本拠地を破壊し、共に戦った戦士達がこの世界から居なくなってから一ヶ月……。
江島裕太が支配していた世界は終わりを告げた。虐げられていた人達は解放され、国家も教育機関も元に戻った。拠点での戦闘の際、流れ弾で壊れた建造物等についてはゲッターチームの方々も、真ゲッターロボ共々復興支援に参加した。結局あの後、異次元には帰れなかったらしい。
……不思議なもので、復興作業が開始されてからまだ一ヶ月だと言うのに、ほとんどの作業は完了していた。後は更地になった拠点跡地に、何を建てるかだというレベルだ。
人々から奪われたものは、少しずつ戻って来ている。けど、それでも……戻って来ないものもあった。
拓斗
「行ってきます、父さん」
拓斗の父
「ああ、行ってらっしゃい」
俺、
あれから俺は、全ての記憶が戻ったことを父さんと、明梨の両親に報告した。3人とも感激しながら、今まで真実を隠してきたことを謝罪してきた。勿論俺は、父さん達を許した。というか、許す必要は無かったけど、どうしてもと言ってきたからな……。まあともかく、そっちの方は上手くいっている。ただ……どうしても空虚感が俺の中には残っていた。
拓斗
(明梨……お前の家、俺ん家の隣だったんだな。案外近くて驚いたよ)
ついこの間まで俺が住んでいた明梨の家を見て思う。俺は、明梨のことを諦めることができずに居た。彼女は死んで、もういないということはわかっている。
拓斗
(でも、気がつくとここで立ち止まっているんだよな。俺みたいに、高校の制服を着て玄関から出てくるんじゃないかって。……アホらし)
自嘲気味に笑いながら歩き出そうとした時―――玄関のドアが開いた。
拓斗
(……え?)
???
「行ってきま~す! ………………あ」
拓斗
「…………………え?」
これは夢ではないだろうか? だが目を擦っても、頬を思い切り抓っても目の前の女の子は消えない。これは現実だ。でも彼女は……。
……いや、あれこれ考えるのはよそう。だって、現に彼女は生きている。これを否定したくなんてない。
???
「えっと……」
拓斗
「……おはよう―――」
???
「……! うん! おはよう―――」
名前を呼ぶと、彼女は笑顔で俺に飛びついてきた―――
喫茶翠屋
テーブルを挟んで、望と星夜はコーヒーを嗜んでいた。
星夜
「……美味しいな、このコーヒー」
望
「ああ」
2人揃って全部飲み干すと、望は星夜を見て言った。
望
「それにしても凄いな」
星夜
「何が?」
望
「ゾディアックエンペラーフォームの力だ。理を超越するとは聞いてたけど、まさか死者蘇生や記憶操作までできるなんてさ」
星夜
「まあな。そんなに使ったりはしないけど」
望
「そりゃそうだ。でも、なんでまた一ヶ月後の時間に行ったんだ?」
星夜
「……それなんだが」
何やら向かっ腹の立つ顔をしながら、星夜は訥々と話した。
星夜
「慎司、今アリサ達とデートしてるだろ? 俺乗せて出発する直前にそのこと思い出して、下手に慌てるもんだから操作間違って一ヶ月後に着いて、仕方なくそこで色々やることになったんだ。しかも、俺を元の世界に返さずこっちの世界に来てどっか行ったし」
望
「……いっそボン太くんに頼んで動かして貰うか? クロスライナーまだ止まってるし」
星夜
「そうする……」
ため息をついてしばし店内のテレビを見る。と、望がこんなことを言った。
望
「きっと彼らは、誰のお陰か気づかないだろうな」
星夜
「別に気づかれなくてもいいさ。見返り求めてないんだし」
望
「確かに。……俺達って、お人好しなのかもな」
星夜
「言っとくけど、俺はただのお人好しじゃないぞ。何せ俺は―――」
拓斗
「―――明梨」
明梨
「―――拓斗!」
星夜
「―――超が付く程のお人好しだからな」
スーパーNOVEL大戦IMPACT 完
これにて終わりです。ご愛読ありがとうございました。