プロローグ
魔法。
それが伝説や御伽噺の産物ではなく、現実の技術となったのは何時のことだったのか。
確認できる最初の記録は、西暦一九九九年のもので人類滅亡の予言を実現しようとした狂信者集団による核兵器テロを、特殊な能力を持った警察官が阻止したあの事件が、近代以降で最初に確認された事例とされている。
その後東西の有力国家は、開発競争もあってここ100年の間にすっかり“技術”として確立されるようになった。大規模な寒冷化による資源不足から端を発した第三次世界大戦が核戦争にならなかったのも、魔法のおかげと言って良いだろう。魔法という新たな技術を手に入れた世界は、これまでと大きく様変わりした。魔法師の育成がそのまま軍事力に繋がるようになり、有力各国はこぞって魔法師育成に力を入れるようになる。そしてそれは、人の心にも大きく影響していった。
そんな中で、日本には
数字の大小が実力に直結する訳ではないが、家名に数字が入るかどうかは、血筋が大きくものを言う魔法師にとって力量をある程度推測する目安となる。ただし、数字付きの慣例とは無関係に、偶然数字の入った名字を持つ魔法師の家も存在している。
十師族(じゅっしぞく)
日本で最強の魔法師集団。表立った権力を放棄する代わりに、国家の裏で不可侵に等しい権力を手にしている。
後述する「魔法技能師開発研究所」出身の魔法師で構成されており、計28ある家系が4年ごとに行う「師族会議」で改選される。「その時代に強力な(優秀な、ではない)魔法師を数多く輩出している」順に選ばれた10の家系が「十師族」を名乗り、選ばれなかった残りの18の家系が師補十八家(しほじゅうはっけ)となって十師族を補佐する。
現在の十師族は、「一条」「二木」「三矢」「四葉」「五輪」「六塚」「七草」「八代」「九島」「十文字」から構成されている。一から十までの数字が並んでいるのは、十師族という枠組みが結成されて初めてで、かつては一から十の数字に欠番および重複が存在したと伝わっている。
そんな十師族の中の九の数字付きである九島家、現当主九島烈の息子で次期当主の九島真言に遂に待望の嫡男である男の子が産まれた。
その子の名前は、