そよ風と荒風の間に   作:かえー

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4-2 要塞

→→→→→→舞鶴鎮守府演習場

「私は日本の艦隊にクビを宣告しに来た!!」ええっ!?会場がざわめく。何故クビを宣告されたか、島風は考えていた。「ビスマルク姉様かっこいいです!」ざわめく群れの中から活きのいい声が一つ。「は、えっ…なんでプリンツとマックスがここにいるのよ!?」群れから出てきて、ステージに上った艦娘はビスマルクに似た鎧のような制服を着ている。

「Guten Morgen! 私は、重巡プリンツ・オイゲン。よろしくね!」皆に手を振りにっこりスマイル。プリンツはビスマルクを差し置いて日本艦娘の注目を一気にひきつけた。「はぁ…全くこの人たちは…」歓喜で艦娘の中レーベの姉妹、マックスはため息を吐き呆れた目線で彼女たちを見た。しかし、呆れるを超えた艦娘が群れに一人。島風盛り上がる群れから向けだし、誰にもばれずに演習場を出て行った…はずだった。「島風さん…?」島風の行く先にオレンジ色の制服を着た、軽巡洋艦が一人。「好きに行動するのはいけませんよ?」島風は静止を無視して、島風は神通の前を通り過ぎようとする。神通は島風の腕を思い切りつかむ。島風の体が前につんのめる。「二度も同じ手は食らいませんよ…?」そう、神通は数か月前、島風の急な行動により一度逃げられてしまっている。学習した。神通は微笑む。「さて…補習を受けてもらいます♪」

 

::::::→多目的室

「ここはやっぱり広いですね…」神通はあたりを見渡し、いすに座る。そして、島風を見つめる。彼女の視線の先の島風は一つの用紙とにらみ合っていた。彼女は不意打ちの抜き打ちテストにつきあわされていた。正直なところ島風はテストの問題は簡単に解けるのだが、なんせ、問題数が多い。解くスピードは速いが、すべて解くのに時間がかかる。完全に島風対策のテストである。「あ、因みにほかの駆逐艦の子にもテストをしますが同じ難易度で、同じ時間で終わるように作ってあります。みんな平等でテストが受けれるようにですね…」島風の完全敗北だった。どんな駆逐艦娘も神通には敵わない。「終わった……」軽く死にかけで、島風が神通に用紙を提出する。そして、疲れた体を引っ下げ島風は多目的室を後にした。「少年よ!新しい兵器が…!!」「嫌だっ!!」廊下から聞こえてくる声を聴き神通は答え合わせを行う。「まぁ」島風の渡した用紙に神通が100の数字と合格の文字をを書いた。

 

!!!!!!!→司令室

騒ぎを起こした主犯として、ビスマルク、他二名のドイツ艦娘は司令室に呼び出されていた。「あの演説はどういうことだ…」横須賀提督が呆れて言う。「それは…この登場の仕方だと説得力があると知ったからよ!!」もちろんビスマルクも引かない。「とにかく、深海棲艦の討伐は私たちドイツが受け持つ!」自信ありげにビスマルクは言う。「そもそも…どこから艦娘のユニット製造が漏れたんだ…?」「それは、私たちの潜水艦U-511が日本に潜伏し、情報をもらっていたからよ!あと、私たちの国には、シャルンホルストとグレイゼナウが控えているわ!」えへんと言わんばかりにまた胸を張るビスマルク。その様子を見て、まずいという顔をしたのはマックスだけだった。「ビスマルク、口には気をつけなさい。」小さい身長からとてつもない殺気があふれる。ビスマルクはともかく、室内にいた提督も黙ってしまうほどの勢いだった。「まず、ビスマルク、プリンツ・オイゲン、えっと…」「…マックス・シュルツ。」「マックス・シュルツは、わが鎮守府の管制下に入ってもらう!」「なんでよ!」「ドイツにも連絡しないといけないが、お前らからも話を聞かないといけないからな。乱暴はしない。営倉へ。」憲兵が三人を連行していく。「あと…ドイツの潜水艦娘の捜索も頼んだぞ。」マックスが少し肩を落としたように見えた。

 

??????→舞鶴近海

「目標まで残り数キロメートル。上陸準備、対艦娘迎撃プログラム実行。全艦娘データ受信。全艦娘に対する対策データを組立て中…読み込みまで1時間…nowloding…」

 

@@@@@@→舞鶴鎮守府

ハぁ…鎮守府にまた溜息が一つ。そう、島風だ。「なんで…テストを受けた後に明石に追い回され、なおかつ図書室に逃げ込んだら馬鹿な駆逐艦と衝突するし…はぁ…最悪だ…」疲れからか知らないが、ため息まで漏れる。「島風、大丈夫かい?」後ろから声をけ蹴られ、島風は後ろを向く。が、後ろにはだれもいない。「ここだ。」飛び跳ね、やった見えた。響だった。「あ、久しぶり。」「あぁ、島風のことはこちらにも流れてきていたよ。相変わらず、無茶するんだね。」無表情で響は言う。その感じが、微妙に島風の心をきゅっと絞めた。自然と島風の表情は苦笑いになった。

『warning!warning!未確認物体が接近中!識別不可!繰り返す…」電子音声が鎮守府中に響き渡る。恐らく明石の鎮守府防犯システムが作動した。最初はあまり騒ぎにならなかったが、すぐにパニックに変わる。『迎撃システム作動不可!破損状況…50%…」だんだんうるさくなってくる。この苛立ち、久しぶりだ。「…動かなかったら…ただの人…!」島風は出撃口に歩いていく。が、それを響は止めようとはしなかった。「…相変わらずだね…神通さんに報告してこよう…」演習場に向かって響は歩いて行った。

??????→舞鶴近海

島風は単独で近海に足を運ぶ。そこには、使い物にならなくなった防衛システムの残骸があった。主砲や、対艦ミサイル。コードまでもが会場に浮いていた。「ターゲットを捕捉。」どこからか声が聞こえる。島風は南を向いた。そこには黒い大きな何かが立ちはだかっていた。遠くてよくわからないが、船ではない。それはまた何か喋る。「51cm三連装砲使用。旧式徹甲弾…発射。」喋り終えたと同時に砲撃。島風は不意を突かれ動きが遅れる。が何とか回避、至近弾もなく無傷で掻い潜った。「こちら島風、要塞の周辺調査を行う。援軍は不要。」

一方的に無線を送り、切った。要塞に近づく。それは、人型だった。人が何かユニットに入った形をしている。目視する限り…51cm三連装砲塔がある。「近距離攻撃、125mmミニガン。対艦ミサイル装填。ミニガン起動します。」要塞の足元からガトリングが発射される。「…!?」島風はたまらず要塞から離れる。島風は機銃を食らい続けオーバーヒートにより沈没した。その過去を知らなくても、自然と島風は動いてしまうのだろう。「対艦ミサイル…発射。」そこに追い打ちか、ミサイルが島風の頭上から襲いかかる。海中に落ちて爆発。爆発、さらに爆発。その衝撃は遠くからでも伝わり島風の体は爆発を食らわなくても上に浮いてしまう。島風はその中、カメラのシャッターを切り、魚雷を発射する。「魚雷接近中、そのまま直撃します。」魚雷は要塞の足元で大爆発。島風はそのまま、撤退した。「機関部に被弾、損壊率の計算…損壊率0%。」要塞の体には傷一つついていなかった。そのまま、要塞は航行を続ける。

 

@@@@@@→舞鶴鎮守府司令室

「あのさ、お前本当いい加減にしろよ…」目の前にはブイン提督。ブイン提督の前には島風がいた。「相変わらずお前はさ、無茶が好きだな…お前ビス子たちと一緒に営倉に入れるぞ?」島風は知らん顔。「いえ、それは勘弁してあげてください。」司令室に入ってきたのは大和だった。「やめてください。島風さんのこの行動は非常にクリエイティブです。ほめ言葉でですよ…だから、今回の一件は私が責任を被ります。」ブイン提督はその勢いに圧倒される。「行きましょう島風さん。失礼します。」一つ礼をして大和と島風が退室。「…なぁ、大和ってあんな感じだったのか…?呉提督…」一人、ブイン提督は呟く。いきなり島風を庇う。その大和の行動にブイン提督は疑問を感じていた。

 

@@@@@@→舞鶴鎮守府廊下

「島風さん…」

「何故庇った?私は罰を受ける気満々でやったのに。」

「貴方をここで失うわけにはいきません。貴方は連合艦隊の水雷戦隊です。」

「…物好きだね、他の駆逐艦もいるのに。」

「人間を守る意思を持つ駆逐艦は貴方しかいません。お願いします。私に力を貸してください。」

「…」

 

//////→とある市内

『磯風だ、情報報告をする。』

「がってんー」

『こちらは大和型がが動き出した。もう少しで、信濃も動くと思う。大和は連合艦隊を組み始めた。恐らく私もそのメンバーに入っている。大和の状況は引き続き報告する。ドイツからも艦娘が上陸した。恐らくこれは同盟国のイタリアにも漏れているはずだ。しかも、ドイツ国内にはすでに情報が溢れ出している。ほかの国にばれる確率があるが…ばれれば艦娘を求めて大戦争だ。一番危険なのは米国。かの国なら間違いなく生産可能だろう。さらに、舞鶴の提督の跡がつかめていない。あいつは異端者だ、気をつけてくれ。最後に一つ。巨大な深海棲艦が現れた。多彩な装備を持っていて、その装備に加え、酸素魚雷ひとつで全くダメージが入らない装甲だ。これは、対策が考えられる。恐らくこの化け物の有無で今後の艦娘の扱いが変わってくるな…』

「分かりましたが…私たちは待機ですか?」

『すまない、そうなるな…』

 

@@@@@@→舞鶴鎮守府

ハぁ…本日三度目。屋根の上で島風はため息を吐く。息は白くなっていた。島風は思った。自分が生まれて一年になると。大きな成長はしたかもしれない。信頼できそうな仲間も増えたかもしれない。が、隣にはだれもいなかった。「…帰ってきてよ、寂しいな…」一人気に呟く。

「おい、そこで寝てるのは誰だ?」野太い声。島風は三笠かと思った。「あ?」島風は起き上がり、声の主を見た。そこには思ってもいない人物が立っていた。




「かぁー終わった終ったー!ビール!!」
「分かりました♪」
「久しぶりだな!那智戦隊、那智が来たぞ!!」
「重巡戦隊…ヒックw」
「あ、あの…こんにちは、羽黒です…」
「貴方が羽黒さんですか…宜しくお願いしますね?」
「は、はいよろしくお願いします!」
「羽黒、お前も飲め!」(グイッ
「えっ…?」
「新人ちゃん!遠慮はいらないぜ?朝まで飲んべぇ!!」
「ひえええええええぇえっぇぇ…!!」
っていうわけで第十四話でした。戦闘が限りなく少ないでござるぅぅぅ…もっと勉強ですな!ではでは!!

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