銀河英雄伝説 仮定未来クロニクル   作:白詰草

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新帝国暦4年冬 薔薇とダイヤモンド
黒檀と象牙――Ebony and Ivory――


 あなたにはできないことの方が少ない。アンネローゼに告げたのは、いま一人の薔薇の名をもつ少女だった。

 

 甥を、胸元で小さく揺らしながら、彼女の言葉を反芻(はんすう)する。旧同盟では大人がやったことに対して、親兄弟の責任は問われないと。

 

 それは、ラインハルトの思想の自由。弟を庇って亡くなったのは、ジークの思想の自由。彼の死によって、弟を拒絶したのはアンネローゼの思想の自由。それぞれの考えには、等しい価値がある。正しいのか、誤っているのかは、ただその人が考えるしかない。

 

 遥か遠いと思っていた、星空の向こうの国。その国と故郷を繋ぐ回廊で、故郷を捨てたひとの娘から突きつけられた言の刃(ことのは)。個人の意見と権利を尊重するのが共和民主制だと、あの子は教えてくれた。その本質は鋭く厳しいものなのでしょう。自分で考え、自分で立ち、自分で歩む。よりよいと思ったほうへ、命の尽きるまで。

 

「ねえ、アレク。わたしには何ができるのかしら。なにか、できるのかしら……」

 

 アンネローゼの呟きに、弟の忘れ形見は小さな手を伸ばして笑う。無垢な赤ん坊にしかあり得ない、澄みきった眼で。その深い蒼は、父上より伯母上に似ていると、周りは口を揃える。髪の毛はまだ生えそろってはおらず、黄金かくすんだ金色かは判然としない。

 

 この子を育てることに、まずは力を尽くさなければ。アンネローゼが頼んだから、ジークは命がけでラインハルトを庇ったのか。同じように、フロイライン・マリーンドルフは、妻となり母となって、皇帝の亡くなったこの帝国を背負ってくれたのか。赤毛の青年に問う事はできなくなった。

 

 ブルーグリーンの瞳の義妹には、問う必要はない。重責に立ち向かう姿を見るだけで、その心の在り処は明らかだから。アンネローゼが弟に与えた影響が、世界のすべてに波及するわけではない。健やかな寝息を立て始めた、この小さな男の子を見るとそう思う。

 

 でもあの子の姉として、背負わなくてはならないものがある。

 

「カリンさん、あなたの国ではたしかに罪には問われないのでしょう。

 でも、自分の心から逃れることもできないのでしょう」

 

 それは、フェザーンに拠点を移した、帝国の若き首脳部が考えもしなかった火種だった。

 

 いまや、たった二人の先帝ラインハルトの血族。姉のグリューネワルト大公妃アンネローゼの婚姻を考えるのは、帝国首脳部にとっては当然だった。まさか、面と向かってアンネローゼ自身に告げるわけにもいかぬ。ラインハルトが崩御して、まだ半年あまりしか経ってはいない。この一年は服喪の期間中である。だが、アンネローゼは30歳を迎えていた。

 

 そろそろ、違う衣裳に着替えてもいいとは、イゼルローンの陰の主だった男が後輩に言ったことだ。花嫁衣裳にマタニティドレス。医学の発達により、医学上の平均寿命は百歳に届く。

 

 しかし、女性が健康に妊娠出産できる期間は、ほとんど伸びていない。その上限は40歳。だが、35歳までには第一子を出産しておきたいところだ。

 

 喪が明けたら、義姉に縁談を勧めたいとヒルダは考えた。しかし、貴族には釣り合う身分の者がいない。では、七元帥の未婚者はどうだろうか。だが、迂闊に彼らに持ちかけるわけにはいかないのが、摂政皇太后という身分である。実質的な勅令となるからだ。

 

 ヒルダは悩み、一人の女性に頼ることにした。ヒルダとアンネローゼ、そして亡くなった金髪と赤毛の若者達との共通の友人。ヴェストパーレ男爵夫人マグダレーナ。象牙色の肌と帝国では珍しい黒髪を持つ、才気あふれる美女だ。芸術家達への支援者としても知られ、多くの若手芸術家のサロンを主催している。なお、男爵夫人といっても既婚者ではなく、男爵家の女性当主である。

 

「グリューネワルト大公妃殿下に縁談を……。

 皇太后ヒルデガルド陛下、恐れ多いことですが、

 わたくしにはお答えすることはできませんわ」

 

「ヴェストパーレ夫人、どうかヒルダとお呼びになって。

 あなたには、どうか昔からの友人として助言をしていただきたいの。

 お義姉さまも、きっとそうお望みですわ」

 

 超光速通信の向こうの美女は、扇で口元を隠すとちらりと視線を流した。

 

「人払いはしてあります。そして、この回線は皇族用の機密のものですわ」

 

「陛下のお心遣いには、伏して感謝をさせていただきます。

 では、申し上げますが、問題は一つ二つではありませんのよ。

 まず第一に、大公妃殿下以外に、皇太后陛下が心から信頼できて、

 大公殿下の身命を託し、育てることができる方がいらっしゃいまして?」

 

 ヒルダは目を見開いたが、硬質な唇を開くことはできなかった。

 

「それが最初の問題ですわ。

 大公殿下のご成長によって、解決していくのでしょうが、時間を必要といたします」

 

「ですが、フェザーンには子供を育てる専門職に従事している人が沢山います。

 その人たちを雇用しようと考えているのですが」

 

 マグダレーナは、扇をひとあおぎすると視線を流した。

 

「陛下、フェザーン人は金で動くと思うのは誤りですわ。

 彼らにとって、新銀河帝国は故郷を奪った敵でしてよ。

 大公殿下の御身にとって、危険なことです。

 かといって、貴族のなかから乳母を選ぶのも難しいことですが」

 

「私の係累ならば、何人か心あたりがありますけれど」

 

 ヒルダの言葉に、黒髪の貴婦人は優雅に頭を振った。

 

「いいえ、貴族の血縁は五百年続いていますわ。

 その一員である以上、貴族連合に属した家門と無関係という者のほうが少ないのです。

 慎重に調査をして、人品を見定めなくてはなりません。

 常日頃から親交を結ばれ、信頼が置ける方ならよろしいでしょうが、

 皇太后陛下のご血縁というだけでは危険です。

 端的に言うなら、絶対に裏切らないような方ですの?」

 

 またしても答えを返せなかった。他愛もない社交辞令をする着飾った親類の女性たち。彼女らのようにはなりたくないと、ヒルダは自分の好きなことに打ち込んだ。ドレスではなく、男性の着るようなパンツスーツで、勉強をして大学にまで進んだ。そのうち、彼女たちのほうもヒルダを遠巻きにした。可愛くないという言葉に、それでもいいと反論した。

 

 無言のヒルダに、マグダレーナも察したのだろう。

 

「まあ、そちらの準備は徐々にお進めになればいいでしょう。

 次にご結婚相手として、どなたを考えていらっしゃるの。

 七元帥の誰かというのなら、一人はお譲りできませんわ。

 わたくしの夫となる方ですから」

 

 ヒルダはその言葉に、ブルーグリーンの瞳を瞬いた。

 

「まあ、どなたが……いいえ、愚問でしたわね。

 まさか、縁談の相談をして、あなたの婚約を知るとは思いませんでした。

 おめでとうございます」

 

 七元帥のなかに、彼女が支援していた芸術家が一人いる。ピアノの名手で散文詩人、風景の水彩画にも秀でたエルネスト・メックリンガー元帥だ。彼女の夫となるのは、彼以外にはありえない。

 

「いいえ、皇太后陛下からのお話に、不躾な真似をして申し訳のないことです。

 正式な婚約発表は、先帝陛下の喪が明けてからと思っておりましたけれど、

 絶世の美女が恋敵となるのは遠慮をしたいのよ」

 

「実は、別の方とは、私の侍女がお付き合いを始めましたの。

 結局、候補は若いお三方になるのですね」

 

 ヒルダの言葉に、マグダレーナは瞬きをした。

 

「あら、ではケスラー総監が。それにしても陛下の侍女とはフォイエルバッハの令嬢でしょう。

 また随分お若い方ね」

 

「うまくいくかどうか、もう少し先のことになるでしょうけれど」

 

「それでも、慶事が続くのはよいことですわ。

 ただ、正直に言わせていただけるなら、三元帥の誰かとおっしゃるならば、

 手放しで賛成はできませんわ。

 元帥のままで、大公になっていただくわけにはいかないでしょう。

 その方に退役していただかなくてはならないけれど、

 この一、二年後にその体制にできまして?」

 

「やはり、現役元帥のままというわけにはいかないものかしら」

 

「皇太后陛下らしくないことをおっしゃるのですね。

 大公妃の夫は大公。第三位の皇位継承者になるのです。

 その方が、強大な武力を有しているというのは危険極まりないことです。

 リップシュタットの二の舞になりかねないわ」

 

 ヒルダは思わず叫んだ。

 

「あの方たちは、そんな人ではありません!」

 

 色をなした皇太后に対しても、男爵夫人は冷静だった。

 

「いいえ、どうか聞いていただかなくては。権力は、容易く人を変えてしまいます。

 わたくしは、先帝陛下の少年の頃を知っておりますから。

 ほんとうに磁器人形(ビスクドール)のような子だったわ。

 彼は、滅多に会えない姉との面会を心待ちにし、

 その時が終わるときには、頬を真っ赤にして涙を堪えていたのよ。

 無二の親友だけを心の支えにしてね」

 

 マグダレーナは、象牙の扇をぱちりと閉じた。

 

「その子は青年となって、赤毛の親友を亡くして、姉上の心も失いました。

 帝国を割る戦いに勝利し、フェザーンと同盟を平らげて宇宙の覇者となられましたわ。

 キルヒアイス元帥が生きておいでなら、大公妃殿下が傍らにいらっしゃったのなら、

 果たして宇宙の統一をなさったかしら?」

 

 ヒルダには答えられなかった。マグダレーナは続けた。美しい瞳に、黒い睫毛で陰を作りながら。

 

「そういうことですわ。帝位とは一人だけの問題ではありません。

 周囲が、大公妃殿下とその御子を、担ぎ上げようとするかもしれないでしょう。

 はっきりと申し上げるなら、大公妃殿下の子供と大公アレク殿下が、

 後継者争いをすることまで考慮しなくてはならないのです」

 

「陛下は、能力があるものが継げばいいとおっしゃいました……」

 

 力のないヒルダの抗弁に、マグダレーナは再び広げた扇の陰で溜息を吐いた。

 

「それは先帝陛下なればこそのお言葉です。

 しかしそれに従えば、宇宙の全てで内乱になるでしょう。

 あなたがたは、フェザーンに新たな帝都を作り上げた。

 そちらには帝国本土の人間が、何人住んでいるのかは存じませんが、

 こちらに残っている、数多の人々のことを忘れないでくださいな。

 オーディーンを大公殿下の直轄領にしたことで、随分と人心は安定しました。

 それを引っ繰り返すようなことを、早々になさるべきではないわ」

 

 確かに、友人として心からの忠言だった。アンネローゼの子は、アレクと玉座を争う存在になりうる。建国の功臣を父に持つその子と、亡き先帝と摂政皇太后の嫡子だが、父母の係累には実力のないアレク。貴族連合とリヒテンラーデ=ローエングラム体制の対立そのものだ。ヒルダは溜息をついた。

 

「ありがとう、ヴェストパーレ男爵夫人。

 ですが、大公妃殿下には幸せになっていただきたいの」

 

「わたくしもそう願っています。

 ですが、大公妃殿下は、大変にお美しい方よ。殿方ならば誰しも妻としたいでしょう。

 あの方自身が選ぶなら、選ばれなかった者は身を引きましょう。

 しかし、それが皇太后陛下の差配によるものならば、選ばれぬ者は嫉妬するかも知れません。

 男の嫉妬は女のそれよりも激しい。女は邪魔者を葬り去ろうとする。

 男は、自らを選ばぬ者を滅ぼそうとする。時には己ごと」

 

 マグダレーナの指摘は、ヒルダの夭折(ようせつ)した従弟をも指していた。だが、それはヒルダの胸郭を殴りつけるような衝撃でもって襲った。ラインハルトを暗殺しようとした、余命いくばくもなかったハインリッヒ・フォン・キュンメル。彼が持たなかった健康、輝くばかりの若さ、美貌と才能を有していた夫への嫉妬。その不公平をもたらした運命へ、生の残滓を絞りつくした生前葬。この激動の日々に薄れかけた記憶、しかしまだたったの三年前だ。

 

 キルヒアイス元帥の死には過剰な厳罰を科した。しかし、ヒルダと父は免責された。これだけでも、貴族連合やリヒテンラーデ候に連なる者には怨まれて当然だ。オーベルシュタイン元帥の進言は、統治者の公平についてのものだったのだ。専制君主の難しさ。愛憎の激しかった夫は、果たして名君だったのか。

 

「そのことをどうかお忘れにならないで。

 陛下と妃殿下の友人としてなら、ご結婚には賛成です。

 しかし、ローエングラム王朝の臣下としては、お答えできる言葉は違うのです」

 

 アンネローゼが結婚するならば、相手と環境の双方を整えなくてはならない。さもなくば、国家の為には有害どころか危険である。

 

「重ねてお礼を申しますわ。

 ところでヴェストパーレ夫人、ご結婚なさったらフェザーンにいらっしゃるのですか?」

 

「ええ、もちろん。わたくしは妃殿下よりも年上ですから、

 帝国の首脳のお考えはよく分かっているつもりですわ」

 

 そう言って、艶やかに微笑む。

 

「これからも、是非相談にのっていただきたいわ」

 

 マグダレーナは、ドレスの裳裾を優雅にさばいて立ち上がり、貴婦人の礼をとった。

 

「わたくしが結婚するまでの間になりますが、喜んで」

 

 ヒルダは愕然とした。

 

「何故ですか」

 

「そう、それが最後の、最大となる問題です。

 わたくしが、男爵家の当主である今なら、陛下のご下問にもお答えができましょう。

 しかし元帥の妻となり、陛下との親交をそのままに続ければ、

 軍部を割ることにもなりかねません。

 君主は孤独なものですわ。それを補佐し、耳目(じもく)となるのが皇妃の役割でもありました。

 舞踏会や茶会、サロンを開くのも、決して虚礼ばかりではなかったのです。

 それを理解している貴族が少なかったのは事実ですが、男にできぬ女の仕事でしたのよ」

 

 まさに考えもしなかったことだった。ヒルダやラインハルトが旧弊として、切り捨てたもの。しかし、専制君主として立つかぎり、必ずや付いて回る慣習。五百年近い歳月が築いた、天才の輝きをもってしても容易には突き崩せない、時の神(クロノス)の砦。それが幾度となくヒルダらの前に立ち塞がる。

 

「皇太后陛下は、大公殿下の摂政であらせられる。

 新たな夫という相談相手を持てぬ定めです。

 陛下の相談役となれるのは、大公妃殿下しかいらっしゃいません。

 それは、あの方が皇帝ラインハルト陛下の姉上、

 大公アレク殿下の伯母上で、ほかに係累を持たぬからです。

 どなたかの妻、母になればそれは難しくなりますわ。

 ですが、皇太后陛下にその覚悟がおありになるのなら、

 わたくしの及ぶ限り、大公妃殿下のご結婚にお力添えをさせていただきましょう」

 

 扇が遮らぬ、凛とした眼差しがヒルダを見つめた。

 

「何も失わずに何かを得ることはできないのですわ。

 あの方の幸せか、王朝の安定か。

 どちらも正しく、大事な、ただ一つしか選べぬ道です。

 おふたりでよくお話し合いをなさってくださいと申し上げたいところですが、

 それが難しいからこそ、わたくしにご連絡をくださったのでしょう?」

 

「ええ、そのとおりだわ。

 私は貴族の令嬢としてのつまらない生き方をしたくないと思っていました。

 それが、こんなに何も知らない、頼れる友人はあなたしかいない。愚かでしたわ」

 

 思えば、自分にはラインハルトにとってのキルヒアイスのような親友さえいない。

 

「皇太后陛下、そんなに卑下をなさることはございませんよ。

 これだけ世界が大きく変貌したのです。

 今までのやり方が通じぬのなら、新しい方法をお考えになればいいのですから。

 あなたには、その力がおありになるのです。

 皇太后の名において、典礼省に命じればよろしいのよ。

 そして、大公妃殿下は有職故実にお詳しいわ。皇帝の寵姫でいらした方ですからね。

 いきなり縁談をお話になるのは、いかにも短兵急なこと。

 まずは、皇太后陛下の相談役として、心の扉を少しずつ開いていただくの」

 

 かつて、ラインハルトは、マグダレーナを女性ながらに大元帥の軍服が似合うだろうと評した。それも頷ける見事な回答だった。

 

「でも、ご結婚はどうすれば……」

 

 問題が一巡したかに思えて、反論をしたヒルダに漆黒の髪が左右に揺らされた。

 

「アレク殿下の養育も、ローエングラム王朝の安定もこの三年が一つの目安でしょう。

 そのころには、七元帥以外にもふさわしい方が現れるかもしれません。

 先帝陛下は矢のような早さで、様々な改革を進められました。

 でも、そんなにすぐに人々の心は変えられません。

 大公妃殿下のお心も同じですわ。キルヒアイス元帥が亡くなり、

 でも戦は終わらず悲劇が連鎖していく。

 次々に心を痛めることが起こるのに、どうしてすぐに新たな人生を探せましょうか。

 アレク殿下の成長を見守り、心をお休めになる時間が必要でしょう」

 

「それは、イゼルローンの人たちにも言われましたわ。

 ゆっくり進めないと、皆がついていけないと。

 でも、焦るばかりでどうしても忘れてしまいます」

 

 ヒルダは、瞳を伏せた。

 

「皇帝陛下は、何事も乗り越えていかれたのにと」

 

「それが天才、英雄の輝きというものでしょう。

 周囲を、世界を魅了して、時代の潮流を作り上げるのです。

 あの人が申しておりましたのよ。皇帝ラインハルト陛下は望遠鏡だ。

 しかし、顕微鏡の機能は備えていない。だからといって非難することはできないと。

 皇太后陛下が顕微鏡の役割を果たしてこられた。

 今度は大公妃殿下に、その座に就いていただくのです。

 あなたには願う権利も、命じる力もおありになるわ」

 

 その言葉に、ヒルダは瞳を瞬かせた。

 

「では、ヴェストパーレ夫人にも命じることができるということですね」 

 

 この切り返しに、黒い瞳に悪戯っぽい笑いが浮かんだ。

 

「あらあら、一本取られましたわね」

 

「ヴェストパーレ男爵夫人、皇太后として命じます。

 グリューネワルト大公妃アンネローゼの相談役に任じます。

 これならば、あなたが結婚なさっても問題が少ないのではないかしら」

 

「言う者は言うでしょうが、仕方のないことでしょうね。

 いずれにしても、フェザーンに参りますのは先帝陛下の一周忌式典になりますから。

 こちらは、ワーレン元帥やアイゼナッハ元帥のお陰で落ち着いてはいます。

 ただ、一つお耳に入れなくてはならないことがあります」


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