そよ風と荒風の間に   作:かえー

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過去編ーゲストもー


5-4 真実

皆は逃げたかな…冷たい場所でまだみんなを気にしてしまう。もう、沈んでしまったから、皆と関係ないはずなのに…気にしてしまう。

身体は一体どうなったんだろうか。一体身体はあるんだろうか。

ふと気になり目を開けてみる。そこは冷たい海の底ではなく…

冷たい瓶の中に閉じ込められていた。

「やぁ、島風ちゃん。ごきげんいかが?」明石が向こう側から覗き込んでくる。「君は沈んだ。一度は艦娘の使命を果たし人生を終えた。」なら、何故…と言おうとしたが、口が開かない。ガラスを通して確認すると、顔の半分が包帯で包まれていた。「けどね、私はついつい助けてしまった。君の決意を見てしまってから助けずにはいられなかった。武士の情けだ。」明石はあの時と同じ顔で…睨んでくる。とても怖かった。誰かに似ているような気がした。

と、明石の後ろから大淀が顔をのぞかせる。そして、明石を小突いた。「明石さん…冷たく当たらないでください!明石さん本当は島風さんがいなくなるのが嫌で…!」「悪い!?恥ずかしくてそんなこと言えるわけがないじゃん!」瓶が開き島風は解放される…島風はタンクトップを着せられており、後ろを見たら背中によくわからないチューブが刺さっている。自分の状況がまだわからず、まだ混乱していた。「…これ以上みていられなかったんだよ…!私が工作艦でよかったね…!」明石は部屋から出て行った。

「全く…明石さん…」大淀が溜息。「今はベッドで寝て治るまで待機しててくださいと明石さんから言われてます。こちらへ…」島風の背中からチューブが外され島風はベッドに横たわった。隣のベッドには海域にいなかった磯風が寝ていた。「…!」島風は喋ろうとするがうまく喋れない。近くにあった紙とペンを持ち筆談を持ちかけた。

『磯風、何があったの?』磯風は島風の方向を向き答える。「私は…見てしまったんだ。この鎮守府には…奴が…グッ!」磯風は腹を抱える。どうやら腹を刺されたそうだ。私がいない間に何があったのか、分からない。

「島風…が、生きてて…私は良かったと思う…被弾と聞いた時には留守番組は頭を抱えたよ。」磯風が親指を立てる。「私たちも期待に応えるよ、だから無理するな?」磯風が珍しく笑う。この笑みには信頼の意味が込められていることを島風は読み取った。『ありがと』と書き紙を飛ばした。

 

「わっ!」外から明石らしき悲鳴が聞こえる。その声とともに近づいてきている足跡。保健室の前で止まると勢い良くドアが飛んで行った。

「やぁ島風。久しぶりだな。」そこにいたのは、倒れた明石と三笠だった。

「…!!…!」「なんて言ってるか分からない!外せ!」包帯の口のところが無理やり外される。包帯だった場所は黒くなっていて空洞となっていた。私の場合顔が失われたわけではなくパージした為顔の形が変わっている。

「三笠…なんでここに……!?」「私も聞きたいなぁ。何故ここにいるのか。」両手を上げお手上げポーズ。が、すぐその後、手を叩き閃いた顔をする。

「お前は大和という艦娘を見たよな?」頷く。「…よく聞いてくれ。私がこの間の戦闘を観測していた結果…興味深いことが見つかった。お前は私以外の敷島型を見たことあるか?」疑問が生じる。聞いただけだと姉がいたような。だが、艦娘として働いたとは聞いてない。聞いてないと首を振った。

「実は大和は…」緊張が走る。

 

「…深海棲艦で、そして私たちの姉妹である、初瀬でもあるんだ。」

 

えっ!?保健室がざわめく。三笠はまだ続ける。「そして…私の姉達、朝日は行方不明。敷島は…」明石の方を向いた。「まさか…!?」「私の姉はお前だろう?明石いや、敷島。」明石は俯いた。「変なこと思い出させんなよ…三笠。」

三回のノック、が、部屋の皆は衝撃がすごすぎて反応ができない。不安に思った神通が入ってきた。「皆さんどうしたんですか…三笠さん!」神通はすぐに敬礼する。「あぁ、神通か。元気か?」神通は頷く。そして、三笠が口を開く。

「ここまで言ったから…私たちの過去を話そう。」

 

 

時は2年前。深海棲艦がまだ出始めたころの日本。打開策として、日本海軍は一つのプロジェクトを立ち上げた。それは乗り物で戦うのではない。人間が戦いに行く斬新なアイディアが出た。それだと、軍艦といった兵器を作るお金が浮くし、なおかつ人間などその辺にたくさんいるといった、普通では考えられないことを人類は考えた。それほど折半詰まっていたのかもしれない。しかし、政府に人間の命を使わせろとは言えない。海軍は他の企業の力を借りず極秘で、政府に無許可で新しい兵器の制作に励んだ。

 

兵器を作るということは人体実験が必要だった。人間はくさるほどいると言っても確実ではない実験に参加する人なんていなかった。

そこで、海軍は考える。命を救う活動の一環として人材を見つければいいのではないか。海軍は一人の人間に手を伸ばした。

 

そして、瓶の中。少女は背中にはチューブがつけられ顔にはマスク。謎の液体に付けられた状態で海軍に保持されていた。

 

そしてその少女は普通に生きていれば心臓の病気で死んでしまっていた。が、人体実験により、生き返った。人間ではなく試作機と言う兵器として。

 

半袖に切られた短めの着物の姿。その試作機は敷島と名付けられた。敷島は正常に海軍の内部演習で成功を繰り返し、艤装の実験が成功ということを証明した。その成功から正式な艦娘、三笠が生まれた。そしてどんどん艦娘が生まれていった。

 

敷島の周りには大日本帝国海軍の頃と同じく朝日、初瀬といった姉妹艦が増えた。そして、駆逐艦、軽巡も増えた。三笠は嬉しかった。自分が一番最初の艦娘で自分の成功で皆が喜んでいる、と思った。そんな妹を見るのが敷島にとって幸せだった。敷島にとっては全艦娘が妹みたいな存在だったのだ。ただこの時が楽しかった。

 

戦いも順調に進んでいき、深海棲艦がいる海域は北方海域のみとなった。そこに三笠率いる連合艦隊が進撃した。

 

「初瀬、今日はなぜか張り切っているね?」朝日が顔を覗く。「だって、いよいよ私達の戦いは最後なんですもん!的の頭仕留めますよ!」とてもやる気に満ち溢れた初瀬を三人の姉妹は楽しそうに見ていた。「諸君!今日は最終決戦だ!敵を殲滅するのが私達艦娘の仕事!誇りを持って行くぞ!暁の水平線に…!」「勝利を刻もう!」艦娘の声が被る。

そして、海戦は始まった。いつも通り長門、金剛型の砲撃が始まり、駆逐艦が追い込み敷島型が仕留める。この方法が海軍の黄金の方程式となっていた。「今日もやっぱりすごいにゃしぃ…!」「そうだね…睦月ちゃん…もう終わっちゃうよぉ〜」戦いながら睦月と文月は改めて凄さを知った。

残るは戦艦ヲ級だけとなっていた。が、今までに見たことのないオーラを放っていた。彼女は黄色い目に青いオーラを重ねて被っていた。彼女から艦載機が発艦される。その艦載機は丸く、今までに見たことのない艦載機だった。禍々しい顔の艦載機が艦娘達を襲うを

「回避!」三笠が艦隊を散らす。そのおかげで艦娘達への直撃弾はなかった。が、精密に艦載機は攻撃してくる。それには敷島型の四人も苦戦していた。

「くそっ…損害状況は!」「至近弾が駆逐艦達に!」「至近弾ならまだ戦える!行くぞ!」三笠が先導する。が、まだ誰も気づいていなかった。後ろから艦載機が近づいているのを。艦娘の背後から艦載機が爆弾を投下。そして…爆破した。

 

「初瀬を守れ!輪形陣だ!」三笠が指示をする。目標の撃破より、初瀬を守る…その思いの方が艦娘達の中では勝っていた。だが、ヲ級の発艦は止まることを知らず、艦娘達の弾薬を削っていく。やがて、燃料も底をつきそうになっていた。

 

「早吸は出れるか!?」「今から向かうと海域到着まで6分です!」「早く来て!初瀬が!」本部との連絡を繰り返す。が、時間の問題だった。初瀬には浸水が始まっており、敷島がワイヤーで支えるのは限界が近づいていた。「し、敷島姉…!」初瀬が話す。「私…まだ…死にたくない…です…よ……!」だんだんと手が冷たくなる。敷島は泣くが、言葉が出ない。「敷島姉…私は…姉さん達といれて…楽しかったよ…だから…後…あいつを…!」ヲ級を指差す。

「しまった!?」爆弾を持つ艦載機が防衛網を抜け二人に迫る。周りの艦娘は弾が撃てなかった。そして、爆弾が投下される。敷島は初瀬を庇った。直撃しても…守る!が、その意思をあざ笑うかのように爆弾は水を切るように跳ねた。反跳爆撃だったのだ。爆弾は初瀬と敷島の間に入り込み爆発。二人は吹き飛ばされた。初瀬は水面の底に沈もうとしていた。敷島は手を伸ばす。が、その腕は初瀬に届かず…沈んでしまった。

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」敷島が初めて口を開いた。それは仲間の死に対する悲しみと沈めた相手への怒り。敷島は止まることができなかった。

 

「艦隊が帰投しました…作戦は成功。損害は各艦娘は小破、初瀬が…轟沈しました。」三笠が提督に報告するが、提督の口からは労う言葉が出なかった。

「そうか、今日をもって君たち敷島型は解体だ。」いきなりの発言に混乱する三笠。「何故!作戦行動に背いたからですか!?」「敷島型は艦娘のプロトタイプだ。この作戦が終わったということは君たちの仕事がなくなった。よって、残りの艦娘も時間をずらして解体するよ。さ、敷島型の場所を教えるんだ。」提督は無表情でいう。「やめろ!離せ!!」憲兵に捕まれ三笠の身動きが封じられる。そして、解体室に連れて行かれた。

「やめろ!お前らは!人間は!何故そんなことを!私たちのことをどう思っているんだ!!」その叫びも聞いてもらえず、解体室に連れて行かれたのだった。

 

その様子を見て敷島は逃げた。そして、図書室に逃げ込み本を探す。助かる方法を本に託した。そして一冊の本に目が向く。【入渠、工作、艤装の仕組み】

その本を持ち出し、鎮守府外に出た。敷島はこの本を何度も読んだ。すべての内容を覚えた。初瀬をどうすれば助けられるか、探した結果…敷島は工作艦へと生まれ変わった。工学も自分で学び、自分の持つ艤装を改造し、アームやクレーンを作った。このままだとバレるので、髪もピンクに染め、カールをかけ、セーラー服を来て元の姿とはかけ離れた姿となった。「初瀬…私は皆を…守るよ。出来ることをやる。自分は戦えなかったとしても…!」

この日から敷島は明石と名乗った。

 

「と、昔こんなことがあった。な、敷島姉。」明石の肩をポンと叩く三笠。「明石の話は後から聞いたんだがな。さて、どういう経緯で、初瀬は大和になったか知らないが、彼女を止めて欲しい。」三笠が島風を見る。

「今のお前達には私にはいなかった仲間がたくさんいる。敵も変わらないが、お前ならこの状況を打破できるはずだ。私もできることは協力する。このとおりだ。」

三笠が頭を下げる。

「私からも…初瀬を…止めて…ください。」拗ねた顔で明石は頭を下げた。負けず嫌いの彼女が頭を下げることは、周りの空気を大きく変えた。

「質問…なんで、初瀬と大和が同じことがわかるの?」島風が質問する。

「それは…機關音が同じだからです。」神通がおずおず手を挙げる。「実は…以前から三笠さんに頼まれて調べていたんです。そうしたら機關音がほぼ同じだったんです。大和さんと武蔵さんの機關音が同じはずなのに違うし紀伊型とも合いません…よって、初瀬さんということが…」「朝日は?」「微妙に音が合わないんです。初瀬さんで確定です。」島風が頷く。

「…分かったよ…三笠。」島風は三笠の肩を軽く殴り、司令室へ向かった。

 

@@@@@@→司令室

「提督、話がある。」

「島風…災難だったな…」

「…南方海域にはまだ敵がいるんだ。過激派の深海達が。」

「本当か…だが、島風はその状態で…大和もまだ帰っていない…」

「私は…約束したんです…三笠や仲間と…私は確かに兵器だけど…意志だってある…お願いします。」

 

@@@@@@→舞鶴鎮守府廊下

『緊急事態!緊急事態!南方海域から打電が届きました!内容は南方海域ニテマツ。コナケレバニホンハ沈没スルとのこと!』大淀の声が響き渡る。

「提督、私、行ってくるよ。」港に一人向かう島風。そこには艦娘達が待っていた。島風は三笠に近づき見上げる。「三笠…行ってくる。」「おぅ、気をつけてな。」海に降り立つ島風。その後ろをビスマルク、武蔵、プリンツ、瑞鶴が着いて行く。

「待ってよ!」誰か引き止める。青い着物を着た艦娘が立っていた。「蒼龍です!是非、私も艦隊に入れてください!」島風も以前蒼龍を見たことがあるが、弓矢が変わっていることに島風は気づいた。「大和の艦隊にいたんだよね…来てよ、裏切らないなら。」「でも、ゼカマシ!」「いいんだ、仮に襲われても、守ってくれるでしょ?ビス子。」「え、えぇ!この私がフラッグシップを守れないわけがないわ!」フンとビスマルクは胸を張る。「なら…紀伊は留守番で。」「そんなぁ!!」半泣きで、駄々をこねる紀伊。少し場が和んだ。

「航空戦は任せてください!」蒼龍が軽く頭を下げた。「うん、よろしく。」島風軽く微笑んだ。

主力艦隊の後ろを神通率いる水雷戦隊が続く。「第二水雷戦隊…旗艦神通、夕立、時雨、マックス、響、磯風…出撃します!」海を滑っていった。

 

今度は何かを起こすために。

To be continue…




さて、完結したと思わせてもう一話書きます。本当の敵は何なのか。お忘れだと思いますが、島風が会いたかったあの人に会えるのか…年明け前に書き終わりたいですー!ではでは!
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