インフィニット・オオカミ   作:陸のトリントン

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狼男と英国淑女

「授業・・・結構ハードだ・・・」

 

「一夏はあの参考書を電話帳と見間違えたね」

 

「どう見たって、電話帳にしか見えないだろ」

 

「そうだけど、今度からはちゃんと確認しないと。辛い目に遭うのは一夏なんだから」

 

「・・・分かった」

 

先の授業で一夏は参考書を古い電話帳と間違えて捨ててしまったため、僕は参考書の内容を簡単に纏めたノートを三冊貸した。法律、機体と武装、ISに関する物理学の三冊。そうしないと試験対策とかしにくいからね。

 

「和也のノート綺麗だな」

 

「そうでもないよ。一つの事柄にはそれに関連する単語がたくさんあるから、それを抜粋して分かりやすく書いただけだよ」

 

「それでも、参考書より分かりやすいから助かるよ」

 

「どういたしまして」

 

良い人なんだな一夏って。ただ、ちょっと距離を置いてる所に違和感を感じるんだけどね。別に怯えなくていいのに。

 

「ちょっとよろしくて?」

 

「ん?」

 

「はい」

 

一夏の評価をしてる中、金髪の巻髪の女子生徒が声を掛けてきた。

 

「まあ!なんですの、そのお返事。わたくしに話しかけられるだけでも光栄なのですから、相応の態度というものがあるんではないかしら?」

 

「悪いな。俺、君のこと知らないし」

 

「ごめん。僕も・・・」

 

「お黙り!」

 

僕じゃなくて一夏に話をしていたのか。それは失礼なことをしたけど・・・

 

「・・・・・・」

 

「いつまでわたくしを見てるのですか!」

 

「ごめんなさい。綺麗だったのでつい・・・」

 

「褒められたくありません!大体・・・」

 

「居眠りしたからって、その言い方は無いだろ!」

 

「ふん!」

 

一夏が止めに入ってことに不服を感じたのか、金髪の女性はそのまま自分の席に戻って行った。

 

「何なんだあいつ」

 

一夏は彼女をあまり快く思っていないけど、何故か彼女は僕を憎悪の対象として見ていた。

 

「なんだろう・・・あの憎悪は・・・」

 

僕の小声はチャイムと共にかき消され、千冬さんの授業が開始された。

 

 

 

 

 

 

「授業を始める前にクラス対抗戦に出場する代表者を決める。クラス代表者とは対抗戦だけではなく、生徒会の開く会議や委員会への出席・・・まあ、クラス長といっても差し支えない。一度決まると一年間変更は無いからそのつもりで。自薦他薦は問わない。誰がやりたい奴はいないか?」

 

要は学級委員を決めるということ。誰もやりたがらないから・・・

 

「はいっ! 私は織斑くんを推薦します!」

 

一夏が推薦された。

 

「私も織斑君を推薦します」

 

その後も一夏が推薦されてるけど、やりたくない事を都合よく押し付けてる気がする。

 

「織斑一夏の他にはいないか?」

 

「ちょっと待ってくれ!俺は・・・」

 

「織斑。席に着け、邪魔だ。さて、他にはいないのか?いないなら・・・」

 

このままだと、一夏の意思とは無関係に物事が進んじゃうから・・・

 

「だったら俺は高原和也を推薦する!」

 

一夏・・・君も面倒事を押し付ける人なのか。

 

「先生・・・」

 

「自薦他薦は問わないと言った。他薦されたものに拒否権などない」

 

千冬さん、僕が言いたいのはそこじゃないです。

 

「そうではありません。誰かが立候補した場合、推薦された人はどうなるんですか?」

 

「推薦は取り消され、立候補者がクラス代表になるが」

 

「では、僕はクラス代表に立候補します」

 

周りがざわついてるけど、いつものことだ。生徒会での経験を生かせば何とかなるし、一夏がクラス代表をやらずに済むから・・・

 

「納得がいきませんわ!」

 

この声は・・・休み時間に話しかけてきた女子生徒だ。

 

「そのような選出は認められません!大体、男がクラス代表だなんていい恥晒しですわ!わたくしに、このセシリア・オルコットにそのような屈辱を一年間味わえとおっしゃるのですか!?」

 

セシリア・オルコット・・・そういえば、雑誌で見た事ある。確か、イギリスの代表候補生で数々の好成績を残した凄い人だ。

 

「実力から行けばわたくしがクラス代表になるのは必然。あのような怪物にクラス代表をやらせるべきではありません!」

 

・・・怪物?

 

「すみません。その怪物とは・・・」

 

「あなたの事に決まってるではありませんか!」

 

オルコットさんは僕を指差した。僕は人間なんですけど。

 

「狼男がこのクラスにいる事自体、わたくし達には不愉快ですのよ!どこかの研究機関に行って、解剖された方が世の中のためになりますのよ!」

 

「僕は自分自身の意志でここに入ることを・・・」

 

「怪物の意見など聞いておりません!」

 

「だから、僕は人間・・・」

 

「怪物が口答えをしないでくれますか!」

 

段々とオルコットさんの口調が悪くなるのと同時に、憎悪が膨れ上がってる気がする。

 

一夏は何故かオルコットさんの怪物という単語にちょっと共感していた。僕が狼男であることがそんなに嫌なの?僕自身ではどうする事も出来なかったことにどうして口を突っ込むの?

 

「いいですか!?クラス代表は実力トップがなるべき、そしてそれはわたくしですわ!大体、怪物が・・・」

 

「いい加減にしろ、オルコット」

 

オルコットさんの熱を止めたのは千冬さんだった。

 

「オルコット、高原はクラス代表を立候補した。それに文句を言うのはどういう意味だ?」

 

「せ、先生は怪物を・・・」

 

「狼男であろうと高原は人間だ。これ以上怪物呼ばわりするのなら、私の教え子であろうと容赦はしないぞ。お前達もだ。高原は生まれつき狼男になれたわけではない。過去の事故で狼男になってしまっただけだ。それでも高原を怪物呼ばわりするなら、生徒会と教諭達を敵に回すと思え」

 

千冬さんはオルコットさんを落ち着かせようと頑張ってるけど、完全に脅迫になってます。

 

「な・・・なら、わたくしは立候補します!」

 

「他に立候補する者はいないのか?」

 

教室が完全に静かになってる中、立候補する人なんか・・・

 

「俺も立候補するよ」

 

さっきまで嫌がっていた一夏が立候補した。

 

「ほう・・・これで立候補者が三人か。なら、来週の月曜。放課後の第三アリーナでISによる総当たり戦を行う。三人はそれぞれ用意をしておくように」

 

千冬さんによって、クラス代表の話は収集がついた。




オルコッ党の人達・・・許してくれるかな?

まあ、狼男が教室にいるなんてありえないですからね。
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