潜入捜査という名義で鎮守府を追い出され早一か月。島風は一人の人間、風見との家で居候する形で何とか生きていた。
今日もいつも通り家のソファーで寝転んでいた。朝昼夜、動かずただ寝ていた。艦娘はお腹が空かない。人間の形をしていてもやはりそこは機械に近いのだ。そんな日々を過ごしているとある日、不意に無線が届く。
「島風さん、舞鶴の監視お疲れ様です。実は舞鶴に目標がいないことが分かりまして…移動を…」島風の口からため息が漏れる。移動にはもう飽きた。「まってください!あの!移動費は出します!あと、舞鶴から島風さんを外すわけじゃないんです!」・・・島風は黙って聞く。「陸にある鉄道という移動手段を使い、横須賀駅まで行ってください。そこに横須賀の艦もいます。お願いします…!」作戦自体はいいのだが、問題はどうやってここを抜け出すか。ここは少しだが、心地いい場所だ。そして、この家の主風見にいきなり『横須賀に行ってくる。』なんて言えないし、自分の身分を明かそうものなら本当に解体されてしまう。そこに風見が学校から帰ってくる。「一旦無線は切る、目標が帰ってきた。」急いで無線を切り、無線機を腰にしまう。「あ、風島ちゃん!元気してた?」島風は頷く。
「そっかー実は残念なことがあるの…」?島風は急にいやな予感がした。「し、死んじゃだめだ…」島風は風見の手を握り、今にも泣きそうな目で訴える。風見が訂正する。「確かに…生きて帰ろうと思ってるけど…実は私…」
聞きたくない!「修学旅行に行くの…だから、三日間風島ちゃんに会えない…」安心し、島風の口からため息が漏れる。そして、その場にへたり込んだ。「風島ちゃん…確かに会えないのはいやだよね…でも…絶対行かなきゃだから…」島風はどうやら風見に誤解をされてしまったよう。二人の意見がすれ違う。「だから…ご飯とかいろいろ頑張って作って…?」「わ、わかった…頑張る…」「じゃあ、私ご飯を作ってくる!」風見はキッチンへと向かっていった。島風はその場で寝てしまった。
次の日、風見は北九州に旅立っていった。そして、島風は横須賀へ向かった。とはいえ、初めての陸上移動だ。島風は鉄道の使い方を知らなかった。駅で、改札をそのまま通ろうとし駅員に止められ、黄色い線を越して電車を待ち、ホームに転落し鉄道を停止させ、降りる駅が分からず乗り過ごし、散々だった。「次はー横須賀ー横須賀―」横須賀にたどり着いたのは昼の1時過ぎとなった。横須賀駅を出てすぐ、出口に一人の女性が立っていた。
「あなたが舞鶴の島風ね?」頷く。「私は矢矧。阿賀野型軽巡洋艦三番艦ね。」島風は頷きながらメモを取る。それと同時に無線機をだし連絡する。「舞鶴へ、島風横須賀にて矢矧と合流しました。」「分かりました、どうか捜索が進むといいです…目標を見つけ次第、こちらにも連絡お願いします。」「了解」無線を切り矢矧にあらためて挨拶する。「駆逐艦島風です。よろしくお願いします。」矢矧は少し笑うと「じゃあ、私たちが泊まる仮家に案内するね、ついてきて?」二人は歩いて行った。
たどり着いた場所はアパートだった。そして、中に入ると…風見の家とは違い、部屋は狭く必要最低限のものしか置いていなかった。「ここ…って家?」あまりの違い用に島風は唖然となった。「いままで住んでたところがぜいたくすぎただけだと思うけど?」そうなのか、島風はメモする。そして、近くにあったちゃぶ台に集まり、今回の要件について話す。「さて、なんでここに集めたの?」島風が問う。「実は日本に上陸したと追われた深海棲艦は横須賀で目撃されたということだ。そこで、私が人間の世界に行き勉強…いや、監視をすることにしたんだ。」少し気になるところもあったが、大体分かった。「で、私も人間の世界にいたから警備を増やしたと?」「そういうことだな。」矢矧が頷いた。「分かった、手伝う。具体的に何をすればいい?」島風がまた問う。「人間の世界を歩き回り、人間の…おっと、黒い服を着た白い肌の人間がいたら、連絡してくれ。」「矢矧さ、人間が好きでしょ?」「な、ま、まぁ、確かに…私は自分自身が元は何か気になり…船と知り、船を作ったのは人間…どんな感情、なぜ人間に似たのかいろいろ気になったの。この次の人生がもしあるのなら、今度は軍艦じゃないってのもいいかもね…って思ったりするぐらい。」矢矧は目を瞑る。「そんなある日私の元に偵察任務が飛び込んだ。だから、私はこの任務を受けた。私たちを作った人間を守るため、人間を知るため…」矢矧が話し終える。「矢矧は人間のことどう思う?」「人間はよくわからない。私たちとは違い、いろんなものを考え作り出す、生命体。気になる存在だわ。」島風にはよくわからなかった。島風たちはそれぞれ分かれ捜索にあたった。
島風はあるものを発見した。「軍艦…?」島風は三笠公園に来ていた。三笠公園。そこにある記念艦、戦艦三笠。かつて海戦で大勝利を収めた艦だと聞いている。実際に三笠に乗ってみることにした。
実際に乗ってみて30cm連装砲に見とれてしまう。昔、この船が海を滑っていたと考えるとすごく迫力があったに違いない。三笠から海を眺め続けた。
そこに一人の影が近づく。「三笠がそんなに気に入ったか?」それは女の声だった。ただし、少し歳の入った声。
「お前…誰だ?」島風は振り返る。そこにいたのは背が高い老婆だった。「ふふ…最近の艦娘は口が悪くなったもんだな…まぁ時代の流れということにしておこう。」老婆は三笠から陸に飛び降りながら叫ぶ。「私の名前は三笠!よく覚えて…」グキッ 着地と同時に鈍い音が響き渡る。同時に人間三笠は地にひれ伏す。なんだこいつ…
島風は三笠を担ぎ三笠の足になるのであった。
「んで、三笠、あんたは艦娘だったと。」「あぁ、そうだ。懐かしいな…長門は元気か?」「ロリコン?元気だよ。相変わらず駆逐艦駆逐艦うなってるよ。」「それでこそ長門だ。」そんな話をたくさんし、着いた場所はアパートではなく古びた一軒家だった。島風は驚く。こんなところ来たこともなければ通った覚えもない。そこに三笠が話す。「そんな…ここは私の家だ。私の力をもってすればここに連れてくる事などたやすいことだ。」「操った…?」「まぁ、そんなところだな。まぁ、入れよ。」三笠は家の中に手招きする。島風は中に入ることにした。
中は一部屋だけになっていて囲炉裏がど真ん中にある。ところどころ斧や槍、火縄銃が置いてあった。「ま、そこに腰かけてくれ。」三笠の指示に従い島風が囲炉裏のそばに座る。そのあと、囲炉裏に火をつけ三笠も座る。
「さて、お前は私に聞きたいことがあるな、島風。」自分の心を見抜いてくる。「まず…あなたは戦艦三笠の形を模した艦娘だった、違う?」「正解だ。私は艦娘として初めて開発されたモデルだ。昔、金剛や霧島、長門達と戦っていたな。あと、睦月たちも懐かしいな…!私は、横須賀鎮守府の旗艦、秘書艦を務めていた。昔はいろんな鎮守府から精鋭を集め連合艦隊を組んでいた。」誇らしげに三笠は頷く。「そして、北方海域にいる敵の巣を見つけ完全勝利し、深海棲艦の反応は消えた。全滅したんだ。私は待機を考えていた。しかし、海軍上層部は私を解体する決断をした。」お茶をすすりながら話す三笠。「艦娘は深海棲艦が消えた今世界に対抗する日本の戦力だと。三笠は老巧化しているよって解体だ、とな。」飲み終わり茶碗をしてに置く。「そして、強制解体させられた私は艦娘の記憶を残したまま人間の世界に放り込まれ隠居しているわけだ。今はあいつらと全く話していない。が、あいつらも馬鹿なものだな、私を解体した直後に西方海域から深海棲艦が湧いてまた海域が封鎖されてしまうなんて。」島風には初めての情報がほとんどだった。「分かった、今深海棲艦が横須賀にきているらしいけれど、まさか三笠はそちらには行ってない?」自分でもこんな質問したことに驚いていた。「もし、私が本当に深海棲艦だとわかっててもその質問ができるか?」三笠がにやけて答える。おそらく怖くて島風にはできないだろう。「ふふ…しかも本人が言うことなど普通信頼できないものだ…一応私の口から言っておくが、私はついてはいない。」「分かった。じゃあ、これで最後の質問。あなたは人間をどう思う?」前からこれを知りたかった。艦娘の死には何も思わないのか、何を思って命令しているのか。ただこの前からそれから気になっていた。三笠が口を開く。「人間は…欲望がある。欲望の塊だ。無欲の人間などおそらく存在しないな。欲望のためなら人間はどんなものも犠牲にする。人望、お金、命。私達は例え機械であっても命あるものだ。もっと丁寧に扱って欲しかった。あの人のように…私達は人間には逆らえない。だが、考えを変えれば…共存できる。」共存…この言葉が頭に引っかかる。島風は真剣に聞く。「上下関係もない普通の生活を考えたらできると思うんだ。これが私の考える人間だ。」ここまで答えを出してくれる艦娘はいなかった。ただ三笠の答えに呆然としていた。「よかったらまた遊びに来い。あ、私は隠居してるからな…いつでも三笠に乗ってるからたまに話に来てくれよ、お前がいるだけで少し気持ちがほっこりしたからのぅ…三笠まで送るよ。」島風は頷く。島風は三笠に片手で持ち上げられ三笠まで送られたのである。
なんとか生きて家に帰り矢矧に報告する。「黒い人間を見なかった。矢矧は?」矢矧は茶を飲み顔が険しくなる。「見つけた…けれどとある一軒家に入って行った。何が目的かわからないがあの家もマークしておきたい。」メモを見せながら報告。その話の中私は決意をした。「矢矧…私は一人の人間を守りたいんだ。人間を守りたい、貴方と同じだ。だからごめん…彼女は後二日で舞鶴に帰ってくる。舞鶴に戻るよ…ごめん…何もできなくて…」目から涙がこぼれる。矢矧は抱きしめる。「そんな話をされちゃあ…はいと言うしかないじゃない…人間を守るなんて言った艦は私以外初めてだよ。絶対に守り抜いて来てね。」矢矧は離れると無線で報告を始めていた。その中、私は帰り支度を済ませ、横須賀を後にした。歩く途中に無線が入る。『速報です!北方海域中心部に巨大な艦隊が出現!繰り返します…』無線から聞こえる大淀の声。早く戻らなきゃ…絶対彼女を守る。もう待たない!明日は私が何かを起こす。そう思い島風は帰って行った。
@@@@@@ 美保関付近
「そろそろ動き始めるのかい?」
「そろそろ動かんとうちらの首領がだまっちょらんがぁ?」
「まぁ、そうですね…拠点はどうするんですか?首領?」
「その呼び方はやめてくれよ…まぁ、いいところがあるんだ。ここだと呉を抑えることができる。良いだろう?」
「まぁ…そこでいいです。その冷静さを料理にも向けてくれると嬉しいんですけどね…」
「まぁ、そう言うな。では、ここでいいな、行くぞ諸君!」
「がってん!」
「「了解!」」
→→→→→→ ????
「睦月ーちょっと最近暇にゃしぃ…つまらないしぃ…むー」
「まぁまぁ、落ち着いてください。私が情報を持って来るまで待っててください!」
「まぁ、旗艦が帰って来るまでの辛抱だから、今は待機をがんばろっ?」
「…めんどくせぇ。」
¥¥¥¥¥¥ -日本海-
「ねぇ、こっちに行けばいいの?」
「えぇ、こっちに行けば着く予定。私に着いて来て、レーベ。」
「ビスマルク姉様!今回の目的って…なんでしたっけぇ?」
「プリンツ!忘れちゃダメよ!ジャパンのアドミラルに○○と伝えるのよ!分かってる!?」
「U-511が情報をくれているわ、その情報に従えばいいわ。とりあえず怪しまれないように。」
「分かったよ、僕は佐世保に行きたいな…!」
「レーベ!今回旅行しに来たわけじゃないの!けじめを持ちなさい!」
「ご、ごめんよ…分かってるよ…」
「目標は舞鶴!独国の全てをかけて出港!」
(もうしてるよ…ビス子…)