前回も思いましたが、戦闘描写がキツい。長引くとグダるし、かといって短すぎても面白みが欠けてしまうしと、今まで書いたものの中で一番難しいですね……。これ、魔力弾しか撃ってない組との戦闘がどうなるか怖いです(白目)
まさかの新ルーラーが来た!! 天草四郎か! …………そんなことはいい! ジャンヌだ! 早くジャンヌオルタを解放するのだ! おぉ、ジャンヌゥゥゥゥウウ!!
……本編をどうぞ。
ライズside
「僕がいなくなっても、■■■と一緒に生きていってほしい」
救ってくれた
「■。今日の帰り、買い出ししてきてくれないか?」
護るべき
「■先輩。夕飯は何がいいですか?」
慕ってくれる
「心配しなくても、あんたのことはそれなりに信頼してるわよ」
頼りになる
「その覚悟、気に入った。――俺も地獄までつき合ってやるよ」
共に戦った
「ありがとうございます、■」
初めて――恋い焦がれた
――――――――――
「着いたな」
俺たちはアーチャーを倒してから少しの休息を挟み、洞窟の最深部に到着した。
そこは洞窟の中とは思えない程広がった空間だった。更に、その空間にそびえ立つ巨大な物体が、よりその空間の異質さを際立たせている。その巨大な物体からは、とてつもない魔力が漏れ出していた。
………俺でもわかる。――あれが、冬木の大聖杯。
「これが大聖杯……。超抜及の魔術炉心じゃない……! なんで極東の島国にこんなものが…」
『資料によると、アインツベルンという錬金術の大家が製作したようです。魔術教会に属さない
「悪いが、お喋りはそこまでだ。奴さんに気づかれたようだぜ」
オルガ所長とロマンさんの会話をキャスターさんがやめさせる。その視線の先を追うと――
「……………」
黒い騎士がこちらを見つめていた。………いつもとは少し違う出で立ちだが、俺はすぐにわかった。間違いなく、あの人はセイバーさん――。
「あれがアーサー王…! 凄い魔力放出です……!」
『伝承とは性別が違うみたいだけど、あれは間違いなくアーサー王のようだね。でも、何か変質してるみたいだ』
「…………あ、本当です。女性なんですね。男性だと思ってました」
「見た目は華奢だが油断するな。あれは魔力放出でカッ飛ばす化け物だ。一撃一撃がバカみたいに重い。油断したら一瞬で消し飛ぶぞ」
「そういうことですね。………マシュ。明確な隙が生まれない限りは攻撃せず、防御に徹してくれ。下手に攻撃すれば、反撃を受けて死ぬぞ」
「は、はい!」
「オルガ所長。とりあえず、あなたは隠れて――」
「――ほう。面白いサーヴァントがいるな」
こちらで話していると今まで黙っていたセイバーさんが口を開いた。
「あ? お前喋れたのか? 今までは黙り決め込んでたのか?」
「ああ。何を語ろうとも見られている。故に
セイバーさんはそう言って、手にしていた剣――
「所長! やっぱりまだ離れないで! こっちの防御範囲にいてください!」
「わ、わかったわよ!」
「マシュ、来るぞ。俺もできる限りの魔力を廻す。――準備はいいな?」
「はい! 絶対に防いでみせます!」
よし、いい気合いだ。これなら万が一の心配もないか。
そう思ってると、周囲の異変に気づいた。闇がセイバーさんの剣へ集まっていく。………俺が知る限り、あの剣は光を集めるはずだが、セイバーさんの様子といい色々と性質が変化してるようだ。
「
闇が剣の全てを覆い、巨大な闇の剣となった。セイバーさんがそれを下段に構え――
「――
上段へと振り上げる。すると、闇の魔力が衝撃波となりこちらへ迫ってくる。まともに見るのは初めてだが、なるほど。流石は神造兵装だ。これは威力だけなら、宝具の中でもトップクラスだな。
――なら、こっちも全力でサポートしないとな!
「マシュ!!」
「はい! ――宝具、展開します!!」
できる限りの魔力をマシュへ送り、マシュは宝具を展開する。すると、俺たちの前に魔力で形作られた巨大な盾が出現した。
そこに、
「くぅ――!」
「大丈夫! 防御力は充分足りてる! あとはお前次第だ! 両足をしっかり地に着けろ!」
盾を構えるマシュを後ろから支える。
「――うああぁぁぁぁぁああああ!!」
マシュが気合いの絶叫を上げる。すると、魔力の衝撃波が盾と共に霧散した。――完全に防いだ。
「はぁ……! はぁっ…!!」
しかし、流石にキツかったのか、少し息が上がっている。
「……完全に防いだか。――よいだろう。死に物狂いでかかってくるがいい」
と、セイバーさんがその場から動いた。少しずつこちらに歩み寄ってきている。
「よくやった、マシュ。ナイスファイトだったぜ。少し休んでろ。――ここからは俺の役割だ」
俺は皆の前に出てセイバーさんの方へ歩いていく。
「オルガ所長! 今度こそ離れてください! あんたを巻き込まないよう戦える自信はないからな!」
「っ!? 先ぱ――」
「二人とも! 手は出さないでくれ!」
「…………おいおい。まさか、
「まさか。倒せるのなら、一人で此処に来てますよ。――勝ち負けの問題じゃない。これは俺のワガママです」
ただ、あの人と本気で戦ってみたい。それだけなんだ。
「………ったく、わかったよ。危なくなったら乱入するからな」
「ありがとうございます。…………そういうわけだ、マシュ。我慢してくれるか?」
「………………はい。でも、先輩――」
「わかってる。死にはしないようにするさ」
「……はい。お気をつけて」
「ああ」
二人にも納得してもらったし、行くとしよう。
そのまま黙って歩いていく。そして、セイバーさんとの距離が10メートル程の位置で立ち止まる。向こうもほぼ同じタイミングで足を止めた。
……この間合いは大分危険だ。サーヴァントの身体能力なら、これくらいは距離がないに等しいだろう。だけど、じっくり話すためにはこの距離じゃないとダメだ。
「……どういうつもりだ? マスターである貴様が先頭に出てくるなど、とても正気とは思えんな」
「そうですか? 世の中には前で戦うことしかできないマスターだっているんですから、俺がその一人でもおかしくはないと思いますよ。――まあ、正気じゃないというのは否定しませんが」
俺はそう言いながら構える。既に両手両足に強化と硬化をかけているため、戦闘準備は万端だ。
「それに、俺は一度あなたと本気で戦ってみたかったんです。かの騎士王が殺す気で放つ一撃はどれ程のものか、体験しておきたいんですよ」
「………なるほど。確かに正気ではないようだ。私と戦うためだけに、命を捨てるとは」
「命を捨てることになるかどうかは――戦ってみればわかります」
足に力を込め、足裏でしっかりと地を踏みしめる。相手を睨み、その動きに集中する。
そして、セイバーさんも構えた。剣を腰付近で後ろ向きにして持つ。
――それが、かつての光景と重なった。真剣ではなく竹刀を持ち、私服で自分と打ち合う少女の姿と。
思わず口角がつり上がる。あの時は鍛練の打ち合いしかできなかったが、今は違う。互いに手加減なしの殺し合いだ。この人と殺し合うのが楽しみというわけじゃない。どちらかと言えば、殺したくはないしな。
――それでも、自分が憧れた人の姿をより間近で見ながら、本気で戦えるのが嬉しくてしかたないんだ。
開始の合図などない。かといって、どちらから動いたわけでもない。ただ相手の目を見て、その戦意に駆り立てられ、俺たちは同時に跳び出した。
ライズside out
no side
動きは互いにほぼ同時。ライズとセイバーは相手へ突撃し、
魔力放出によって爆発的に威力を引き上げるセイバーの一閃は、本来ならライズの拳を腕ごと真っ二つに斬り裂いていただろう。――だがライズは今、両手両足にのみ強化と硬化を集中させているため、皮膚を少し切るだけに留まらせた。
この結果にセイバーは内心驚いたが、関係はなかった。効いていない訳ではないのだ。――ならば、斬り裂くまで何度でも叩き込むだけ。
(こんなに重いとはな……! 完全に防げなかったし、受け止める時は注意するか!)
ライズがそう考えてる内に、セイバーが剣を振り切って拳を弾いた。そのまま回転して2発目を叩き込む。ライズはそれを右足で蹴り上げて相殺した。
そのまま一撃、二撃と続くが、攻勢は明らかにセイバーにある。受けに回るのはマズイと考え、ライズは一度後退する。それを逃がす訳もなく、セイバーはそのあとを追う。そしてここまで戦って、ライズはあることに気づく。
(いつもより遅い?)
今のセイバーは大聖杯からの魔力供給を受けている身だ。そのため、魔力はほぼ無尽蔵であり、鎧もそれに合わせて重厚になっているのだ。しかし、鎧がその分重さを増しているため、結果的にセイバーは通常時以上の力と防御力の代償として、速さが低下することになった。
いつもの速さなら危うかったが、このおかげでライズは反撃に移れた。セイバーの頭が来る位置に向けて左拳を叩き込む。セイバーは直前で後退することで避ける。ライズはそれを追い、右拳を叩き込む。今度は避けずにセイバーは剣の腹で受け止めた。一度相手が防御すれば、攻勢はライズのものだ。
ライズは休む隙を与えずに連撃を叩き込む。手数は並みより多い程度だが、その速さは極限まで上げられている。まさに怒濤の勢いの攻撃に、かの騎士王であるセイバーも少しずつ後退していく。だが、防御に関しては全く衰えが見えない。
だが、ここにきて戦況を大きく変わる――
「っ――」
何回もライズの叩きつけるように打ち込まれた重い一撃を防ぎ続けた結果、セイバーの足元はひび割れとうとう崩れたのだ。想定外だったのか、それによってバランスを崩したセイバーは左へ倒れる。
その隙を見逃さず、ライズは全力の一蹴を放つ。――だが、これが想定外だったのはライズも一緒。そのため、セイバーが倒れながら放った一閃をまともにくらってしまった。
初めて互いの一撃がまともに入り、真逆の方向へ吹っ飛んでいく。だが、吹っ飛びながらも体勢を建て直して着地する。セイバーは顔にきた蹴りを肩で受け、ライズは腹への斬撃を硬化することでなんとか受け止めた。
(重い……。この鎧の上から受けて、肩が痺れることになるとは)
(倒れながら斬りかかってくるなんてな……! ギリギリだったが、硬化はどうにか間に合った。……それでも、軽く抉られたのはビックリだが)
互いに相手からの一撃によるダメージに驚くが、すぐに相手を見据える。現状、体力的に有利なのはセイバーだ。
いくら戦闘力が高くても、サーヴァントと人間では体力の差も大きいのだ。更に、サーヴァントは体力を魔力である程度カバーすることもできるため、大聖杯から魔力供給を受けてるセイバーは体力の消耗もほぼないと言っていい。
このまま決定打もなく近接戦闘を続ければ、負けるのは間違いなくライズだろう。先程のような隙をセイバーが二度も見せるとは考えられない。
「…………マシュ! キャスターさん!」
このままでは勝てないと判断したライズは、マシュとキャスターを呼ぶ。二人は呼ばれた瞬間に、ライズの近くへ駆け寄る。
「先輩、傷が…!」
「大丈夫だ。支障はない」
「まったく、無茶するなお前さん。……で、策はあるのか?」
「策ですか……………とりあえずは、これからの戦い方についてくらいですね。前衛は俺とマシュで、俺が攻撃、マシュが防御担当。後衛はキャスターさんに任せます。ただ、あの人はかなりの対魔力を持ってますから、なるべく魔力を込めて詠唱もしっかりしてください。でないと効きもしませんから」
「ああ、わかってる。決め手はどうするんだ?」
「………どうにかして隙をつくります。そしたら、
「構わねぇが…………大丈夫なのか?」
キャスターが心配してるのは、二人が避ける暇があるのかということではない。そこまで二人で追い詰められるかということだ。
「大丈夫ですよ。マシュが入ってくれれば、俺は攻めに集中できる。さっきよりは追い詰めれると思いますよ。……覚えてるか、マシュ? 攻めるのは――」
「はい。明確な隙ができた時、ですよね」
「そうだ。まあ、今回はできたとしても、誤ってキャスターさんの火球に当たらないように気をつけろ。………ああそれと、キャスターさん。ちょっと耳をお貸しください」
ライズはキャスターの耳元に口を寄せ、何かを伝える。すると、キャスターは眉を寄せ、信じられない物を見る目を返す。
「……おいおい、正気か?」
「正気ではないですね。でも、これくらいしなきゃ、あの人には勝てませんから。――さて、そろそろ作戦会議は終了しましょう。向こうも待ちくたびれてるようだ」
ライズがそう言いながらセイバーを見る。セイバーは剣を構えてライズたちを見ていた。ライズは話してる間に襲いかかられると思ってたが、その予想に反してじっとしていた。
というのも、セイバーは肩のしびれが完全になくなるようにおとなしくしていたのだ。たかが人間相手なら少しのしびれくらい気にしなかったが、ライズに対しての油断は敗北へ繋がると直感したためだ。
「というわけで、こっからは3対1ですが…………構いませんね?」
「当然だ。そうしなければ、私には勝てないだろう? そのために結託しようと、私は咎めん。むしろ、ここで一人で戦うことに拘るようなら貴様を斬り捨てているところだ」
「ですよね。――では、遠慮なく!!」
そう言った直後、ライズはセイバーに向けて突っ込む。マシュも少し遅れてあとを追う。
ライズは両拳によるラッシュを叩き込む。セイバーはそれを全て剣で受け流した。そして、隙が生まれたところで一閃を放つ。ライズは後ろに跳んでかわすが、着地を狙ってセイバーが突っ込む。
そこにマシュが割り込み、盾で剣を防いだ。しかし、その威力だけでマシュは吹き飛ばされてしまう。すると、その上を飛び越えるようにライズがセイバーの視界に入り、踵落としをくり出す。剣で受け止めたが、その一撃の重さで足場が砕ける。
セイバーは更に魔力を放出して弾き返す。ライズはそれによって後退するが、それと入れ替わるようにキャスターの放った2メートル程の火球が飛んでくる。セイバーはそれに気づくが、剣を振り切ったために防御は間に合わなかった。
火球が直撃し、爆発が起こる。爆煙によってその姿が見えなくなるが、構わずにライズは突っ込む。
「――
「っ――!?」
しかし、爆煙の中からその声が聞こえた瞬間にライズは足を止め、バネのように後ろへ跳んでマシュの元へ急ぐ。
「
その後ろから、爆煙を切り裂くように黒い魔力が飛び出してきた。ライズのあとを追うように放たれたそれは、ライズとマシュ、そして遠くにいるキャスターを呑み込まんと迫る。ライズはマシュの元に行くと、そのまま抱えて横に跳んでギリギリ回避した。キャスターは遠くにいたのもあって普通にかわせた。
「す、すいません、マスター。助かりました」
「いいよ。この距離でかわすのは厳しかったろうし――」
「上だ!!」
話してる二人に、キャスターは怒鳴るように警告する。ライズは上を見ると同時に拳を放つ。すると、上から跳びかかるようにして振り下ろされたセイバーの剣とぶつかる。
「マシュ!」
「っ!! は、はい!」
咄嗟のことで反応が追いつかなかったマシュだが、ライズの一喝でハッとし、ライズに当たらないように注意しながら盾を振るう。しかし、反応が遅れたこともありセイバーは跳び退いて避けてしまう。
「――キャスターさん! 宝具の準備を!! 準備ができたらすぐに使ってください!」
と、ライズは突然そう叫ぶ。予定とはまったく違うタイミングでの準備にキャスターは困惑するが、意図を理解して詠唱を始める。
ライズが予定を変更した理由。それは、セイバーが2発目の宝具を放ってなお、魔力の衰えがまったく見えないからだ。流石に2発も撃てば無尽蔵の魔力といえど減ると思っていたのだが、感じる魔力に変化はない。つまり、その気になれば宝具を連発できるということ。そのため悠長に戦うのはダメだと判断し、キャスターへ指示を出したのだ。
「マシュ。キャスターさんの宝具が準備できたらすぐに下がるぞ。それまでは俺たちで時間を稼ぐ。――悪いが、お前も攻めに回ってくれ」
「はい!」
「――よし、行くぞ!!」
再びライズはセイバーへと突っ込む。しかし、今度はマシュも一緒だ。流石にライズの速度にはついていけてないが、同時に跳び出した。
ライズの隙を埋めるように攻撃してくるマシュ。相変わらず怒濤の攻めを続けるライズ。セイバーもこの攻めは捌くので精一杯のようで、攻撃に移らない。
――そう。移らない
「――温い!」
セイバーが一喝すると同時に、彼女の周りに魔力放出による衝撃波が生じる。それを受け、二人は一瞬無防備になってしまう。そこにセイバーの一閃が襲いかかる。マシュへ放たれたその一撃――だが、それがマシュへ届くことはなかった。
「――温いのはそちらもです」
なぜなら、ライズの左手で受け止められたからだ。その手の表面は切れ血が滲んでいるが、剣をガッチリ掴んで放さない。
「ならば――」
セイバーは剣に黒い魔力を纏わせる。その魔力によってライズの手は弾かれてしまう。そして、リーチが伸びた剣をそのまま振り下ろす。
しかし、今度はマシュがライズを護るために間に入り、剣を受け止めた。また、押されるかと思いきや、今度はしっかり踏ん張っている。それができた理由は、ライズが背中に手を当てて魔力を直接送っているからだ。
「それで止めたつもりか?」
そう言うと、セイバーは更に魔力を強める。すると、セイバーの剣に盾が押し負け、マシュの足が地面にめり込み始める。このままでは上から押し潰される勢いだ。
「――準備完了だ!! いつでもいけるぜ!」
と、そこへキャスターの声が響く。ライズはすぐさまマシュを抱えて下がる。押さえていた盾が消え、下がったライズたちに魔力の刃が叩きつけられるが、ライズが強化と硬化を集中させた腕で弾き、範囲外へ出た。
「
それを確認したと同時にキャスターは宝具を解放する。込めれる限りの魔力で形成された燃える木の巨人が現れる。そして、地鳴りを響かせながらセイバーへと歩んでいく。
「………フン」
しかしセイバーはまったく動じず、むしろつまらなそうにため息をつき、剣を振りかぶる。
「
そして、3度目の宝具の真名解放を行う。その黒い魔力はまったく衰えを見せない。そして、とうとう宝具同士がぶつかり合う。
――しかし、拮抗することはなく、木々の巨人が一方的に黒い波に呑み込まれていく。
「なっ!?」
マシュが驚きの声を上げた。確かに宝具ごとにはランクがあり、威力にも違いがある。だが、少なくともキャスターの宝具も強力なものであることに間違いはない。そう認識していたからこそ、同じ宝具同士でこれほどに圧倒されることに驚いているのだ。
少なくとも、セイバーはそう考えた。――しかし、マシュが驚いたのはそこではない。
――闇の魔力に呑まれる
「何――!?」
そこから出てきたのは、ライズだった。流石にダメージを受けたようで、服と体が傷だらけになっている。マシュが驚いたのは、ライズが突然
だが、セイバーが驚いたのは別のところだ。両手を上に振り上げ、こちらへ飛びかかってくるライズ。
――その手に、勝利の輝きを放つ剣が握られていた。
――――――――――
時をほんの少し遡り、
「……マシュ。止めないでくれよ」
「え?」
キャスターの近くにまで下がったライズは、突然マシュにそう言う。マシュが質問する暇もなく、ライズは詠唱を始めた。
「――
そう口にすると、ライズの右手に電流のような物がいくつか迸る。この瞬間、ライズは激痛に襲われるが、なんとか堪える。その電流は掌へと集まり、何かの形を形成していく。
「
少しして電流は質量のある物質へ変化し、ライズの手に収まる。
――それは一振りの剣。刀身は黄金の光に包まれ、少しの装飾が施された神々しい剣だった。ライズの憧れであるセイバーが持つ唯一無二の
ライズはそれを持ち、
「なっ!?」
マシュが一見自殺にも見える行為に驚きの声を上げる。だが、ライズは死ぬ気など一切ない。全身に最大レベルの硬化をかけ、更に剣の魔力を少し解放する。その魔力で闇の魔力が多少相殺され、ライズへのダメージもかなり減った。
そのまま
セイバーはそれを見て、再び剣の魔力を解放する。ライズのとは逆に、その刃は闇に包まれる。
「
「
互いに同じ言葉を――しかし、込められた意味は違う真名を解放し――
「「――
光と闇の魔力がぶつかり合った。
今回出た能力を宝具風に解説。
ランク:なし 対象:対人(自身)宝具 レンジ:なし 最大捕捉:なし
自分の魔術回路を摘出し、それを変換させることで使う投影魔術。ライズの高密度の魔力が入っている魔術回路を変換させることで、投影したものは魔力が尽きるまでその形を留める。大抵の物は投影できるが、生命そのものは投影できない。だが、元の形さえ知っていれば体の一部は投影できる。宝具も投影できるが、その宝具の所有者に対する強い憧れが必要。宝具のランクによって使う魔術回路の本数は変化し、多く使えば本物より強くすることもできる。
ランク:A++~EX 対象:対城宝具 レンジ:1~99 最大捕捉:1000人
魔術回路本数:5本以上
はい、ライズの馬鹿げた魔術回路の数はこれを使うためのものでした。なんというチートと思うかもしれませんが、それなりの代償として魔術回路はドンドン減っていくので、あまり乱用もできません。
しかも魔術回路を摘出するのには激痛が伴うため、便利ってわけでもないです。少しでもそこで集中を切らした瞬間、ライズの体質として魔術が不発に終わってしまいますからね。当然、摘出した魔術回路は戻らず霧散してしまいます。
次回でようやく序章が終わります。空の境界のコラボ回も終わってから投稿しようと思います。コラボもう終わったって? 気ノセイデス。
では、この辺で次回予告を。
「いや、いやよ!! 誰か助けて!」
「先輩! 今近づくのは危険です!」
「せいぜい足掻くがいい、虫けら共!!」
「テメェは必ず殺してやる……!!」
「行きなさい、少年。――君の物語は、始まったばかりだ」
次回 グランドオーダー、開始