくらいだ。ISに関わる気は全くなかったから、精々パソコンで得た知識が限界。そんな僕ですが、とある部屋でIS適性試験を受けてるんだけど・・・
「立つのが・・・精一杯です」
僕はISを起動させただけで、自由自在に動かせるわけではない。
「歩く事はできるか?」
「やってみます」
通信で千冬さんに歩行するように頼まれ、僕は試しにISで歩いてみた。
「よいしょっと・・・うわっ!」
一歩目で盛大に転んだ。
「・・・適性試験は終了だ。ISの戦闘も取りやめにする」
ため息まじりに千冬さんは試験終了を伝えた。
「やはり、一夏が特別なのか?」
千冬さんは僕に聞こえないぐらいの小声で呟いているけど、普通に聞こえてます。人間の姿でも聴覚と嗅覚は狼男と大差変わらないので匂いと音には敏感です。
「ところで、僕の母さんはどうなったんですか?」
「IS学園の食堂で働く事になった」
「そうですか」
料理は大丈夫だけど、食堂の人達と仲良くできるかな。
「ISを解除して休め。後は入学手続きだけだ」
「分かりました」
千冬さんは部屋を後にしたのを確認し・・・
「狼男になったら歩けるかな?」
とりあえず狼男になってISを動かそうとした。
「よいしょっと・・・おわぁ!」
立てずに転んだ。
「・・・素直に休むか」
ISを解除して、狼男のまま大の字になって床にうつ伏せのまま寝た。
「この体形・・・楽だぁ・・・Zzz」
そのまま睡魔に身を委ねた。
「・・・!・・・!?」
ん?声が聞こえるから起きるとするか。
「ふあぁぁぁ・・・」
僕は目を開けて、欠伸をしながら腕を大きく伸ばした。
「あぁ、すみません。寝てしまいまして」
振り向くと、僕を呆然と見る千冬さんと緑の髪をした母さんと似た雰囲気を持つ女性がいた。
「高原・・・なのか?」
千冬さんの開いた口が塞がらない姿は初めて見たな。
「はい、そうですけど」
どうしたんだろう?僕の方をずっと見て。裸じゃないし、恐ろしい姿になってるわけでもないし。
「本当に・・・高原なのか?」
「ええ、そうですけど」
すると千冬さんはポケットミラーを取り出し、僕の顔を見せた。
「僕の顔に何か付いていたんですか?」
ポケットミラーに映ってたのはいつもと変わらず狼男の顔である。
「ああ、すみません。ちょっと寝不足で髪を整えるのを怠ってしまいました」
僕は乱れてた前髪を爪で器用にとかし整えた。
「・・・」
千冬さんがすごく怖がってるけど、一体何かしたのかな?
「もしかして、僕が寝ぼけて暴れてしまいましたか?」
「いや・・・そうではない」
「えっと・・・何があったんですか?」
「自分が狼男になっていることに気づかないのか?」
「気付いてますけど、それがどうかしましたか?」
すると千冬さんは頭を抱え始めた。なんで?僕が狼男だって知ってるのに。
「半信半疑だったが・・・まさか本当に狼男になれるとはな」
母さんと似た雰囲気の緑髪の女性は・・・
「きゅ~」
気を失ってる。
・・・・・・
緑髪の女性を安全な所へ運び終えた僕は、千冬さんから試験の再開を聞かされた。
「実は政府の命令で狼男で試験を行うことにした」
「狼男になっても、立つのが精一杯だったんですが・・・」
「狼男のままで戦えと」
「はぁ・・・」
千冬さんは打鉄に乗り、戦いと言う名の試験が開始された。
「戦うとは言っても、狼男としての身体能力を測るだけだ。それにこっちはライフルは使わない。近接ブレードだけで試験を行う」
銃器の音は大きくて嫌だったから、こちらとしても助かる。
「それでは始めるぞ!」
打鉄に乗った千冬さんは速いスピードで接近し、近接ブレードを振り下ろしてきたので・・・
「はいっ!」
真剣白刃取りで難なく近接ブレードを受け止め・・・
「ほいっ!」
そのまま近接ブレードを根元から折った。
「・・・何!?」
千冬さんはまさかの出来事に驚いた顔をしてるけど・・・
「ええっと、どうかしましたか?」
「高原・・・・・・武術は会得しているのか?」
「いいえ。武術とは縁もゆかりもない生活を送っていましたが」
「こうもあっさり受け止められてしまうとは・・・」
千冬さんの動きは速かったけど、僕から見るとビデオの1倍速から1.2倍速ぐらい速くなった感じだったからすぐに対応できたけど・・・手加減すればよかったかな?
「えっと・・・試験は終了ですか?」
「いや・・・まだ、試験は終わってない!」
千冬さんのプライドに火を付けてしまった。
「試験を続けるぞ!」
その後も狼男の身体能力測定は続いた。
・・・・・・
IS学園 職員室
「狼男の姿でもISは動かせるけど、適正は人間の姿と変わらずDなのね」
千冬と一人の少女が高原の適性試験の結果が書かれた資料を読んでいた。
「だが、狼男の時の身体能力は異常に高い。ISの物理シールドを紙の如く引き裂き、絶対防御を発動させる強靭な爪。相手の行動を正確に予測できる視力と聴覚。
千冬は少し疲れを残しながら高原の入学届にサインをしていた。
「私は狼男ではなく、一人の男性として愛してますから。それに戦いを好む性格でもなく、女尊男卑の風潮に染まってない彼が、学園で孤立しないように支えたいんです。狼男という理由で彼を苦しませたくありません」
少女は「愛」と達筆に書かれた扇子を広げた。
「分かった。高原の事についてはお前に任せる。だが、学園の風紀を乱すような事をするなよ楯無」
「分かりました」
更識楯無
IS学園生徒会長で更識家の現当主であり・・・
「今度は私が和也君を支える番だから」
高原和也の恋人「更識刀奈」である。
狼男はチートですが、ISに関して凡人並みのオリ主。
というより、一夏がISに関してチートすぎるだけです。
次回から、高原和也のIS学園生活が始まります。