神通達がが呉に帰りブイン基地は少し静まり返る。相変わらず、日本の鎮守府とは扱いが違うらしいがここの鎮守府の艦娘達はは普通に暮らしていた。だが、やはりその中で一人だけ群れの中にいない艦娘がいた。
その艦娘は一人屋根の上からその様子を眺めていた。
島風は前回の出撃の際、勝手に新型魚雷を放ち罰として二ヶ月謹慎となっていた。そして、今日で二ヶ月、だが生活が変わることはなくいつも通り何かを探し求める日々へと入り込んで行った。
☆☆☆★★★→ブイン基地講堂
ある日、島風は提督に呼び出された。特に断る理由はなかったのでとりあえず講堂へ向かった。
講堂には提督が一人椅子に座っていた。提督は島風を手招きし、椅子に座らせた。二人が向かい合う形となる。提督が話す。
「島風、実は今日は話があって呼び出した。」
「早くして?」
「まぁまぁ…俺は島風に旗艦を任せたいと思うんだ。」
「…は?」
「性能で決めたわけじゃないんだ…君には思い切りのよさがある。そこを指揮につなげて欲しい。この鎮守府を出る以外ならなんでもしていい…お願いだ。」
島風は頷いた。思い切りは知らないが、島風は旗艦を引き受けた。
「嬉しい、なら早速カムラン諸島まで行って来てくれ?」
島風は鎮守府の外に出て行った。「飽きなかったらいいんだが…いつまで持つか…」頼んだはいいが心配になった提督であった。
☆☆☆☆☆☆→カムラン諸島付近
「待たせた…済まないな。」
響が走ってくる。島風たちはカムラン諸島に上陸。響の補給を待っていた。「いいんですけど〜なんでこんなに?」
「背が高い人間が親切に道案内してくれたんだ。そこで三分ほど盛り上がってしまって…私もあんな人たちみたいになりたいと思ったよ。」
「へぇ〜ま、その前に私みたいなレディーを目指すことね!」
とりあえず、艦隊は黙り込み海域へと戻った。
十分経った諸島海域。海域は特に変化なく静かな波の音を歌っていた。
今回の目的は輸送ルートの開通。ロシア、アメリカ、日本方面のルートが深海棲艦によって封鎖されてしまった。島風の率いる駆逐隊でルート開通、つまり、艦隊の壊滅を目標に今回の作戦が立てられた。が、非常に無理な話でもある。
相手の戦力をまだ誰も知らず、もしここで戦艦が現れたらおそらく全滅。補給もカムランだけじゃおいつかずこのままだと佐世保の二の舞だ。海軍は博打に出たのか、偵察なのか、誰にも分からない。そんな中島風駆逐隊は哨戒活動に回っていた。
「出てこないね…変だ…」鬼怒が対空レーダーを使うが全く反応がない。「あっちが出てこないなら…誘い出すんだ。何を使ってもね。」
島風が不気味に微笑んだ。
コポポ…深海から泡が浮かんでくる。その奥から黒い塊が見える。その黒い塊は青い海を多い尽くすような黒い色をしていた。黒い塊は何かに引き寄せられるように海面へと上がっていく。「かかったね?」浮上した先には島風が立っていた。だが、島風は全く攻撃をしかけない。ヲ級を見てただ立っていた。「島風…?」「くっそー!攻撃しないのかー?」島風は艦隊に静止をかけている。島風が口を開く。「もし、そっちの艦隊が意思があるのなら私はお願いしたい。ここはお互い無傷でこの戦いを終わらそう?」その直後、痺れを切らした駆逐ハ級が砲撃。島風の顔をかすめて行った。「やろー!攻撃してきやがった!!」深雪が砲を向けるが島風が手で静止した。「違う、自分の意志でこいつらは戦ってないんだ。だから…!」島風がじっとヲ級を見つめる。ヲ級は後ろを向いた。そして、深海に沈んでいったのである。「なんで…深海棲艦だよ!攻撃しないの!?」「攻撃してきていない。彼女たちにも目的があったこの海域を制圧した。だから。」島風は淡々と説明していく。「でも…!!」暁が反論しようとしたその時、無線が入る。「舞鶴の大淀です!!只今、カムラン諸島周辺から…深海棲艦の反応が消えていきました!撤退してください!」驚きの報告だった。戦っていないのに敵を撤退させた。艦隊はその場から動くことができなかったが、その艦隊には旗艦がいなかった。そう、一人だけ撤退していった。
☆☆☆☆☆☆→ブイン基地講堂
島風はまた提督に呼び出され、講堂前のテーブルに座らされていた。
「さぁ、なぜここに座らせているかわかるか?」「…」島風はさっきから口を開かない。「あのな、確かに思い切りのよさがあるとは言ったけれど…そのおかげでこの作戦は…予定はめちゃくちゃだ…!!」頭を抱え机に突っ伏す提督。「…だって、何もしていないのに…殺すのはだめだ…」俯きながら島風が話す。「何もしてないのに、奴らに攻撃したら…奴らと同じ…間違ってるかな…」提督が首を振る。やられる前にやるのは確かに理不尽。島風が思うに絶対何かの目的があるから海域を封鎖した。そのサインに人間が気付いていないだけである。その意見に島風は自信を持っていた。が、提督の口からは意外なことが飛び出た。
「あのな…艦隊を逃がしたことにも驚かされたが、なんでお前は武装を外して洋上に浮かべるなんて馬鹿なことをしたんだ!!」島風がした行動…それは装甲となる服を洋上に浮かべ、敵艦を引き寄せたのである。
「あのさ、ふつうありえないし、それはやり過ぎっていうんだぞ…島風。次回から気をつけろよ?」
やり過ぎという概念が島風には理解できなかった。この時、休憩室から文月が含み笑いでのぞいていたことは誰にもばれていない。
「はぁ~皆さんのおかげでここ、居酒屋鳳翔を開店することができました♪本当にありがとうございます…!」
「よっ、鳳翔!さっそくビールおくれよ!」
「分かりました♪」
「そういえばさ、次回の話はあまり進展がないみたいだぜ?」
「というか…南西諸島編は…進展がないみたいです…」
「…」
「「はぁ…私たちって一体…」」
というわけで南西諸島編でした。ほんとに進展がないです。スミマセン(-_-;)
ではでは。