オラリオで自由気ままに過ごすのはダメだろうか(一時完結) 作:ダーク・シリウス
『うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!?』
オラリオが、震えた。一般の住民も、冒険者も、神々も。まさかの大将同士の一騎打ちに、都市もろとも興奮が爆発する。誰もが拳を作り、手に汗を握ってのめり込む、最後の勝負に相応しい決戦の光景。大熱狂を引き起こす観衆が言葉にならない叫びを繰り広げられる剣劇にぶつけた。
「・・・・・!?」
放たれる斬撃。二振りの漆黒の変わった形をした刃付きの
懐へ、
「【ライ―――】」
側面へ、
「【ト―――】」
死角へ、
「【ボル―――】」
視界外へ
「【ト―――】!」
回り込み怒涛の乱打をたたみ掛けた直後、炎雷が左手から炸裂してヒュアンキトスの足元、地面に命中した。
大地を貫く炎雷の衝撃とその威力は小さな
その一瞬を見逃さないベル。
リン、リン、と。
―――脳震盪と言ってな。脳を揺さぶる衝撃を与えれば身体が思うように動かせなくなる状態だ。顎下から拳を打ち抜けばどんな冒険者でもそうなる。第一級冒険者には効果が薄いだろうがやる価値はある。
己を指導してくれた師の言葉を思い出し、今実行しようとしたそれを―――止めた。
頭・肩・腕を同時に使い爆発的なパワーを発揮してヒュアンキトスを吹っ飛ばした。
―――イッセーさんは対人に対する倒し方を知りつくしている。それを僕に教えたに過ぎない。
ベルの『敏捷』SSSの瞬発力に乗ったデルタ攻撃を受けたヒュアンキトスは身体全体に凄まじい衝撃を受けながらも
―――僕なりの戦いで倒すんだ。
―――だ。
激しく打ち合う長剣とトンファーブレード、遅れ始めている自身の対応。力はこちらの方が上。だが確かに、完璧に、速さが上を行かされた。
―――誰だ。
技をもってしても捌き切れず、そして駿足の駆け引きがこちらの裏を掻く。過去の交戦の記憶がかすむほどの、尋常ではない速度。
―――誰だっ。
成長、などという言葉は生温い。目を疑うような変貌を遂げた少年の姿に、ヒュアンキトスは、あらん限りに吠えた。
「―――誰だっ、お前はっ!?」
能力も、技も、その全てが一線を画している。攻撃の威力、身体の切れ、愚直なまでに真っ直ぐな技、一瞬の閃き。まだ十日前、自分の足元にも及ばないと思っていた少年はもうどこにもいない。
「―――僕は、【アテネ・ファミリア】のドラゴンに鍛えられた【ヘスティア・ファミリア】のLv.2のべル・クラネルだ!」
別人に成り果てた眼前の冒険者に、強引な切り払いをするとともに叫び散らす。
「ふざけるな、私は、Lv.3だぞ!?」
戦慄と動揺を重ねるヒュアンキトスに対し、ベルの身体がぶれる。吸い込まれそうなほど黒い濡羽色のトンファーブレードが駆け抜け、相手の
「何をやっている、ヒュアンキトス!?」
長剣を失った眷属に、アポロンの悲鳴が上げる。その顔には既に余裕はない。アポロンと同じ場所に座っている神々―――決闘を申し込んだ一部の神々も不安げな色を顔に浮かべていた。目の前で見せられている光景では予備の短剣を引き抜いたヒュアンキトスとベルが激しい戦闘を続けている。
「ふッッ!!」
「~~~~~~~~っ!?」
漆黒の大閃が宙を切り裂き、受け止めるヒュアンキトスの短剣を脅かす。業物である
リン、リン、リン。と。
「ぐぅうっ・・・・・っ!?」
神に惚れ込まれたヒュアンキトスの美貌が、焦燥に燃え、歪む。一週間、徹底的に一誠に師事を受けた対人戦の極意。技と駆け引きを始めとした先達の教えが、その
「う、おおおおおおおおおッ!?」
「っ!?」
肌を掠め
そして、
「―――【我が名は愛、光の寵児。我が太陽にこの身を捧ぐ】!」
ヒュアンキトスは最後の賭けに出た。彼我の距離が大きく離れる中、詠唱を開始する。
「【我が名は罪、風の悋気。一陣の突風をこの身に呼ぶ】!」
『魔法』―――起死回生の切り札。
不利な白兵戦から堪らず逃れ、形勢の逆転しうる必殺の行使に踏み切った。
「【放つ火輪の一投―――】!」
大量に舞う砂塵の奥で、紡がれる呪文をベルは察知する。トンファーブレードを鞘に戻し、させぬとばかりに両手を突き出した。
―――三分。
一八〇秒分の
「【ファイアボルト】!」
「~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ!?」
炎雷が轟き、爆炎が巻き起こる。吹き飛ぶ長身の身体。全身を焼き焦がし
『―――ヒュアンキトスが倒れたぁー!』
ベルの攻撃が止む頃。ヒュアンキトスは青天になっていた。
『十のカウントを始める!それまでヒュアンキトスが起き上がらなければベル・クラネルの勝利となる!―――十!九!八―――』
カウントが始まり、戦いの結果が決まる光景を見守る観戦者達。息を呑み、口を閉ざして静かに結果を待つ。
『七!六!五!』
未だに起き上がる気配はないヒュアンキトスにアポロンは開いた口が塞がらない。顔に絶望の表情で支配されていた。
『四!三!ニ―――!』
無意識にベルの勝利を信じて手を握るヘスティア。残りのカウントが過ぎればベルの勝利、白組の勝利―――!
『一―――!』
しかし、
「―――――」
ヒュアンキトスの上半身が揺らぎ、ゆっくりと動き始めたのだった。そして四つ這いの姿勢で、全身で息をしながらも二つの足で確りと立ち上がった。
『立ち上がったぁー!とんでもない鋼の精神でヒュアンキトスは立ち上がったぞぉー!試合は続行だぁー!』
うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!?
会場は興奮で、思わず席から立ち上がった冒険者や神々がいたほどヒュアンキトスに対して驚嘆と称賛をしたのである。まだ戦いは続く。ベルは武器を構えて臨戦態勢になってヒュアンキトスの動きを窺う。
―――ヒュアンキトスが駈け出した。
「【我が名は愛、光の寵児。我が太陽にこの身を捧ぐ。我が名は罪、風の悋気。一陣の突風をこの身に呼ぶ】!」
『魔法』―――起死回生の切り札。
またもや形勢を逆転しうる必殺の行使に踏み切った。
「【放つ火輪の一投―――】!」
「【ファイアボルト】!」
炎雷の一条が炸裂する。炸裂―――してもヒュアンキトスは倒れない。歯を食い縛った顔をぐんっと前に突き出し、駈け出す足は止まらずベルに向かい詠唱を続行した。
「【―――来たれ、西方の風】!!」
瞠目し、すぐに眦を吊り上げるベル。速攻魔法の真骨頂である連射で押し切ろうと左手を突き出した。
「【ファイアボルト】!」
五回の速攻が発動して、愚直なまでに真っ直ぐ駆けて来るヒュアンキトスに向かって炸裂、直撃する光景を誰もが脳裏に過ぎった。だがしかし、ヒュアンキトスの双眸が大きく開き、凄まじい跳躍で上空に跳んだ。ベルが目を丸くして直ちに上空にいる相手に左手を構え直す先、詠唱を終えたヒュアンキトスは上半身を捻った。重心は低く、左腕を下に、そして右腕が高々に上げられたその姿勢は―――円盤投げ。高出力の『魔力』を右手に凝縮させながら、ヒュアンキトスの碧眼は驚愕するベルを射抜き、一挙、魔法を発動させる。
「ぬおおおおおおおおおおっ!【アロ・ゼフュロス】!!」
太陽を背に太陽光のごとく輝く、大円盤。振り抜かれた右手から放たれた日輪が、高速回転しながら驀進する。
「【ファイアボルト】!」
一歩遅れて撃ち出されるベルの速攻魔法。人の上半身ほどもある巨大な光円、高速で疾走する緋色の稲光。互いの魔法は瞬く間にぶつかり合い、そして、大円盤が炎雷を蹴散らした。
「っ!?」
一条の炎の矛が無残に切り裂かれ、大量の火の粉をばら撒き霧散する。決定的なまでの力負け。ベルの魔法の欠点、単発の威力は決して高くない。敵の必殺に対し、【ファイアボルト】は打ち破られた。
「ぐっっ!?」
そのまま突き進んできた大円盤を、ベルはぎりぎりのところで回避する。
「無駄だッ!?」
しかし、そのヒュアンキトスの叫びに導かれるように、回転する光の円盤は上空へ舞い上がり、大きな弧を描いてベルのもとに進路を転ずる。
「【
瞬間、円盤は眩い輝きを放ち、大爆発した。
「―――がっっ!?」
回避行動を取ったベルの真横を過ぎ去る間際、
『あーっと!アポロンの魔法の効果でベル・クラネルに大ダメージを与えた!至近距離での衝撃とその衝撃波はまさしく倒れ込んだベルの姿に威力は物語っているー!』
「ベル様!?」
リリの張り裂けんばかりの悲鳴。
目の前で己の眷族の戦いを見守っている
「はぁ・・・・・はぁ・・・・・仕返しはしたぞ、べル・クラネルッ」
地に降り立ったヒュアンキトスは意趣返しを果たした喜びを噛みしめ、鞘に収めていた短剣を再装備し、満身創痍の身体で歩み寄る。ゆったりとした歩みで迫りくる敵の姿に、右肩を潰されたベルは動けない。立ち尽くす彼に向って、太陽の日差しを反射する剣身がキラリと輝いた。
「(―――――)」
ベルの体感時間が極限まで引き伸ばされる中、この場にいる会場で。
ヘスティアの瞳が恐怖に染まる。
アポロンの笑みが歓喜に歪む。
リリが叫び、
ヴェルフは硬い表情で見つめ、
ヘルメスは目を逸らさず、
たまたま来ていたベートは陰から舌打ちをした。
そして、ティオナが息を押し殺す横で―――アイズの金の瞳は。ただただ白髪の少年の姿を捉えていた。
そして、直ぐ近くにいる一誠の金の瞳は。少年の
「(―――――)」
さざ波の音が聞こえる海の横、砂浜の上で、二人は対峙しながら
―――人は隙を見つけると、動きが単純になることがある。
彼が語り、少年が教えられた助言の内容。
―――止めの一撃は、油断に最も近い。これが最後だとばかり攻撃の瞬間を相手に見せ付けるからだ。
甦る回想を、偶然に、必然に、二つの心が共有する。
―――追い込まれたその先が、一番の好機にもなる。
―――忘れるな。
だから、また。
「「(―――――ここから)」」
急迫するヒュアンキトスが短剣を背に溜める。勢いが乗った突きの一撃。ベルを串刺しにする満を待しての必殺。舌舐めずりを彷彿させるように青年の口角が持ち上がる中、ベルは、後ろに矢のごとく後退した。臆病風に吹かれたと見て取ったヒュアンキトスは嘲笑い、無駄だとばかりに追撃する為に飛び出し短剣を握り締め、そして剣尖を繰り出す。次の瞬間、ベルは―――踵を深く地面に踏みつけ後退を止め青年に向かって駆けだした。自ら刺さりに来たとばかりの突貫に青年は考えと姿勢を止めないまま勝利を掴もうとする。
が、しかし。ベルはヒュアンキトスの前で煙のように消えた。
「・・・・・は?」
相手は呆ける。辺りを見渡してもベル・クラネルという少年の姿は見当たらない。
―――否!
「ヒュアンキトス、上だっ!?」
全力でベルが空高く跳躍していたのだ。アポロンの叫びが聞こえ上空を見やると太陽をバックにしてヒュアンキトスに向かって落下をしている状態。【アポロン・ファミリア】のエンブレムのお株を奪うような光景に繰り出した姿勢のまま硬直してしまったヒュアンキトスに―――。
「―――ふッッ!!」
突貫する。
「―――小癪なっ!?」
突きの態勢により前のめりになったヒュアンキトスは姿勢を戻して立ち向かおうと己も跳躍をした。
最後は空中戦。
落下するベルは跳躍してくるヒュアンキトスに無防備でいると下から迫って来た青年が短剣を鋭く槍のごとく繰り出した。空中での回避は不可能。ならば、どうするべきか今のベルの中では確固たる決意があった。
ドッ!
上半身を右に捻り使い物にならなくなった右肩を犠牲に、短剣を封じた。そして、右肩を犠牲にすることでまだ使える左手を握り締める。まだ幼い少年の
「―――ま、待てぇええええええええええええええええええええええええええ!?」
そして、牙を突き立てるべく振り上げられたベルの左手が、渾身を持って振り抜かれた。
「うわああああああああああああああああああッッ!!!!!」
撃砕する。
「がぁっっ!?」
放たれた左拳がヒュアンキトスの顔面に叩き込まれ、めり込み、ベルとともに落下してそのまま地面に叩き付けられた。落ちた衝撃音。殴られた青年の顔から拳を放すと美しかった美貌が崩れ大の字になり大空と太陽を仰いだまま。顔に殴打の跡を残し、白眼を剥く身体が、カウントを数える中でも今度は立ち上がることは無かった。
決着の光景に、アポロンはへなへなと座り込んで唖然とした表情で現実を受け入れてしまう。
『――――――――――――――――――――――――――――――――――ッッッ!!!!!』
オラリオの上空に、大歓声が打ち上がった。運動会の会場で打ち鳴らされる激しい銅鑼の音ともに、決着を告げるあの美しい大鐘の音が都市全体に響き渡る。
『見事っ!ベル・クラネルが第二級冒険者、【
実況の一誠もまた興奮を覚え、大絶賛。一誠の実況にさらに熱狂がヒートアップする。
「・・・・・よくやったな。ベル」
声を殺し、称賛を称えた。中立の者としてこの場で喜ぶ事は出来ないので残念だと思いつつも嬉しそうな表情を隠せなかった。
『それでは!全ての競技を終えたことで運動会はこれにて終了だ!皆、楽しんでくれたかー!?』
うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!
大歓声がさらに沸く。
『だがしかし!まだやるべき事が残されている!―――今回、運動会をする切っ掛けとなった神の代理戦争!この運動会で神ヘスティアと神アポロンの決闘は今決した!そしてそれに乗じ、他派閥の神同士もまた決闘を望み決した!さあ、白組の神々よ!敗北した赤の神々にどんな要求をする!呼ばれた神々は素直に前に出るように!』
ヘスティア、ミアハを含めて十を超える白組の神々が意気揚々と席から立ち上がり、敗北したアポロンを始め十をも超える赤組の神々が葬式の雰囲気を醸し出しながら現れた。
『さて、以下の神々が出てきた中で―――俺の主神、アテネに決闘を申し込んだ女神にも出て来てもらおうか。なあ、ロキ?』
「「「え?」」」
アイズ、ティオナ、レフィーヤが信じられないと言った感じでロキへ視線を向けた。当のロキは乾いた笑みをして一誠にこう言う。
「無かったことにしてくれるっちゅーのは・・・・・・」
『駄目だ』
片腕だけ龍化して、巨大な手で席に座っているロキを捕獲。それからアテネの前に連れられ、酷く焦った表情を浮かべた。
『それでは勝者と敗者の神々が揃ったところで敗者の神に要求を。直ぐに勝者の要求通りに動いてもらうんで。ただし、否定や拒否、拒むことはできないと思え』
一誠の実況にこの時の為に協力を求めたギルド員が現れ、中立を貫き、ダンジョンを管理・運営を務めるギルド員の存在に逃げ道を塞ぐ一誠に勝利した神は早速勝者の特権をフルに使っていた。勝者の要求に敗者の神は絶望し切った表情が後を絶たない。
『では、次に勝者ミアハ。ディアンケヒトに何を望む?』
「うむ。では・・・・・借金を帳消し、そしてそなたの眷族の一人を退団させよ」
「な、なんだとぉっ!?」
清々しい表情のミアハからの要求に愕然の面持ちで目を大きく見開くディアンケヒト。
『眷族の一人の退団って誰だ?』
「アミッド・テアサナーレだ。彼女はディアンのお気に入りのようだからな。今まで耐えていた我々に無礼を働いた報いを果たすには丁度良い」
「ノオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオっ!?」
「―――イイ気味」
ぼそり、
『―――さて、神アテネ?白組が優勝したことで神ロキに要求を言い渡されるが、どんな要求をするんだ?』
逃げ出させないために、ドラゴンの尾で拘束してアテネに問うた。しかし、アテネは派閥の結成を許されていない為、意味の成さない要求はしないはずだと己の主神の性格を把握している一誠は気になる方だった。
「そうね・・・・・それじゃ、前から決めていたことを要求しましょうか。約束の決着もつけたいしね」
イイ笑顔で、アテネはロキに要求―――いや、命令を下した。
「リヴェリア・リヨス・アールヴだけじゃなくアイズ・ヴァレンシュタインも退団させなさい?私が引き取る為にね」
「――――――」
『あれ、増えたな?』
リヴェリアだけでなくアイズまでも増えた結果。ピシリッ、とロキが石化してしまったように固まった。主力の冒険者、子供を手放してしまうのは最大派閥として凄い痛手である。指名されたこの場にいる最強の女剣士一人、オラリオにいる最強魔導士のエルフが驚きで言葉を失った。
「あら、大切な戦力が減っちゃって、オラリオ最強派閥は私になっちゃうわね、ロキ?」
クスリと優雅に笑み絶望で打ちひしがれているロキに対して見下ろすフレイヤ。
『あーあー、【ロキ・ファミリア】が失墜したな。まあ、これはロキの自業自得としか言えん。では最後に。メインでもあるヘスティアとアポロンの番だ!神ヘスティア、アポロンに何を望む?』
その言葉を待っていたかのようにヒュンッヒュンッヒュンッ、とツインテールを荒ぶらせる彼女。
「―――ア~ポ~ロ~ンッ」
ベルを狙い、ホームを破壊され、街中を追い回され、ことごとく見下され。果てしない鬱憤が溜め込まれ爆発寸前と化している女神がここで爆発した。
「誰が可愛い兎は私のものだってぇー?」
勝利を信じて疑わなかったアポロンは、確かにそのような言葉を豪語していた。周囲からも神々が集まり大きな円を作り上げる中、かたや罪状を叩きつけられる咎人と、かたや『神の審判』を下す女神に別れる。ニヤニヤと笑みを浮かべる神々、喉を引き攣らせるアポロン。
「ホームを含めた全財産は全て没収、【ファミリア】も解散―――そして主神である君は永久追放、二度とオラリオの地を踏むなァ―――――――ッッ!!!」
「ひぎゃあああああああああああああああああああああああっっ!?」
運動会の会場に震わせる神の絶叫が轟く。眷族を狙う危険神物に、ヘスティアは容赦ない罰則を叩き付けた。興奮の渦が未だ収まらないまま二つ、決着がつけられた。
『えー。では早速、敗者の神々は勝者の神の要求を応えてもらうぞ。ここにいない
一誠の発言により、ガクリと頭を垂らす指名され
―――○●○―――
その日の夜―――。
『歌え!飲め!食え!踊れ!宴だぁー!』
運動会を終えた一同は敵も味方も関係なくお祭り騒ぎで盛り上がっていた。活躍し勝利した白組として参加した神々と冒険者を中心にオラリオの外で賑わいを繰り広げていた。赤組の神や冒険者達もその輪の中に交ざり、楽しんでいる。
「こ、こんな大勢で騒ぐことになるなんて初めてです」
「今日の主役が騒がないでどーするよ」
唖然とお祭り騒ぎになっているこの光景を見つめている少年の横で呆れる声が投げられた。
一日実況をして中立の立場を貫いていた一誠。アテネとハーデス、春姫達に囲まれる中で楽しんでいた。
ヒュアンキトスに勝てたのは一誠の指導のおかげであることを、白髪頭を下げようとしたが己の心情を知った風に口を開きだした。
「ヒュアンキトスに勝てたのはお前の実力だ。俺に感謝する理由は無いぞ」
「で、でも・・・・・」
「それに、お前のおかげで俺もアテネ達から離れなく済んだ」
感謝するのはこっちだと言いた気に発してベルの白髪を撫でた。誰かに撫でられるのはどこかこそばゆいがまんざらでもなかった。
「格上の相手を倒した。ベルも・・・・・・Lv.3になるのは近いだろうなぁ・・・・・・羨ましくないぞ」
「イッセー。落ち込むぐらいなら言わなきゃいいのに・・・・・」
Lv.が、己の器が昇華しないことを気にしている一誠を呆れ、ポンポンと頭を優しく触れ慰めるアテネ。
「えっと・・・・・イッセーさんもきっと上がりますよLv.」
せめて、励まそうとするベルの発言に一誠はますます不機嫌になり、
「―――ふんっ!いいもん、上がらなくても俺は強いもん!」
「「「「「「(子供だなぁ)」」」」」
一誠にとって嫌味でしか聞こえないベルの発言にふてくされる。そんな一誠の周囲にいる面々の感想は一致した瞬間だった。己を強く鍛えてくれたドラゴンの反応に当惑するベルはアテネから気にしないで、と声が掛けられる。
「ヘスティア。これで貴女も【ファミリア】のホームを手に入れたわね。乗っ取った形になるけれど」
「うん!ベル君達のおかげで念願のマイホームが手に入ったよ!それとボク達のホームを滅茶苦茶にしたんだ。文句は言わせないぞ!」
嬉しそうに声を弾ませるヘスティアに心から祝福するアテネ。ハーデスも祝福の一言を述べる。
「後は眷族集めかしら?今回の件であなた達【ファミリア】は有名になったものだから入団希望者は現れるのだろうけど」
「そうだねー。よし、ホームの事を片付けたら入団希望者を募集するぞ!」
意気込むヘスティアを他所に、あの膨大な借金を知ったら・・・・・とヘスティアとヘファイストスしか知らない【ヘスティア・ファミリア】の経済の状態と入団希望者の冒険者達の反応を危うく感じている一誠だった。
「早速だけどイッセー君。どうだい、ボクの【ファミリア】に入ってくれないかい?」
「―――ヘスティアぁ?」
逆立つ銀髪と般若の顔のアテネがヘスティアに狙いを定めた。そう、怒りの矛先を―――。
―――私のイッセーをその無駄にデカイ胸で誘惑しようとするんじゃないわよぉっ!?
―――じょ、冗談だよアテネェッ!?
追いかけ回す追いかけ回される女神の行動にその光景を見た酒で酔っ払っている神や冒険者達が笑う。
そんな己等の主神にベルと春姫は慌てふためき、リリとレリィーは呆れ、ウィルは苦笑い、カルラは花より団子もとい酒に夢中でそこらじゅうに酒瓶が転がっていて、ハーデスは一誠の胸に背中を預け座っている状態で眠っていた。
「・・・・・」
そしてこの光景を何かと被せて、懐かしそうに見つめる一誠は耳朶に刺激する賑やかな声と音楽を時が過ぎて行くとともにしばらく聞いた。
「・・・・・あの」
「ん?ああ、お前か」
一誠達がいる場所に金髪金眼の少女が現れる。
「・・・・・」
ようやく、イッセーと会話ができる。だけど、最初はなんて話せばいいのか。アイズは色々と言いたい言葉が咽喉につっかえて出ずにいた。何を言おうかと迷っているそんな少女の様子を一誠は自分から話しかけた。
「今なら俺と話せるぞ。もう忙しくなくなったからな」
「・・・・・」
促しの言葉を受け、少女は頭の中で言葉を選び、「ごめんなさい」と最初に謝罪の言葉を送った。
「それは・・・・・何に対しての謝罪だ?」
「・・・・・」
「俺の秘密をバラしたことに関してならば今更な謝罪だ。もう知れ渡っているんだからな。謝られても意味がない」
溜息を吐くドラゴンに少女は顔を俯いて落ち込む様子を窺わせる。気にしていないと棘のある言い方で言われ、申し訳なさがアイズの中で湧き上がる。
「二度と俺に謝るなよ。埒が明かない、いいな」
「・・・・・ん」
この話は終わりだと言外する。本人もそう望んでいるならばその通りにしようとアイズは、久し振りに前のように気楽に話しかけれることができる喜びを今まで話したかった会話をすることで噛みしめようとする。
「で、今の派閥から退団の儀式は済ませたのか?」
いきなり本題に入る一誠であった。それは、と困った風に綺麗な柳眉を八の字にして言い辛そうに口を開いた。
「今、フィン達に怒られていてそれどころじゃない」
「自業自得としか言いようがないな」
となるとアイズの背に刻まれている恩恵はロキの派閥のエンブレムのままなのだろう。当のロキはフィンを始め、幹部の冒険者達に小言を投げられ続けているはず。今日中に四人を退団は無理かもしれないと悟る。
「アイズ、アテネはああ言ったがお前はこれでいいのか?お前の気持ちを尊重するぞ」
「・・・・・わからない、かな。でも・・・・・・」
「ん?」
言葉を区切り、再度己の気持ちを打ち明けた。
「ベルが強くなったのはイッセーのおかげだよね。凄く、強くなっていた」
格上の相手を打破したベルの姿はまだ瞼の裏に焼き付いていた。今日の出来事は決して忘れないかもしれない。それほど印象が強く、自分の中に刻みこむのは十分過ぎたのだ。
「私も・・・・・イッセーの傍にいてもっと強くなりたいと思っている」
金眼は確かに一誠を見据え、強くなりたいと懇願をした。彼女の意志を聞き、彼女の想いを受け止める。
少年は、口角を吊り上げ「だったら尚更だな」と告げた。
「アイズ、俺の家族になってくれないか?」
差し伸ばされる手を取れば、自分は今いる場所から離れなければならなくなる。それ相応の覚悟と気持ちがなければこの手は取れないのをアイズは理解し、少しばかり逡巡する。だが、ロキはアテネに自分達の退団を言い渡されているではないか。
「・・・・・」
十年以上、ともに過ごしともにダンジョンで強くなった仲間達の顔を浮かべ―――。
「私を、もっと強くしてほしい」
新しい環境の中で今以上強く有りたいと切なる悲願を叶える為、アイズ・ヴァレンシュタインは退団を決意し、無所属の【アテネ・ファミリア】に入団することを決意した。
二人の手が重なり固く握りしめ合った。
「了解。だけど、たまには女の子らしく生きような?」
「・・・・・うん。その時はお願いがある」
「なんだ?」
―――ちっちゃくなって私の弟になって?
―――絶対に嫌だっ!
視線での会話を終えたところで、もう一人の件の人物が声を掛けてきた。
「ここにいたかアイズ」
「リヴェリア・・・・・?」
「不本意で遺憾ながら、ロキは儀式をするそうだ。神アテネも御同行を願いに行くとしよう」
その言葉を聞き、こくりと頷く少女は一誠にまたね、とリヴェリアとともにアテネのもとへ赴き、ロキがいる場所へ連れて行く様子を見送り、
後日―――二人の筈が四人に増えることを一誠は知らない。
―――ヘスティア、アポロンの
「・・・・・私を眷属にしないというのはどういうことですか?」
「私は一度もそなたを眷属に迎え入れたいと、あの運動会で言った覚えはない」
【ミアハ・ファミリア】のホーム前に、泣く泣くディアンケヒトの手によって退団されたアミッドは
「そなたが今、行きたい場所に行くべきだ。それは私達のところではない」
「・・・・・」
「すまないが、私は今忙しい。あの運動会の件で我が派閥に入団希望者が殺到している」
アミッドは背後に振り返る。彼女のつぶらな瞳に映る光景は―――種族問わずの数多の少女や女性達が立ち並んでいた。あの崖登りで登り切ったミアハに心を打たれなのだろう。皆、尊敬や敬愛、それ以上の感情が籠った眼差しを向けていた。一部、本当に一部だが漢女も存在していた。この光景を見てアミッドは未来を見据えた。
「以前のような・・・・・【ファミリア】に戻れると言いですね」
「うむ。アテネの子供の催しのおかげでな」
「・・・・・時間を取らせて申し訳ございませんでした」
頭を垂らし銀髪を揺らすアミッドは列から外れミアハに背を向けて己が一番行きたい場所に向かった。
「懐かしくもある。また一から始める時だ」
「ミアハ様、あの、私をこの派閥に入れてください!」
「―――うむ、歓迎するぞ。しかし、我がホームは少々汚い。が、その美しいそなた達に見合う綺麗な本拠にしてみせる。どうか私に協力してくれ」
きゃー!と弾んだ乙女の歓声が路地裏に沸く。
「・・・・・行って来い、ナァーザよ」
「大変ですタケミカヅチ様っ!入団希望者が後を絶ちません!」
「直ぐに対応をお願い致します!」
「よーし、任せろっ!?」
こちらもこちらで対応に忙しく追われていた。初めてオラリオに来た新人冒険者が多く、タケミカヅチの派閥に入りたい理由を聞くと、
―――男らしかった。
―――格好いい男神の派閥に入る為。
―――タケミカヅチ様のような男になりたい。
などなど好評価なタケミカヅチのもとで冒険者になりたいと言う者達が殺到する。
「すまんなお前達」
「いえ、気にしないでください。寧ろタケミカヅチ様のご活躍あってこそのことです」
「そ、そうです。命ちゃんの分まで頑張りますっ」
変わりに対応をして貰っている眷属に謝り、そしてとある派閥に自らの意思で
「そうだな。また戻って来た頃には驚くような【ファミリア】にしてみせるぞお前達」
はいっ!と気合の入った返事に満足げな表情を浮かべ、空を見上げた。
「命・・・・・そっちも頑張れよ」
「主神様よ。本当に良かったのか?」
執務室にいるヘファイストスに対して問う椿。
「ヴェル吉の
「いいわよ。あの子は私を納得させるだけの言葉を言ってくれたから」
「ふむ。そうか、主神様を納得させているならば手前は何も言わん」
ヴェルフもまた、【ヘファイストス・ファミリア】の派閥から退団して違う派閥へ加入した。椿はそれ以上追及せず、団長として主神の実務の手伝いをする。
「・・・・・元気で頑張りなさい、ヴェルフ」
「ロキ・・・・・・もう一度言うけど僕達のいないところで賭け事は止めてくれと言ったはずだよね」
「さて、ロキ。二人を引き取りに来たわよー(笑)」
「もう、堪忍してやー!?」
味方がいない状況下。ロキは自分の眷族にも責められ、一日間を置いてアテネと一誠はアイズとリヴェリアを引き取りに『黄昏の館』の門前に現れた。
「アテネェ・・・・・自分派閥の結成を許されておらんから眷族は今いる子供達で十分やろ?イッセーなんて、恩恵なしでも十分強いやんかぁ」
「ロキが勝利した暁には私のイッセーを貴女の眷族として引き抜かれる要求されたもの。なら、同じ要求をされても文句は無い筈」
「せ、せやからあれはほんの出来心―――」
「そんな気持ちで私に喧嘩を吹っかけてきたの?」
呆れ果てるアテネ。隣に佇んでいる一誠も溜息を零す。圧倒的に勝って余裕を持っていたから、今ならアテネに決闘を申し込んでも勝てるだろうと言う傲慢な気持ちでいた結果、大逆転されてしまい己の想像していた未来と全く異なってしまった。
「ううぅ・・・・・アイズさん、リヴェリア様ぁ・・・・・」
「寂しくなるなー」
「そうねー」
項垂れるレフィーヤ、頭の後ろに手を組んで身支度を済ませているアイズとリヴェリアを見送るティオナ、妹に同意と同様に見送るティオネ。
「あの、アテネ様。因みにあたし達を引き抜こうとは思わなかったんですか?」
「この堕女神に慈悲を与えたに過ぎないわよ。貴女やエルフの子も引き抜いて良かったのだけれど―――なんなら、今からでも私の眷族にならない?」
「・・・・・うーん」
一誠と同じ派閥になれば・・・・・一誠に鍛えられ、楽しいこと、面白いことが有りそうだと感じ、腕を組んで深く悩んでしまったティオナ。そんなアマゾネスの少女を対照的にレフィーヤはいなくなる崇拝する少女とエルフの女性に未練たっぷりで行かないでという視線を送り続けていた。
「ダメに決まってるやろぉー!?」
しかし、いや、必然的だろう。二人も引き抜かれた上にもう二人も引き抜かれては堪ったものではない。叫ぶロキにアテネはどこまでも清々しい表情で「残念」と漏らした。
「リヴェリア、元気で」
「たまには顔を出して来い。ともに酒を交わしたいからのぉ」
「ああ」
【ロキ・ファミリア】古参の三人は拳を突き合わせ、別れの挨拶を終える。
「ま、こうなったのも全部調子に乗った
「・・・・・?」
「戦い以外にも目標を作りなさい?」
微笑みを浮かべるティオネはアイズに言った。
「私みたいに団長と結婚する夢を持ったり、団長との間に子供を作ったり、団長と幸せな家庭を築いたり、団長と―――」
「・・・・・まあ、要するに。お主も冒険者以前に女じゃから女らしい趣味や恋をするもんじゃ、とティオネの奴はそう言いたいんじゃよ」
デヘヘェ・・・・・とアイズに言い続けているとすっかり自分の世界に入ってしまって、蚊帳の外へ置いてけぼりにされた少女に見かねてガレスが変わりにそう告げた。
「・・・・・うん、いつか。作ってみる」
「うむ。達者でな」
「元気で」
アイズもフィンとガレスと握手を交わし、涙目のレフィーヤと「またダンジョンに行こうね!」と元気に言うティオナとも握手をする。
「・・・・・ベートさんは?」
「あー、あの狼?きっといなくなるアイズと顔を合わせたら泣いちゃうからいないんじゃない?」
「有り得るわね」
アマゾネス姉妹の、
「―――それじゃ、行きましょうか」
アテネの促しの声に一誠、アイズ、リヴェリアは首肯し歩き始める。すると、背後から声が投げられた。
「また後でそっちに行くからねぇ~!」
ティオナの声が聞こえて来たと思えば、それが皮切りに【ロキ・ファミリア】の冒険者達がアイズとリヴェリアに対して別れの言葉を叫んで発する。仲間達へ顔だけ振り向き手を挙げたまま去る少女とエルフの女性。
「さぁーて。帰ったら二人の歓迎パーティをしなくちゃね」
「そうだな。二人とも、何か食べたい物の希望はあるか?」
「・・・・・ジャガ丸くん小豆クリーム味」
新たな仲間に乾杯しようと楽しむ思いが湧き、希望を聞けばアイズは案の定の答えが返ってきた。
行きたい場所に行くべき―――。アミッドは足をミアハに導かれ己が行きたい場所へ、己の意志で向かっている。
叶わないと思っていたことが、思いもしない形で成就し、少女の心は目的地に近づくにつれ、緊張と歓喜の気持ちが高まる。
―――あの人の傍をいられる。
肩に掛かるずっしりとした重み。それが以前の派閥から去る際に身支度をしバックパックに入れた私物であると現実を実感させる。嘘ではない、本当に自分はあの人の傍で生きることができる。密会をする必要もなく、堂々と接することができる。今後の生活を楽しみだと考え、アミッドが辿り着いた目的地。
―――ポツンと、横にバックパックを置いて、一〇〇Mはある石壁に背を預け、
どうして、彼女がここに・・・・・と疑問は浮かぶが、バックパックの膨らみ具合を見れば一目瞭然。
彼女もまた、派閥を退団して自分と同じ状況にいるのだろう。だから、あの場に彼女がいなかった。
心中で
「「・・・・・」」
見知った顔者同士。以前までは主神の関係で眷族まで良い感情を抱かれていないだろうと悟っている少女は、女性を見ず、一誠を待つ。
「「・・・・・」」
静寂な雰囲気、沈黙は―――以外にもナァーザが破った。
「やっぱり、ここに来たんだね」
予想していたかのように問うた。理由は既に理解している、把握している。小柄な少女がここに来た目的すら聞かずとも分かるとナァーザはアミッドにそう口にした。
「・・・・・貴女は?」
ここにいてもいいのか、と言いたげに訊くアミッドに青空を見上げるナァーザ。
「
「・・・・・」
「入団希望者が多くて、私はいなくても大丈夫だって、だから自分の好きなように生きなさいって言われた」
女性しかいなかった入団希望者達を脳裏に浮かべ、ナァーザにそんなことがあったのかと軽く相槌を打つアミッド。
「だから、私は好きな子のところに来たってわけ」
そっちと同じと言わんばかりナァーザはここにいる理由を打ち明けた。一誠に恋する女性という共通の必然的な集いにナァーザとアミッドは何とも内心複雑な心境だった。互いの派閥の活動内容も被り、想いを寄せている少年も被っている。
「・・・・・できれば、これからは仲良くしましょう。共に過ごすことになるのですからそれぐらいは―――」
「・・・・・いがみ合う理由は無いとは言い切れない。直ぐに仲良くなれない。でも、イッセーのことに関しては負けるつもりないよ」
アミッド・テアナサーレ、ナァーザ・エリスイス。複雑な関係の仲、でも恋敵であり時には協力することもあるだろう。
「・・・・・そうですね。イッセーだけは譲る気なんて私もありません」
「でも、強敵だらけ・・・・・たまには手を組もう」
「同感です。イッセーは魅力的ですから好意を抱く女性が多いはずですからね」
「うん。イッセーは格好いいから」
趣味が合う者同士であると話が弾む。二人もまた一誠の話で距離が縮み、次第に熱が入り、お互い自分しか知らない事や羨ましがる体験を自慢話もとい情報交換をして・・・・・。
「・・・・・何であの二人、ここにいるんだ?」
「さあ・・・・・しかも、何だか盛り上がっているし」
陰から一誠達が見ていたことも気付かずにいたのだった。
―――それからのこと。アイズ・ヴァレンシュタイン、リヴェリア・リヨス・アールヴ、アミッドテアナサーレ、ナァーザ・エリスイスと四人の仲間を加えたアテネ。非公式の派閥だが、少数精鋭の【ファミリア】と成っていくのである。