そよ風と荒風の間に   作:かえー

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4-3異常

屋根の下には武蔵が立っていた。「お前…そこは寝どこじゃないぞ、さっさと部屋に戻れ。」「嫌だ。」島風は武蔵を見ずに断る。「降りろと言っているだろう!」「嫌だ。」「降りろ!!」鎮守府内に響き渡る声。駆逐艦の部屋から鳴き声も聞こえてくる。島風はあーあとも言わんばかりな目で武蔵を見る。「…私も、そこに上らせてくれ。」

 

「なんかさ、最近もう姉妹とか関係なくなってきてるよね。」島風が言う。武蔵は肩をびくつかせるが、島風を見て答える。「確かにな。もともとは私たちは赤の他人同士で姉妹艦って言われるからな。」しみじみ。武蔵は答える。まぁ、姉妹艦がいない、島風には全く関係ない話なのだが。島風は話疲れ、寝ようとした。が、横には武蔵がいる。様子を見て寝ようとしたが、武蔵は先に眠気に撃沈されていた。島風も寝ることにした。「…あの二人は、あの恰好で寒くないんですかね…」大淀が心配そうに二人を見ていた。

 

翌日、島風は緊急速報の轟音ブザーで起こされることになった。『warning!warning!未確認艦娘が接近中!識別、駆逐4隻、巡洋艦2隻、戦艦一隻!繰り返す…』鎮守府は大パニックになっていた。

 

@@@@@@→舞鶴鎮守府指令室

「これは…!?」大画面のモニターには見たことのない、艦娘七隻が海上を滑っていた。「なぜ…」そこに上層部から連絡が入る。

「諸君、私たちの発明に少々驚いているのではないのかね?」「貴方は…防衛大臣…」防衛大臣から連絡が入っていた。「私たちはついにこの情報を入手し、君たち海軍を超えることに決定した。私たちの技術なら恐らくこの「艦娘」は増産できるからね。」「どこから情報が漏れていたんですか…」神通が考える。「君たちの情報掲示板に堂々と載っていた。君たちは全員が味方じゃないわけだ。ハハハハ…!!」画面越しに総理が笑う。「…連合艦隊の招集をかけます。」大和が立ち上がる。その声は怒りに震えていた。「さぁ、見ろ…!私の艦娘だ…!!」画面は海域に切り替わる。

 

@@@@@@→舞鶴近海

「…ターゲットを補足。駆逐4、巡洋2、戦艦1。迎撃体制へと移行します。」要塞は砲塔を艦娘たちに向けた。が、艦娘たちは魚雷を向ける。発射された魚雷は要塞の頭部に直撃する。続いて、機関部、武装部に直撃。要塞の体からは煙が噴き出していた。『ほら見ろ!私の艦娘があいつを攻撃している!撃沈までもう少しだ!!やってしまえ!』無線越しから大臣の声が聞こえる。「…全体的に被弾。被弾箇所多数。損壊率、1%。反撃を開始します。」要塞は動き出す。51cm三連装砲が彼女たちを捉える。「対艦ミサイル装填。鉄鋼水弾装填。発射。」主砲から弾が発射される。まず対艦ミサイルが駆逐艦三隻を撃ちぬく。そして、放たれた弾丸は水に沈んでいく。「ミサイルにより三隻轟沈。鉄鋼水弾爆破。」同時に水面が盛り上がり巡洋艦二隻が大爆発。残骸が打ち上げられた。また煙に包まれる舞鶴近海。その煙から砲弾が飛んでくる。その弾丸は要塞に直撃する。「…損壊率1%。二隻轟沈…」要塞はスピードを落とさず航行を続ける。

@@@@@@→舞鶴鎮守府

『前艦娘に告げます!連合艦隊大和です!今から連合艦隊選抜艦隊を発表します!まず…前衛…総旗艦大和、加賀、摩耶、武蔵、信濃、紀伊!後衛第二水雷戦隊、旗艦神通、島風、秋月、雪風、磯風、夕立!以上の艦娘は今すぐ出撃準備を整えること!他の艦娘は武装して、臨時招集に備えること!』大和の声が鎮守府に響く。「私は…待機…?」竹が現実を受け止められない。「…絶対、絶対艦隊入りする。あいつらの仇をとるために。」陰から、松が見ていた。

『なぜだ、私の艦娘たちが…!?』無線越しに悲痛の声。「防衛大臣、あなたは命をなんだと思っているんです。しかも、私たちもたたかわないと、艦娘は答えてくれません。」「設計も完ぺきだったのに!なぜだ!!」「…命あるものだからです。」ブイン提督が話す。「命あるもの…私たちはともに戦っている。けれど、あなたは艦娘を道具として扱った。その時点であなたは提督ではない。」無線が切れる。モニターには迫る要塞の画像が映し出されていた。

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「今から…あの、人工棲姫を叩きます。ですが、ここだと舞鶴鎮守府が被害をこうむります。そこで、秘策があります。私が合図をだすまで、待っていてください。」選抜艦隊の前で大和が黒く微笑んだ。




「かーっ…今回もどぇばんがないねぇ…」
「そうですね…」
「…おい」
「…あんた誰?見ない顔…」
「天龍だよ!舞鶴の天龍だ!」
「…誰ですか?」
「」
というわけで第十三話でした。次回…どんな作戦に出るのか?

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