オラリオで自由気ままに過ごすのはダメだろうか(一時完結)   作:ダーク・シリウス

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冒険譚38

【アテネ・ファミリア】の再結成は認めてもらえず、ホームに戻り春姫達にも事の詳細を説明すれば残念そうに落ち込む。「これからどうすればいい?」と今後の活動を考えざるを得なくなった。

 

「・・・・・イッセー、ウラノスを天界に送還しましょう。あの老人の代わりに私達がオラリオを統治しましょう」

 

瞳に光が宿っていない女神が幽鬼のようにユラリとキッチンの方へ向かって行ったと思えば、戻ってきたアテネの片手に包丁を持っていた。流石にそれは危険だと判断した一誠達が主神を抑え込む。

 

「待て待て、早まるなアテネ。派閥の件は残念だけど、俺達はアテネと一緒にいればそれで十分なんだから」

 

「そ、そうでございますっ!?ですから、その包丁をどうか置いてくださいっ!?」

 

「今のアテネ様はクラーケンより怖いわよっ!」

 

「落ち付いてぇっ!」

 

「お酒を飲んだ方がいいですわよ?」

 

必死に説得すること十分。渋々だが落ち着きを取り戻し、不満な顔をありありと浮かばせているアテネを後ろから抱き絞め、背中にでき付いているハーデスを好きにして一誠は発した。

 

「認めてくれないんじゃ、俺達は【アテネ・ファミリア】として名乗れない。一般人として生活を送る他ないだろう」

 

「でも、神の恩恵(ファルナ)は刻まれてるよ?」

 

「天界に送還された神が再び下界に降りてまた【ファミリア】の再結成を臨むなんて前代未聞だったんだギルドも。だから、規則(ルール)に則って認めなかった。そんなところだろうさ」

 

冒険者として生きる道はギルドが阻む。ならば一般人としてオラリオに生きる道しかないだろう。

 

「幸い、貯蓄していた金は豊富だ。欲張った生活を送らなきゃ数年以上は遊んで暮らせる。ダンジョンの中にも店を構えているしな」

 

現在はデカい顔で(リヴィラ)を仕切っている男の冒険者に頼んでいる。利益の方はともかく店自体は健在であろうから、後で顔を出しに行こうと一誠は考える。

 

「そういえば、遊園地の方はどうなってるのイッセー?」

 

「順調そのものだ。問題なくガネーシャが運営・管理をしている。年間で数千万、高望みで億という額が稼げれるかもしれない」

 

たったあれだけでそれだけのお金を稼げれるなんて・・・・・と驚嘆するアテネは一誠を見つめ、流石は異世界の娯楽と感嘆する。

 

―――突如、リビングキッチンにけたたましい音が響いた。

 

今までこんな音を聞かなかったアテネ達は動揺し、「この音は何!?」と一誠に問いだたす。

一誠は始終冷静で薄らと笑みを浮かべた。

 

「・・・・・不法侵入者がやってきたな?」

 

楽しげに笑みを浮かべてだ。

 

 

【アテネ・ファミリア】の敷地内に大勢の団員達が大挙で襲撃を目的に侵入していた。アイズ達が撃退した【ファミリア】である。

 

「燻り出せ!この周辺にベル・クラネル達が潜んでいるはずだ!」

 

団長が疾呼し自然豊かな敷地内に詠唱を唱えていた魔導士達による魔法攻撃が放たれる。草木が燃え盛り、周囲が瞬く間に火の海と化して空に黒煙が立ち昇る。

 

「どこだ、ベル・クラネル!ここにいる事は分かっているのだぞ!どこに隠れようと、どこに逃げようと、我々は貴様を追い続ける。一時を凌ごうが無駄だ!」

 

例え今回の騒動をやり過ごし、ギルドや他派閥のホームに匿ってもらったとしてもアポロン達は一生ベルを付け狙う、そう言っているのだ。

 

「だ、団長様っ、団長様!やはり、ここを襲撃してはなりません!?早く離れましょう!」

 

内気な雰囲気を醸し出している柔らかそうな長髪の少女が団長に進言する。眉根を怪訝に上げて「何故だ」と問うた団長に少女は何かに怯えているのか顔色を悪くしている。

 

「あ、抗えない力が団長様達を・・・・・食らってしまいます」

 

「抗えない力だと?」

 

少女の話に、団長は鼻を鳴らした。

 

「笑えない話しだ。百人以上の団員を率いている私や上級冒険者ばかりのこの人数を倒せるというのか。あのベル・クラネルが」

 

団長はせせら笑う。しかし。

 

「違います・・・・・」

 

震える声で、少女は否定した。頭を両手で掴み、蒼白になったまま、唇から呟きを落とす。

 

「大勢の女性が襲ってくる」

 

少女の瞳は、真後ろに視線を送り続けた。

 

「なにっ?」

 

 

【アテネ・ファミリア】の大きく砕けた穴の石壁の前に、巨漢もとい巨女が狂喜と歓喜が混ざった口の端を裂けそうになるほど吊り上げ、舌舐めずりして獲物が自ら檻の中に入ったことを確認せずとも鼻息を荒くして匂いで分かっていた。

 

「―――ゲゲゲゲッ!あの【アポロン・ファミリア】の男どもがこの中にいるんだねぇ?なぁおい」

 

フリュネ・ジャミール、【イシュタル・ファミリア】のLv.5の団長が顔の傍にある小型の魔法円(マジックサークル)に問いだたすと肯定と―――一誠の声が聞こえてきた。

 

『ああ、百人以上はいる。俺達は冒険者じゃないから【アテネ・ファミリア】なんて存在しない。人の家の敷地に不法侵入をした者達をフリュネ達に捕まえてもらいたい。何せ、俺達は非力な一般人だからさ』

 

「あの派閥の男はみーんな、イイ顔のした連中が多いからお前に免じて引き受けてやるよぉ~」

 

『おう、好きにしてくれ。ただし、女冒険者には手を出すなよ』

 

言われなくても女はいらない、フリュネは口に出すまでもないことを言わず、背後に立つ戦闘娼婦(バーベラ)達に振り返って叫んだ。

 

「行くよォっ!この中にいる男どもを一人残らず捕まえてアタイたちが美味しく頂いてしまうんだぁっ!」

 

意気揚々とアマゾネスを中心に構成された部隊が雄叫びを上げ、フリュネを筆頭に石壁に空いた穴を潜って、驀進の勢いで【アポロン・ファミリア】の後続部隊と直ぐにぶつかる。

 

 

『て、敵襲っ!?』

 

『アマゾネス、【イシュタル・ファミリア】の戦闘娼婦(バーベラ)が襲いかかってきます!?』

 

悲鳴が突如湧く。聞こえてくる予想だにしなかった他派閥の襲撃に団長は目を見開く。

 

「な、なんだとおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお――――――――ッ!?」

 

燃え盛る眼前を背にして後方に振り返る団長の目に飛び込む団員達に襲いかかるアマゾネス達の集団。その中で一際目立つ巨女が第一級冒険者の動きや攻撃で、一撃で団員達を地に沈ませる光景は団長の目を大きく見開かせるのに十分過ぎた。

 

「何故このタイミングで、他派閥の冒険者が我々に―――!」

 

「ゲゲゲゲゲゲッ!!!【太陽の光寵童(ポエプス・アポロ)】だねぇー?近くで見るとイイ男じゃないかぁっ!」

 

ギョロリ、と大きな眼が団長を捉え、ニタァーと笑んだ。相手はLv.5の第一級冒険者。そんな格上の実力者相手にLv.3の己が敵う筈などあるわけがない。―――逃げる一手しかない!

 

「どうして品のない下品の集まりの集団の派閥の貴様等がここにいるのだっ!?」

 

「【アテネ・ファミリア】とは同盟関係だからさぁ。イイ男がホームにいるから来てほしいって言われちゃあ来ないわけにはいかないってもんだよぉー」

 

【アテネ・ファミリア】と【イシュタル・ファミリア】が同盟関係!?団長はその情報は耳にしておらず、どうやって彼の派閥の主神へ知らせたのかわからないが、実際にベルを追い掛けに来た【アポロン・ファミリア】の団員達の逃げ道を塞ぐ形で現れた。現状、袋の鼠である。

 

「さぁーて。たぁっぷりと可愛がってやるよォ。こんな機会をくれたあいつには感謝しながらねぇ」

 

「―――――っ!?」

 

男殺し(アンドロクトノス)】という二つ名を神々から与えられているフリュネ・ジャミールの言葉に団長は死を覚悟するのと同等の危機感を禁じ得なかった。―――食らわれる。抗えない力によって。

 

―――――同派閥の少女の言葉がまさに今の状況と状態に酷似していたことをこの瞬間気付いてしまった団長だった。

 

「ゲゲゲゲゲゲェッ!逃げ道は無いよォ?Lv.4のアマゾネスが壁の穴ンところに待ち構えているんだからねぇ。大人しくアタイに捕まりなぁ!」

 

ずんぐりとした身体が予想を遥かに超える俊敏な動きで【アポロン・ファミリア】の団長を肉薄する―――。

その姿はモンスターよりも恐ろしく、人として、男としてすべてを奪われる悪魔のような女に骨の髄まで貪られる恐怖を心から抱き、団長は表情を強張らせた。

 

「おのれ、おのれっ!【アテネ・ファミリア】アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアっ!?」

 

 

 

「うん、やっぱりあいつらはイイ意味で頼りになるな」

 

連れ去られていく、連れていく二つの派閥の団員達をクククッと高みの見物で悪い笑みを浮かべて見ていた一誠が映像を映す立体的な魔法円(マジックサークル)で介して状況を把握していた。

 

「き、君ってやつは・・・・・イシュタルと通じていたなんて・・・・・」

 

「もののついでだがな。この春姫は元々【イシュタル・ファミリア】の非戦闘員だったから必然的にイシュタルと話す機会があってね。春姫を引き抜いたんだ」

 

「他派閥から真正面で引き抜くなんて、絶対に有り得ないよ」

 

頭を抱える思いで首を横に振るうヘスティアや顔を青ざめるベルに無表情のリリに対して朗らかで言う一誠。

 

「これで当分、お前らを狙うこともないだろう。良かったな」

 

「やり方が、非常識だけどね・・・・・」

 

「おいおい、こっちは零細派閥の上に、【ファミリア】の結成を認めてくれなかった烏合の衆でしかない集まりだぜ?真正面からどうこうしても、根本的な解決にはならない。それにヘスティアはアポロンと戦争遊戯(ウォーゲーム)なんてする気は毛頭もないんだろう?なら、方法は少なからず限られてくる」

 

正論だけど、他の派閥を動かして鎮圧させるなんてどれだけ発言力を持っているのだろう、とヘスティアは考える。

 

「さてさて、壁の修理しないといけないか。その後、ハーデスとアルテミスをまた案内な」

 

この日、多くの男性冒険者のみがアマゾネス達に身柄を確保され、捕虜として扱われた。後日、【アポロン・ファミリア】の主神が【イシュタル・ファミリア】に莫大な身代金を支払って大切な眷属達を取り戻したものの、精根、骨の髄まで貪られた見るに堪えない姿の己の団員達に男神は泣き崩れ、怒りは【アテネ・ファミリア】に抱く―――。

 

 

「それじゃ、そろそろ始めるとするか」

 

オラリオは既に夜の時刻を迎え、連れてきた二柱の女神に向かって言葉を発する。

天界に行く手段を有しているのは一誠だけ。彼の少年が成功しなければ天界に戻ることは不可能。

期待と不安を胸中に抱くアルテミスは信じてその時を待つのみである。

 

「イッセー様。本当に魔法で天界へ向かうことができるのですか?」

 

「んー・・・・・。実際、試したことがないから何とも言えないんだ春姫。魔法の効果も未だ知ってもいない」

 

「大丈夫なの?それで」

 

ぶっつけ本番で魔法を唱えようとする異性の少年にレリィーは心配そうで訊ねる。

 

「やってみないことには分からない。まあ、なんとかなるだろう」

 

巨大な黄金の大鐘楼(グランドベル)の前に立ってアテネ達に見守られる中で一誠は歌うように呪文を唱え始める。

 

「【開け開け無限の扉、我の思いに耳を傾け応えよ。我は憧憬の扉を求めん】」

 

宙に発現する神々しい光の輝き。

 

「【開け開け無限の扉。我の想いに耳を傾け応えよ。我は憧憬の扉を求めん】」

 

何度も詠唱を繰り返す一誠の眼前の眩い光は大きい楕円形へと形状が変わる。ヘスティアも見聞したことのない目の前の魔法による効果は『超越魔法(レアマジック)』。

 

 

【ワールド・ドア】

 

・違う場所に行きたい憧憬を糧にする。

 

・その場所に扉や門があってそれを介して移動。

 

・場所によって魔力値依存に左右する。

 

 

一誠の二つ目の魔法。天界にある門を介してハーデスとアルテミスを送る道を開こうとしているのをアテネは静かに見守り、やがて光の門は大きく形を整っていく。

 

「凄い・・・・・」

 

下界の人類にとって未知の世界、神々が住んでいると謂われている天界へ繋げる巨大な固形化が今ベルとリリの目の前で完成されようとしている。

 

「リリ達も、天界に行けれるのでしょうか・・・・・」

 

ポツリと呟く小人族(パルゥム)の少女の呟きは憧れが籠っていた。ベルも呟きを漏らす。

 

「イッセーさんなら、出来ると思うよリリ」

 

光の固形化はついに大きな門へと完成を果たし、詠唱を唱えていた一誠は深い息を吐いた。

どうしたのだろう、とアテネ達が抱くと顔から窺える周囲の気持ちを察してか、一誠は告げた。

 

「殆どの魔力を使い果たした。これも維持をするのにまた魔力を費やす」

 

高等精神力回復薬(ハイ・マジック・ポーション)を春姫から数本受け取って全て飲み干す。

 

「でも、それでも天界に繋がる門を・・・・・」

 

「多分、アテネの考えている通りだ。だが、押して開く魔法の扉じゃないんだなこれって。合い言葉が必要だ」

 

門を具現化した張本人は門の表面に窪んでいる手形がある門を一瞥して、ベルとヘスティアに視線を向けた。

 

「お前達二人に頼むとするかな。合い言葉は―――ヒラケゴマだ」

 

「「へっ?」」

 

いきなりそう言われる名指しされた女神と兎は呆ける。だが、催促の言葉を投げられてヘスティアとベルは門にある手形をそれぞれ己の手で重ねるように触れた。

 

「じゃあ、ベル君。同時に言うよ」

 

「は、はいっ」

 

言う機会(タイミング)を合わせて、口を揃えてハッキリと告げた。

 

「「ヒラケ、ゴマ!」」

 

合い言葉を言いながら門を押した次の瞬間、両開きに開く門が左右にゆっくりと開くと眩い光が漏れる―――。

 

「ぐぬぬぬっ!?これ、重たいぞアテネの子供君!」

 

「僕達だけではとてもっ・・・・・」

 

と、たった数cmでしか開けれない二人。魔法でも重さまで現実(リアル)になるのか、と知らなかった一誠は腕を巨大な異形へと変えて必死に押そうとする二人の頭上に目掛けて拳を振るった。

 

『・・・・・』

 

ドバンッ!と一誠も加わり、ヘスティアとベルの手によって開かれる門は完全に開き門の奥へ窺うことができるようになった。

 

その光景は・・・・・。

 

「流石、イッセーね」

 

不可能を可能にする男は異世界でも健在であった。アテネの瞳に映る門の向こう―――。見慣れた街、建物が闇に支配されながらも光で灯し、明るさを保っていた天界を確認できた。

 

「ほ、本当に・・・・・天界と繋がってる」

 

信じられないとアルテミスは目を丸くする。半信半疑だったが、確かに門の向こうにいる者達から神しか分からない波動のようなものを感じ取れる。これが現実であると純潔の女神は唖然する。

 

「さて、もう一度天界に行こうとしようか。ベル達もくるか?ヘスティアのもう一つの家がある天界、興味あるだろう」

 

驚くロリ女神を気にせずベルとリリに訊ねる。

 

「えっと、戻れるんですよね?」

 

「行けれるなら行きたいのですが・・・・・」

 

「よし、善は急げだ。アルテミス、ハーデス。また天界で少しの間だが天界で過ごすぞ」

 

「―――ふふふっ。嬉しいわぁ」

 

嬉しそうに口元を緩ませるハーデスは一誠の背中にしがみ付いた状態で「GO」と催促の言葉を漏らす。

その指示に従う少年はアテネの手を掴んでは引いて、【ヘスティア・ファミリア】と門を潜る。

 

―――○●○―――

 

ダンッ!とオラリオの中央、冒険者が集う象徴でもある白亜の魔天楼施設『バベル』の三十階。

白い円卓に怒り任せで拳を振り下ろす男神が唾を飛ばす勢いで一人の男神によって招集された神々に向かって叫んだ。

 

「私の愛おしい眷族()達が【アテネ・ファミリア】の愚策によって心身ともに穢されてしまった!これは断じて許すまじきことだっ!」

 

【アポロン・ファミリア】の主神、アポロン。ブロンドの髪で頭の上には、緑葉を備える月桂樹の冠を被っている男神に、他人事のようにアポロンの話をそっちのけで気の許す快楽主義者同士で会話する神がちらほらといる始末。

 

「これは私の【ファミリア】に対する宣戦布告だ!ならば、私は戦争遊戯(ウォーゲーム)を【アテネ・ファミリア】に申し込む所存だ!」

 

おおーっ!と娯楽に飢えた神々が湧く。これで【アテネ・ファミリア】は異例の二回連続の戦争遊戯(ウォーゲーム)をすることになる。前回は一対一(サシ)での勝負で【アテネ・ファミリア】の勝利と幕を閉じた。今度は前回より団員数も実力も高い【アポロン・ファミリア】と決闘だ。どんな勝負になるか純粋な子供のように心躍る。

 

『あれ、でも、アテネは天界に戻ったんじゃないのか?』

 

【ファミリア】同士の主神が戦争遊戯(ウォーゲーム)を承認しなければ始まらないゲーム。片方がやる気でも片方がやる気がないのであれば不成立となるのだが―――。

 

「いんや、アテネなら天界に戻ってきたで」

 

朱色の髪に糸目の最大派閥の主神の発言によって神々は驚きとざわめく。

 

『え、ロキ様本当ですかー?』『それってズルいだろうー』

 

下界という名の遊戯盤(ゲーム)に敗北した神々は、二度と下界に降りて来られないのが天界での規則(ルール)だ。一度敗北した女神がまた下界に降り立っている。神々の間でアテネに対するブーイングが所々湧く。

 

「ロキ、本当だろうな?」

 

「うちが嘘言うと思うんかアポロン。うちのホームまで顔を出したんやでアテネは」

 

リヴェリアという古参の眷族を引き抜こうとしたけどな、と胸中で付け加える。

 

「・・・・・ならば、【ファミリア】は復活したと考えても?」

 

「いや、どーやろうなー?ウラノスがそんな甘い老神だとは思えんし、【ファミリア】の再結成は無いんと思うで。せやから、戦争遊戯(ウォーゲーム)はできへんでアポロン」

 

戦争遊戯(ウォーゲーム)は二つの【ファミリア】同士で行われ、成り立つ。故にアポロンの思惑は通らないとロキは言う。

 

「むぅっ・・・・・!」

 

なんだー、と不完全燃焼な神々から残念と不満の声が上がる。

 

「というか、イシュタルに戦争遊戯(ウォーゲーム)を申し込まんのか己は?」

 

「そのイシュタルの派閥に私の眷族達が滅茶苦茶にされたのだぞ!?その元凶である【アテネ・ファミリア】にゲームを申し込みたいのだ私は!」

 

アポロンによって招集された神々の中に、当の女神がちゃっかりと当たり前のように同席していて、いやらしい笑みを浮かべていた。

 

「私に申し込むのなら何時でも歓迎するぞ。なんなら、【アテネ・ファミリア】の代わりに受けてもいい。どうするアポロン?」

 

「っ・・・・・」

 

どちらが勝つかなど、既に明白。今度は完全に【アポロン・ファミリア】から全てを搾り取られるという未来が火を見るより明らかなのだ。派閥としての質はイシュタルの【ファミリア】が上なのでアポロンにとっては避けなければならない相手だ。

 

「ええいっ。ロキ、アテネはどこにいる!?」

 

「うちがそこまで知るか。ホームにいるんとちゃうんか」

 

ぶっきらぼうに言うロキは「興醒めや」とあからさまに嘆息する。今回の招集はアポロンの同情と被害、鬱憤しか聞けない。ロキ達神々に対する面白さの期待感は全くもってない。ロキは徐に溜息交じりで立ち上がり出す。もう帰って己の眷族と触れ合った方が楽しいと思いからの行動だ。

 

「アポロン、話は終わりでええな?どうせ戦争遊戯(ウォーゲーム)が成立しても返り討ちに遭うのを目に見えるだけやしな」

 

「私の優秀な眷属達がたかが烏合の衆の派閥に負けるというのかロキよ!」

 

聞き捨てにならない、と食って掛かるアポロンにロキは言い返す。

 

「んじゃ、アポロンの子供におるのか?Lv.1でLv.7の冒険者と対等に戦える子供が」

 

「アテネの子供とフレイヤんとこの子供が戦ったのを、見ていないとは言わせへんで」と前回の【アテネ・ファミリア】と【ソーマ・ファミリア】の後に繰り広げられた前代未聞の戦闘のことを言外に言うロキ。その時の映像はオラリオ中に映し出され、知らない者はオラリオにいない。

 

「最弱の冒険者が最強の冒険者を打ちのめす。そんなことを可能にする子供はこの世界を探し回ってもたった一人しかおらんとうちは断言するで」

 

「・・・・・随分と、最大派閥の主神とあろうお前は弱気な発言をするのだな。臆したか」

 

「阿呆、弱き以前にこっちは実力の差ぁ見せつけられておるんや。アテネの子供と交流が多いのはうちらだし、この場にいる暇神よりよう知っとるわ」

 

そのおかげか、そのせいでか、アイズ達に良い意味でも悪い意味でも変化が生じてしまっている。はぁー、と心の中で溜息を吐いたロキの目に。

 

「なら、アテネの子供の情報をこの場にいる全員に話してもらおうじゃないか。神会(デナトゥス)は情報を共有するための集会でもあるのだからなぁー?」

 

ニヤリと笑うアポロンから渾身の一撃を食らってしまった。ロキにしては喋り過ぎた、と今度こそアテネに天界へ送還されてしまうと絶望に頬を引き攣らせる。

 

「お前達も知りたいだろう?Lv.1で第一級冒険者の子供と対等に戦える秘密の特訓や修行をしているやもしれないアテネの子供を交流が深いロキは知っているはずだ。もしかしたらロキの子供達の強さの秘訣は―――それかもしれないぞ?」

 

さらに逃げ道を塞ぐアポロンの一言は、周囲の神々の目をキラーンと怪しく輝かせる。

 

『ロキ様ぁ?情報の独占は神会(デナトゥス)規則(ルール)に触れますぜぇ?』

 

『さぁさぁ、全てを吐いた方が気楽になりますよぉ?』

 

『弱小の派閥の主神の俺達にも教えてくださいよー?子供達の為にその強く成れる方法を教えたいんですよー?』

 

ジリジリとロキに近づく老若男女の神々。相手が最大派閥の主神だろうが、数の利を活かして情報を吐かせようとする。

 

「ちょっと待ちなさいっ。【ファミリア】の内部事情には不干渉でしょうが」

 

紅髪紅眼の右目に眼帯を付けている女神が抗議の声を発するものの、

 

『アテネは【ファミリア】を結成してないんだから問題ないじゃないか?』

 

『そうだよなー。それ以前にあのおっかない女神は規則(ルール)を破ってるし、俺達がロキ様から何を聞いても大丈夫大丈夫』

 

【アテネ・ファミリア】は事実上存在しない。なので、【ファミリア】に関する情報の秘匿などのことは問題外。一誠の情報をいくら聞きだそうと規則(ルール)上、問題ないと告げる神々。

 

「いや、しかしだな・・・・・」

 

角髪(みずら)にしている頭を捻って眉間に皺を寄せる男神もまた、それはダメだろうと言いた気な表情をする。

 

「おい、ヘルメス。お前からも何とか言ってやってくれよ」

 

「んー・・・・・」

 

橙黄色の髪と瞳、軽装の旅装を身に包んでいる羽付きの鍔帽子を被っている男神は静かにこの状況と様子を把握して、

 

「ごめん、無理だね」

 

「おいっ!」

 

手に負えないとあっさり放棄。

 

「というか、俺達が必要以上の執拗な制止をすれば面倒事に巻き込まれるぜ?眷族(こども)達の為にもここは大人しくしていた方が賢明だ」

 

「だけどなぁ・・・・・」

 

「なに、ロキならなんとかするだろうさ。俺達が心配するほど―――」

 

『あー!鬱陶しいわおんどれ等!?そんなに聞きたいんならヘルメスに聞けやぁっ!あいつもうちと同じぐらい知っとる!』

 

―――ヘルメス?

 

「・・・・・おい、ロキがお前を巻き込んだぞ」

 

「ははは、何を言っているんだタケミカヅチ?さてと、俺は急用を思い出したからここらで失礼するよー」

 

面倒事はご免だからね、とさりげなく本音を漏らした優男の男神は瞬く間に他の神々に取り囲まれ―――ヘルメスを売ったロキでさえまだその半分もいる神々から情報を根掘り葉掘り聞き出される。情報を共有するまでは返さないと意気込む神々の意欲は。

 

「ヘルメスゥ?私の身体で喋りたくなるようにしてやろうじゃないかぁ」

 

『さぁ、情報を共有しようじゃないか!』

 

留まることを知らない。故に二名の神は空が朱色になるまでホームに戻らされなかった。

 

「イ、イッセー君ッ。ご、ごめんよぉー!?」

 

「嫌だぁー!アテネに怒られるのはもう勘弁やー!?」

 

これは、一誠達がロキ達の知らない間に天界へ再び戻ってから数日後のことである。

 

―――○●○―――

 

【アテネ・ファミリア】の本拠(ホーム)大鐘楼(グランドベル)の前に光り輝く門が虚空から発現して内側から開く。完全に開いた門から少年少女達が出て来て「帰って来たぁー」と一声を発する。

 

「楽しかったな天界。なぁ、ベルとリリ」

 

「はい。天界って神様達がいることは知っていましたけれどあんなに大勢いるとは驚きました」

 

「『古代』から『現代』の人類の方々とお会いになられる機会はイッセー様しか作れませんね」

 

天界に行っていた一誠達が一週間振りに戻ってきたのだった。そこで一誠達は改めて天界を散策、観光気分で時間が許される限り見聞をし尽くした。

 

「ヘファイストス達にお土産を持ってきたし、喜んでくれるかな?」

 

「殆ど、下界に行った神の家に不法侵入をして物を盗んだ形だけど」

 

「アテネ、家を空ける方が悪いんだ」

 

リリのバックパックに目を向けて頬を緩ます。そして、一柱の女神に視線を向ける。

 

「本気で俺達といるつもりかよ」

 

その言葉を向けられた女神は赤い眼を弓なりに作って頷いた。

 

「本気よぉ?だって、私を拒まず受け入れてくれるなら一生憑いてやるんだからぁ」

 

目まで覆っていた髪は無くなっていて、恍惚の顔は一誠にしか向けられていない―――向けていないハーデスはアテネに視線を変えた。

 

「そういうことだから、よろしくねぇー?」

 

「・・・・・ライバルが、増えてしまったわっ」

 

口惜しいとアテネ、微笑むハーデス。二柱の女神に挟まれる一誠は微笑ましいそうに見る。

 

「さて、帰ってきて早々だけど特訓するぞ」

 

「あ、はい。お願いします」

 

「「「ま、またアレするの・・・・・?」」」

 

知る者と知らない者の違いは歴然だった。

 

「当然だろう。アテネがいない間はしなかったけど、今はアテネの眷族に戻ったんだ。背中に刻まれている【ステイタス】を腐らすわけがない」

 

首を垂らす春姫とウィルとレリィーにベルとリリは不思議そうに首を傾げる。どんな特訓をするのか、後に帯剣する二人も悲鳴が混じった叫びをするだろう。

 

と、そこへ「帰って来たか!」と一誠達に話しかける者が現れた。一誠の分身体である。ホームの管理・守備や異端児(ゼノス)ウィーネ達の護衛兼共働きの為に魔法による分身体を残していたのだ。

 

「おう、ただいま。変わったことは無かったな?」

 

「・・・・・いや、逆に大変なことが起きた」

 

・・・・・大変なこと?

 

一同は真剣な顔の分身体に首を捻る。どういうことなのか把握できていない者からすれば、どんな大変なことなのか分からないからだ。

 

「オリジナル、お前のことバレている」

 

「・・・・・バレてる?」

 

どういうこと?と追求すると分身体はふかーい溜息を零す。

 

「オラリオにいる神々の間で正体はドラゴンだとか、異世界から来た存在だとか、既にバレている情報が拡散しているんだ。だから、表に出れば即行、神に追いかけられんぞ。ギルドにまで知らされているから質問もとい尋問確定のはずだ」

 

『・・・・・』

 

ああ・・・・・そーいうことー。と、一誠は他人事のように理解し、

 

「それ、どっから漏れたのか分かる?」

 

「俺の秘密を知る神か眷族しかいないだろう。特定はできないが、怪しいのはロキだ」

 

また、ロキ・・・・・。一誠の中でどこか冷めた感じがして、

 

「フフ、フフフ、フフフフフ・・・・・・・」

 

アテネは顔を垂らしては不気味な笑いをする。

 

「このホームは大丈夫でしたか?」

 

「なんとかな。今ンところ味方になってくれている派閥が全力でここを守ってくれている。頼んだ訳でもないのにだ」

 

春姫の質問に嬉しい事実が返って来た。しかし、分身体は難しい顔で言い続ける。

 

「でも、その行動で俺の正体は信憑性を増した。今街に出ればどうなるか・・・・・想像は難しくない。春姫達でも同じだ」

 

「私達も!?」

 

「えーと、まさかボク達もそんな感じなのかい?」

 

素っ頓狂に驚くレリィーに不安で恐る恐るとヘスティアが訊ねると、分身体は首を横に振る。

 

「正直分からない。【ヘスティア・ファミリア】を庇っているなんて、多分極一部の派閥しか知らないはずだから」

 

「巻き込んだ形で済まない」と分身体ともども謝罪の念を籠め頭を下げた。

 

「ここまで侵入されることは無いだろう。何重にも張った結界を一撃で破らない限り、一生突破できないように張ったからな」

 

「そ、そこまで厳重な守備をしないといけないのですか?」

 

「「そこまでしないと、俺達【アテネ・ファミリア】の秘密が知られてしまう恐れがあるんだよ。―――俺の秘密は知られたけどな」」

 

分身体と一緒に声を揃えて溜息交じりに言う。

 

「それで、今のホームの周囲の状況は?」

 

「【ガネーシャ・ファミリア】と【ヘルメス・ファミリア】が壁の前に立って護衛をしている。あの同盟の契約を則ってくれている」

 

「・・・・・そう。私がいなかったのに守ってくれているのね」

 

アテネの質問に同盟を組んだ二つの派閥の防衛によってこのホームは守られている事実に感謝と嬉しい気持ちが心から湧く。女神の心情を察する分身体は言い辛そうに口を動かした。

 

「・・・・・ヘルメスから伝言。『ゴメン、イッセー君のこと教えちゃった。許しておくれ』。だそうだ」

 

あんのぉ、ヘルメス野郎ぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!とアテネの口から怒号が聞こえてくるのは一秒後、当然の未来だった。

 

「罪悪感でやっているってことか【ヘルメス・ファミリア】は」

 

「まあ、周囲の神々から強引に吐かされたって節も否定できないがそんなところじゃないか?」

 

まあ、許そう。と一誠はヘルメスの気持ちを汲んだ。両手を合わせて本当に申し訳ないとヘルメスが頭の中で浮かんでしまうほどに。

 

「それじゃ、俺は消えるぞ」

 

「ああ。御苦労様」

 

掻き消える分身体を見守った後に、顎に手をやって天を仰ぐ。今後の生活や活動が一気に制限されてしまってますます気を付けなければならなくなった。

 

「どうすっかなぁ・・・・・気軽に街へ出向くことが難しくなったぞ」

 

「イッセー様。リリみたいな変身魔法とかできないのですか?」

 

「できなくはないが、臭いでバレる恐れがあるぞ。俺の臭いを知っている獣人に」

 

なるほど、とリリは変身魔法の看破される方法を知り、「臭い消しでも模索しましょう」と真剣に考えた。

 

「・・・・・最悪、オラリオから離れて遠い場所で暮らすことになるかもしれない」

 

【アテネ・ファミリア】の主神と団員、食客のハーデスにそう告げる一誠。憂いを考えるそんな少年に主神の女神は首を横に振る。

 

「イッセーと一緒ならどこだって構わないわよ。天界に住むことになろうともね」

 

寧ろ臨むわよ?と逞しい主神の言葉が呼び水となって、

 

「はい。このオラリオだけじゃなく、色んな場所や国、街など春姫は見てみとうございます」

 

「そうですわ。主様とならどこでもついていきます」

 

「海の向こう側だってね!」

 

「うん!」

 

春姫達も異論は無いと笑ったり微笑んだり、一誠について行くと言う。

 

「私も憑いて行くわよぉ~?」

 

ハーデスもまた背中に抱きついて放れないと意志表示する。

 

「・・・・・ありがとう。最高の家族、最高の女達と巡り合えて嬉しいよ」

 

天真爛漫と同じぐらい嬉しそうに心から笑う一誠をアテネ達は直面してしまい、顔を真っ赤にした。

 

「うっ、あ、危ない・・・・・っ!ボクにはベル君という可愛い子供がいるんだ。そうだ、ベル君を見ようっ。ベル君ベル君ベル君ベル君・・・・・・!」

 

「・・・・・あんな風に笑うんですねイッセー様って」

 

「うん、子供みたいだね」

 

顔全体に紅潮しながらも新しい一面を発見して目が離せないリリとつい釣られて笑んでしまうベル。

 

「―――さて、真相を知る為にもロキのところへ行くとしようかアテネ?」

 

「―――ええ、そうね。お土産を渡すついでに、ね」

 

和みのムードは途端に重苦しくなってしまった。主に目が全然笑っていない女神と少年から発する禍々しさと怒りのオーラによって。

 

『(やっぱり、この二人だけは怒らせちゃいけない・・・・・)』

 

異なる種族達一同の心が一致した瞬間であった。

 

―――○●○―――

 

一〇〇Mの石壁が一人で両開きに開いていく。守備していた二つの派閥の団員達が振り返って警戒心を抱きつつ、【アテネ・ファミリア】の誰かが現れるのか、と出迎えの姿勢をし待っていると。

 

「―――悪いな。迷惑を掛けた」

 

先に現れた一人の少年が開口一番にそう言った。

 

「後は大丈夫だ。それと後で顔を出しに行くと主神に言ってくれないか?これから俺達用事を済ませに行かないといけないからさ」

 

伝言を頼まれ、この場から離れて良いと元【アテネ・ファミリア】の団員に言われてはそうするしかないとそれぞれのホームに向かって移動を始める団員達。その様子を見ていた少年、一誠は背後へ声を掛ければアテネが石壁の間から出てきた。

 

「そんじゃ、行こうか」

 

「ええ・・・・・待ってなさい。ロキ、今度という今度は許さないから」

 

二度目の訪問は嵐が吹き荒れる。

 

 

「・・・・・やってしまったか」

 

「もう、手遅れなまでにね」

 

「今度こそ、ドラゴンの逆鱗に触れたじゃろう」

 

「んな、のほほんとしとらんでどうにかアテネの怒りを治める方法を考えてぇなぁっ!?」

 

その頃の【ロキ・ファミリア】は。幹部総出で緊急会議が行われていた。お題は『アテネとイッセーに対する言い訳を考えよう』である。

 

「何でてめぇの不始末を俺達が尻拭いしなきゃならないんだよ」

 

あからさまに不機嫌な顔を浮かべる獣人、ベートは神同士の問題に関わりたくないと口にした。眷族に頼らず自分で解決しろと言外する。

 

「そんな冷たいことを言うなベート!?今度こそうちは天界に送還されるかもしれないんやで!」

 

「ンー、確かにその可能性は無いとは言い切れないね。でも、ロキができる事と言えば誠心誠意の謝罪ぐらいだと思うよ?」

 

「それで許してくれるんなら街中でもしたる。だけど、あのアテネはそんなことで許すような女神やない!怒るとめっちゃ怖いって評判の女神なんやっ・・・・・」

 

確かに・・・・・あれは恐ろしかった、と心の中の幼いアイズは頭を抱えて怯えている。

 

「アテネの子供の秘密が神々の間で知られ、子供達にも知られたはずや。ど、どうしよう・・・・・」

 

『・・・・・』

 

一誠の周りは騒々しくなっているかもしれない。人から人へ噂が伝わり、冒険者でもない一般人の住民達の耳にまで届けば、一誠を見てどんな反応をするのか想像は難しくない。それも含めてロキは、一誠の主神であるアテネの心情を理解してしまうのだろう。

 

「ギルドにも知られているはずじゃ。ギルドがどう判断し、処罰、もしくは処遇をするのか分からんのぉ」

 

「オラリオから永久追放は有り得るが・・・・・間違ってラキア王国に行かれてしまえばとんでもないことになる」

 

「となると、ギルドも迂闊にイッセーをどうこうすることもできないか」

 

うーん、と今後の一誠やアテネ達の活動はどうなるか想像ができない【ロキ・ファミリア】の幹部達。

何も問題が起きなければよいのだが、オラリオにいる限りそう問屋は卸さないだろう。

 

現に―――。

 

ガチャリ、と会議として利用している一室の扉が開き始め、額が大きく出ているツンツン頭の男性団員が顔を出した。

 

「す、すいません」

 

「あれ、ラウル?どうしたのー?」

 

不思議と話しかけたティオナで視線はラウルと呼ばれた青年に集まる。ラウルはうっすらと額に汗を浮かべて言葉を発する。

 

「ロキ様と会わせろと、その・・・神アテネが外でお待ちになっているっす」

 

なっ・・・・・!と酷く狼狽するロキは必死に首を横に振る。

 

「いないと伝えてくれやっ!?」

 

「えっと・・・・・『居留守を使おうと、ロキがいることは分かっているからな堕女神』と【アテネ・ファミリア】の元団長が・・・・・」

 

うわぁ・・・・・。

 

ロキにとって今一番会いたくない者が揃って来ている事実を知って、何かを悟り受け入れ、諦め、緊張するアイズ達。

 

「ロキ、会おうとしなくても向こうから会いに来るよ絶対に」

 

「うぅ・・・・・っ」

 

顔を青ざめ、天界に送還される絶望感に打ちひしがれ円卓に頭を突っ伏す。

 

「ど、どうするっすか?」

 

「・・・・・遅かれ早かれ、ロキと神アテネは顔を合わすことになる。ラウル、ここに連れて来てくれ」

 

団長の指示でラウルは頷いてアテネと一誠がいる門前に向かう。青年が迎えに行ったのをフィンへ視線を変えるティオネは心配そうな面持ちで訊ねる。

 

「団長、大丈夫なのですか?相手が相手ですよ・・・・・」

 

勇者(ブレイバー)の二つ名に賭けて、なんとか天界送還だけは許してもらう」

 

碧眼の瞳は真剣な色が帯びる。誰にも言えない秘密の一つや二つで天界送還されては堪ったものではない。だが、その人の抱えている秘密の重要度が高いほどそうも言えなくなる。場に異様で何とも形容し難い緊張が走り、再び扉が開くのを待つロキ達の目の前で魔法円(マジックサークル)が発現した。

 

「―――ロキ」

 

紅と銀が姿を現し、

 

「私達が来た理由を言うまでもないわよね?」

 

朱を冷めた目で見据える―――。

 

「先に、言い訳を聞きましょうか。私達が心から納得できる言い訳をね」

 

アテネは腕を組んだ状態でそう言う。灰色と青色の瞳に冷たさが孕んでいて、銀髪の女神から凄まじいプレッシャーを感じるとアイズの感想だった。

 

「え、えっと・・・・・」

 

冷や汗もとい脂汗を顔に浮かばせ、しどろもどろと視線を泳がすロキにアテネの目が細まる。

 

「街中にいる冒険者の子供達からここに来るまで、イッセーのことを『モンスター』とか『異世界から来た化け物か』と言われたわ。これで、イッセーが周りから危険視されるようになったわ。今まで仲良くなっていた一般人でさえ敬遠される始末・・・・・」

 

もう、オラリオにはいられなくなった。アテネはハッキリとそう言った。

 

「やってくれたわねロキ。流石一時期悪神と呼ばれるだけあるわ。子供の秘密を最後まで隠し通さなかったからね」

 

「ま、待てぇなっ!?うちだって喋りたくなくても周りの神連中が執拗にせがまれて」

 

「しょうがなく教えてしまった?そう言いたいのかしら?」

 

コクコクと肯定と頷くロキを嘲笑の笑みで言った。

 

「自分の派閥のことじゃなく、自分の眷族じゃないから対して心に痛みなんて感じなかったでしょうね」

 

「そ、そんなことはっ・・・・・」

 

「無いと断言できるの?なら、イッセーの印象を少しでも緩和するようなことをしたの貴女は?」

 

瞳に怒りの炎が見え隠れし出す。ロキがそこまでしようと関係ない。要は、『約束』を守らなかったことに怒りを覚えているのだ。愛おしい少年の安念や安息を害したロキに。

 

「【ガネーシャ・ファミリア】や【ヘルメス・ファミリア】が頼んでもないのに私達のホームを守っていてくれた。ロキ、貴女は私達に対して何かしたかしら?罪悪感でも、申し訳ないと思いから突き動かされた一つの行動でも、したの?」

 

「・・・・・・」

 

沈黙するロキ。深い嘆息を吐くアテネ。こっちが何を言おうとロキは言い返さない。言い返すことができないと悟った。

 

「イッセーに対する謝罪とか、私達に対する謝礼とか今更期待なんてしてないわ。ただ、今の私の中である思いが強くなる一方なの。そう・・・・・」

 

静かな怒りを放つアテネは、瞳を細めたまま唇を動かす。

 

「貴女を―――潰す」

 

女神の死刑宣告に、ロキは青ざめた。

 

「イッセー」

 

「・・・・・ああ」

 

今まで沈黙を貫いていた一誠が動き出す。徐に瞑目しだし、しばらくして・・・・・。「終えた」とロキ達にとって意味が分からないことを発した。

 

「な、なんや・・・・・なにをしたんや」

 

「ちょっとした作業よ。ねぇ、ロキ。質問だけど貴女、天界に戻る気は無いかしら?」

 

まさか、天界を送還するつもりか。フィンがロキの隣に移動して臨戦態勢に入る。

 

「い、いや。天界に戻るつもりはあらへんっ」

 

「・・・・・そう、なら良かったわ」

 

微笑みを浮かべるアテネに理解しかねるロキ。怪訝な心情で目の前の女神の口が開き、言葉を発するまで様子を窺っていれば、

 

「下界に永住する気でいるなら天界にある貴女の家を壊しても何の問題もないわね」

 

「―――――っ!?」

 

神の住処を破壊した。それは天界に送還された時、神の居場所はもう無くなって、失っていること。

アテネはロキの住処を奪ったということになる。

 

「嘘やっ!天界やぞ、子供の死後や神が天界に送還されるしか行けないあの世界にいくらアテネの子供が異常(イレギュラー)、異世界からきたモンスターだからってできることとできないことはあるはずや!」

 

異常(イレギュラー)だからこそ、じゃないの?」

 

アテネの言葉を否定するロキに宥めるように認識を改めさせようとする。

 

「信じないだろうから、証拠を持ってきてよかったわ」

 

女神の発言に空間を歪ませ、穴を空けて底に手を突っ込んで何かを取り出す一誠。それを見て、ロキは愕然と糸目を大きく見開いた。

 

「そ、それはっ・・・・・!」

 

「ロキとフレイヤの繋がりは異世界でも存在する同じ神でも同じ道具がある。つまり、俺は少なからずロキとフレイヤに関する道具を知っているわけさ。この―――鷹の羽衣もその一つ」

 

フレイヤがロキに貸し与えたという羽衣を一誠が見せ付けた。

 

「意外だな。これを天界に置いたままだとは思いもしなかった。そのおかげで証拠を持って来られたけれど、これで信じてくれるよな?俺が何時でもどこでも自由に天界へ行き来できる事実をさ」

 

ボッ!と羽衣が勝手に一誠の手の中で燃え上がる。その光景にロキは何かに弾かれて飛び掛かった。

 

「な、なんてことをするんやぁああああああああああっ!?」

 

その光景にロキは何かに弾かれて飛び掛かった。燃える羽衣を奪い返す為に。

 

「―――本当は、これをロキに渡そうと持って来たんだが。俺の秘密をオラリオにバラしてくれやがったからな。その神罰としてお前からも奪ってやることに決めた」

 

手を伸ばすロキを嘲笑うかのように、羽衣の燃える火力は強まって灰と化した。

 

「アテネは慈悲深い女神だからな。お前の天界送還よりこっちの方で済ませることになったんだ。物一つ失うことでロキの主神としての生活は何一つ失うことは無い。良かったな、ロキ」

 

宙に舞う灰を唖然と見つめるロキに話しかけるが、当神の耳に届いていなかった。

 

「これでチャラにしてやるよ。だけど、鷹の羽衣を奪ったことで俺達に怒り喧嘩を売ってくるなよ?その時は周囲のことなんざ関係なく俺のもてる全ての力で【ロキ・ファミリア】を完膚無き潰すからそのつもりで」

 

「それじゃ、多分もう顔を合わすこともないでしょう。さようなら」

 

現れたように魔法円(マジックサークル)でロキ達の前から姿を消す二人。残された面々は最悪の事態を免れ、胸中で安堵で息を零す。

 

―――○●○―――

 

「って、ロキにそうしたのだけれど・・・・・貴方は天界に送還しましょうかヘルメス?」

 

「本っ当にごめん!だから、怒らないでくれアテネェっ!?」

 

【ヘルメス・ファミリア】のホームにも訪れた二人。冷めた目で死刑宣告を発するアテネに、必死な形相で極東式の謝罪で許しを乞うヘルメスの姿にアスフィは何も発さず、成り行きを見守る姿勢を貫く。

 

「・・・・・一応、行動で示してくれたから貴方の謝意は認めましょう」

 

「あ、ああっ。ありがとうっ」

 

流石はイッセー君の優しい女神だ、と安堵で胸を根で下ろすヘルメス―――だったが。

 

「でもヘルメス。許すのと認めるのはちょっと違うとは思わない?」

 

へっ?と間の抜けた声を漏らすヘルメスの襟を徐に掴んだ。絶対に逃がさないとばかりに一誠とアスフィへ告げるアテネ。

 

「少しだけ、私と二人きりでお話をしましょう?イッセーと貴女。少しだけ席を外してくれる?」

 

「ま、待って―――!?」

 

己の眷族に手を伸ばすヘルメスは無情にも届かず、応えてもらえず一誠と行かれてしまった。

アテネの指示で主に出た二人は改めて顔を見合わせる。

 

「・・・・・モウシワケゴザイマセンデシタ」

 

何故にカタ言で言うんだ?とアスフィに疑問を湧くもの首を振って気にするなと言外する。

 

「もう終わってしまったことだ。今更俺がどう足掻こうとどうしようもない」

 

「では・・・・・オラリオから去るのですか?」

 

「・・・・・色んな神々に付き纏われ、からかわれる日々をアスフィは送りたいのか?」

 

一誠の質問にそれは嫌だ、とばかり首を横に振る。心労が堪えない日々の中で暮らしたくないと同じ思いと気持ちのアスフィであった。となると、一誠達はオラリオからいなくなってしまう。それはアスフィにとっては寂しくなってしまうのも事実。

 

「遊園地の方はどうするのですか?」

 

「運営をしているのはガネーシャ達だ。自分の果たす役目も分かっている」

 

「・・・・・」

 

「問題なくやってくれる。取り敢えずそう信じている」

 

と、そんな時だった。

 

「―――見っけぇええええええええええええええええええええええええ!!」

 

突如として大声が二人を襲う。理知が富んだ碧眼が見開く。十数人の神々にババッと囲まれた事態にだ。

 

「やぁやぁっ!異世界から来たって言う人型モンスター君だね!?」

 

「ナマで見てみても、子供しか見えないなぁ・・・・・」

 

「子供の皮を被ってるモンスターって初めて見るぜ・・・・・」

 

「むふふ・・・・・興味がそそられますなぁ・・・・・」

 

―――脱力が。

 

これが、言葉通り神々にからかわれ、付き纏われる日々を暮らす日常・・・・・。再度改めてアスフィは再認識すると、気苦労の色が浮かんでいる顔にますます濃くなる。これではオラリオに居たくなくなるのはしょうがないやもしれない。

 

「ねぇねぇ、本当に異世界って面白そうな世界から来たのぉー?」

 

「というか、今フリーだよね?そうだよね?んじゃ、オレの【ファミリア】に入んなーい!?今だったら【ファミリア】総出で大歓迎するよ!」

 

「あっ、てめっ!?面白い子供を独占しようとするな!神々(オレたち)の共有財産にしようって話だったじゃねーかっ!」

 

「有象無象どもは引っ込んでいろ!元アテネの子供、冒険者になりたくばこっちに来い!三食ご飯付きでたっぷり可愛がってやるぜ!」

 

「お前の強さに惚れ込んだ!私の愛を受け止めてくれぇっ!」

 

一歩近づいてくる神々のただよらない形相に、アスフィはポツリと呟いた。

 

「・・・・・問題ないのでは?」

 

「神じゃなくて、オラリオに住む一般住民のことを懸念しているんだよ」

 

こんな快楽主義で娯楽に飢えている神に付き纏われるのも嫌だけど、と眉間に皺をよせる一誠に同感と目を伏せる。

 

「・・・・・行きましょう」

 

純白のマントの内から球状の物を取り出して下へ叩きつけた瞬間、大通りに立ち込める煙が瞬く間に広がる。

視界が白い煙に奪われ、動揺している神々一誠の手を引っ張ってどこかへ移動を始めた―――。

 

 

「・・・・・」

 

神を撒いて手を引っ張る女性を心なしか誰かと被って見えてしまう一誠は黙って足を動かす。

路地裏に逃げ込むように移動する彼女の手の温もりは温かく柔らかい。

 

「もう大丈夫なんじゃないのか?」

 

「いえ、相手はヘルメスみたいな神です。男神だけではなく女神も油断できませんよ」

 

ヘルメスみたいな神とはどんな神なのか敢えて聞かないことにする。どこまで歩き続けるのかアスフィ次第だ。

しかし、ここはオラリオだ。一度大通りに出れば否が応でも―――。

 

『・・・・・もしかして、アテネの子供か?』

 

『人型の、モンスター・・・・・」

 

「・・・・・っ!?」

 

『迷宮都市』オラリオ。ヒューマン、獣人、亜人(デミ・ヒューマン)や神が集う世界で唯一ダンジョンがある都市だ。【アテネ・ファミリア】のイッセーの存在は『戦争遊戯(ウォーゲーム)』でオラリオ中に知られている。だからこそ特徴的な燃え盛る炎のような髪と眼帯を付けている冒険者は一目見ただけでも直ぐに分かってしまう。

 

『―――他の神より先に捕まえろッ!』

 

『いや、ここで倒した方がいい!倒して大金を手に入れるんだ!』

 

神や冒険者の欲望が一誠を襲い始める。

 

「・・・・・結局こうなるか」

 

失態に舌打ちをするアスフィの手で引っ張られ、路地裏に逃げ込む。

 

「どこか、人気のない場所へ!」

 

「いや、オラリオにいる限りそんな場所を探してもバレるって」

 

彼女の手から離して振り返る。追い掛けてくる神や冒険者、アスフィが足を止めた。

 

「―――俺をどうこうしたいんなら、命を捨てる覚悟があるんだろうなぁ?」

 

青白い天使化となって臨戦態勢に入る一誠。

 

「お前らじゃ俺を倒すことはできない。最低限、オッタルを連れて来い」

 

殺意が孕んだ隻眼での睨みで追っては百八十度振り返って来た道に駆けていく。さっきだけで追い返す一誠に唖然と見ているアスフィに声が「戻ろう」と掛かる。

 

「(イッセー・・・・・すみません)」

 

静かに胸中で一誠に対して守ろうとしたのに仇となってしまった結果に悔い謝るアスフィ。

今のオラリオに一誠が安息を送る居場所はないのかもしれない。

 

 

その日の夜の【ロキ・ファミリア】は。

 

「・・・・・」

 

「・・・・・」

 

最大派閥同士の主神が二人きりで円卓の上に置かれた燃え滓を挟んで、沈黙の雰囲気の中にいた。

片やロキ、片やフレイヤである。美の女神の銀の瞳は燃え滓の元をロキの口から知らされてからジッと視線を落としていた。

 

「まあ・・・・・貴女にあげたものだから私は何も言わないわ」

 

「・・・・・そうか」

 

「でも、妙な話ね。アテネ達が天界から持ってきたなんて本当なの?」

 

「実際にこれは天界に置いてきたもんやから疑う余地は無いんや。どうやってかは知らんけど、アテネ達は天界に行き来できる術を持っておる」

 

下界の人類では絶対不可能の筈の天界へ行く力を手にしている。きっと超越魔法(レアマジック)に違いない。

その魔法を有しているのはきっと一誠かもしれない。そう思うとフレイヤは笑みを浮かべた。

 

「ふふっ・・・・・。ますます欲しくなっちゃうわ」

 

「やめておけぇ、アテネにドヤされんぞ」

 

笑う女神の魅了の微笑みと一緒に発せられる言葉をロキは一蹴する。

 

「それで、こんな時間に呼びだして。鷹の羽衣を燃やされた、なんて話をしたくて呼んだわけじゃないのでしょう?」

 

微笑を保ったままロキに問う。この程度の話で呼びだされる自分は低くは無い。ロキから何かとてつもないことを言われるのを確信し待っていたフレイヤは本題に入って欲しいと言外する。すると、ロキは糸目を薄らと開けた。

 

「アテネの子供と戦争遊戯(ウォーゲーム)しとうないかフレイヤ?」

 

戦争遊戯(ウォーゲーム)?でも、アテネの派閥はギルドが認めてないのでしょう?」

 

おかしな話を持ち出すロキの意図は分からないとフレイヤは内心怪訝ながら話を進める。

 

「そりゃあ、正式で公式なゲームやったらそうやけど、非公式なゲームやったら問題ないはずや。今までそんなことしようとする神や子供がおらんから異例中の異例やけどな」

 

「・・・・・仮にそれができたとして、ロキは何を臨むのかしら?」

 

自分の眷族と一誠を戦わせる。または共闘でそうしてロキは何を望むのかフレイヤは見透かすように眼前の女神を見つめる。そして、ロキから返ってきた言葉は―――。

 

「どれだけ強くても、決して敵わんもんがあると。アテネの子供に思い知らせたいんや」

 

 

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