赤い姿の、クウガマイティフォーム
「邪悪なる者あらば その技を無に帰し 流水の如く邪悪を薙ぎ払う戦士あり」
青い姿の、クウガドラゴンフォーム
「邪悪なる者あらば その姿を彼方より知りて 疾風の如く邪悪を射抜く戦士あり」
緑の姿の、クウガペガサスフォーム
「邪悪なる者あらば 鋼の鎧を身に付け 地割れの如く邪悪を斬り裂く戦士あり」
紫の姿の、クウガタイタンフォーム
クウガは、この4つの姿を、敵に応じて使い分けて闘っている。
これまで、クウガはこの4つの姿と、最弱体化した、白い姿のグローイングフォーム以外の姿には変身したことがない。
なら、今自分に見えているこのクウガの姿は何だろう。
確かにクウガだ。でも、何か違う。
夜色の瞳に、同じ色の甲冑。片手には、月明かりのように眩しい光を放っている大剣。そして、腰には光のマントが靡いている。
これは、クウガなのか?
夜色のクウガに、一体のグロンギが向かってきた。夜色のクウガはそのグロンギに対して手をかざした。そして、そのかざした手から、黒い気弾を発射した。
気弾を受けたグロンギは、音も立てずに消失した。
それを合図に、多くのグロンギがクウガに攻め込んできた。
クウガは大剣で敵を切りつけていくが、いくら切りつけても次から次へと敵が湧いてくる。
クウガは攻撃の手を止め、片手を天に掲げた。
クウガの頭上で、「空間の圧縮」が始まった。風が吹きすさび、力のないグロンギは吹き飛ばされてゆく。
クウガの頭上で圧縮された空間は大きな球体となっていき、月の光を完全に覆い尽くしたその瞬間――
ドン
「うわああ!」
4/10 11:31 来禅高校 2-3HR
雄介は、空間が爆破した場面で目を覚ました。
「きゃあ!?」
雄介が寝ていた席の近くにいた少女は、それに驚いて尻もちをついた。
「あ、ごめんごめん」
少女は尻もちをついた拍子に、手に持っていた数冊の本を床に落としていた。
雄介はそれに気づき、落ちた本を拾った。
始業式とホームルームも終わり、放課後になっていた。教室には、新学期で気分が浮ついている生徒と、部活が始まるまで時間を潰している生徒が残っているだけだった。
「あ、あの……」
少女は、その本を拾っている雄介に声をかけようとしていた。
「ごめんねー。なんかいつの間にか爆睡してて、スッゲー夢まで見ちゃって」
「いや、そうじゃなくって……」
「はい!」
「いや、あの……」
雄介は落ちていた本を全て拾い、少女に渡した。だが、少女は困った表情をしたままだった。
「なんか驚かせちゃったみたいだね。いやー昨日ぜんっぜん眠れなくてさ、もう始業式の時もチョー眠たかったの!」
そんな少女の気持ちを察することはなく、雄介はいつもの調子でべらべらと言葉を続けた。
「あ、あの!」
少女は思わず大きな声を出してしまった。突然の大きな声にさすがの雄介も不意を突かれた。
「こ、ここ! 私の席、です……」
その大声はクラス中に響いていたらしく、一瞬、クラスに残っていた生徒の注目を浴びてしまった。
それに気づいたのか、少女の声のボリュームはだんだん小さくなっていき、それと比例するように顔が赤くなっていった。
「え? うそ!?」
雄介はそんなことにも気づかずに、自分が座っていた席の中を覗いた。
引き出しには、女物の筆箱と、ミント色の手帳が入っているだけだったが、物でごった返している雄介の机ではないというのはすぐに分かった。
「あれ? あれ~?」
雄介は不思議そうに首を傾げていた。
「トイレから戻ったとき間違えたんだろ?」
雄介と少女は声をする方を振り向いた。
そこには、首からトイカメラを提げている長身の少年がいた。
「士、気づいてるなら早く言えよ!」
「人が親切に教えようとしたのに聞かずに寝たのはどこのどいつだ~?」
「あれ、そうだっけ? ネムカッタカラナー......」
雄介は、モデルのような体型のカメラ少年「士」に見下ろされ、あはは、と笑うだけだった
ヴーッヴーッ
その時、雄介のポケットの中のケータイが鳴った。
雄介は、ちょっとごめんと断りを入れてから電話に出た。
「はい。沢村です。」
『沢村。25号が現れた!すぐに向かってくれ!』
「分かりました!場所は!?」
さっきまで笑っていた顔が一気に引き締まった。
「雄介くん?」
少女は雄介の表情を見てまたしても驚いた。
緊張していて、でも冷静そうな強い表情。今まで生きてきた中で、短時間でこんなに表情が変わる人間を少女は今まで見た事がなかった。
「天宮市商店街!? 分かりました上条さん。すぐ向かいます!」
雄介は通話を切り、士にのほうを振り向いて言った。
「悪いけど代わりにポレポレに行っておやっさん手伝って。お礼は弾むから! あと士道の妹が来るからサービスするようにって言っておいてね!」
そして雄介は二人にサムズアップをして、ものすごい勢いで教室を飛び出していった。
「ったくあいつはいつも勝手だな……」
士は、遠ざかっていく雄介の背中をシャッターに収めた。
少女は、不思議そうに雄介の背中を見つめているだけしかできなかった。
**
雄介は駐車場に停めてあったバイクに駆け寄った。
そしてバイクの右ハンドルであり、作動キーでもあるトライアクセアーを差し込み、エンジンを入れる。
ヘルメットを被り、バイク『トライチェイサー250typeP』に跨がり、学校を飛び出した。
『沢村。聞こえるか?』
トライチェイサーに搭載されている警察無線から、上条刑事の声が聞こえてくる。
「はい!」
『ヤツは繁華街にいる市民を片っ端から殺しにかかってる。急いでくれ!』
「分かりました!」
雄介はバイクのメータに搭載されているダイヤルの数字を変え、レバーを右いっぱいにずらした。
するとトライチェイサーは黒い色から、金色のヘッド、銀地に赤のボディカラー、『戦士』の古代文字が刻印されたクウガカラーに変色した。
雄介も左手を斜めに伸ばした。瞬間、雄介の腰に、銀色のベルトが出現した。
『変身!』
そう叫ぶと、雄介の体は、ベルトから放たれる勇ましい変身音と共に、古代の戦士『仮面ライダークウガ マイティフォーム』の姿に変わった。
『邪悪なる者あらば 希望の霊石を身に付け 炎の如く邪悪を打ち倒す戦士あり』
ヴゥウウウウウウン
トライチェイサーの速度も上がり、繁華街へ一直線に向かった。
11:58 天宮市商店街
「あいつか!」
周りには怪我を負った一般市民数人が横たわっていた。
その中心に毛むくじゃらのトラ怪人がいた。
その怪人は、今も中学生くらいの少女の首を締め上げていた。
「ゲゲルゾ ゲギボグガゲスダレビ ギンゼロサグゾ ボルグレ!(ゲゲルを成功させる為に、死んで貰うぞ小娘!)」
「うぐ…が…」
「やめろぉ!」
クウガはウィリーして前輪をぶつけ、25号から少女を助けた。
「逃げるんだ!」
クウガは25号に殴りかかりながら少女に叫んだ。
「………」
だが少女は微動だにしなかった。
茶髪の少女のその目は、どことなく生気が感じ取れなかった。
「早く!」
クウガは戦闘しながらも少女を説得する。
だがそれでも動こうとはしなかった。
「ジョゴリギ デデロギギボバ?(よそ見しててもいいのか?)」
25号はグロンギ語でそういいながらクウガの後ろに回り込み、腕に付いている鎖でクウガの動きを封じた。
「ぐぅ…ああ!」
クウガは何とか引きはがそうとするが、思っていた以上に力が強くてなかなか引きはがせない。
「ぐぅぅ…がはっ…」
「ゾグギダクウガ! ゴボデギゾバ!(どうしたクウガ!その程度か!)
クウガは、まだ鎖から脱出できないでいた。
「一体、どうすれば!」
クウガが悪戦苦闘してると、サイレンの音が鳴った。
ポゥゥゥウウウウウウン
『空間震警報です。市民の皆さんは最寄りのシェルターに避難して下さい。繰り返します……』
空間震警報。空間震が起こるのを予測して発信される警報。最悪の事態である。
少女は、死んだ目をして腰を落としたままである。クウガはまだ25号の拘束から抜け出せないでいた。
(マズイ……このままじゃ……)
その時、クウガの視界に一つの人影が映った。
「士道!?」
空間震警報が鳴っているというのに、シェルターにも入らず士道は全速力で走っていた。
「まさか……」
クウガは今朝のことを思い出した。
『絶対約束だぞー!地震が起こっても、火事が起こっても、空間震が起こっても! ポレポレにみかくにんたいせーめーが来ても! 絶対だぞー!』
「まさか!」
雄介は、士道は琴里がシェルターの入らずにずっとポレポレの店の前で士道を待ってると思い、シェルターに入らずに琴里を助けに行ったと考えた。
「士道! 店にはおやっさんがいる! お前は逃げろ!」
クウガは叫んだが、士道は足を止める気配はなかった。
「くっそ!」
クウガは25号の脇腹に肘鉄を打ち込んだ。
「うおら! おりゃあ! うりゃぁあ!」
そして拘束から逃れたクウガは連続で拳を打ち付けた。
「うおりゃあ! うぉらあ!」
さらにパンチを打ち込むが、
「おぐあぁああああお!」
25号はクウガにタックルをして、停めてあった車にクウガをぶち当てた。
「ぐはぁあ!」
その衝撃で車のガラスは粉砕され、車のボディは盛大に凹んだ。
「ふぅうん!」
そしてまた鎖をクウガの首に押しつけ動きを拘束した。
「ぐあぁああ…」
「ロドド ブスギレ クウガ! (もっと苦しめクウガ!)」
「おりゃっ!」
だが、クウガはそう簡単に同じ手は食わなかった。
「グハァ! ビズガぁ……(傷がぁ……)」
腹部がガラ空きというのに気づき、蹴りを入れてみたのが功を奏し、簡単に引きはがせた。
「よし!いけるっ!」
反撃体勢が整ったクウガであったが、彼はあることに気づいた。
空の様子がおかしい。
士道が走っていった方向の空が歪んで、空間の圧縮が始まっているのである。
まるで、さっき教室で見た夢と同じように。
「!?」
そして一瞬クウガの脳内に一つのイメージが走った。
まるで闇夜のような色をした髪の少女
その色と同じような夜色の鎧
手には光の刃が美しい大剣
そして大きな玉座
大きな満月をバックにしながらクウガと並んでいた。
「どういう事だ?…」
クウガは今度は空からのエンジン音に気づいた。
空を見上げると、機械を纏ったような人間が6~7人飛んでいるのが見えた。
「あれは!?」
クウガが驚いた次の瞬間
しゅぅうん
クウガの変身がいきなり解け、古代の戦士クウガの姿から、現代の高校生沢村雄介の姿に戻ってしまった。
「そんな…どうして!」
雄介は焦った様子で自分の体を確認した。
変身出来なければ、さっきから動かないあの女の子を助けられない。そのうえ、未確認と戦えない。
このままではマズイと思ったその時、25号はこんなセリフを放った。
「くぅーかんーしぃん……。ドンザ ジャラグ ザギダダ (空間震……。とんだ邪魔が入った。)ハァッ!」
そんな言葉を残し、25号は路地裏へ消えていった。
「これは一体?」
そうこうしてるうちに、空間の圧縮によって肥大化した球体は、青い空を覆い隠そうとしていた。。
「まさか、あれが空間震?」
と気づいた時にはもう遅かった。
「危ない!!!」
クウガはとっさに茶髪の少女を抱きかかえた。その瞬間――
ドカァアアアアアアアアン
空間はおもいっきり震えた。
そしてそこにあったもの全部を削りとった。
爆風でクウガ達も吹き飛んだ。
「うわあああああああああああ!」
つづく
1話が書き上がると同時に、この更新ペースを維持できるか心配になってきた千藤です、ごきげんよう。
まず今回のお話を書いたうえでの言い訳から。今回は、冒頭が気に入らなかったので新規書き下ろしとなっております。後半はめんどくさかったので、以前投稿していた分を修正して使い回しました。
修正していて、こんな汚い文章を読まされてたなんて、読者は酷い拷問を受けていたんだなあ。蛮野絶対許さねえ。と、ストレスをマッハー!にしながら修正を加えていました。それでも読めないほどの汚い文章を発見したら感想にてお知らせください。
そしてお話の解説↓
新しく3人のキャラが登場しました。
まず、本を持った少女。この子はいわゆるオリキャラとなっております。この子がどういうキャラか、そしてここにわざわざ書いたということは、どういうことか。次回以降をお楽しみに。
次に、カメラ少年士。どっかの破壊者に似てますね?全くの別人ですよ。そっくりさんなだけです。DAL原作を見ていた方なら分かると思いますが。雄介は士道と別のクラスになりました。なので士君は雄介の相棒として作りあげました。これからも士君は雄介の身代わりとしてシフトをこなしていくことになるでしょう。敬礼。
最後に、グロンギに襲われていた少女。彼女はDALの1キャラで、僕が大好きなキャラの一人でもあります。が、正体は次回をお楽しみということで。(感想に〇〇ですか?とか絶対に書くなよ?フリじゃなくて)
トライチェサーについても書いておきます。
何故トライチェイサー250typePというけったいな名前にしたか。以前年号のことで失敗をしているからです。250は、このバイクが250ccのバイクであるということ。typePのPはプロトのPです。バイクの型番はこういった感じで考えました。名称が変わっただけで、殆ど劇中のトライチェイサーなので深く考えなくて大丈夫です。
というわけで、長々と失礼しました。次回もお楽しみに。
感想、質問、お待ちしております。励みになりますので遠慮なく。それではまた次回お会いしましょう。