ガーリーエアフォース PMCエースの機動   作:セルユニゾン

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英国某所

????「やったわ!!」

とあるAJZ仕様ハリアーⅢパイロット一同「どうなっても知らねー」


特殊作戦 バレンタインの地獄と黒歴史

2月14日。

 

世界各地でカップルの愛の誓いをする日とされる。

元々は269年にローマ皇帝の迫害下で殉教した聖ウァレンティヌスに由来する記念日だと、主に西方教会の広がる地域において伝えられているが、この辺りは諸説ある故にそこまで詳しく話さないが、一般的にはこの日にお菓子を送って恋人に想いを伝えたりする、気になるあの人との繋がりを持ち易くなる日でもある。

 

余談だが、この日にチョコを渡すと良いと言う話は製菓会社の商魂たくましさが伺える話なのは意外と知られている。

 

そんな日はもれなく軍事基地である小松基地でも例外なく訪れる。ザイとの戦争中であるが、シーレーンは未だに無事で物資的な面での困窮している訳でも無く、逆にこんな時代だからと男性も女性何かしようと行動を起こしている。

 

女性同士は勿論だが、戦闘機搭乗員同士でもチョコを交換していたと例年とはちょっと違った光景が出来ていたが、同時に例年通りのと言うよりはお約束とも言える光景も出来ていた。

 

「うう……大丈夫でしょうか……」

 

降り積もったばかりの新雪の様に白い肌に、照り付ける太陽光を受けてスターダストの様にキラキラとした光を放つ程に手入れをされた艶のある銀糸の髪、顔には大きく丸みを帯びたルビーの様な赤く綺麗な目が白く細い身体の中で浮き上がるそれは妖精の様だが、その目は不安で曇っていた。

 

華奢な身体つきに色素が薄く感じられる白い肌と髪は美しくも可愛らしく、何よりもその儚げな雰囲気に誰もが声を掛けれ無かったが、その少女の事を知る人間は皆が、内心で応援をする者とミスれば良いのにと不幸を願う者の目線に気付かずに歩き続ける少女の名はベルクトと言う。

 

「?」

 

そのベルクトが向かい側から言い争う様な声を聞いて伏せていた目線を上に上げた瞬間に見えた3人の顔を見て、ベルクトの顔には落胆と理解を示す表情に変わる。

 

鴉の濡れ羽色とでも言うべき黒髪はしっとりとした艶を含ませているが太陽の光を吸う程に黒く、目も黒曜で大きいそれは可憐さを更に引き立てている。華奢な体格だがベルクトの様な儚さは無く、空で戦う者の肉が付いた引き締まった身体の双子の姉妹の姿にベルクトは小さくため息が出してしまう。

 

そしてそんな2人からの口撃をのらりくらりと言い躱すのは新緑の森を思わせる澄んだ薄緑色だが、手入れしなければ出せない特有の張りと艶で輝いている髪にエメラルドの様に透き通った丸い目と身体は細く無駄な肉は無く、周りに振り撒く純情で純粋な雰囲気は何処かのお嬢様だと言われても頷いてしまう少女にベルクトは目付きを鋭くするが、鋭くしきれないその目は恐ろしいというよりも可愛らしい感じがしてしまう。

 

「貴女もでしたか」

 

「そうですよね」

 

「わかっていた事ですが」

 

「詩鞍さん、詩苑さん、ファントムさんもおはようございます」

 

ベルクトに声を掛けた双子の姉妹は詩鞍と詩苑、そしてファントムだった。

この3人もベルクトと同じくバレンタインの贈り物を同じ人物に贈るつもりだったのだが、当然ながらその相手は想い人だ。恋敵と偶然(ほぼ必然の確率)でも出会えば嬉しい物では無い。ただ、誤解して欲しくないがこの4人は恋敵ではあるが喧嘩しかしない訳では無いし、共に食事をする中でもある。

 

「皆さんは何を?」

 

4人が同じ場所を目指して歩いているとファントムの口から言葉が漏れ出る。

 

「それを言うなら貴女からどうぞ」

 

「聞いてどうするつもりですか?」

 

警戒心むき出しの双子の姉妹にファントムは贈り物を滅茶苦茶にするつもりは無いと前置きをしてから言葉を紡ぐ。

 

「同じ物だったら渡し方を考えなければいけませんから」

 

「それこそファントムさんからどうぞな案件ですよね?」

 

ベルクトの言葉にファントムは言い返しますねと流し目で見るがベルクトの成長を見てかファントムから口を開こうとすると残りの3人は耳を澄まして一字一句を聞き逃しまいとする。

 

「チョコ入りのマシュマロです」

 

それを聞いた全員が貴女にそれは無理だろうとと言う言葉を飲み込む。

 

意外と知られないがバレンタインの贈り物には意味がある。

 

ファントムのチョコ入りのマシュマロは『純白の愛で包み込む』であるのだが、毒舌で現実主義なお前が純白な愛を語るなと言いたい。

 

余談であるが何も無いマシュマロは『純白の愛』では無く口に入れると直ぐに溶けて消える事から『その程度の関係で留めたい』『あなたが嫌い』と言う意味になるので注意だ。

 

「……バームクーヘンです」

 

「マドレーヌですよ」

 

詩鞍がファントムの言葉を聞いて話し始める。恋敵だがフェアな戦いをしたいと言う思いもある。想い人が壮絶な人生を歩んでいる以上はフェアに戦って選んで欲しいと言う想いからだ。詩苑もそれを感じ取ってか自分の贈り物を素直に告げる。

 

バームクーヘンは何層も巻かれた生地から『幸せが重なって長く繋がる様に』と言う意味があり、マドレーヌは貝がピタリと合わさった見た目から『円満な関係』『もっと仲良くなりたい』である。

 

2人はもっと仲良くなって、円満な関係のまま、幸せが長く繋がって重ね続けられる関係を作っていた。

 

「私はキャラメルのカップケーキを」

 

ベルクトも自分の贈り物を告げる。

 

キャラメルは幼い頃から食べる物でもある程に親しみ深いお菓子であり、『一緒に居ると安心出来る』と言う意味があり、カップケーキは『あなたは特別な人』と言う意味があり、

ベルクトはキャラメルカップケーキに『一緒に居ると安心出来る特別な人』と言う想いが込められている。

 

それぞれの贈り物に全員が警戒の色を滲み出している中で件の部屋に着く。

他の部屋と特に変わった点は何も無いがその部屋だけは不思議な雰囲気がある。それは強者が寝床にしている場所にだけ漂う圧迫感の様な物だった。

 

この部屋も主はアンタレス隊所属にしてそのリーダー、バトラの部屋だ。

「開けますよ」

 

ファントムが意を決してドアノブに手をつける。バトラは起きて着替えた後は不在でなければ鍵を開けているタイプだ。

起きているならそのまま開ければいい。あえてノックをしないのは少しでも驚かせようと言う意思であり、周りはそれに何も言わなかった。

 

2月14日はバレンタインデー、それは乙女にとっては戦いの日であると同時にポシャる訳にはいかない日であり、一部の人間達(この4人の恋路でトトカルチョしている奴)には成功して欲しい日であると同時にポシャって欲しいが手を出す事は条約で禁止されているので何も出来ない。

 

一部の人間達は部屋に入った4人に対して様々な思いを抱きながら見送る。

部屋に足音を消して入った4人だが直ぐに違和感に気付く。普通なら此処でバトラは気付いて何かしらのアクションを取ってくるがそれが無い。

 

それよりも鍵を開けたまま、机にうつ伏せになる様に眠るMS社の制服を着るバトラが視界に映った事で肩をベルクトが揺すると上半身は背もたれにもたれる様に倒れるとバトラの違和感に気付いた。

 

「ッ! キャァァァァァァァァァ!!」

 

ベルクトの叫び声に廊下で伺っていただけの周りの人間達が飛び込もうとするが、バトラの違和感に気付いた詩苑と詩鞍のチームワークによって扉を押さえ付け、ファントムが鍵を閉める。

 

「耳元で騒ぐな……」

 

玄関先での攻防が終わると同時にシナプスが繋がったバトラが目を覚ますが、本人が直ぐに身体の異常を感じ取った。

 

「妙に身体が重い……」

 

倦怠感などの体調不良のそれでは無い。言うならば重い防具を身体に付けた様な重量感に両手で身体を弄ると両腕に柔らかくも触り慣れない感触を味わう。

 

「…………」

 

それを肉眼で確認したバトラの顔が無表情に変わる。

 

普段のバトラであれば、座った状態で見下ろせば自分の太腿が見える筈なのだが、視界には妙に出っ張った胸が見え、それが重量感の証拠である事を確認すると次は無言で足の間に片腕を突っ込んで生まれてから今まで付き合い続けた物があるか確認するが、普段は有る筈の物も無くなっていた。

 

「な、なんじゃコレェェェェェェェェ!!」

 

一言で言うならば女体化していたバトラの叫び声が響き渡る。しかもその声が何処か女性の様に甲高い物になっていた。が、ファントムが頭を叩く事で一体の落ち着きを取り戻すとこうなった原因を探る事にする。

 

「一番怪しいのはこれだな」

 

そう言って机に置いていたマグカップを取る。

中には飲みかけと言うか飲んでから寝落ちしたのか汚れており、ほのかにミルクとチョコレートの香りがする。

 

「チョコレートシロップですか?」

 

「ああ、イギリスから贈られた奴だ」

 

ベルクトの言葉にコレが空き箱ねとゴミ箱の脇に立てた段ボールを指差すとファントムが検分を始める。

 

「送り主はリリウム・オルコット。ああ、英国の王室関係者ですね。場所はロンドン。何処も可笑しくは」

 

「ロンドン……」

 

ファントムの言葉にベルクトがなにかを思い出そうと首を傾げると全員がベルクトの方を向いて思い出すのを待つ。

 

「イギリス人のオカルト好きの社員さんから聞きましたけど、本物の魔法道具を売るお店があるって……」

 

それを聞いたバトラが頭を抱える。神はこの世に存在する事を理解している故に魔法があってもおかしくないと思えてしまう。

 

「戻るのコレ……」

 

ずっとこのままな訳にはいかない。だが、戻る方法は無いかとシロップの空瓶のラベルを確認すると意外にも直ぐにその答えが見つかった。

 

「目を覚まして24時間後に元に戻る……」

 

その言葉に全員がホッと息を吐くと同時に何かを思い付いた詩苑が爆弾を投下してしまう。

 

「24時間ですよね……つまりはこの状況のお兄様を色々出来るのも24時間のみ……」

 

「詩苑、手を抑えて!」

 

詩鞍の言葉にヤバイと思ったバトラだがその時には既に両手を抑えられた上に床に押し倒されてしまう。

その状況にベルクトが気付きながらも目を手で覆うが気になるのか赤い目が指の間から見えており、ファントムも気付いたのか嬉々として混ざろうとする。

 

「ひ……」

 

3人の少女の目が獲物を狙う獣のそれになった事に息を吐いて、ベルクトに助けてくれとアイコンタクトを取るがベルクトがごめんなさいと言いながら手を伸ばすのを見て諦めた様に微笑んでからバトラにとっての地獄の時間と黒歴史が始まり、リリウムにいつか会ったら文句を言ってやると誓った瞬間でもあった。




今回の特殊作戦はバレンタイン編ですね。え? あと数十分すれば15日だって? 細かい事気にしてると撃墜されますよ。

それと本編とは一切の関わりはありません。その後? 気が向いたらね。

それと女体化バトラです。使用機材はいつもの如くカスタムキャストです。


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