それは、雄介が小学生の頃だった。
「先生はな。昔、少年仮面ライダー隊っていうのに入ってて、仮面ライダーと一緒に戦ってたんだ」
そういって見せられた写真には、銀のボディに赤いマフラーを靡かせた、一人の仮面ライダーが映っていた。
「仮面ライダーは戦ってる時はいつも一人なんだ。でもな、孤独ではないんだ」
先生は、雄介に写真を手渡しながら続けた。
「少年ライダー隊がいて、おやっさんがいて、仲間がいた。少年ライダー隊だった先生達は、戦えなくても、心の中では一緒に戦ってたんだ」
雄介はその時のことを忘れない。
「雄介は、お父さんもお母さんも居なくなって一人になった。けどな、一人になっても、一緒に戦ってくれる「仲間」はいる」
先生は、サムズアップをして、笑った。
「確かに、両親が居なくなって寂しい。でも、仲間がいる、って思うと、なんだか心強くないか?」
その時からだった。雄介が仮面ライダーの存在を知り、孤独になっても戦っていけるかもしれない。そう思えるようになったのは。
22:48 フラクシナス艦内
「というわけよ」
「いや、精霊のことはわかってるから! そうじゃなくて……」
「なによ。あんたが説明しろって言ったんじゃない」
「いや、そーだけど……」
雄介はここに連れてこられてから上条刑事から聞かされた精霊とASTのことと、ここが何なのかということについて説明を受けていた。
とりあえず雄介が分かったことは
1 ここが≪ラタトスク≫という組織が所有する≪フラクシナス≫と呼ばれる空中艦の艦内であること。
2 ここの指令が琴里で、解析官が令音、副司令がドMで変態だということ。
そして
「平和的に精霊を救う方法があるって言ってたけどさ、全然説明してくれないじゃん」
この3つである。
「まあいいわ。精霊とASTのことをなんで知ってるか聞きたいとこだけど、説明する手間が省けて丁度いいわ」
琴里は腰のホルスターから新しいチュッパチャップスを取り出して口に咥えた。
「雄介は、ASTがどうやって精霊と渡り合おうとしてるかは分かってるわね」
アメの棒をピコピコさせながら言葉を続ける
「えーっと、戦って倒そうとしてた」
雄介は香美と戦いながらも、夜色の精霊と折紙の戦いを見ていたのでそのことはよく分かっていた。
「私達は、その逆の事をするの。さて、問題。逆の事とは何でしょう?」
と言いながら雄介をアメで指した
「え~っと、話し合い、かな?」
「半分正解、半分ハズレ」
「え~?」
雄介はその返答に首をかしげた。
(おかしいな。反対って、こういう事じゃ……でも、半分正解って?)
という疑問が頭を飛び交ってる雄介の耳に入ってきた次の言葉は、あまりに予想外で呆けたものだった。
「精霊に、恋をさせるの」
しばし続く沈黙
「はぁあ?」
最初のセリフは雄介の口からだった。我ながら間抜けな声だと思った。
半分正解で、半分ハズレ。その意味は分かった、だが……
「それって、どういう事?」
「武力以外で空間震を解決しなきゃならないなら、精霊を説得しなければならないでしょ。その為にはこの世界を好きになってもらわなきゃ。この世界がこんなにすばらしいものだという事が分かれば、無闇に暴れることもなくなるわけじゃない?」
「確かにそうだけど、恋をさせるって?」
「精霊とデートして、精霊をデレさせるの!」
「んんんんん?」
雄介は余計混乱していた。
「精霊に恋をさせて、ってのは何となくわかったよ。でも、なんでそれが仮面ライダーと関係が?」
さっきまでの口ぶりなら、雄介は『仮面ライダー』としてここまで連れて来られ、仮面ライダーの力を必要とされてると思っていた。
だが聞いてるとどうも違う。デート。恋。雄介が未確認生命体と戦ってるなかでは1回も出てこなかった単語である。
「さっきからなんでなんでって……さすが考える力を失ったスマホ世代ってところね」
琴里は、やれやれと言わんばかりにため息をついた。
「琴里ちゃんだってそうだろ! で、仮面ライダーと精霊に恋をさせるの。一体どう関係あるの?」
「いいわ。説明してあげる。神無月!」
「はっ!」
命じられた副司令の神無月は手元のリモコンを操作し、艦内に備え付けられている巨大スクリーンに一つの映像を映し出した。
『1.鯖味噌 2.鯖味噌 3.鯖味噌 4.鯖味噌……なんで選択肢に鯖味噌しかないんだよ!』
映し出されたのは、部屋で真面目にギャルゲーをやってる士道の姿だった。
雄介のその時の表情はなんとアホらしかったことか。
「あいつは一体なにをやってんだ?」
「あれは精霊とコミュニケーションを取るための訓練ね」
「え!? あんなのでいいの?」
「あんなとはなんですか! ギャルゲーとはなかなか女性と話が出来ない男性が合法的に女性と会話がでkぶぅほああっ!」
雄介が驚愕の声を挙げ、神無月がいきなり会話に割って入って琴里に粛正されるまでは一瞬の出来事だった。神無月は嬉しそうな表情だった。
「っていうかなんで士道が訓練を?」
「残念ながら、精霊の交渉役は士道に決まってるの」
琴里は自分の兄が悪戦苦闘する姿をみてにへらと笑った。
『えーいもうやけくそだ!1番の鯖味噌!』
≪ここはフランス料理の店だ≫
『んだー! 一体どうすれば!』
「あーあ。またペナルティが増えた。神無月! 例のものを雄介に!」
「かしこまりました」
すると、口の端から血を流してる神無月から1枚の紙を渡された。
「『電脳探偵沢木の事件簿4~11巻の後ろ 3段目のタンスの引き出しの裏側 ベッドの収納の二重底の中』これは?」
「士道がエロ本隠してるところよ」
「ブッ!」
雄介は思わず吹いてしまった。
士道は、訓練において失敗を犯したらこういった精神的ペナルティが科せられるのである。本番で失敗して命を落とさないために。
「まあ、士道が交渉役に選ばれた経緯はおいおい話すわ。それより、本題ね。」
琴里は改めて艦長席に座りなおした。
「あなたには、士道のサポートをして欲しいの。」
そして3本目のアメを口に含みながら続けた。
「令音にも伝えられたと思うけど、精霊以外にも驚異は沢山ある。だから、ボディーガードとまでは言わないけど、士道が精霊と接触する際の手助けをして欲しいの」
雄介は精霊と接触した時の事を考えた。ただでさえ危険な空間震の跡。そして戦闘力を保持してるASTに精霊。もちろん接触中にグロンギの標的にされるかもしれない。それに、士道は戦う力を持ってないただの高校生。
仮面ライダーの自分にしかできない任務。
「それに、精霊が必ずしも1人で出るとも限らないからあなたにも精霊とデートしてもらうことになるかもしれないし、だから、仮面ライダーとしても、沢村雄介としてもあなたが必要なの」
そして琴里は立ち上がり、雄介を見上げて問いかけた。
「協力、してくれるかしら」
その表情は、いつものようにあどけない目で見上げられ「あそぼー!」と言われる時とは違い、強い信念が感じられた。
**
「こんなヤツらの為に!」
「これ以上誰かの涙を見たくない!」
「みんなに、笑顔でいて欲しいんです!」
「だから見てて下さい!」
「俺の!」
「変身!!」
**
雄介は初めて変身したときの事を思い出した。
みんなに笑顔でいてほしい。そのために自分に出来る事があるなら……
「もちろん。協力するよ!」
そういって雄介はみんなに向けて、笑顔でサムズアップをした。
**
4/11 15:45 来禅高校2-3HR
「う゛っう゛っ…ひっく……ええ話やぁ~」
翌日、雄介はスマホを肩手に号泣していた。
雄介は士道がやっていた恋愛シミュレーションゲームをスマホでやっていた。
「例えサポートする身であっても、どんな事態に陥るか分からないからとりあえず君も訓練をやっておいてくれ」
と令音に言われたので、ラタトスクが開発した全く同型のゲームのスマホ版をしていたのである。
言われるがままに適当にルートを決めてやってみたが、これがなんといい話なのか……
「普通の高校生とアイドルの卵。愛し合ってるのに届かないこの思い……なんて切ない物語なんだ!」
ゲームや訓練などと言うことも忘れ、一人男泣きしていた。
「お前気持ち悪いぞ」
雄介が涙を拭きながら視線を上げると、士が冷ややかな目で雄介を見ていた。雄介は堂々と教室で訓練をしていたのである。
士以外の生徒は「またこれだよ~」というような反応で、まるで気にもとめてなかった。
「きっ気持ち悪いってなんだよ!俺はただ感動してて……」
「そういうところが、だ」
士は雄介の言葉を遮り、雄介のマヌケ面をカメラに収めた。
「それ、殿町がやってたのと同じゲームだろ?」
「え? そうなの?」
雄介はいままで全く気づかなかった。考えてみれば、いつかポレポレに来てた客も同じゲームをしていたような気がした。
でもこんなゲームを作るなんて、ラタトスクって一体何なんだ?
ふと、そんな初歩的な事が頭に浮かんだ。精霊を救う組織という目的とかではなく、ただただ純粋に何者なんだという、そもそもの話だ。
ラタトスクも、空中艦だと言っていた。空中艦を所有している組織なんて、まるで軍隊じゃないか。
そんな事を考えていると、士が口をひらいた。
「そういえば昨日、茜とはどうなった?」
その言葉を聞いて、夕方のことを思い出した。
薙刀を持った、夕焼色の精霊。精霊かどうかは分からないが、雄介にはそう見えた。
「何もなかったよ。なんか、そのまま帰っちゃった」
雄介は笑顔でそう答えた。
「何もないわけ無いだろ。」
「いや、ホントだって」
言える訳がない。信じる信じないの話ではない。自分自身、昨日の一連の出来事が未だに理解できていないのだ。自分でさえこんな状態なのに、他の人に説明など出来るわけがない。もしかすると、夕焼色の精霊は、茜ではないかもしれない。言葉のとおり、茜は帰っちゃったのかもしれない。かもしれないだらけなんだ。
「そんな事より、このゲームがもう面白くてさ~。もう昨日もまた眠れなかったよ」
訓練、といいながら、このゲームを使って現実逃避している。雄介も薄々気づいていたが、これは訓練だ、と、そう言い聞かせるしかなかった。そうしないと、パンクしてしまいそうで耐えられなかった。こんな経験は初めてだった。
「だから今日授業中ずっと眠そうにしてたのか……」
「あれ? バレてた? アハハ……」
「お前ってヤツは……ハァ……」
士があきれ顔になり、雄介がにやにやしながらスマホを撫でてると、雄介に電話がかかってきた。
ディスプレイには≪村雨先生≫と表示されていた。
「あっごめんまた」
雄介はすまんという顔をしてスマホを持ったまま廊下に出た。
「せわしないヤツだ……」
士はファインダー越しから雄介を見送った。
「で、何ですか先生?」
『令音でいいよ。先生と呼ばれるのは慣れなくて照れくさいからね。』
雄介が通話ボタンを押すと、聞き慣れた眠たげな声が聞こえてきた。
ちなみにどういうわけか、この学校で令音は物理の臨時教員ということになっていた。
すこし間をおいてから令音は続けた。
『ちょっと頼みたいことがあるんだ。』
「なんですか?」
『今から誰でもいいから女の子と会話をしてくれないかい?』
「えっ?」
いきなり電話をかけてきてこの人は何を言い出すのか。全くもって雄介には理解できなかった。
『なに、訓練の延長だと思ってくれればいい。また後で電話するよ。』
「えぇ!? ちょっと、もしもーし! ……切れちゃった」
スマホからつーっつーっという音声が小さく漏れていた。
「いったいなんだっていうんだ」
雄介は令音からのやぶからぼうな指示に呆れながらも、適当な女の子をさがした。
といっても会話する女の子といえば彼女しかいなかった。
「あ、茜ちゃん!」
雄介は前方にいるメガネの少女に手を振った。
「えっ? ふああ!?」
茜は後ろからいきなり声をかけられたのにびっくりしたのか、肩を大きくびくつかせるという教科書に載っているかのようなリアクションをした。
とここで雄介は重大な問題に行き当たった。
(話せとは言ったけど、一体何を?)
雄介は、昨日の出来事を思い出した。
**
「実は、お願いがあるんです」
苦しそうな表情
「私は、この時間になると……」
ドカアアアアン
空から繰り出された攻撃
**
話したいことが多すぎて、一体どう声をかければいいか分からなかった。今日一日中ずっとそうだった。
だが雄介は、困ることなくすぐに話すことを思いついた。
「ちょっとさ、今から見ててほしいものがあるんだけどさ、いい?」
「はい?」
茜が不安げな表情をしていると、雄介は変身ポーズをとった。
左手をアークルの上部(があるとこ)に置き、右腕を斜め上に伸ばす。そして両手を動かしながらこう叫んだ。
「 超 変 身 ! 」
「これ、どうかな?」
もちろん変身はしてない。雄介は腰に手をあてながら茜に笑いかけた。
「超変身って……?」
「ほら、クウガっていろんな色に変身するでしょ? だから別の色に変わるとき勢いつけて戦いたいからかけ声が必要かな~って思ってさ。で、どう?かっこいい?」
「なんか、これからもっと強くなるぞ!って感じがして、かっこよかったです……!」
最初こそいぶかしがな表情をしてたが、雄介の超変身を見て自然と笑顔になっていた。
「そっか~。いや俺も結構気にいってるんだよね~。今度から違う色に変わるときに使うよ!」
そう言ってまたびしっと変身ポーズをとった。
雄介はこうするしか無かった。
昨日起こった出来事も、茜の苦しそうな表情も現実で、そこから目を逸らしてはいけないということは、雄介が一番分かっていた。だが、この瞬間だけは、昨日の出来事を無かったことにしたかった。それで、茜が笑顔になれるなら。
「そういえば、今からどこいくの?」
ふと気になったので一応聞いてみた。放課後なのに廊下で手ぶらで歩いてるので今から帰るようには見えなかった。
「えっと……こ、購買に文房具、を……」
どういうわけか茜の反応はへんによそよそしかった。
「でも購買って放課後は開いてないよね?」
雄介は自分の腕時計を見た。時計は午後4時前を指していた。
「うぇえ?いや、その……」
茜の目は不自然なほどに泳いでいた。そして心なしか頬も赤くなっていた。
ぐううぅぅぅ~
すると、茜のお腹からかわいらしい腹の虫の鳴き声が聞こえてきた。
茜の顔は一気に真っ赤っかになった。
おなかが空いてたのかと思い雄介は微笑んだ。そしてポケットに手を突っ込んで、手の平サイズのチャック袋を取り出した。
「食べかけのグミがあるんだけど、よかったら食べる?」
普段の雄介でもこの行動は取ったが、これは雄介なりの訓練の成果でもある。
女の子はお菓子が大好き! 自分も持ち歩いて、いざというときに分けてあげよう!(ちなみにグミをチョイスした理由は自分が訓練でやったルートのヒロイン『春日 花代』の好物だから)
雄介は訓練を信じてグミのパッケージを差し出した。
「うわあああああああああん!」
ぱっちーん
あっるぇ~??
雄介は何故かビンタされてぶっ倒れてた。左頬にはくっきりと赤く手の平の跡がついている。
茜はグミのパッケージをしっかりと奪いどこかへ走っていった。
おかしい。花代ちゃんのときは好感度が6も上がったのに何でだ~?
と、そんなことを考えながら起き上がると件の訓練の提案者から電話がかかってきた。
「もしもし?」
『お疲れ様。君の会話はここから全部見てたよ』
「え!?」
『いろいろ聞きたいことがあるだろうが詳しい話は物理準備室でしよう。今からそこへ来てくれ』
「……はい」
とだけぶっきらぼうに言い通話を切った。
**
4:07 来禅高校物理準備室
「で、一体何を?」
雄介は手形のついた左頬をさすりながらじとっと令音を見た。
「これを見たまえ」
パソコンデスクに座っていた令音はディスプレイが雄介に見えるようにイスごと身体をどかした。
ディスプレイに映っていたのは、さっきの茜と雄介との会話である。
「え? どうしてこれが?」
雄介は驚き肩をすくめた。
~~~~~~~~~~~~~~~
「あ、茜ちゃん!」
「えっ? ふああ!?」
「ちょっとさ、今から見ててほしいものがあるんだけどさ、いい?」
「はい?」
「超変身!」
「これ、どうかな?」
「超変身って…?」
「クウガって
~中略~
ぐううぅぅぅ~
「食べかけのグミがあるんだけど、よかったら食べる?」
「うわああああああああああああああああああああん!」
ぱっちーん
~~~~~~~~~~~~~~~
「君も野暮なことを聞くもんだ。」
令音が首だけをこっちに向けながら言った。
「だ、だって話すこと思いつかなかったし……そもそも訓練だとこれで成功してたし」
「まあ、これで女心は複雑で訓練通りにいかないということがよくわかっただろう?」
「そ、そうですけど……これは一体?」
雄介はディスプレイを指差した。廊下にはビデオカメラのような撮影機材の類は見当たらなかった。唯一持ってそうな士も、教室から出て来た形跡はなかった。だったらどうしてこの映像はあるのか。そしてなんのために録画なんてしていたのか。
「これさ」
令音は雄介の目の前に指を差し出した。すると令音の指先に虫のようなものが止まった。
そして令音がパソコンを操作するとでかでかと雄介の顔面が映り込んだ。
「うわっ!」
雄介が驚き仰け反ったら画面は物理準備室を映しだしていた。
「ラタトスクが開発した超小型カメラだ。これで精霊と会話してるところをモニタリングするんだ。」
「へ~……すっげ~」
雄介が感心してると、カメラはぷんと飛び立ってどこかに行ってしまった。
「カメラは正常に稼働してるようだね。ちなみにこれが私がモニタリングしてた画面だ」
そういって令音はマウスをダブルクリックした。
すると画面が切り替わり、花がバストアップで映し出されてる画面に変わり、画面にはいろいろなメーターやアイコンが表示されていた。それはまるで……
「俺がやってたゲームみたい……」
「よく気づいたね。実際に精霊と会話する際に私達サポート側はこの画面を見るんだ。そうすれば精霊の精神状態がよく分かるだろ?」
この画面を見て雄介は、自分や士道がどうしてゲームで訓練させられているのかということに合点がついた。
「これだけじゃない」
令音はパソコンを操作し、ゲーム画面の会話を早回しで流して、あるタイミングで止めた。
『ぐううぅぅぅ~』
丁度茜のおなかの虫が鳴いたタイミングだった。
「次をよく見ていてくれたまえ」
令音が画面をクリックすると、選択肢が出てきた。
1:『お腹すいてるの? 食べかけのお菓子があるんだけど、もしよかったら食べる?』といいポケットに入ってるお菓子をあげる
2:『まいったなぁ~お腹の音も可愛いなんて、君はなんて完璧な女の子なんだ!』とキザっぽく言い、誘惑する
3:『お腹が空いたの? 実は僕もなんだ。僕は君を食べたい』襲う(意味深)
「なんですかこれ!?」
雄介は1以外の酷い選択肢に驚き思わずデスクに両手をついていた。
「精霊と話してると、あるタイミングで選択肢が出るようになってるんだ。どうやらこれもうまく機能するらしい」
(うまく機能?)
雄介はさっきから令音の言葉に違和感を感じていた。
「さっきから正常に作動とか、まさか……」
雄介はいぶかしげな表情で令音を見上げた。
「黙っていてすまなかった。これらの機材がうまく作動するかどうか君を使ってテストしていたんだ」
「なるほど~。だから俺に女の子と話せって……っじゃなくてなんで俺じゃないといけないんですか! おかげで茜ちゃんとの好感度が」
「変わってないだろ?」
令音はディスプレイを指差した。たしかに、精神状態は何故か緊張状態のままだったが、それ以外の数値はほとんど安定していた。
「……ならいいですけど」
雄介は令音を責めるのを諦めた。令音はきっと「これも君の仕事の一つだと思いたまえ」とでも言うに決まっている。
「ということは、まさかこれも?」
「精霊との会話を有利に進めるために、あるタイミングで選択肢が出ることがあるんだ。その選択肢の中から正しい選択肢を選んで、会話を有利に進めて精霊の機嫌をとるんだ」
「もし、間違ったら?」
雄介がごくりとツバを飲み込む。
令音は雄介の目を見ながら、手で自分の首を斬るような仕草をした。
「うわあぁ……」
もし茜が、昨日見た精霊だったらと思うとぞくっとした。あの力の何倍もの力でビンタされたら、いくら霊石の力があるといえどもあの世行きである。
改めて士道がどれだけ鬼畜なミッションに挑もうとしているか実感していると、デスクに置いてあった令音のスマホがブルルと震えた。
「失礼」
令音は慣れた手つきでスマホを操作し、通話に出た。
「もしもし……ああ。……分かってる……すぐに行く。待っててくれたまえ。」
令音はスマホを白衣のポケットに突っ込んでから雄介に向き直った。
「呼んでたお客さんが来たようだ。私はお客さんを呼んでくるから雄介は士道を呼んできてくれないかい?」
「あの、客って?」
「なに。すぐ分かるさ。」
とだけ言って令音は白衣を翻し、物理準備室を出て行った。
「う~ん、なんか不思議な人だよな~。」
雄介は眠たげな足取りの令音を見送ってから物理準備室を後にした。
つづく
千藤です。お久しぶりです。
やっとガワコス完成させました。ので、そのテンションで最新話を更新しました。
冒頭の雄介が初めて仮面ライダーの存在を知るシーン。今後もっとじっくりと書いてあげたいですね。雄介が見た銀色のライダーも共演させてみたいですね。(言うだけタダ)
急ぎ足で完成させたところがあるので、もし何かしらおかしな部分があれば報告をください。
感想、質問などもお待ちしております。ではでは。