そよ風と荒風の間に   作:かえー

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夏イベが終りました…特にうちの鎮守府では変化がありませんでした…
さて、端折ります。いきなり、舞鶴鎮守府編です。ではでは…!!


舞鎮編
3-1 当たらしい世界


すこし、古く見える建物。舞鶴鎮守府の前に島風は立っていた。かつていた場所、そして、これから自分がお世話になる場所になる。そうなると思うと少し、気まずくなった。島風が近づくとともに重々しい門が開く。門をくぐり、戸を叩く。だが、門をたたかせてはくれたが、門を開けさせてはくれなかった。

「だれだ、てめーーーーー!」開けようとした瞬間、誰かが後ろからタックルしてきた。そのまま、二人は転がり込む形で鎮守府に入る。島風はすぐに立ち上がると、相手の姿を確認した。確認した直後相手の顔が焦りの顔に代わった。そして、苦笑いになった。

「い、いや…そんな格好だとわかんねぇよ…島風」

今の島風の格好は、黒いワンピースに黒いコートを羽織っている。いつも海上で見る島風とは全く服装が違う。見慣れてる人なら確かに間違えても可笑しくない。その島風は砂埃を払うと睨み返す。何も話さない。

「悪かったって…俺の名前は天龍。ここの鎮守府の風紀委員だ。」

天龍は手を差し出す。しかし、島風は何も返さない。もうらちがあかないので、島風は無視して、提督室に向かった。

 

この鎮守府は何も変わっていない。この独特な匂い、独特な雰囲気、独特な人が集まる場所。すべてが今まで行った鎮守府を超えるぐらい変わっていた。そして、提督室の前に到着した。すべて変わっていなければいいが…島風の脳裏に何か嫌な予感がした。

 

ノックして提督室に入る。

「本日付でこの鎮守府に着任した島風型駆逐艦一番艦、島風です。よろしくお願いします。」

しかし、ここの提督は島風を見向きもせず何かレポートを見ている。そして、島風の方に投げつけると

「あーお前、今から外の世界に行ってこい。それがお前の任務。さっさと支度して出てけ。」

見向きもせずに早口で言い放った。島風は流石に反論した。

「私の職種知ってます?海に戦いに来たんですけど。」

「だから、お前はこの鎮守府にいらねえの。もう間に合ってるから。」

いきなりの戦力外通告である。悲しくはないが、また何か、心の中に何か穴が開くような感覚だった。私はそれでも、鎮守府内を走り回り、彼女を探した。探して探し探した。だがどこにもいなかった。艤装を持って外に出ようとした。その時、あの提督が歩いてきて…私の艤装を取り上げた。

「だから、お前はもう艦娘じゃないんだって。そんなものもつな。さっさと出てけ。」

蹴っ飛ばされた。初めて蹴られた。鎮守府の外に追い出される。その時、島風は何か怒りというものを感じた。抵抗した。しかし、ここで意識が途絶えた。

 

島風が目覚めると、そこは鎮守府ではなかった。そこは…見たことがない世界…大きい建物がたくさん立ちはだかっていた。ここは…どこだ。あと…体の数カ所が痛い。喉、腕、背中、足…つい膝まついてしまう。誰かに頼りたい…しかしそんな気持ちを聞いてもらえる人は…もうこの世にはいない。島風は、立ち上がり、都会に向かって歩き始めた。

 

〇〇〇〇〇〇〇〇

 

舞鶴鎮守府は、北方海域にまで、駒を進めていた。長門、加賀が先陣を切り、春雨、夕立が後ろから支援射撃。摩耶、鳥海がとどめを刺す。この方法で、南方でも海域奪還に成功している。舞鎮鉄板の戦術である。今回のモーレイ海も攻略した。

「今回も無事攻略できましたね…」鳥海が安心して航行しながら言う。

「なんか、沖ノ島の時より手ごたえがなかったような気がするがな…」摩耶がつまらなく呟く。

「長門さんは今日、新しい娘が、来るとか聞いてますが…知ってますか?」加賀が長門を向き質問。

「わからないな…提督が知ってるんじゃないか?」長門は首を傾げる。

「へぇ、気になるわね。長門が知らないことがあるのね。」加賀の声のトーンが上がる。航行が少し不安定になる。

「加賀さんが集中できないって…かなり珍しいっぽい…」夕立が驚く。加賀の睨みに夕立がたじろぐ。不思議な空気の中彼女たちは舞鶴鎮守府に帰投した。

 

△△△△△△

 

辺りはオレンジに染められていき、少し肌寒い風か吹いて行く。島風はとりあえず海を探す。鎮守府を見つけようと思ったのだ。しかし、海は見つからず、あるのは木の建物ばかり。だが、道の真ん中を島風は走っておく。

何か水のような音が聞こえた。その場所に向かうと…水と水のぶつかる音がする。それは柵の向こうから聞こえた。島風は柵を軽々飛び越え音の中心地に飛び込んだ。

やはり水だった。が、島風が飛び込んだのは学校のプールだった。体が沈む…そういえば今、島風は艤装を取り付けていない。だから水の上に浮くことができず、泳ぐしかない。しかし、島風は普段泳がないためにカナヅチだった。

轟沈する…島風は察したが、今は艦娘ではないので轟沈より溺れるの表現が、あっていると思う。顔が水に浸かる。島風は暴れるのを諦めた。おとなしく沈んだ方があいつも本望だろう。口から空気が漏れて行く。島風は沈んで行った。

 

○○○○○○

 

何かを焼く音がする。舞鶴鎮守府のとある部屋では歓迎会の準備が進められていた。

春雨が料理、その手伝いを夕立がしている。加賀はなぜか着物に着替えてノリノリだ。

そんな中、長門は提督室に行き新しい艦娘について聞いていた。

「提督、新しい艦娘が来ると聞いたのだが。それはいつになるんだ?」

「はぁ?そんな情報ねえよ、そんなもん考えるなら次の作戦の準備でもしてろ。」提督は言い捨てる。だが、長門は言及する。「なら、なぜ上層部からの連絡が入っているのだ?掲示板にも書いてあった…!」長門は机を叩き意見するがそれに負けず、提督は言い返す。

「うるさい!なにもない!出てけ!お前提督に生意気だぞ!出てくんだ!早く!」机をひっくり返し騒ぐ。長門は呆れて出て行った。長門が外に出ると艤装を発見した。この艤装はなぜか見覚えがあった。新しい艦娘のはずなのに、何処かで見たことがある。その時近くで倒れてた連装砲ちゃんが動いた。連装砲ちゃんを見て断定した。島風だと。長門は部屋へと走って行った。

 

△△△△△△

 

「島風さん…!聞こえますか……!舞……守…の…淀…で…!!一度…舞鶴に…帰…!裏……開けて…!」

何か無線が入っているが聞ける余裕なんてない。今日で終わりか…長くて短い人生だった。舞鶴を裏切ってブインに引き取られ…また戻ってきて…当然の報いかもしれない。島風は手袋を外す。だが、沈む。島風は最後に思った。どうか、明日から何もありませんように。意識を失った。


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