その中で少年は戦っていた。
少年の澄んだ瞳に炎が映る。
「こんなヤツらの為に!」
少年は向かってくる蝙蝠怪人の攻撃をいなし、
「これ以上誰かの涙を見たくない!」
向かってくる蝙蝠怪人の2回目の攻撃を受け止め、
「みんなに、笑顔でいて欲しいんです!」
そう叫びながら蝙蝠怪人を蹴飛ばして間合いをとった。
「だから見てて下さい!」
少年は腹部に両手をかざした。すると彼の腰に銀色の変身ベルトが出現した。
「俺の!」
そして少年はそのベルトに左手を乗せ、右手を斜め左に伸ばし、ゆっくり右側に移動させる。
「変身!!」
かけ声と共に右手と左手を左腰に沈めた。
そして両腕を広げた。
キィン、キィン、キィンキィンキィンキンキンキンギュゥゥゥゥウウイイイイン!!
pipipipipipipipipi
「夢、かぁ…」
4/10 7:00
東京都 天宮市 ポレポレ 雄介の部屋
少年、沢村雄介は目を覚ました。
雄介はくあぁとあくびをはき出してからベッドから降り、洗面所に向かった。
「もうあれから4ヶ月かぁ~。」
雄介はバシャッと水で顔を洗い、着替えを済ませ、荷物を持って階下へと降りていった。
睡眠が足りてないからか、それとも単に血圧が低いのか。まだ頭がぼーっとしていた。
「おやっさん。おはよう!」
「おお、おはよう雄介!」
下は『ポレポレ』という名の喫茶店になっている。幼い頃に両親を失った雄介は、ここに引き取られ、高校生になると同時にこのポレポレでバイトを始めたのである。
雄介は、パーカーの上に着ていた高校のブレザーをイスに掛け、カウンター席に座った。
「そういえば雄介も高校二年生か!」
「そーなんだよ! もう昨日の夜はワクワクしちゃって眠れなくてさ! 全然眠れなくて困ったよ」
この店のオーナーであるおやっさんが朝ご飯のハムエッグとクロワッサンを出しながら話しかける。
「いや~うらやましいねぇ。まさに青春時代! 俺も雄介くらいの頃はモテモテでな……」
「え? 本当~?」
雄介は笑いながらコップに牛乳を注いだ。
『7:15分になりました。ニュースをお伝えします』
「お、始まった始まった」
おやっさんと雄介はテレビの方を向いた。
『まず最初は未確認生命体の話題です。昨日午後、大田区に現れた未確認生命体第24号は未確認生命体第4号との戦闘の末、死亡が確認されたと警視庁の発表で明らかとなり……』
「おお~4号の話題じゃないか」
テレビには、ヤドカリの怪人と、クワガタを象った仮面、赤の鎧を纏った未確認生命体第4号が闘っている姿が映し出されていた。
「ホントだ。よく撮れてるじゃん!」
二人して子どものようにテレビを眺めていた。
ここ数ヶ月、この未確認生命体による殺人事件が後を絶たない。
未確認生命体。その存在は未だ謎に包まれている。分かっていることは、彼らは我々人間を次々と殺していく、残忍な生物ということだけだ。
「それにしても、やっぱ4号だよね」
「分かってるねおやっさん!」
未確認生命体4号。またの名を『仮面ライダークウガ』。彼一人を除いては。
「あいつはいい奴だよ! 違いない! だって他の悪いヤツらを倒してんだもん」
「戦士」を名に持つ仮面ライダーは、これまで多くの未確認生命体「グロンギ」を倒し、数多くの命を救ってきた。
だが、彼がどのような存在で、どうして人間に味方するのか、そもそも敵か味方か、これもまた謎に包まれている。
「うん、そうだよ。だって「仮面ライダークウガ」なんだもん」
「なんじゃそりゃ」
二人は顔を見合わせて笑った。
『今日未明、天宮市で小規模の空間震があり…』
会話の途中だったが、二人は笑うのをやめ、テレビの方を向いた。
理由は簡単。
「天宮市って、近いな~」
「最近増えてきたよねー空間震」
この喫茶店ポレポレがある場所が天宮市だからである。
「たしか、あれは30年前だったかな。『ユーラシア大空災』」
ユーラシア大空災。地球上で初めて観測された空間震。
「あれで、沢山の人が死んだんだよね……」
雄介は、表情を曇らせた。
当時のソ連、中国、モンゴルを含む一帯が跡形もなく『吹き飛んだ』人類史上類を見ない大災害である。
その時の死者、行方不明者は1億人を超えている。
そしてその災害を皮切りに、小規模ではあるが、世界各地で謎の災害『空間震』が確認されるようになったのである。
雄介達のいる地域も、過去の大規模の空間震が起こっていて、阪神淡路大震災や東日本大震災と同規模の被害を受けている。
「未確認も怖いけど、空間震も怖いねぇ~」
おやっさんは渋い顔でそう言いながら、ごちそうさまと言われ差し出された皿を受け取る。
「でも、この店にも地下シェルターがあるから安心だよね。」
そう。空間震が観測されるようになってから、地下シェルターの普及率は爆発的に伸びている。特に空間震が多く観測されている天宮市の普及率は全国1位である。
「そーそー。自衛隊の災害復興部隊にかかればポレポレもすぐに始められるからな!」
そんな他愛もない会話をしていると、店の外から明るい声が聞こえてきた。
「絶対約束だぞー!地震が起こっても、火事が起こっても、空間震が起こっても! ポレポレにみかくにんたいせーめーが来ても! 絶対だぞー!」
そのセリフを聞いて、おやっさんは飲んでいたコーヒーを盛大に吹き出した。
「あ、もう時間じゃん!おやっさん、行ってくるね!」
そう言って雄介はカバンを背負い、おやっさんにサムズアップをして店を出た。
「あんまり遅くなるなよ~!」
雄介はおやっさんの見送りの言葉を背中で聞きながら、扉を閉じた。
「おーおはよーユウスケー!」
店を出ると、まず最初に赤髪を白いリボンでツインテールにしている少女に会った。
「お、琴里ちゃん! おはよう!」
雄介は琴里にサムズアップをした。琴里も同じようにサムズアップを返した。
「よう雄介」
琴里の後ろから、雄介より少し背の高い少年が挨拶をした。
「あ、士道。おはよう!」
雄介は士道にも琴里にやって見せたようにサムズアップをした。
この五河士道・琴里兄弟はこの店の常連で、雄介とは雄介が住み込みでバイトを始めた時からの長いつきあいである。
「あのねあのねユウスケ、今日昼にポレポレでデラックスキッズカレー食べるんだ!」
琴里はぱたぱたと両手を振りながら興奮した様子で雄介に話しかけた。
「よかったな~。じゃあ今日は特別にサービスしてくれるようにおやっさんに言っておくよ!」
「ホント? やったー!」
琴里はバンザイをして喜んだ。
「じゃ、おにーちゃん、絶対約束だからなー!」
そういって琴里は中学校のある方へ駆けていった。
「じゃ、俺たちも行くか。」
そういって士道は琴里が走って行った方向とは逆の方に歩みを進めた。
雄介は店先に停めてあった黒いオートバイのエンジンをかけた。
「ってお前なにやってんだ!」
士道はてっきり雄介も徒歩で学校に行くと思っていたので、エンジン音を聞いて慌ててバックしてきた。
「え?俺前からこれだけど?」
雄介のこれがごく当たり前という風な表情は、フルフェイスのヘルメットに隠れてよく見えなかった。
「いやいや、学校からの許可とか取ってるのかよ! ってか免許はいつ取ったんだ!?」
士道が雄介とバイクを見比べながら突っ込んだ。
「………大丈夫!!!」
雄介は士道に人なつっこい笑顔を向けて、アクセル全開で学校へと走っていった。
「おい、ちょっとまてー! 今の間は何だーーー!」
今日初めて、雄介がバイク通学をしていることを知った士道は、友人を乗せて自分から遠ざかっていくバイクを慌てて追いかけた。
人生には「運命の日」というものが存在する。それが複数存在する人もいれば、1回あるかないかという人もいる。
五河士道。沢村雄介。彼らにこの後「運命の日」が何回来るかは分からない、だが、今日「4月10日」が、彼らにとっての一つの「運命の日」となるだろう。
つづく
仕事はその日のうちに。
始めましての人は始めまして。そうじゃない人はいないでしょ。千藤です。
この作品を書いてみようと思った理由は、クウガの主人公五代雄介の願いと、DALの主人公五河士道の願いに、ダブってるところがあると考え、このアイデアが生まれました。って2年前の自分が言ってた。本文そのままです。というのも、この小説はクウガとDALのクロスノベルなのですが、2年前に投稿を始めたものを今回リメイクして再投稿した次第なわけです。
と、いうわけで修正版プロローグを投稿しました。2015/09/05の晩まで修正前のものは消さないでおくつもりです。
これからは心機一転、更新を続けようと思います。活動報告にも書いたように、小説の修行ということで、毎日小説を書いているという状況を作りたいという思いから、このデート・ア・ライブと仮面ライダークウガのクロスノベルの更新を再開したいと考えた次第です。相変わらずプライベートがけわしい状況なので、プライベートを優先してまたすっぽかしそうですが、なるべく見てる人が満足いくような作品を書いていこうとおもいます。
前置きはここまでにして今回のお話について↓
プロローグになっていないプロローグ。
クウガの物語としては、本編でゴウラムを手にいてるところまで進んでいる設定となっています。雄介が警察車両を古代の力で魔改造して盗難車にドカーンしたことについては何も触れないのねこのアナウンサー、と、書いていて思いました。
雄介がどんな人物で、この世界がどうなっているのかっていうのは次のお話まで読んだら分かるんじゃないでしょうかね。
修正していて、この話はあまりいじる箇所ないなって思ってたら1時間経ってました。2年前の自分怖い。若気の至りって怖い。
今回はあまり書いてる内容が少ないので語ることは特に無さそうですね。聞きたいことがあれば感想で質問してみてください。応えられる範囲ならお答えします。多分。
というわけで、これから心機一転。「デート・ア・クウガ」を連載していくので、応援よろしくお願いします。感想や評価なども待ってます。
それでは次回もお楽しみに。