そよ風と荒風の間に   作:かえー

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1-4 longlance

ついに島風着任から一か月がたった。ブイン基地には製油所任務以来、輸送任務が大量に流れてきていた。あの任務は、日本を通して輸送しなくても近い方から輸送できる。新たな可能性を見出したのである。だが提督はそれを狙っての任務遂行ではなかった。

小さい任務室で頭を悩ませる。「これは…輸送ルートの発見ではなく…海域奪還の戦力の報告だった。」

この前、戦艦級を水雷戦隊で初の撃沈を取った。が、それは上層部では輸送に安全だという判断を下し、海域攻略から外された。提督は上層部に無線連絡をする。

「こちらブイン基地、もう一度海域攻略に復帰させてください。」「なんど言えば分るんだ。ブインなんて最初から期待なんてしていなかった。そんなすごい艦がいるんなら日本の鎮守府に送ってきておくれよ。」

「し、しかし…」「ブインやタウイタウイが潰れたとしても日本鎮守府が陥落しなければ大丈夫だ。黙って任務につけ。」

無線が切り上げられる。提督は崩れ落ちた。

 

「へー!そうなんだ~!よく分かったぜ〜!」「全然知らなかったです…」

「はぁ…」島風は起床早々駆逐艦達に囲まれていた。どうすれば島風みたいに強くなれるのか。深雪の一言が発端となった。気になった吹雪型三人は起きた直後の島風を捕まえ質問責めをし始めた。勿論いつもなら白雪が止めるのだが、それぞれ、強くなる目的が有り、止めるものが一人もいなかった。

「酸素魚雷ってどうやったら使えるようになるか教えて!」

「練度」

「やっぱりそっか…ありがと!」

「酸素魚雷ってどこで補給できるの?」

「鎮守府」

「うちの鎮守府にはないけど…どこで補充したの?」

「…それは…」

島風は誤魔化そうとした。

「なんで喋らないんだよー?」

「…」

話せない。島風の口は開かなかった。

「疲れた。補給行ってくる。」

島風は走ってキッチンへ向かった。それを三人は追って行く。

そこに落ち込んだ提督が通りかかった。そして、走る島風と衝突。互いに吹っ飛ばされ尻餅をついた。「あ、あぁ、島風すまない!輸送任務の話ー」

「後にして。」キッチンへ駆けていった。

 

その三十分後。島風、吹雪型三隻、文月、古鷹は提督室に立っていた。

「今から、新型魚雷の輸送を行ってもらう!目標は舞鶴鎮守府への輸送だ。舞鶴には明石が停泊している。これを大量生産し、深海棲艦の撃滅に使用する。まだ、性能はわからないから大事なサンプルになる。輸送任務の信頼を受けての任務だ。頼むぞ!」

「はい!」

島風以外が返事をした。

 

パプアニューギニアから舞鶴へ。島風達が出港して三時間。深雪にはイラつきが出始めていた。

「なーいつになったら日本に帰れるんだー?疲れたぜ…」

「仕方ないです…まだ、米国に行くわけじゃないんですから…我慢してください…」困り顔で古鷹がなだめる。

島風は相変わらず抜錨せずに航行していた。

「でも深雪ちゃん!この任務終わったら舞鶴でたくさん食べ物が食べれるよ!」

「やるしかないよなっ!」再び通常の航行に戻った。

「古鷹さんは…どうして右手だけ艤装をしているんですか?」文月が古鷹の右手を指差し聞く。

「いやぁ…昔怪我しちゃったんですよ…」「そうなんですか~」だが、島風はこの会話に何か違和感を感じた気がした。だが、そのまま無視して航行した。

出発から10時間が経ち流石に吹雪や、白雪にも疲れが見え始めていた。

「艦載機…敵艦が近くにいます!」古鷹が対空電探の電波をつかむ。そのとおり、前から丸い帽子のような物を被った何かが近づいてくる。

「軽空母…」島風が言葉を漏らす。「輪形陣になってください!」対空射撃をしながら撤退する作戦に出た。

全速力で海域を通過していく。敵艦隊はついてこなかった。「新型魚雷は!」古鷹が確認するが吹雪に焦りの表情が出ていた。「新型魚雷は…さっき海域を通過するときに落としたかもしれません…」

吹雪は目に涙を浮かべていた。その目の前を魚雷を持った島風が目の前を通過していった。「島風…ちゃん?」

島風は何も言わず先に進んでいった。艦隊は安堵した。

その矢先、黒い物体が前から迫ってきた。再び艦隊に緊張が走る。「艦載機接近中…空母です!輪形陣!」とっさに艦隊は回避行動を開始する。「これも回避して本土へ向かう…!?」古鷹は気付いた。自分たちは囲まれてしまった。これは交戦するしかない。「ブインへ通達、我、敵艦隊ト交戦ス」「機動部隊をたたきます!砲撃準備!」古鷹の掛け声で駆逐艦たちは砲を構える。駆逐イ級の砲撃から戦闘は始まった。青い水面に水柱が上がる。その中、艦娘たちは駆逐艦たちを沈めていた。「ま、まってくださーい!?」文月が追い込む。「弾幕張ります!!」白雪が砲を連射する。その横を吹雪が横切り魚雷を発射。見事重巡リ級を沈めた。

深雪は軽巡を狙っていた。が、背後から迫る艦載機に気付かない。軽空母を沈めた古鷹が庇う。艦載機から放たれ爆弾は古鷹の右腕に直撃して古鷹の状態を中破に追い込んだ。「う…ぅ…」疲労もあり古鷹の浮力はギリギリ。一撃食らえば、轟沈の危険もあり得た。また艦載機が迫る。古鷹は右目の探照灯を使った。艦載機が回避していく。

「深雪ちゃん…逃げてください…」虚ろ虚ろ古鷹が話す。「自分のミスは自分で取り返す!」深雪は魚雷をすべて放ち空母の動きを止めた。だが、損傷は少なく、古鷹の撃沈は時間の問題だった。

いらちな島風は新型魚雷を装填した。「ブイン、舞鶴へ連絡。今から新型魚雷の試験を行います。」海域にいる艦娘が驚く。『島風!勝手な行動はやめろ!輸送が仕事だ、撃てとは言っていない!!」提督が焦り声で怒鳴る。「私はその作戦にハイともくそも言ってないので。」島風は止まることを知らず目標をヲ級に合わせた。「今からビデオを回します、これを今後の政策に取り入れてください。目標空母クラスヲ級。発射。」ほとんど音が鳴らず魚雷発射管から魚雷が放たれる。そして数秒後ヲ級の足元で爆散。ヲ級は撃沈、他の艦娘も吹き飛ばされる。威力が十分わかる成果となった。

 

その後、艦隊は舞鶴に到着したが渡せたものは設計図だけであった。怒号こそ飛ばなかったものの補給を中途半端に渡され、気分沈みがちで艦隊が帰投することになった。

そして、艦隊はブイン基地へ帰投。基地の門では提督と艦娘たちが出迎えていた。そして、一人ずつ提督に抱きしめられた。島風も抱きしめられた。抱きしめられた後、艦娘の前で提督が話し始める。

「俺は、焦っていた。艦娘のために海域攻略をしていたと思っていた。でもそれは違った。すべて自分の満足を満たすためにこの行動をやっていたのかもしれない。こんな提督でごめんな。」文月が提督の袖を引っ張る。「そんなこと言わないで下さいよ…提督は私たちに命令しないといけないですよね…もっと胸張っていてもいいんですよ?」「…そうだな、これからもがんばるぞ。」

門の前で歓声が上がる。だが、島風だけいつもの基地の屋根にいた。何度もあの空気を味わったけれどやはり身に合わなかった。どうせ一人、いつまでたっても一人であることは変わりない、そう思った。でも、今日はぐったり疲れた。島風はいつもの考えを今日は休みにした。

 

その後、島風は提督に呼ばれたそうな。




ブイン編第一幕が終わりました…何が目的で書いてるかと言うと…特にありません。ギャグも恋愛もありません。こんな海戦があればいいなっていう妄想です。どうにかその妄想に付き合ってください。お願いします…以上あとがきでした。次回はどうなるんでしょうか。
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