そよ風と荒風の間に   作:かえー

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一応時間がないために完結ではないですが一区切りつけてみた(つもり)です。もう少しボキャブと文章能力を上げてから帰ってきたいと思います。ありがとうございました!


6‐4 (仮)

やがて波が収まり、間をとってから艦隊の先頭に立つ島風は駆逐棲姫を見据えた。島風の制服は以前の城が基調の制服から、少し黒の線が混ざった新しいものとなっていた。特徴のうさ耳リボンは白と黒の耳になっている。少しの沈黙があった後、島風は駆逐姫に話しかける。

 

 

「久しぶりだね。まさか、こんな形で会うことになるとはね…」

「こちらこそです。必ずもう一度会うことになると思ってました。」

 

波の音だけが響く海域、島風の艦隊は大破した艦娘達の介抱や救助をしている。松は、信じられないような光景をただ、呆然と見ていた。そんなことも気にせず、白と黒の二人は平然と話を続ける。

 

「今回の新しい事実だけど、一つ気になることがあったんだ。誰にここに来るよう命令された、誰が過激派を動かしているのかってね…」

「確かにそうですね。私は一応過激派からの連絡はその担当の姫からよく連絡をもらいます…貴方たちで言う戦艦棲姫です…」

「なら…人類の中にスパイが紛れている…?ありえなくもないけれど…前例として、海軍の一部と深海棲艦がコンタクトをとったこともあるから。」

 

二人が話している間他の艦娘たちはジト目を送り続ける。全員命に別状はなく、艤装の回収を終わらせた艦娘たちがまだかと二人を見ていた。その中、夕立に肩を貸してもらい能代が近づいてきた。能代は島風の前に立つと同じ目線に屈んだ。

 

「島風さん…貴方もしかして、駆逐棲姫と知り合いだったりするのかしら…」

 

他の艦娘が驚きの声を上げる。艦娘が深海棲艦と知り合いだなんてありえない。まだ、真実を知らない艦娘たちは艤装のトリガーに指をかけ始める。夕立も、長門もいつでも打てる体制につく。が、それを制止した艦娘が一人。竹は立ち上がり、艦娘達の前に立ちふさがった。ふらふらしながら艦娘たちを見るが、その眼はもう憎しみを込めた目ではなかった。目には涙を浮かべ、やめろと訴えるように泣いていた。

 

「もう…いってもいいでしょ?春雨。」

 

そして、海上が静かになった。

 

@@@@@@→舞鶴鎮守府

 

一同は舞鶴鎮守府に帰投した。駆逐棲姫こと春雨は白い髪のままで入渠した。帰った艦娘は順番を待ち、食堂でぐったりと倒れ身を休めていた。その光景を見て、長門は少々ため息を漏らす。春雨は風呂から上がりこの光景を見た途端、笑いが込み上げついつい笑ってしまった。

 

「どう?にぎやかになったでしょ?」

「島風さんが戻ってきただけじゃないですか…」

 

そんなことを言いつつ春雨は笑いをこらえていた。むっとする島風。それを寄ってきた夕立に構われ、島風は黙って夕立を叩き、蹴っ飛ばす。吹っ飛ばされた夕立はまだ笑っておりまだ、バカにした目つきで指をさしている。挙句の果てに謎の奇声をあげ倒れて笑い始めた。春雨はため息をつき苦笑を上げていた。ぼそっと夕立姉さんはどうしたのでしょうかと心配していたが、まだ妹という自覚が残っており少し安心する。それを時雨と島風が苦笑いしながら見ていた。

 

「いつまでもこのような光景が続けばいいね…僕は信じたいよ。」

「うん…絶対してみせるよ…絶対に。」

 

島風は静かに笑った。確証はないけれど、戦艦棲姫という存在がこれからのキーとなってくることがわかったところ、彼女と会うことができれば世界を変えることができる…人間を変えることができる…私たちの仕事を全うできる。戦いこそがすべてではない殴りあうことなき世界へ…進む。島風は静かに心でそう誓った。そんなことをしていると、ブザーが鳴り響いた。

 

「中部北海域ピーコック島沖にて基地による島への攻撃を確認。どちらも深海棲艦と思われる模様。確認を要請したい。」

 

島風はため息をつき、講堂を後にした。どうせまた雑に使われるが…艦娘である限りいうこと聞いてやるか。走って司令室へと向かった。ここに入ると…私は無事に帰れないかもしれない、皆も。けれどみんな無事に変えるべき場所があるから…そう考え、ノックをしゆっくり司令室へと入っていった。今日も何もないことを信じて。


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