なんか自分でも信じられない現実を見て驚いています。既に評価してくれた方が五名もおり、感想も好印象で連載してほしいという意見が多いので、ここまで応援されたら連載するしかないですね。
ただ、連載するにあたって注意点が。自分の他の小説を見てくれればわかるのですが、自分は更新速度が遅い上に不定期更新な上で、過去には半年以上投稿してなかったこともありました。
そのため、ストーリーの進みがかなり遅くなると思います。Grand Orderをやってる人にわかりやすく表すと、皆さんが二章までクリアした時に、一章に入ってるかどうかというレベルです。
それに、他の小説の投稿もあるので、今回のように一週間で投稿は滅多にありません。ですので、人によっては不愉快に思ってしまうと思われます。しかし、自分も人間なので、どうしても書く時間が限られてしまうのです。ご了承ください。
気づいたら長くなりましたが、本編をどうぞ。
交わした契約
『私は■■■のサーヴァントですから。心配せずとも、必ず守ります』
その人は美しく、気高かった。
――キュウ……キュウ。
『どうしました、■。この程度ではないでしょう?』
その剣撃は重く、鋭く、速かった。
――フォウ……。フー、フォーウ……。
『私とあなたはマスターとサーヴァントの関係ではありませんが、あなたのことは■■■の次に信頼させてもらっています。――もしもの時は、■■■のことを護ってください』
その人の信頼が嬉しくて、俺は――頬を舐められた。
――――――――――
………またこのオチかよ。ようやく眠れたと思ったら夢を見て、またしても舐められて起きるという結末。
しかも、夢のせいであの人が俺を舐めた映像が見えてしまった。あんなところを思い浮かべた自分を張り倒したい。
「――先輩。起きましたか?」
軽く自己嫌悪に陥っていると、後ろからマシュの声が聞こえてきた。さっきの死にかけのものとは違い、ハッキリとした声音だ。
俺はマシュの無事を確認するために起き上がる。
「マシュ? お前、傷は――」
大丈夫か? その言葉は出てくる前に止まってしまった。
――そこにいたマシュはメガネを外しており、さっきまでの大怪我はキレイになくなっており、黒い騎士甲冑のようなものを身につけていた。だが、甲冑にしては随分露出が多く、ボディラインが丸わかりなので…………正直言ってエロい。
そして、その手には巨大な盾を持っている。随分と変わった形だな。円形の盾に十字架の形の刃をつけたような感じだ。
「マシュ? その格好は?」
「この格好ですか? カルデアの制服では戦い難いので、変身しました」
「変身?」
なんだ? 魔法少女的なサムシングか? 俺はロマンさんのようなタイプではないぞ?
「何か、見当違いなことを考えられてる気がしますが……。――先輩。申し訳ないのですが、今はのんびり喋ってる暇はありません」
「ああ。見間違いだと現実逃避してたが――本物のようだな」
俺たちは周りに目を向ける。場所は変わっているのだが、風景そのものはさっきと対して変わらず、倒壊した建物と燃え盛る街並みという異様なものだ。
「Gi――GAAAAAAAAAAA!」
――そして、その一部に更に異様なものがあった。唸り声を上げてこちらに迫る骸骨の群れだ。
「――言語による意思疎通は不可能。敵性生物と判断します。――マスター、支持を。私と先輩の二人で、この事態を切り抜けます!」
「ああ。現状については、あとで詳しく――マスター? 誰が?」
「先輩です」
「……………マジ?」
納得できない俺に対して、マシュは俺の右手を指差してくる。見てみると、右手の甲に三つの赤い刺青のようなもの――霊呪があった。
「………マジかよ…」
なんで俺がマスターを……。というか、俺をマスターと呼んでいるということは、今のマシュは――
「――先輩!」
マシュが突然叫んだので顔を上げる。すると、骸骨が俺に跳びかかってきており、その手に持つ剣を振り下ろそうとしていた。マシュは俺が殺られると思ったのか、俺の前に来ようとしてる。
「大丈夫だ、マシュ」
だが、俺はそう返事を返してマシュを止める。既に剣は振り下ろされており、当たるまで1秒といったところか。
「――――
そして、振り下ろされた剣はそのまま俺の頭蓋骨ごと真っ二つに割る。
バキンッ!!
――ことはなく、向こうの剣が砕け散る。骸骨は現状についていけてないのか、着地して止まっている。もしこいつに表情があったら、間抜けな顔をしているだろう。
「……硬化はともかく、強化は使うまでもないな」
そう呟き、骸骨の頭を掴む。抵抗する暇も与えず、そのまま握り潰した。
既に死んでいるような存在だが、頭を失えばそれまでのようで、地面に倒れた体は塵となって消えた。
「な? 大丈夫だったろ、マシュ」
「……はい。驚きました。ですが、まだ敵はたくさんいます」
「わかってるさ。油断なく、躊躇もせず――」
そう話してる内に、今度は槍を構えた骸骨が突撃してくる。前と後ろから二体ずつ。
後ろのはマシュに任せ、俺は前の奴らに集中する。向こうが槍を引いて突こうとした瞬間に突っ込み、まずは右の骸骨の頭を蹴り砕く。左の骸骨は俺を迎え撃とうとするが、既に槍を突き出したあとなのですぐには反撃できない。
「――叩き潰すだけだ」
その隙に振り返りざまの裏拳で頭を砕く。これで残りは――
俺が敵の数を確認していると、マシュが俺の前に出て盾を構える。すると、盾に何かが当たって弾き返される音が聞こえる。
「……どうやら、弓兵もいるようです」
「みたいだな。ありがとう、マシュ」
まあ、対処できないこともなかったが……。そう思いつつマシュの前を見ると、30メートルほど先に弓矢を持つ骸骨がいた。
残りの奴を含めると、あと三体――というか、全部弓兵か。
「――フッ!」
そう考えながら、後ろからきた矢二本を回し蹴りで打ち落とす。こっちには飛び道具がないので、戦況は不利な方だ。
――普通の人間ならな。
「マシュ。後ろの奴は任せた」
「ですが――」
「大丈夫さ。飛び道具を避けながら突っ込むのは慣れてる。――お前のマスターを信じて、目の前の敵を倒せ」
不安がるマシュに、マスターとしてそう言った。その言葉を聞いてマシュは少し驚いた顔をしたが、すぐにその表情を引き締める。
「……わかりました。マスターの指示に従います」
マシュは言い終わると同時に骸骨へ突っ込む。流石はサーヴァントだ。人間離れした身体能力で、その距離を一瞬で半分以上埋める。
かくいう俺も、既に骸骨に向かって走っている。仕留めようと矢を放ってくる。その狙いは正確だが……。
「――遅いな」
銃弾の嵐の中を突っ込んだこともあり、アーチャーの矢もかわしたことがある俺にとってその矢はあまりに遅く、数も足りない。
放たれる矢を時にはかわし、時には叩き落としながら難なく骸骨に肉薄し、その首に回し蹴りをくらわせる。全力の一蹴はその首を容易くへし折り、頭をはね飛ばす。
骸骨たちはそのまま力なく倒れ、塵となる。念のため周囲を確認するが、新手の姿は見えない。後ろのマシュも既に敵を倒したようだ。
「敵性生物の排除。周囲に敵の残党はなし。――戦闘終了です。お疲れさまです、先輩」
「ああ。そっちもお疲れさまだ、マシュ。初めての実戦のわりに、いい動きをしてたぜ。以前から鍛えてたのか?」
第一印象は完全に理系女子で、運動はできなさそうな印象だったが、人間見た目によらないな。
そう思ってたが、マシュは恥ずかしそうに口を開いた。
「いえ、全然です。それどころか、戦闘訓練ではいつも居残り、逆上がりもできないくらい運動音痴でした…」
「そうだったのか。――ってことは、お前がそんなに動けるのはやっぱりサーヴァントとなったからか?」
「はい。正確には、デミ・サーヴァントというものですが」
「デミ・サーヴァント? どんな違いが――」
その時、マシュの持つ通信機が鳴る。マシュがスイッチを入れてその通信に出ると、見覚えのある人が映像に出た。
『ああ、ようやく繋がった! こちら、カルデア管制室! 聞こえてるかい!?』
「こちらAチーム、マシュ・キリエライトです。特異点Fにシフト完了しました。同伴者はライズ・アルスティ一名。心身ともに異常ありません。レイシフト適応、マスター適応、ともに良好。ライズ・アルスティを正式な調査員として登録してください」
『……やっぱり、ライズくんもレイシフトに巻き込まれていたか。コフィンなしでよく意味消失に耐えれたね』
「まあ、うん。訳なかったですけど、そんなにヤバかったんですか?」
『ヤバいなんてレベルじゃないよ!? 下手したら体が消えてたかもしれないんだよ!?』
わお……。確かに、体が粒子になった時は死ぬんじゃないかと思ったけれども。
「まあ、生きてたんだし、結果よければ全てよしです。そんなに興奮しないでください、ロールさん」
『ねぇ! そろそろ僕の呼び名で遊ぶのはやめにしないかい!?』
「えー………」
『嫌そうな声出さない!』
冗談ですよ。
「………あの、お二人とも。話を戻してよろしいでしょうか?」
「ん? ああ、ごめんなマシュ。からかうのが楽しくてついな。いいぞ、用件言って」
「はい。それじゃあ、Dr.ロマン――」
『にしてもマシュ! なんて格好をしてるんだい!? お父さんはそんな子に育て覚えはありませ――』
「Dr.ロマン。ちょっと黙ってください」
悪ふざけをしてたロマンさんにいい加減我慢の限界だったのか、笑ってるはずなのに凄い迫力でマシュはそう言って黙らせた。それを見て、俺はどっかの赤い悪魔を思い出した。
「私の体を状態チェックしてください。現状の把握には、それが一番早いです」
『わ、わかったよ。ちょっと待ってくれ。………………お? おおぉ!?』
少し黙ったかと思えば、急に叫び出した。落ち着きのない人だ。
『身体能力、魔術回路、全てが飛躍的に向上している! これじゃあ人間というより――』
「サーヴァント、でしょ? けど、俺の知ってるサーヴァントとは違うみたいですが、デミ・サーヴァントとはなんですか?」
『デミ・サーヴァント……。人間とサーヴァントの融合という、カルデア六つ目の実験だよ。今までに成功した例はなかったのだけど、マシュが成功させたようだね』
人間とサーヴァントの融合って……。随分ぶっ飛んだことを考えるな。
「はい。ですが、結果としては不完全なものになりました」
不完全? どこがだ? マシュはサーヴァントになってるし、他に変化は――
「…………そういえば、融合したサーヴァントの意識はないのか? それとも、不完全な原因は――」
「はい。私の中には彼の意識はありません。詳しい経緯までは覚えていないのですが、私は彼と融合したことで一命を取り留めました」
「……凄く今さらな質問で悪いんだが、そのサーヴァントはどこにいたんだ?」
「今回の調査のために、事前にサーヴァントが用意されていたんです。しかし、そのサーヴァントもあの爆発でマスターを失い、消滅する運命にありました。――そんな時、彼は死にかけの私を見つけて契約を持ちかけてきました。自分の能力と宝具を譲り渡す代わりに、この特異点の原因を排除してほしいと。そうして彼は私に力を託し、真名を告げる前に消滅してしまいました。ですから、私は自分がどんな英霊なのかも、手にしたこの武器がどのような宝具なのかもわかりません」
「なるほど。それはサーヴァントとしては致命的だな」
サーヴァントは過去に生きた英雄。どの英霊も、人間離れした能力を持つ。それは身体能力であったり、魔力であったり、それ以外の何かであったりもする。
その真名を把握することで、どのような英霊で、どのような宝具を持つのかを知ることができる。故に、本人ならまだしも、持ち主でもないマシュは元のサーヴァントの真名がわからない以上、宝具の真名解放ができない。マシュが持つあの盾は、普通より強力な盾としてしか使い道がない。
『そうだね……。真名解放ができなくても、余程のことがない限り負けることはないだろうけど…』
「――サーヴァントの天敵は、いつだってサーヴァントだ。もしも此処で敵対するサーヴァントと戦うことになれば…………正直、勝ち目は薄いだろうな」
なにより、此処はあの冬木だ。時期的には聖杯戦争はまだ始まってないだろうが、冬木でこんな災害があった記憶はない。つまり、既に歴史が狂い、聖杯戦争が始まっていてもおかしくはない。……いや、聖杯戦争そのものが狂っている可能性だってある。もしサーヴァントに出くわしたりしたら…。
『ま、まあでも、サーヴァントが必ずしも協力的とは限らないだろう? だけど、マシュなら全面的に信用できる。それに戦力アップには違いないんだから、それだけでもよかったじゃないか』
悪い方向にばかり考えている俺に対して、前向きな意見を出してくるロマンさん。気を使わせたか…。
「…………ま、そうだな。戦闘員が一人増えたのはありがたい。頼りにしてるぜ、マシュ」
「はい、マスター」
マシュは微笑みながら返してくれる。
『…ライズくん。そちらに無事シフトできたのは君だけみたいだ。何も説明しないままこんなことになってしまって、すまない。だけど、君には強力な武器がある。マシュという、人類最強の兵器が』
「――兵器?」
ロマンさんのその言葉を聞いた瞬間、俺は怒りがこみ上げてきた。
「Dr.ロマン。サーヴァントを兵器と思ってるなら、その考え方を今すぐ止めてください。サーヴァントは過去に生きた者とはいえ、召喚された今は確かに俺たちと同じ時間を共に歩んでいるんだ。兵器としてしか見れないのなら、俺はあんたを軽蔑するぞ」
『え、い、いや! そういうつもりじゃなかったんだ。……でも、そうだね。ごめん、マシュ。君のことを兵器と言ってしまって…』
「あ、い、いえ。私は気にしてませんから謝らないでください、Dr.」
……いかん。つい熱くなってしまった。
「あー、すいません、ロマンさん。あなたがそんなこと考えてるわけないのに、攻めてしまって……」
『いやいや。僕の言い方が悪かったんだ。……それにしてもライズくん。そんなに感情的になるということは、君はサーヴァントとマスターについて知ってるのかい?』
「まあ、俺も一介の魔術師ですから。それなりには」
『そうか……。だけど、今回の目的は知らないはずだよね? 説明会は寝てたらしいし』
「そうですよ。――けど、此処に来て大体の予想はつきました」
『「え?」』
ロマンさんとマシュの二人から驚きの声が出る。なんだその信じられないものを見る目は。
「俺はこの時期の冬木に来たことがある。覚えている限り、こんな大火災はなかったはずだ。こんな町一つが燃えるような災害があったのに、覚えていないわけがない」
「え? でも、先輩は記憶障害なのでは……」
「ああ、あれは嘘だ。記憶が曖昧なのはカルデアに入ってからの行動だけで、それ以前の記憶にはなんの支障もない。嘘をついたことについては謝るよ。けど、お前を警戒してたわけじゃないから、安心しろマシュ」
俺はそう言ってマシュの頭をポンポンと叩く。少し恥ずかしそうにしてるが、嫌というわけではないようで、払いのけようとしない。
「で、話を戻すが――」
「先輩、待ってください。通信が乱れています。どうやら、限界みたいです」
『むっ、予備電源に切り替えたばかりで安定してないのか。悪いけど、ライズくんの考察は後で聞こう。そこから2キロほど移動したところに霊脈の強いポイントがあるはずだから、そこまで行ってほしい。そうすれば通信も安定するはずだ』
「「了解」」
『二人ともそうだけど、特にライズくんはあの時みたいに無茶をしないよう――』
残念ながら通信はそこで途絶え、ロマンさんの言葉も途中で終わってしまった。
「……切れたか。とにかく、今言われた霊脈の強いポイントに移動しよう」
「はい。先輩は頼もしいですね」
「褒めても何も出ない――」
「キュ、フォーウ!」
背後から何か飛び出してきた。その物体はそのままマシュの肩へと乗っかる。
「やっぱりフォウか…」
その何かはフォウだった。十中八九、夢の中であの人に頬を舐められたのはこいつが現実で頬を舐めたからだろう。
「どうやら、先輩と一緒にレイシフトしてしまったようですね。………あ、ドクターへ報告してませんでした」
「これくらいは別にいいだろ。また通信できた時に報告すれば問題なしさ」
「フォウ!」
「……そうですね。ありがとうございます、先輩」
「別にいいさ。さあ、行こうマシュ。それと――」
俺はマシュに手を差し出す。
「俺はお前を酷使する気はないし、道具としても見ない。だからお前も、俺を
マシュは少し驚いたが、すぐに微笑んで俺の手を握った。
「はい。私はサーヴァントとしてまだまだ未熟ですから、そう言ってくれるとありがたいです。――その条件、お受けします。マスター」
「ああ。――それじゃあ、こっから先は仲間としての契約だ。俺はライズ・アルスティだ。よろしくな、マシュ」
「マシュ・キリエライトです。こちらこそよろしくお願いします、先輩」
まだお互いに相手のことでわからないことが多い。
だが、マシュとならうまくやっていける。俺はそう思った。
使用魔術
ライズは強化と硬化をうまく使い分けているので、接近戦においては攻撃力と防御力ともにバカみたいに高く、大抵の敵は圧倒できます。まあ、強化を使わなくても今回くらいの敵なら余裕で倒せます。
今のところ主人公TUEEEEですが、彼にも欠点というか、他と劣っている点がちゃんとありますので、それがわかるまでお待ちください。
前回は日常パートが多かったのではっちゃけれましたが、流石に真面目シーンでギャグを入れようとすると大変ですね。前回より書きにくかった……。早くキャスターの兄貴を出したいです。
感想もそうですが、誤字があれば遠慮なくご指摘を。自分で読んでると本当気づかないんで……。
それでは、この辺で。さようなら。