幻を想う   作:亮馬

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 何かの鳴る音が聞こえる。甲高い、ぶつかるような音。

 聞いたことがある気がするが、何かまでは思い出せない。だがそれも、安眠を妨害するまでには至らない。ほどなく音は消え、俺も何事もなかったかのように深淵の眠りに落ちていった。

 

「ん……」

 目蓋越しに光を感じて、ゆっくりと目を開く。朝だ。鳥の鳴く声や人の話し声がどこからか聞こえてくる。

 横を見ると、布団が畳まれてあった。慧音の姿は見当たらない。外に行っているのだろうか。時計を見ると朝の七時。ずいぶんと健康的な起床だ。

 ガラ、と勝手口が開いて慧音が入ってきた。寝間着は着替えて、いつもの服装になっている。俺と目が合うとにこやかに笑う。

「おはようございます」

「あ、おはようございます」

 そそくさと体を起こす。昨晩のことが思い出されて、面と向かって話すのはどこか恥ずかしい。慧音はごく自然な振る舞いで話しかけてくる。

「まだ寝ていてもいいんですよ」

「いや、そういうわけには……」

 家主が起きているのにいつまでも俺が寝ているわけにはいかない。立ち上がり布団を畳む。

「この布団はしまえばいいんですか?」

「後で干すのでそのままで構いません」

「あ、じゃあ俺が干してきますよ」

 申し出た俺を見て、慧音がくすりと笑う。

「その格好で、ですか?」

 自分の姿を見下ろすと、浴衣の紐がほどけかけ、パンツが見えそうになっていた。慌てて前を合わせて紐を締め直す。

 慧音が俺の横を通り、洋服ダンスを開けた。なかから服を取り出して手渡してくる。

「これ、使ってください」

 渡されたのは見覚えのある白いカッターシャツに赤いもんぺ。妹紅の服だ。だが綺麗に畳まれたそれはどう考えても俺が昨日着ていたものではない。

 荷物を置いていた所に目をやると、服を入れていたはずの風呂敷は丁寧に折り畳まれ、上に肌着と靴下が置かれていた。

「服は全部洗っておきましたから」

「え? いや、それはさすがに――」

 申し訳ないというレベルではない。寝食を提供してくれただけでも有り難いのに、洗濯までしてもらうなんて、どう感謝していいかわからない。

 慧音はそれが当たり前だというように笑った。

「いいんですよ。自分のを洗うついでだったので。昨日干してあったシャツと靴下は軽くアイロンをかけて乾かしたんですけど、まだ少し湿っているかもしれません」

 何から何まで恐縮しっぱなしの朝だった。

 朝ごはんは昨晩の味噌汁の残りを温めなおしたものと、新しく慧音が焼いてくれた卵焼きをいただいた。卵焼きはほのかに甘く、ふわふわとしていてとても美味しかった。

「私はこれから寺子屋で授業があるんですが、どうしますか? もし里を見て回るのでしたら別行動でも構いませんが」

「あ、なら俺も寺子屋に行きます。霊夢さんたちも来るかもしれませんし。……今更ですけど俺なんかが行っても大丈夫なんですか?」

「大丈夫ですよ。どなたが来ても誰も文句など言いません。たまに見学に来られる方もいますし」

 用意をして、と言っても俺は特に何もすることはなかったが、二人連れだって寺子屋に向かった。

「おはようございます、先生」

 道で人とすれ違う度に、慧音が挨拶をされる。同じように慧音も笑顔で挨拶を返す。彼女がどれだけこの里で慕われているのかよく分かる。持ち前の人柄と器量の良さが、皆を惹き付けるのだろう。

「あ、そうそう」

 歩を進めながら慧音が言った。

「近くの長屋の空き部屋を使わせてもらえるよう話を通しておきましたので、また帰りにでも案内しますね」

「何から何まで……本当にすみません」

 本音を言うと、慧音の家に泊まれる方が十倍嬉しいのだが、相手に迷惑を掛けたくはない。ただ、気になる点がひとつある。

「ちなみに、家賃とかっておいくらなんでしょうか」

「家賃? あぁ、そんなものはないですよ」

「え!?」

「どうせ誰も使っていないんだし、大家さんも好きに使ってくれていいと」

 親切なのか細かいことを気にしないのか。ここまでくると変なのに騙されたりしないのか深刻に心配するレベル。

 ほどなく寺子屋に到着した。鍵を開け、教室までいくと全ての障子と襖を開け放ち風通しを良くする。

「おはようございまーす!」

 小学校低学年くらいの子供たちが続々とやってきて元気に挨拶をする。慧音もそれに負けないくらい元気に挨拶を返す。俺は邪魔にならないように教室の隅に移動した。と、子供の何人かが俺の方を見ている。いきなり教室に見知らぬ男がいるのだから当然だ。

 慧音が何やら子供たちに言うと、一斉にお辞儀をして「おはようございます!」と挨拶をした。

 面食らいながらも「おはようございます」と返事をする。慧音と目が合うと、見守るように微笑んだ。俺もぎこちなく笑う。

 やがて子供たちで教室の七割ほどが埋まった。生徒数はだいたい二十人くらいだろうか。チルノたちの姿はなく、皆人間の子供のようだ。本当は、ここにあと二人いなければいけない子供がいる……そう思うと心が落ち着かない。

 授業が始まった。慧音が本を片手に黒板に文章を書き記していき、その文章の意味や漢字の成り立ちなどを詳しく説明する。国語の授業といったところか。熟語を使って子供たちに例を作らせて発表させる。たまに頓珍漢な答えをする生徒に慧音がつっこみを入れて、教室に笑いを誘っていた。

 いい授業だな、とひとり感想を抱いていると、後ろの引き戸がすっと開いた。廊下から霊夢と魔理沙が入ってくる。慧音に手を上げて挨拶をすると、俺の近くに腰を降ろした。後ろに近い席の子供たちが気配に気付いて振り返る。霊夢が手を振ると、嬉しそうに笑って手を振り再び前を向いた。

「おはようございます」

 俺が小さく挨拶すると、それぞれが小声で挨拶を返した。

 授業中だからか誰も話さない。俺もそれに倣って静かに授業風景を見守ることにした。

 

 しばらくして、休み時間となった。慧音が休憩を告げると、多くの子供たちが庭に向かって駆け出す。数人が霊夢と魔理沙のところにきてじゃれついている。こういう光景は見ていて和む。

「すまないな二人とも」

 慧音が俺達のところにやってきた。

「こっちこそ授業中に悪いわね」

「構わないよ。それで、昨日はどうだった?」

 霊夢が力無く首を横に振る。

「ダメね。この辺りにおかしいとこは無かったし、紅魔館も永遠亭もまったく心当たりはないって」

 帽子を子供に取られ、編んだ髪をぺちぺちとされている魔理沙が言う。

「アリスに森の中を人形で探してもらったんだが、子供のこの字も見つからなかったぜ。森には来てないな」

「そうか……」

 慧音が顔を曇らせる。打つ手なしといった状況に、どうすることもできない。

 魔理沙が膝の上に乗った女の子に話しかける。

「おまえたちの誰かで文秋君と幸ちゃんを見掛けたやつはいなかったか?」

「んー」

 子供たちが顔を見合わせて唸る。

「わかんない。気付いたらいなかったし、たぶんだれも見てないとおもう」

「一番仲が良かったのはどの子か分かるか?」

 膝に乗った子が庭にいる子を指さした。慧音が名前を言う。

「雄太君か。呼んでみよう」

 慧音が呼びかけると雄太君が縁側に駆け寄ってきた。

「遊んでいるところすまない。文秋君と幸ちゃんについて何か心当たりがあったら先生たちに教えてくれないか?」

 雄太君は少し考えてから首を横に振った。魔理沙が尋ねる。

「ホントか? 仲良かったんだよな?」

「仲良かったけど、あんまり遊んだこと覚えてないし。ぼく知らない」

 それだけ言うとまた庭のなかへと駆け出していった。

 なんだろうか。何とは言えないが少し奇妙な感じがする。霊夢たちもそれを感じ取ったのか、怪訝な顔で庭を見つめていた。

「さて、すまないが私はそろそろ授業の準備をしないと。霊夢たちは今日はどうする?」

「うーん、あてはないけど、とりあえず思いつくところを探してみるわ」

「わかった。頼む」

 慧音が黒板の前に戻っていった。霊夢が俺を伺い見た。

「どうしますか?」

 そんなもの決まっている。俺が少しでも役に立てるのなら、喜んでお手伝する。俺はしっかと頷いた。

 

 霊夢の言っていた通り特に行くあてもないので、適当に里を歩いて話を聞いてみようということになった。

 霊夢、魔理沙と並んで歩くというのは奇妙な気分だった。昨日あれだけ一緒に行動はしたが、こうやって里を歩いて回っているとまるで友人にでもなれたかのように錯覚する。いや、友人でなくとも一緒にいられるだけで幸せなのだ。贅沢は言っていられない。

「あ、そういえば文秋君たちの家が何処にあるのか聞いてなかったわ」

 はたと霊夢が立ち止まり声をあげた。

「そういやそうだったな。どうする? 聞いてくるか?」

「いや、邪魔するのも悪いし、いいんじゃない? どうせ家は慧音が訪ねただろうし、私達が行く必要もないでしょ」

「それもそうか」

 結論を付けると、再び歩き出した。霊夢が俺の方を向いて聞いた。

「どこか行きたい場所ありませんか? ぱっと思いついた所でもいいんで」

「行きたい場所……」

 そう言われても急に出てこない。多少は里のことも知っているとはいえ、それはあくまで紙やディスプレイ越しに見ただけで、実際どういう建物があるかなど分かるわけもない。

 仮に元の世界にいたとして、こういう行方不明の事件が起きたらどうするだろう。そう考えて、気になったことを聞いてみた。

「あの、この里には警察……事件や事故が起こったときに対応する専門の機関とかないんでしょうか? もしあるんなら、まずはそこに相談するべきじゃないかなぁ、と思ったんですが。まぁ今更なんですけど」

 霊夢と魔理沙が顔を見合わせ微妙な表情をする。どちらからともなく答えた。

「多分、それ私達のことだと思う」

 あ。

 馬鹿か俺は。異変解決は博霊の巫女の仕事だろうが。魔理沙が両手を頭の後ろで組んで言う。

「でもま、周りで起きた事件なんてのは近場の人が寄り集まってなんとかするもんだけどな。自分たちのことは自分たちでなんとかする。それでも手に負えないようなのは私らで対処するんだ」

 それは至極当たり前のことのようで、すごく難しいことだ。少なくとも、近所の人との交流があり、なおかつ個々人の人柄が良くないといけない。田舎ではままあることかもしれないが、都心ではなかなかに実行しづらい。

「とりあえず適当に歩いて知り合いに声をかけましょ。それで何か分かるかもしれないし」

「そうだな」

「なんならあんたの実家にでも行く? あそこなら人も情報もありそうじゃない?」

 途端に魔理沙が顔をしかめた。

「私は御免だね。行くなら二人だけで行ってくれ」

「魔理沙がいないと聞き出せないでしょ。私だってそんなに好かれてるわけじゃないのに」

「なら香霖にでも行かせればいい。とにかく私は絶対行かないからな」

 頑なな態度で魔理沙がそっぽを向く。どうあっても行く気はないと全身が主張している。多分魔理沙の実家のことだろう。毛嫌いするほど疎遠になっているのか。まぁ俺も人のことは言えないが。

 霊夢はそんな魔理沙の態度にも慣れているらしく、はいはい、と軽くあしらう。

 その後、道すがら会った人達に適当に話を聞いていった。

 里をぐるりと回ったが手掛かりらしい手掛かりも得られず、いったん茶屋で一休みすることとなった。道端に置かれた長椅子に腰を降ろすと、三人とも自然と息が漏れた。運ばれてきたお茶をすすりながら霊夢が呟いた。

「正直ここまで空振るとは思わなかったわ」

「慧音が苦労するわけだ」

 どちらの表情にも疲労がにじんでいた。体力的にというよりかは精神的に疲れたのだろう。進展の無い作業というのは霧のなかを歩くことに似ている。行くべき道が分からず途方にくれる。

 沈黙が走る。これからどうするべきか悩んでいるのだろう。せめてもっと効率のいい探し方をするべきだが……。そう考えて、俺は霊夢たちに尋ねた。

「そういえば、文秋君たちの写真か似顔絵ってないんですかね。あったらコピーとかして幻想郷中に配れるんですけど」

 霊夢は渋い顔を崩さなかった。

「もしかしたらあるかもしれないけど、だったら慧音がとっくにやってるかも。写真自体は里にあまり浸透してないですし、多分ないんじゃないかと」

「一応後で慧音に確認してみようぜ」

 魔理沙が提案してくれたが、霊夢の言う通りだ。おそらくは顔が分かるものは無いと見ていいだろう。

 結局は地道に探すしかない。そう結論が出そうになったとき、道の方から声が掛かった。

「えらく浮かない顔だねぇ」

 三人の視線がそちらに集まる。道にはカゴを持った少女が立っていた。

 背丈は小学生かと思うほど小さい。癖のあるふわっとした短い黒髪。服装は桃色の半袖ワンピースで、袖とスカートの裾部分に赤い縫い目がある。頭にはもこもことした質感のウサミミが生え、お尻の部分からはもふもふとした尻尾が顔を出している。胸元にはニンジンのネックレスをぶら下げている。靴は履いておらず裸足だった。

 子供のような幼い顔立ちだが、その表情はどこか老獪な匂いを感じさせる。恐らくは彼女の年齢や性格を知っているからだろう。

 因幡てゐ。永遠邸に住む兎の妖怪。

 永遠邸に居たときは会えなかったが、まさかこんな所で会えるなんて。

 どこか斜に構えた態度のてゐが俺達の長椅子の端にどかりと腰を落とす。

「その様子だとまだ見つかってないようだね」

「そっちは昨日から何か変わりはあった?」

「いんや。人間の子供は見かけてないねぇ」

 茶菓子の羊羹に伸びていったてゐの手を霊夢がはたき落とす。てゐの目が次に魔理沙の羊羹に狙いを定めるや否や、魔理沙はそれを口に運んだ。もぐもぐと食べながら言う。

「珍しいな、こんなとこで会うなんて。お使いか何かか?」

「そうそう。師匠に頼まれてね。まぁたまには里に足を運ぶのもいいもんだ。こうやって出会いもあるし」

 話しながら、横目で明らかに俺の所の羊羹を見ている。

 俺は何も言わずに小皿ごとてゐに差し出した。途端にてゐの顔が明るくなる。折れたウサミミがぴょこんと動いた。やばい、触りたい。

「ほら、こういう優しい人もいるもんだ。どこかの巫女と魔女にも見習わせたいよ」

 皮肉を口にしながら、てゐが茶菓子を美味しそうに食べ始める。霊夢がそれを睨んでから、俺に顔を向けた。怒っているのではなく、心配しているように見える。

「駄目ですよ、こんな詐欺兎に餌なんてあげちゃ。どうせ恩を仇で返すに決まってるわ」

「失敬な。義理固いことで有名だよ私は」

「因幡の白兎って話、知ってる?」

 二人が口論を始める前に魔理沙が口を挟んだ。

「そーいや、二人は顔見知りなのか? 何か普通に絡んでるけど」

 てゐと俺が顔を見合わせる。こうやって会うのは初めてなんだが……。俺が迷っている間にてゐが話しだした。

「実際に面と向かうのは初めてだね。永遠邸に運ばれてきたときも看たのは師匠と鈴仙だけだし。というか他は会いにいかないよう言われてたから」

 そうだったのか。まぁ確かにこんな怪しい男には近づかない方がいい。自分で言うのもアレだが。

「でも私と姫様は夜にこっそり見に行ったんだけどね」

「え!?」

「よく寝てたねぇ。まったく気付いてなかったよ」

 にやにやとてゐが俺を見る。俺の胸中は愕然としていた。そんなイベントが知らない所で起きていたなんて。何故起きなかった! そうすればあのとき話せたかもしれないのに。

 不意にてゐの表情が変わった。品定めするように俺の全身を眺める。

「鈴仙の言ってた通り、不思議な人だね」

「な、何がですか?」

「いやさ、こうやって初めて会ったわけだけど、私のことを何も聞かないんだね、と思って。普通は名前を聞いたり、永遠邸の話が出たらそのことについて尋ねるもんなんだけど、何も聞いてこない。それどころか菓子までくれるなんて。まるで私のことを最初から知ってたみたいだねぇ。あんた、本当に外から来たのかい?」

「は、はい、一昨日くらいに来た所ですけど……」

 萎縮した俺に霊夢が助け舟を出す。

「てゐ、この方はすっごく優しい方で、あんまり話上手じゃないの。変に脅したりしないでくれる」

 話上手じゃない、という部分が少し引っ掛かったが、ともあれ助かった。てゐは追求するのを止めて、椅子から立ち上がった。

「じゃあ改めて、私は因幡てゐ。永遠邸に住み込んで師匠――八意永琳の手伝いとかをやってるただの兎だよ」

 俺もしどろもどろに自己紹介をすると、てゐが俺の頭に手をかざした。

「あの、何か?」

「ま、素性や経緯がどうあれ、あんたは悪い人じゃなさそうだ。菓子もくれたし。ってことで私からのプレゼント」

 てゐの耳がぴくぴくと動く。数秒くらいして、てゐが俺の頭をポンと叩いて手を離した。笑顔で見つめてくる。

「はい、これで今日の運勢は大吉間違いなしだよ」

「ついでに私達にもやってくんない?」

 霊夢のずうずうしい言葉にてゐが顔をしかめる。

「私は幸運を安売りしないんでね。人間、運に頼るようになっちゃおしまいだよ。自分のことは自分でやる」

「ケチ」

 てゐが軽やかなステップで後ろに跳んだ。

「んじゃ、子供探し頑張って」

 そのまま軽やかな足取りで遠ざかっていく。脱兎、という言葉がよく似合う後ろ姿だ。

 俺は叩かれた頭に手を延ばした。てゐの手の感触が残っている。小さくてやわらかい子供のような手。にやけてしまいそうな頬をきつく締めた。

「良かったですね」

「え?」

「てゐは人を幸運に出来るんですよ。あなたにもきっと良いことが起きるはずです」

「幸運、ですか」

 俺にとっての幸運は、てゐに頭を叩かれたことなのだが。だとしたら幸運をもう使ってしまったことになる。でも――。

「幸運が起きるなら、文秋君と幸ちゃんが見つかって欲しいですけど」

「…………」

 魔理沙と霊夢が奇妙な面持ちで向き合った。また変なことを言っただろうか。二人は同時に相好を崩した。

「そのとーりだな!」

「じゃあ探しにいきましょうか、運が無くならないうちに」

 呆気に取られる俺を余所に、彼女たちは溌剌とした表情で立ち上がった。俺の腕を魔理沙が掴みあげる。

「捜索再開だ!」

 不敵で無敵で前向きな、見ていて元気になる笑顔。それはまさしく、俺が大好きな二人の姿だった。きっと彼女たち一緒なら、どんな異変だって解決できる。

 立ち上がった俺はとりあえず、お茶の会計という異変を解決しに店員さんの所へ向かった。

 

 

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