オラリオで自由気ままに過ごすのはダメだろうか(一時完結)   作:ダーク・シリウス

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冒険譚10

賑やかな騒々しさが絶えない北西のメインストリートに一人で歩く。他の大通りと比べても一層道端が広いこのメインストリートは、『冒険者通り』の呼び名の通りに多くの冒険者の姿が見受けられ石畳で舗装された通りは雑多な足音で溢れていた。まだ朝早い時間帯、ダンジョン探索に向かう前の冒険者はギルド本部やそれぞれの道具屋(アイテムショップ)に立ち寄り、各々の準備を済ませているのだろう。背に観賞用の者と疑われてもおかしくない他の冒険者が持つ武器よりも美しく、意匠や装飾が施されている大剣を背負って酒場に展示されている冒険者依頼(クエスト)を興味津々に見ていると

 

「こんな所で会うなんて奇遇だねぇイッセー君」

 

「あれ、ヘルメス?と、アスフィは?」

 

橙黄色の髪を隠すように羽付きの鍔広帽子を被った【ヘルメス・ファミリア】の主神ヘルメスが一誠に嬉々として絡んできた。

 

「アスフィは団長としての仕事が溜まっているからね。俺は彼女の労を重ねないようにして堂々と一人で散策してるのさ」

 

「―――逃げたな?」

 

そんなことないよー、と言いながら一誠が見ていた掲示板へヘルメスも興味深そうに見つめる。

 

「なんだい?何か面白い冒険者依頼(クエスト)があったのかい?」

 

「まだ、見たばかりだから何とも・・・・・お」

 

興味深い冒険者依頼(クエスト)を見つけた一誠の隻眼。

 

 

『幻の人魚族(マーメイド)の捕獲!』

 

 

そんな内容を記された羊皮紙を見つけたヘルメスも目を輝かせた。

 

「人魚、マーメイドっているのか?」

 

「ああ、滅多に姿を現さないけれど船乗りの間じゃ割と有名だよ。何でも美しい声で歌を歌って船乗り達を美の女神のように虜にして―――食べちゃうらしいんだ」

 

「・・・・・肉食?」

 

若干頬を引き攣らせ想像する人魚を浮かべている一誠を察してか、苦笑いを浮かべてヘルメスは語った。

 

「いや、人魚族(マーメイド)は繁殖期を迎えるとアマゾネスのように襲いかかるんだよ。一族繁栄を保つためにね。だけど、それは海の中でされちゃうから船乗り達は溺れ死んでしまう」

 

「対処方法は無いのか船乗り達は?」

 

「繁殖期を迎えた人魚族(マーメイド)がいる海に近づかないことが一番の対処方法だね。それでも行くなら冒険者に依頼をして海に出る。まぁ、その冒険者達も歌声に魅了されて・・・・・海に引きずり込まれるんだけどね」

 

ダメじゃん、その冒険者達。ミイラ取りがミイラになってしまった冒険者に呆れ返って、酒場の様子を一瞥すれば、大量の網や銛など地上に必要なのかと思うぐらい漁業に欠かせない道具を持っている冒険者達の姿がいた。

 

「危険を冒してでも会いに行きたいものなのかな?」

 

「だろうね。歌声はあの美の女神フレイヤ様ですら魅了させてしまうんじゃないかって話も聞く。僕も見たことがないから見てみたいなぁ。―――そこでだ、イッセー君」

 

ポン、と一誠の肩に手を置いては満面のスマイルを浮かべ出したヘルメス。

 

「俺達もこの冒険者依頼(クエスト)をしてみないかい?」

 

何で何だと言わんばかりに他【ファミリア】の主神に疑問をぶつけた。

 

「一応、違う【ファミリア】の主神自らそう言うのってどうなんだ?って、思うんだけど」

 

「おいおい。君と僕は派閥を超えた友達じゃないか!こんな興味深くて信用と信頼できて、何時でも自由な行動が可能とする冒険者は君しかいないんだ!俺からも報酬を出すからさ!」

 

合掌、お願いのポーズをするヘルメス。改めてその冒険者依頼(クエスト)を見れば、引き受けられる期日は今日まで。人魚族(マーメイド)の繁殖期は迫っているのか定かではないが、興味がないと言うのは嘘になる。視線を冒険者依頼(クエスト)の掲示板からヘルメスへ戻す。

 

「・・・・・条件がある」

 

「おっ、引き受けてくれるんだね?で、条件とはなにかな?」

 

「アテネ達も連れて行くけどいいな?」

 

ヘルメスは笑みを浮かべて了承した。

 

 

 

―――でも、神は襲われないのか?―――大丈夫、実際見に行った神もいたけど神威を発動させれば襲われなくなったって聞いたよ。―――ああ、襲われたんだ。

 

 

 

 

深淵の海底に不気味さを感じさせる洞穴がある。地上を生きる生物が決して行けれない場所で様々な魚介類達が悠然と我物顔で泳いでいる深海に聞こえるはずもない声が聞こえてくる。美しくもどこか儚く寂しげな、そして人の心を虜にしてしまいそうな声音が。

 

「―――全然ダメね」

 

下半身が鱗に覆われた魚、上半身は豊かな女体の姿―――人魚族(マーメイド)が腰に手を当てて首を横に振り、歌っていた人魚族(マーメイド)にビシッ!と指を突き付けて叱咤する

 

「地上の男達を誘い込む歌にどうして悲しみが含んでいるのよ。それじゃ近寄ってくれもしないわ!」

 

「だって・・・・・海に引きずり込んでしまったら溺れて死んでしまう。私の歌は海に引きずり込む為のものじゃない」

 

「しょうがないわよ。私達はそういうことしなきゃ子孫を残せない種族。いざ地上に出れば私達は人間の男どもに捕まって慰みされるか二度と海に戻れない場所へ売り飛ばされる。太古からそんな仲間達が大勢いることを知らないはずがないでしょう」

 

「あなたは見ず知らずの男と交じりたいの?」

 

「イケメンだったらいいわねっ!」

 

絶対に捕まえてやるんだから!と拳を握って気合を入れた人魚族(マーメイド)と対照的に消極的な人魚族(マーメイド)

 

「私は嫌。前回も私達の仲間が傷付いた。今回はそれ以上の被害が出るかもしれない」

 

「水の精霊の加護を受けている私達でも傷付くのは仕方ないわよ。地上に出たら水の精霊の加護の力が極端に無くなって魔法ですら発動できなくなる。あなた、地上でそんな生活を、生き方を、人生をしたいの?」

 

「・・・・・」

 

諭すように顔を俯く人魚族(マーメイド)の華奢な肩をそっと掴んで笑い掛けた。

 

「だーいじょうぶっ。別に子孫を残すのは強制じゃないから生涯独身で貫いた仲間もいる。あなたも後悔のしない生き方をしてくれれば親友の私は安心できるわ」

 

「レリィー・・・・・」

 

「ほら、もう一度練習しましょう?私の好きなあなた自身の歌を」

 

 

―――○●○―――

 

 

数日後、時は来た。オラリオから冒険者達は馬車の荷台に座り心地が良くない中で港町(メレン)―――『迷宮都市』オラリオの南西にある漁業や外国との流通が盛んな町へ出発した。その中に一誠たちの姿は、ない。

 

「おっそいなーイッセー君達、寝坊かなー?」

 

「時間はまだ約束の30分前に来た我々が早いのですヘルメス様」

 

「はっはっはっ。そうだったね。人魚族(マーメイド)を見たいと思っていたら昨日は興奮のあまりに眠れず早く来てしまったよ」

 

人魚族(マーメイド)の捕獲って本当にしないですよねヘルメス様?」

 

「しないさ。してしまえば僕は彼に軽蔑されかねないよ」

 

【ヘルメス・ファミリア】主神のヘルメスとその団長アスフィ・アル・アンドロメダ、犬人(シアンスロープ)の少女、ルルネ・ルーイ。オラリオから外へ出られる門の前に立っている三人は【アテネ・ファミリア】を待っていた。

 

「楽しみだなー彼と冒険!」

 

「子供のようにはしゃがないでください。主神としての威厳を無くされては困ります」

 

「アスフィもあんまり小言とか頭が固い考えをすると、イッセー君に嫌われちゃうよー?」

 

「なっ、どうして嫌われることになるんですかっ」

 

「アスフィ、イッセー達が来たぞ?って、なんか予想外な奴もいるんだけど!」

 

ルルネはギョッと目を丸くして向こうの大通りからやってきた【アテネ・ファミリア】を見た。ヘルメスもアスフィも不思議な気持ちを抱きつつ驚いた。

 

「あれって【剣姫】?」

 

「ええ・・・・・ですが、どうしてでしょうか。他にも【ロキ・ファミリア】の幹部もいますし、あの女性は・・・・・?」

 

二つ、いや四つの【ファミリア】が合流を果たし、開口一番に一誠は告げた。

 

「悪い、急遽アイズ達も同行することになった」

 

「どうしてそうなったのですか?」

 

「んとだな」

 

時間まで何時ものように朝弁当を販売していた⇒何時ものようにアイズ達がダンジョンに行こうとしていた⇒しかし【アテネ・ファミリア】は人魚族(マーメイド)を見に行く予定だと教えた⇒じゃあ、一緒に行く。

 

「こんな感じで付いてくることになったんだ」

 

「軽く、説明されましたけれど理解はしました。しかし、あなたは何時の間に【剣姫】達と知り合いになっていたのですか」

 

「【ロキ・ファミリア】が前回の遠征していた時からだな」

 

大分前から自分の知らないところで交流をしていたことになる。有名な冒険者とダンジョンに潜っていたと言うことは付き合いも短くないはずだ。

 

「それと犬人(シアンスロープ)の彼女は?」

 

「【ミアハ・ファミリア】の唯一の団員、ナァーザだ。アイズ達と同じ理由だが、海底に潜ると言ったら海底の道具(アイテム)になりそうな材料を採取したいって懇願されたから連れてきたんだ。

 

「よろしく・・・・・」

 

抑揚の少ない挨拶をするナァーザやペコリと頭を下げたり短く挨拶をするアイズ達。

 

「あっ、ルルネ!久し振りだなー元気していたか?」

 

「久し振りだなイッセー。そっちこそ元気そうじゃん」

 

「ああ、また今度宝石樹やら白樹の葉(ホワイトリーフ)を採取しに行こうな」

 

隣にいる仲間にも親しげに会話を交わす。ルルネを見れば普通に一誠と接している風に窺わすのに反して、嬉しそうに尻尾を緩慢に揺らしている。揺れている、振っている。

 

「・・・・・」

 

ゲシッ、

 

「いだっ!?」

 

「え、アスフィ?」

 

「いえ、何時もどこぞの神様に仕事を押し付けられ、とばっちりを受けたり尻拭いをする度に心労が増える人の気苦労を知らない馬鹿犬にいらっとしただけです」

 

八つ当たりされたのかっ!蹴られた尻を擦る犬人(シアンスロープ)は情けない顔になりそうになっていた。

 

「イッセー、オラリオに戻ったらマッサージしてください。絶対にです」

 

「お、おう。わかった」

 

逆らえぬプレッシャーを放つ気苦労人のアスフィの要望に思わずと了承してしまった。マッサージと聞き慣れない単語にアテネは「イッセー、マッサージってなんなの?」と尋ねた。

 

「あー、手や指で相手の背中や足といった全身に触れつつ押し付けて体に流れる血液の動きを良くさせたり、心身の疲れを癒す一種の治療、回復というべきか。でも、疲れてない人には痛いとかくすぐったさを感じるがな。だけど、激しい運動をする人にはそれなりに効果が出るんだ」

 

一通りマッサージというものを説明されたアテネ。―――なにそれ、そういうことを違う【ファミリア】の子供にしていたと言うの?しかも、ジョセイ・・・・・。

 

「アテネも体験してみるか?気持ちを込めてマッサージするよ」

 

「・・・・・」

 

気持ちを込めて・・・・・体を触れてくる一誠を想像して、発火するほどの勢いで顔を真っ赤にしたアテネ。

 

「あ、あうあうあう・・・・・」

 

「アテネ?」

 

真っ赤なまま顔を俯いて何を言っているのか分からない言葉を口にする主神の女神に顔を寄せて心配そうな視線を送ると、

 

「ちょ、ちょっと、心の準備が必要になると思うからその・・・・・か、考えておくわ」

 

「え?服の上でも肩を揉むぐらいならできるんだけど・・・・・何を考えていたんだ?」

 

―――――っ。

 

ダッ!

 

「え、アテネぇっ!?」

 

銀髪女神が逃走した。一誠は目を丸くして驚愕の叫びをした。

 

「はははははっ!あのアテネが顔を真っ赤にして走っていく様を見るなんて思わなかった!ははははははっ!」

 

「笑っている場合じゃありませんヘルメス様。イッセー、直ぐに追いかけて連れ戻しに来てください。私達はここにいますから」

 

「すまんっ!」

 

その後、何とかアテネを連れ戻すことができた一誠だが、終始笑い続けるヘルメスに八つ当たり気味に殴る蹴るの暴行を加えだしたことで慌てて止めに入る騒動が起きてしまった。

 

「いいっ?誰かに言ったら絶対に天界へ送還するからねっ」

 

「わ、わかりましたぁっ!」

 

一悶着はようやく収まったところで移動を開始する。

 

「悪いね。思いの他人数が来たから馬車での移動は、また馬車を借りるまで時間がかかるよ。まぁ、人魚族(マーメイド)が姿を現すのは深夜の満月の日だからまだまだ時間はある方だけどね」

 

「すまない。我々の行動で手間を掛ける」

 

「ごめんなさい・・・・・」

 

リヴェリアとナァーザが謝罪する。しかし、その問題をあっさり解決するのが一誠なのだ。

 

「んじゃ、俺が用意するよ。それでいいだろう」

 

この一言で周りから視線を集めるのだった。

 

「用意って、馬車を?」

 

「ふっふっふっ、アテネ達神やアイズ達冒険者が見聞したことのない乗り物だ」

 

オラリオから出ようと足を運びだす一誠に怪訝な気持ちを抱くアテネ達。そして、門を潜って外に出た一誠は見渡す限りの草原に移動してある程度オラリオから離れた場所で立ち止まったら、何もない空間が眩い光を弾かせて杖自体が十字架を模した形で大きな十二枚の金色の天使の翼を生やし、輪後光もついている金色の杖を発現し出した。

 

「イッセー君、それは・・・・・」

 

「秘密だ」と教えない一誠を余所に杖の翼が広がり輪後光に光が帯び始め、先端に収束する光が目の前に魔方陣を描いた後に細長く大きな鉄の塊が魔方陣からゆっくりと全貌を明かした。

 

「お、おおおおおおおおおおっ!?」

 

驚嘆する。魔法円(マジック・サークル)から大きな物体が出現した光景をヘルメスは次第に橙黄色の瞳にキラキラと輝かし始めた。

 

「イッセー君!アレはなんだい!?」

 

「鉄の乗り物だ」

 

「鉄!?これは鉄でできた乗り物!?一体どういう風に作れば―――!」

 

「ははは、神秘的な力で作った、って言っても理解なんてできやしないだろう。取り敢えず乗ろう」

 

頭や心から驚きが抜けないままのアテネ達を催促しガチャリと扉を開けて中に入った一誠におずおずと鉄の乗り物の中に入ると―――豪華絢爛の設備がアテネ達を驚かせた。ソファやテーブル、窓から覗けるオラリオの石壁や摩天楼(バベル)。アテネ達は忙しなく一誠が創造した乗り物を触れたり確かめたりしていると一誠は自分の腕に腕輪のようなものを装着して丁度真正面の風景が見れる窓や空間に囲まれている席に座って動かせる丸い物を両手で添えつつ掴んだ。

 

「そんじゃ、出発するぞ」

 

「出発って、まさか―――」

 

「ああ、そのまさかだ」

 

ニヤリと面々の反応を窺った一誠が右足で何かを踏み込んだと同時に垂れている紐を引っ張ると甲高い音が中まで聞こえるほど鳴り、動き始めた。

 

「う、動いているっ?」

 

「鉄の乗り物が・・・・・動き始めた」

 

何とも形容し難い心情で今立たされている状況を把握しようと必死になっている面々とは対照的にヘルメスが一誠に近づいて子供のようにはしゃいでいた。

 

「アテネ様、イッセー様は一体」

 

「あの子はあの子よ」

 

「いや、私らはイッセーを知らないから知りたいんだけど?」

 

「全てが終わったら教えてあげるわよ。今は、素直に驚かされましょう」

 

アテネも驚いていたのを隠さず、早く動く景色を凝視。

 

―――イッセー君、俺も動かしたい!―――無理、これ俺の魔力でしか動かせないから。

 

前からそんな声が聞こえる最中、先に出発していた馬車の一団を何時しか通り越して愕然とした顔でこちらを見ていたのをアテネはしっかりと目に焼き付けた。それから数十分後、目的地の港町に辿り着いた。

 

「早いっ!数時間は掛かるはずなのにもう着いたのかっ!」

 

誰もが驚嘆する―――しかし、乗り物は止まることを留まらずどこかへ真っ直ぐ向かって行く。

 

「あれ、どうしたんだい?」

 

「このまま海底に向かう。ナァーザの要望に応えたいからな」

 

「・・・・・海底に?」

 

「ああ」

 

乗り物は何もない空間に開いた穴へ飛びこみ、暗い中を突き進むこと数秒―――。穴の向こうから光が見えては乗り物がその光に飛び込んだ瞬間。乗り物は会場のど真ん中に飛び出したのだった。

 

「そんじゃ、海に突っ込むぞー!」

 

『えええええええええええええええええええええええええっ!?』

 

一拍して、一誠たちを乗せた乗り物は海の中へ落下、沈んでいく中で大量の海水が入ってくるとアテネ達は騒然したが―――何時まで経っても海水は入ってこなかった。それどころか、乗り物は海の中を突き進み、アテネ達に海中の様子を窺わせた。

 

「嘘・・・・・」

 

「ど、どうなっているんですか・・・・・?」

 

「わからないけど、これが海の中・・・・・」

 

べったりと窓に張り付いて目の前の光景を、目が奪われたかのように見つめる。大小様々な魚達が泳いでいる姿を、書物で知った海の生物達が生きた状態で泳いでいる姿を感嘆の声を上げて観覧するアテネ達。

 

「大型級の魚に出くわさないようにしないと。俺達を小魚だと思って食べられてしまう」

 

「ははは、そんなこと有り得ないよイッセー君。この海にそんな魚がいるわけが―――」

 

朗らかに否定するヘルメスの言葉を嘲笑うかのように、乗り物を操作している一誠は全長五十Mの巨大な蛸の姿を捉えた。

 

「・・・・・いないと、目の前の見ても言えるか?」

 

「ごめん」

 

魚ではないがそれでも驚異的な存在の蛸は一誠達の存在に気付いていないようで、ゆったりとした動きで明後日の方へ移動する姿を見て安堵で息を漏らすヘルメス。

 

「いやー、冷や冷やするね海の中って。危険がいっぱいだよ」

 

「海ってのはそういうもんだ。さて、そろそろ海底にある道具(アイテム)になりそうな物を手当たり次第見つけよう」

 

「微力ながら、私もお手伝いしますよイッセー」

 

「頼んだアスフィ。ナァーザも何か見つけたら教えてくれ」

 

緩慢に尻尾を揺らし「わかった」と答えるナァーザは本当に海の底に来てしまい、こんなことできる一誠を横眼で熱い視線を送った。当の一誠は魔方陣を展開して様々な楽器を発現させた。そして一人で楽器が動き鳴らし、音楽を奏で始めた。

 

「ただ海の中を眺めるのもなんだし、音楽を聞きながら楽しんでくれ」

 

「君ってやつはどこまで凄いんだっ!」

 

「当然よ、私のイッセーなんだから!」

 

二柱の神に称賛されて口を緩ませ―――歌い出す。

 

「いつでも誰かが~♪」

 

 

 

 

人魚族(マーメイド)は歌が好きだ。どんな汚い声の歌でも歌っている者の心や気持ちを感じ伝わってくる一種の能力を有している。ピクッと人魚族(マーメイド)達の魚の鰭のような耳をくすぐって誰かが―――海の中で歌を歌っていることに気付き、一人、また一人と歌が聞こえる場所へと向かって行く。

 

「私達も行くわよっ。こんな、心から楽しくなる歌が聞こえるなんて気になってしょうがないわ!」

 

「でも、ここは海の中よ?地上の人間が歌える環境じゃないわ」

 

「その疑問を解決する為にも直接この目で確かめるだけ!ほら、行くわよ!」

 

人魚族(マーメイド)達は向かう。海の中で聞こえる歌の下へ―――。下半身が魚の体を何度も動かして水を叩きながら前へ進む他の人魚族(マーメイド)に続くように移動する。その速度は他の仲間達よりも早く、一刻ももっと近くで見聞したいという思いからか、人魚族(マーメイド)に手を引っ張られる人魚族(マーメイド)も何時しか自分で泳ぐようになって肩を並ばせて歌が聞こえる場所へと向かって行くと。

 

「・・・・・あそこから?」

 

「そうみたいね」

 

海の中に地上でしか見られないだろう鉄の塊から歌が聞こえる。移動をしながらだ。疑問は浮かぶが人魚族(マーメイド)達はさらに接近して、移動する鉄の塊の周りを囲む様に泳ぐ中で二人の人魚族(マーメイド)は見た。鉄の塊の中で真紅の長髪に隻眼の金色の少年が楽しげに楽器の音色に合わせてこの人魚族(マーメイド)達を引き寄せる楽しい歌を歌っている様子を。

 

―――トクンッ

 

人魚族(マーメイド)は感じてしまった。初めて自分で知ってしまった。恋の始まりを―――。

 

 

「うおぉっ!?人魚族(マーメイド)が現れたぞ!」

 

「すっかり囲まれちゃってるわね。攻撃されたら終わりよ」

 

「凄い数・・・・・」

 

四方八方と囲まれた。敵意や攻撃の姿勢は窺えないが言動の一つで全てが変わるだろう。

 

「イッセー、これからどうする?」

 

「うーん、悩んでいる。目的の一つは達成したけど、海底のアイテムを採取はできないなこれじゃ」

 

音楽を止めて周囲を囲む人魚達に視線を向けながら首を捻る一誠。

 

「・・・・・ん、しょうがないな。一度浮上するぞ」

 

乗り物を操作し人魚達に刺激を与えずゆっくりと上へ浮上する。人魚達は動き出す乗り物に呼応する動きをして一誠達は何事もなく海面に上がれたのだった。

 

「あれま、人魚達までついてきちゃってるし」

 

整った容姿を海から続々と出す人魚族(マーメイド)の集団。扉を開いたら近くにいた人魚族(マーメイド)に声を掛けられた。

 

「地上の人間よね?どうやって、海中を潜れたの?」

 

「俺の力、魔法でできるんだ」

 

こんな風に、と海水を魔力で操り、極太の海水の柱を何本も立てては、形を変え、アーチ状、宙に泳ぐ巨大な魚を見せたことで人魚族(マーメイド)達だけじゃなく、アイズ達さえも驚かせた。

 

「解ってもらえたか?」

 

『・・・・・』

 

コクコクと一人残らず首を縦に振って頷いた。

 

「って、どうしてアイズ達も頷く?」

 

「だって、凄かったんだよ!頷かずにはいられない!」

 

ヘルメスが代表として告げた。

 

「他にも何かできないかな?」

 

「他にねぇ、できなくはないけど」

 

海水が蠢き、巨大な透明の建造物、巨大な球体へと形作った。乗り物と水の建物と繋ぐアーチまでも出来上がる。

 

「海水が建物になった!」

 

「見た目だけで驚かれても困る。乗れるぞ」

 

証明とアーチの橋に足を前に出す一誠は・・・・・当然のようにアテネ達な目を見開かせる程に海水の橋の上を乗って歩いていた。

 

「の、乗れるの?」

 

「目の前の事実を受け入れろ」

 

その場で軽く跳躍、ボヨンボヨン、と擬音が聞こえそうなくらい弾む一誠を見て、アイズが海水の橋に足を踏んで金目を丸くする。それから恐る恐ると足を前に出しつつ、一誠に近づく。

 

「凄い・・・・・」

 

「ふっふっふっ。だろう?」

 

口角を上げて愉しげに笑う一誠。二人の様子にアテネ達も海水の橋に進み出す。

 

人魚族(マーメイド)達もくれば?これは海水だから自由に泳げるぞ」

 

一誠が透明の建造物に入ると人魚族(マーメイド)やアイズ達も動き始める。球体の海水の中に入る一誠達を囲む感じで人魚族(マーメイド)も球体の形を構成する海水の膜の中を泳ぐ。人魚族(マーメイド)の観覧場となった空間の中心部に佇む一誠達。

 

「ハハハッ!イッセー君。君はどこまで凄いんだい!?こんな光景は夢にも思いもしなかったよ!」

 

「私も・・・・・イッセー、これは凄いわ」

 

絶賛好評する二柱の神。物理的不可能こと、水の上を歩くことを見事に成し遂げてみせた。まさしく神の御技。

 

「アテネとヘルメスでもできるだろう?」

 

「多分、できると思うけど」

 

「こんなこと流石に考え付くどころか思い付かないかなー?」

 

なるほど、とある意味神を越えたことをしでかした一誠は周囲を見回す。見渡す限り人魚族(マーメイド)がいて、下半身が魚のソレを揺らしながら様子を窺う視線を向けられていることは直ぐに理解した。

 

「で、誰か俺達と話をする人魚族(マーメイド)はいない?俺達はお前達人魚族(マーメイド)を捕まえようとしに来た訳じゃないからさ」

 

問いを投げた。人魚族(マーメイド)達の中で生じ広がる戸惑い当惑。その中で・・・・・。

 

「じゃあ、私が話してみようかしら」

 

一人の人魚族(マーメイド)が一誠の足元から顔を出してきた。しかし、位置的に見下ろす形が故に少し話辛い一誠は人魚族(マーメイド)ごと視線が合うように足場の海面を盛り上げた。

 

「まずはこんにちは、か?」

 

「ええ、こんにちは。あなた、イケメンというより格好良いほうね。ちょっと好みとは外れるけどイイ男だわ」

 

「ははは、人魚族(マーメイド)にそう言われると光栄だな」

 

「海の中で聞こえた歌、とても楽しませてもらったわ。今度は私の歌を聞いて貰える?」

 

人魚族(マーメイド)の歌声か。初めて聞くから楽しませてもらうよ」

 

聞く姿勢に成る一誠へニッコリと表は綺麗で裏は悪い笑みを浮かべた。人魚族(マーメイド)の歌声に魅了されてしまう船乗りや冒険者は後を絶たず男神でさえも恍惚と聞き惚れさせる。人魚族(マーメイド)として目の前のオスを手に入れたい。そんな邪な決意を豊かな胸に抱き、息を吸って―――綺麗な音色を口から出した。

 

『・・・・・』

 

神のアテネやヘルメスも静かに耳を傾けてしまうほどの人魚族(マーメイド)の歌声。誰一人、この歌声を遮らず、じっと何時までも聞いていたいと言う気持ちを抱かせる。

 

「(さあ、どうかしら?)」

 

人魚族(マーメイド)伝統の歌があれば自身だけの歌がある。人魚族(マーメイド)、レリィーは自身の歌を披露させた。歌声に魅了という魔力を乗せて―――歌いきった。

 

パチパチッ

 

と、一誠が拍手をし出した。

 

「うん、綺麗な歌だった」

 

「・・・・・それだけ?」

 

―――魅了、していないっ!?恍惚とした表情を浮かべていない一誠が平然とした態度で拍手を送る。内心は穏やかではないレリィーの心情を察してか、それとも気付いていないのか一誠は構わず言葉を口にした。

 

「ん?聞き惚れそうにもなったけど、俺は賑やかになれる歌が好きな方なんでね。例えば―――」

 

突如として出現した幾重の魔方陣から様々な楽器が出現して演奏を始めた。

 

「今度は熱い曲を歌ってやろう。とくと御静聴あれ」

 

―――○●○―――

 

「うう・・・・・人魚族(マーメイド)の私が歌で負かされるなんて・・・・・」

 

「他の皆も圧倒されてたね」

 

人魚族(マーメイド)は歌で魅了するこそが歌う私達の本懐!なのに、どーしてあんな心から楽しまされちゃうのー!?」

 

「私、あの歌が好きだなー。人を楽しませる歌・・・・・そんな歌があるなんて知らなかった」

 

「・・・・・」

 

「どうしたの?」

 

「あなた・・・・・もしかしてあの子のことが好きになっちゃったりしてる?」

 

「な、ど、どうしていきなりそんなこと言うのよっ」

 

「だって、あなたが笑うなんて久し振りに見たし・・・・・さっき、恋する乙女の顔になってたわよ」

 

「っ!?」

 

「・・・・・言いたくはないけど、地上の人間と恋なんてできっこないわよ。地上は危ないことだらけで、悪い人間が私達のことを商品や道具扱いをするに決まってるもの」

 

「でも、あの子はっ」

 

「あの子はそうじゃなくても他の人間もそうだと言い切れる?」

 

「・・・・・」

 

「ウィル・・・・・」

 

「・・・・・うん、分かってる」

 

 

 

魔法で構築した一誠(分身体)に乗り物を操作して貰っている最中、

 

「―――人魚族(マーメイド)達の手伝いによって、海底の道具(アイテム)になりそうな、人魚族(マーメイド)の間でしか知られていない物をこんなに得ることができたな」

 

「うん、これとこれが回復薬(ポーション)の代わりに傷を癒す効果がある物・・・・・。これとこれが眠りや麻痺、毒の効果を持つ魚・・・・・これとこれが・・・・・」

 

「作製次第ではモンスターに異常攻撃ができますね」

 

海底から採取で来た道具(アイテム)を興味津々だったり好奇心だったり魔導具作製者(アイテムメイカー)や『調合』が長けている三人の新たな発明と発見を臨もうとしている姿を気になって、後ろから見ているアイズは時折専門用語が飛び交う三人に首を傾げる。

 

「リヴェリアー。今日は楽しかったねっ。海の中って凄かったし人魚族(マーメイド)達も会えたしさ」

 

「本当に・・・・・彼と一緒にいると驚かされる」

 

「そ、そうですねっ」

 

海の上を進む乗り物は真っ直ぐ港町へ向かっている。目的を全て果たし終えて満足げに、海の世界を見れて興奮の余韻は収まらなかったり今日のことを一生忘れないだろう海の他に空は朱に染まり切っており、太陽は西へ沈みかけている。

 

「アテネ。物は相談なんだけど。イッセー君をくれない?」

 

「じゃあ、百億ヴァリスをくれるなら一秒だけ考えても良いわよ」

 

「身も蓋もないどころか寛大な心すらないのかい?」

 

「彼はそれぐらいの、いえ、それ以上の価値のある子供だってことを分からないわけ無いでしょう」

 

「ははは、手厳しいなぁ」

 

不毛で不穏な二柱の神の会話のやり取りが行われている余所にアイシャと春姫は人魚族(マーメイド)が食べている帆立て貝のバター焼き(一誠作)を美味しそうに食べている。一人取り残されている気分なルルネは窓から大海原を、潮の香りを鼻の中に入れつつ眺めていると方角を考えれば港町から見えて来た巨大な何隻の木製の船を肉眼で捉えた。一定の間隔において海を突き進む船団は漁業をしに来たとは思えない。

 

「(人魚族(マーメイド)・・・・・あれ、確か)」

 

今更ながら人魚族(マーメイド)の捕獲をする理由を頭の中で思い浮かべた。人魚族(マーメイド)は綺麗な歌声の他に容姿も整っている故に商人達の間では人身売買の対象にもなる。これはルルネも常識的で一般的な考えで有り得そうな事だと思っている。だけど、他にも何かあるような気がする。

 

「なあ、ヘルメス様」

 

「なんだいルルネ」

 

結局、当然の結果と終わっていたヘルメスに尋ねた。

 

人魚族(マーメイド)を捕獲する理由ってヘルメス様なら知っているんじゃないか?」

 

何気ない一言はヘルメスとルルネに視線を集める言葉の材料となった。自分の眷属に問われた質問に、言いなさい、と無言の視線を灰色と青色の双眸から発するアテネにまいったまいった、と両手を挙げつつこう答えた。

 

人魚族(マーメイド)に関する知識は俺もあまりよく知らない。だけど、こんな海や港町に足を運ぶと聞こえるんだ。所謂お伽噺をね」

 

「お伽噺、ですか?」

 

童話やお伽噺の書物を読んだことがある春姫が反応する。人魚族(マーメイド)に関するお伽噺や童話・・・・・。

 

「もしや、『悲しい人魚族(マーメイド)の悲恋』ですか?」

 

「おー、春姫ちゃん。通だね。良く知っているね。でも、それじゃないんだ。今でも信じている冒険者や無所属(フリー)のヒューマンや亜人(デミ・ヒューマン)がいるほうが信じられないって話なんだけどさ」

 

人魚族(マーメイド)の生き血は重症の傷でさえたちまち治る。

 

人魚族(マーメイド)の涙は満月の光を浴びせれば魔法の恩恵が得られる。

 

人魚族(マーメイド)の生きた血肉を食べれば不老不死となれる。

 

人魚族(マーメイド)の体内にある宝玉を手にすれば、莫大な富が約束される。

 

ヘルメスから告げられた人魚族(マーメイド)の裏情報。何時しか海を掻き分ける音しか聞こえなくなった。

 

「それは、嘘だよな?」

 

引き攣らせる頬とうっすら浮かぶ汗を流すルルネの信じられないと言う気持ちが醸し出す。出来ればそうであってほしいと願うが、ヘルメスは鍔広帽子を弄りながら事実を告げた。

 

「いや・・・・・残念ながら世間じゃ幻や伝説となっているが―――本当さ」

 

『・・・・・っ!?』

 

「天界からでもソレは確認しているんだ」

 

嘘は吐いてないぜ?と付け足すヘルメスは言葉を続ける。

 

「どこかの神が子供達にその情報を面白半分に告げたんだからだと思う。最初はオラリオに住んでいる子供達の間では大した根拠もない戯言として聞き流される話。だが、船乗り達は違う。実際に重傷を負った傷は人魚族(マーメイド)の涙や血で治って命を取り留めた船乗りは少なからずいたんだ。その事実をオラリオにいる冒険者達の耳にも届き、やがて―――好奇心や興味を抱くようになってしまった。本当に人魚族(マーメイド)はそんな存在なのか?ってね。下界の子供達はありとあらゆる方法で人魚族(マーメイド)に接近しては捕えて、見るに堪えない、聞くに堪えないことを長くしてきた。その結果、さっき俺が言った商人からすれば喉から手が出るほど欲しい人魚族(マーメイド)の恩恵という名の金になる商品を見つけたのさ、下界の子供達は」

 

「じゃあ、人魚族(マーメイド)の捕獲をしに来た冒険者達は」

 

「間違いなくこの話を知っていて、何度もその実証を目の当たりにしてきた子供達だろうね」

 

橙黄色の双眸を意味深に一誠へ向けた。

 

「イッセー君。俺の話を聞いて君はどう思う?彼女たちを助けたくなったかな?」

 

「・・・・・何で俺に聞くんだ?」

 

平然として返したが、間が空いていることにヘルメスはいやらしい笑みを浮かべて言葉を発した。

 

「いやー、彼女達とすっかり仲良しになってしまったからね。理不尽で滅茶苦茶にされる人魚族(マーメイド)を放っておかないかなーって思って」

 

ヘルメスの質問はとても意地の悪い。人魚族(マーメイド)の悲惨な話を聞いて何もしないのであれば一誠という冒険者はそういう者であると認識される。逆に対処しようとすれば・・・・・商人や冒険者達を敵に回しかねないことをしてしまう。ギロリと一誠になんて質問をしたんだと睨みをするアテネやアスフィ。やがてヘルメスに軽蔑の眼差しを向けられようになったころ、一誠はポツリと答えた。

 

「放っておく。俺は何もしない」

 

言い続ける。

 

「大昔からそんなことされてきた人魚族(マーメイド)達も学習しているはずだ。そして子孫を残す為には危険を承知で、覚悟して船乗りや冒険者達を襲っている。俺が介入を、邪魔をすれば人魚族(マーメイド)達や冒険者達から邪魔者扱いとして敵意を向けられる。冒険者はどうでもいいが人魚族(マーメイド)達にそんな認識されるのは嫌だ。俺は中立の立場を保つ」

 

ハッキリと中立の立場でいる発言した一誠の隣にいたアスフィの碧眼は見た。膝の上に乗っている拳が自分の気持ちを抑え込むかのように震えていたところを。誰にも悟られず静かに震える拳の上に手を乗せたアスフィに隻眼の金色の瞳が向けられてきた。ただ何も言わず首を縦に振るアスフィに一誠は胸の中で感謝した。

 

「ふーん、なるほどね。それがイッセー君の答えか」

 

非難も称賛もしないヘルメスの横で女神が動いた。

 

「・・・・・ヘルメス?」

 

「うん?なんだいアテネ・・・・・待ってくれるかな。どこからその縄を取り出して俺を縛ろうとしているのかな?」

 

「ごめんなさいね?ふと急に釣りをしたくなったの。ええ、釣り上げられたら、人を丸呑みできるとっても大きな魚を酒場に持っていきたいと」

 

―――だからヘルメス。あなたが餌となってくれるわよね?―――ちょ、待ってくれ!?誰か、ルルネとアスフィ助けてくれ!―――手伝いますアテネ様。―――ア、アスフィっ!?あ、ああああああっ!―――ドボンッ!

 

「・・・・・大丈夫かな。どーでもいいけど」

 

「ヘルメスの扱い方が少しずつ悪化していくような気がする」

 

そして、本当に巨大な魚を釣れたのだから一誠は神という極上の餌は凄まじいと感嘆した。

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