ガーリーエアフォース PMCエースの機動   作:セルユニゾン

21 / 92
すまない。予告詐欺だ。でも、突然の変更ありって書いたし問題なよね……

「問題大有りだよ、バカヤロウコノヤロウ。FOX2だよバカヤロウコノヤロウ」

ちょっおま、ブレイク!ブレイク!


作戦3 義姉との再会

「まず、最初に彼が近くにいる時のデータが無いと何も言えんからな。まずはそのデータを集める」

 

朝一で八代通から告げられた言葉だが、何故に俺まで呼び出されたのか?

 

「まずは、今日一日少しだけだが、彼とグリペンを一緒に行動させる」

 

まあ、それはわかる。

 

「だが、グリペンは国家機密の塊でその情報を横流しされても困る」

 

だろうな。何せ、今の各国の軍部のお偉い方はザイの電波妨害の無効化が出来るなら10Gオーバーの機動に無人機というアニマを優先しているしAJZシステムの開発元が面倒くさいのもある。何せAJZシステムは対ザイ戦闘でしか使わないと言うことを全世界に正式で且つ民衆にも一目でわかるようの公表すると言う一文の他にも様々な条件が出されており、AJZシステムを対人戦闘で使おうと考えている国にとっては邪魔でしかないのだ。

因みに本社は契約している。

 

「じゃあ、どうするんだよ?」

 

「常に俺たちが監視につきながらデータを取るのだが…」

 

「八代通たちは外出するから外出している間の監視が無くなる。だから俺に監視の手伝いをしてくれってことか?」

 

「そうだ」

 

「断る!」

 

「一回500ドルだ!」

 

「………」

正直言って、破格の値段だ。何せ、軍隊に所属していない人間を遠くから監視するだけで500ドルだ。こんな美味しい話は無い。ならば、保険を掛けてから受けるべきだ。

 

「いいぞ。じゃあ、契約書と報酬は現金手渡しだ。今回は日本円でもいいぞ」

 

「………わかった」

 

何か騙そうとしてたな。まあ、悪いが仕事なんでな。おいしい話ほど保険は掛けておくタイプの傭兵だからな。悪く思わないでくれよ。

 

 

 

 

 

(さて、配置は済ませている。あとは姫様と王子様が来るのを待つだけだな)

 

場所は警衛所の屋根の上に陣取っている。

え?どうやって登ったて?

 

普通に窓枠に脚を乗っけて屋根の出っ張りに手を掛けてその手を駆動力に屋根に跳び、屋根に登った。

 

お前航空傭兵だろって?インジェクト後の生命維持の技術は必須事項だぜ。

 

そんなことを考えていると警衛所にオリーブ色の髪の少年が来ていた。

 

『お待たせ』

 

優しい声にペールピンクのロングヘアを風に揺れて、剥き出しの白い腕は陽光を弾き美しい。

 

(イーグルはどうだったかな?)

 

イーグルはあの性格が強すぎてそういうのを意識できなかった……いや、スキンシップが多いので気にしなかったのだろうが……バイパーはそもそもあまり姿を地上で見たことが無いからわかんない。

 

『………』

『………』

『………?』

『………………』

『……』

『…………………』

『……………』

 

肝心の話が聞こえない。勘付かれたか?

 

そう考える目の前で特に警戒することなく歩き出した。

 

(あの方角は……食堂か)

 

場所が分かれば追跡だ。離れすぎず、近すぎずの距離を取って追跡する。バレたら、どうしよう……。鳴谷さんは一回出歯亀にされてるから面倒だ。

 

 

 

食堂に着いた。服はばれないように自衛隊の服に自分の階級証を付けておくが自衛隊のものとは多少違うが本職や軍事マニアじゃなければわからないだろう。

 

『……………?』

『…』

『…………』

 

グリペンが動き出すが直ぐ振り返る。

 

『……………?』

『?』

『……………』

『……。…………………』

『…』

 

しまった。距離を取りすぎていて会話が聞こえない!近づくか。自衛隊の格好してるし背中を向ければ気付かれないだろう……

 

「ただいま」

「お茶は?」

 

ドジっ子?

 

「ただいま」

「箸とかスプーンとかは?」

「……!」

 

ドジっ子らしいな。イーグルは天真爛漫な性格でファザコン。バイパーは………あれはどう見れるかな?人見知りに対人恐怖症だからな…まあアニマ一人取っても色々な性格があるのだろう。グリペンと鳴谷さんの会話も特にピックアップする様な所は特にないな。何せ、質疑応答と思い出話だ。特に何かの諜報機関の人間や教育を受けた人間では無いな。

 

(それに司令に聞かなきゃいけないことができた……)

 

周りの自衛隊員がよそよそしい……グリペンに恐怖を抱いているのだ。基地内の分裂は正直言ってヤバイだろう。内部分裂なんて目も当てられない。まあ、戦闘機乗りなんて大抵は実力を示せば信頼はされる。

『戦闘機乗りに信頼されたいなら勝ち取りな。実力を示せば簡単だ』

自分が傭兵になった時に教育をしてくれた先輩パイロットの言葉を思い出していた。

 

(あの人はどうしてるかな?)

 

少し昔を懐かしむのだった。

 

 

 

 

その後の二人は第三格納庫・アラートハンガーの近くを通り、援体壕に入った。

 

ここは隠れ場所が少ない以上、内部には入れないが外から内部を遠くから双眼鏡で伺う(バードウォッチング用の小さいものだ)

 

特に何か連絡機器に触れる様子も無く、グリペンの検査の時間まで怪しい行動をすることはなかった。

 

(さて、正門までつけてから話かけるか……)

 

 

 

 

「鳴谷君。八代通からの仕事ってなんだった?」

 

本社の制服を自衛隊員の制服の下に着ていたので脱ぎ捨てるだけでいい。

 

「今回のことで自分の中で可能性を考えてみた」

 

「ほう、じゃあ聞かせてもらおうか」

 

「一つ、からかわれている。解決不能なシュチュエーションに放り込み、笑いの種にする」

 

「………それは無いな。技本はそんなことをする必要性が無い。それにリスクがでかすぎる」

 

「二つ、実験台されている。グリペンが人体に有害な電波を出していて、それにどれだけ耐えられるか見ている」

 

「そんな兵器をウロつかせるか?いつ爆発するかわからない爆弾を放置しない」

 

「三つ、勘違いされている。俺に状況を打開する力があると本気で思われている。で、八代通は成果が出るのを待っている」

 

「俺も八代通に聞いた話だが、お前が張り付いた途端にグリペンが動き出したんだ。状況証拠が揃ってるからそれを確かめたいだけだろう。三つ目が一番しっくり来る」

 

「ちゃんと説明して欲しいだが?」

 

慧が凄みを出しながら話すが航空傭兵に高校生の凄みが効くわけが無い。

 

「それは八代通に直接言えよ。それに俺は技本の人間じゃ無いからわからんよ」

 

「お前は誰だよ!」

 

「コールサイン、アルタイル01。TACネームはバトラだ。それ以上でもそれ以下でも無い」

 

「本名じゃ無いだろう?」

 

「仕事柄言えないんだよ。まあ、お前が俺と同じ世界に入って来たのなら教えてやるよ」

 

「………帰るよ」

 

「機会があれば、また会おう」

 

慧は自転車を走らせて帰って行った。

 

(八代通が帰って来るんだったな。一応呼び出し食らってるし行くか)

 

八代通が待つ部屋に嫌々向かった。

 

 

 

 

「明日は技本に来て欲しいそうだ」

 

「は?」

 

八代通から言われた一言に唖然する。

 

「なんで?」

 

流石に聞かずには居られない。

 

「AZF-X計画の機体について、対ザイ戦闘の第一人者である君に是非伺いたい所があるらしい」

 

「まあ、現場に立つ人間に意見を聞くのは良いことしか無いからな。現場の人間に意見を求めたからF-15やA-10の最強神話が生まれたわけだし。良いぜ、何処に行けば良いんだ?」

 

「………だ」

 

 

 

 

キーーーン

 

ジェットエンジン特有のエンジン始動音がハンガー内に響く。

 

<<ALTAIR1はランウェイ08に侵入してくれ>>

 

<<ALTAIR1、ラジャー。ランウェイ08にアプローチを開始する>>

 

<<ALTAIR1、離陸を許可します>>

 

<<ラジャー。ALTAIR1、テイクオフ!>>

 

<<無事の旅をALTAIR1>>

 

<<ありがとう>>

 

これがあるから日本の航空管制官は好きだ。

 

<<高度制限を解除します>>

 

<<ラジャー>>

 

別人の声が高度制限の解除を言い渡された俺はランディングギアを格納して機首を横須賀に向けた。

目的地は横須賀に停泊している海上自衛隊の艦だ。

 

 

 

 

 

<<こちらほうしょうだ。ALTAIR1はこちらの指示に従って下さい>>

 

艦艇を視認した位に通信機に連絡が入った。通信の相手は【かが】の改良型でアメリカで言う護衛空母相当の大きさの海上自衛隊初の建艦同時からS/VTOL機の運用を考えられて建艦された本格的航空護衛艦【ほうしょう】だ。

 

<<真剣に頼む。俺は着艦が苦手でな。海上自衛隊の甲板に穴を開けたく無いからな>>

 

未だにシミュレーターで何かしらのトラブルの判定を貰うことがある。

主にワイヤーの切断・ギアを折る・人を轢く・艦橋に主翼をぶつけるなどだ。艦尾にFOX4(カミカゼ)しないだけましだろう。(三年前は良くやってた)

 

<<はは、了解したよ。丁度よく艦首から風が来ているから止まりやすい筈だ。艦尾から侵入してくれ>>

 

<<それはありがたいな。横風は?>>

 

<<0.3メートルだ>>

 

<<ラジャー>>

 

スロットを絞りながら艦尾に近ずく、この時に絞り過ぎると艦尾に突っ込むか、海上にドボンする。かといって不足すると止まれずにタッチアンドゴー(滑走路を滑走するが止まれ無いのでもう一度離陸すること)する。

とりあえず、スロットルとエアブレーキで減速して艦尾に近づき、エアブレーキで調整して着艦する。航空甲板にタッチする時は甲板ギリギリの高さでストールする感覚だ。

 

因みに空母への着艦はその難しさから制御された墜落と言われる。

 

普段以上にスロットルとエアブレーキの操作に気を使って操作する。

 

(空戦より気を使う………)

 

ガゴンという音が無事に機体が甲板に着艦出来たことを証明する。俺は着艦する時は甲板の上で失速して着艦するから大きな音が出るのだ。しかし、ここで気を抜いてはいけない。着艦した場所が艦首に近いと機尾のフックがワイヤーに引っ掛けることができない為に止まれず、一旦加速して発艦しなければならなくなる。

 

「うお!!」

 

急に来た慣性に驚いてしまう。何度やってもこのフックがワイヤーに引っかかる度に来るこの慣性には慣れないがこれが安心を与えるのも事実だ。

 

(……効きが甘い!)

 

慣性が来て数秒後にはブレーキをかけて止めようとするが効きが甘い。

 

(しまった。ブレーキの磨耗か!?)

 

『バキィィ』

 

何がか折れる音と一緒に機体が止まった。

 

『プシュー』

 

空気が抜ける音と一緒に装甲で覆われたキャノピーが開くと同時に梯子がつけられる。

 

「ありがとう(なんの音だ?後ろから聞こえたが……)」

 

梯子をかけてくれたクルーにお礼を言いながら降りて、機体の後ろに回る。

 

「お……折れてるーーーーー!!」

 

フックが折れていたのだ。

 

恐らくだが、着艦する時にケツの下げすぎでフックを甲板にぶつけて壊れた所にブレーキが効かずワイヤーを引っ張った所為でフックにダメージが入り折ってしまった。というのが俺の推測だ。

 

「ああ、折った理由だが……」

 

クルーが説明してくれたが概ね俺の推測通りだった。

 

(ええと、フック修理っていくらだったけ?)

「ヤッホー」

 

そんなことを考える俺に能天気な声が聞こえた。

 

「佳姉さんか………というか歳上として雰囲気出して下さいよ。珪さんみたいに」

 

「なんで、そこにお姉ちゃんの名前が出る訳?」

 

「いい比較対象だからです」

 

この人は長瀬 佳さん。海上自衛隊の艦載機のテストパイロットを務めている。

三年前の戦争で空でも、陸でもお世話になったことがあるのだが、その時に姉さんと呼んで欲しいと言われたのでそう呼んでいる。因みに自衛隊に味方して欲しいと言ったのも佳姉さんからの頼みだ。

 

「まあいいや。お姉ちゃんって元気かな?」

 

「さぁ。最近は会ってませんからなんとも……ただ、ブレイズさんとは通信でお話はしました。惚け話ばかりでしたが……」

 

「あはは………はぁ…」(彼氏欲しいな〜〜)

 

「所で、通してここに?F-3は正式採用されてる筈ですからわざわざ、外部の人間を呼ぶ必要はないですよね?」

 

F-3は海上自衛隊に正式採用されている艦載機だ。現在は一部の基地と【かが】【ほうしょう】に配備されている。

 

開発背景はF-35のVTOL仕様機(垂直離着陸機)の開発がストップした為に開始された。

海上自衛隊が現在、艦載機として開発するF-3A 震電Ⅱは二年前に採用された。試作機が三年前の戦争で一部を既存の電子機器に換装して実践参加したお陰で開発予算が多くなって実戦経験を積んで、その時に有用性を見せつけたのは大きいだろう。二年前にVTOL能力などの三年前には無かった機能を載せられて、一応のカタログスペックをクリアしたので正式採用を【ほうしょう】と同じ時期にされたが、現在も開発・研究が進められている。

 

「なんでも、AZF-S計画にF-3が選ばれてね。それで、より良いものを作るたいから、ザイとの実戦経験の多い貴方を読んだ訳なの」

 

「AZJシステムの搭載ですか……でも、あれは那覇にいる時に初期型F-15の改造機に載せるって聞きましたけど、あれは廃案ですか?」

 

「あれは、空海自衛隊合同計画のMsAZ(量産型アンチ・ザイ・ジャミング)システム搭載機の案でこっちは海自衛隊だけの計画でAJZシステムを既存の機体に載せる計画なのよ」

 

「なんか、量産型がそこまで開発されてるとは……」

 

「詳しいことはわからないけどね。会議室に行きましょうか、詳しい話がされると思うわ」

 

「そ・の・前・に佳姉さんの搭乗機を見・た・い・な?」

 

猫撫で声で話すバトラに佳は「時間あるし、良いわよ」と即答して格納庫に直結する艦載機ようエレベーターに乗って格納庫に行く。

 

(なんで、レオス(アルタイル01の本名)に甘えられると嫌って言えないんだろう……まあ、時間は1時間あるし良いか?)

 

完全なブラコンである。因みに時間より早く着いたのは旅客機の合間を縫って離陸した為である。予定通りの時間なら30分前に着く計算だった。

 

(まだ、俺ってこんな声出せるんだな!?)

 

甘えた張本人は驚いていた。

 

 

「これが今のお姉ちゃんの乗機よ!」

 

カナード翼に特徴的なエアインテークのレイアウトと水平尾翼がないのが特徴ではあるがそれ以上に前にV字の様になった主翼が特徴の機体。F-3A 震電Ⅱ。

そのノーズに手をついて話す佳。

 

「あれ?何か違う?」

 

記憶にあった機体にないものがあった。

主翼の端にある切れ込みが少し機体に寄っていることと垂直尾翼の根元の形状が多少変わっていることと腹の部分にハッチのがあるのに気づく。

 

「あら、鋭いわね。これは02(ゼロツー)と中身が一緒なのよね。前の機体。01(ゼロワン)は遥さんが特殊な改造を施すことになったわ」

 

「(絶対にアニマ・ドーター化するつもりだ)そうなんだ。じゃあ、そろそろ会議室に行きましょう」

 

「そうね。こっちはよ。着いてきて」

 

会議室に歩き出す二人の身長も相まって本当の姉弟に見える。弟の髪が青みがかった銀色で無ければだが……。

 

 

 

 

 

「ようこそ、航空護衛艦【ほうしょう】へ私は艦長の金丘 国一一佐だ。よろしく」

 

「よろしくお願いします。コールサインアルタイル01、TACネームはバトラです。本名は本社からの命令で言えません」

 

「いや、その話は聞いているよ」

 

「俺は浅野 航だ。F-3Aのパイロットをしている」

 

「よろしくお願いします。RF-4TP-AJZ ファントムⅡのパイロットをしています。アルタイル01です。TACネームはバトラなので、好きな方で読んでくださって結構ですよ」

 

その後もほうしょう所属のパイロットが簡単な自己紹介をして、本題に入った。

 

「まず、君にはこの図を見て欲しい」

 

そう言われてプロジェクターが映し出した図を見るエリオット。

 

「機体構造や形状は問題ないです。9Gまでしか耐えれない所は不安ですが問題ないかと、これ以上は実機に乗らないとなんとも……」

 

「まあ、本職では無いからなその辺りは期待していないが実際に乗って見てくれ。まだFー3はザイとの実戦を行っていないからな。その辺りは期待している」

 

「微力を尽くします」

 

 

 

 

シミュレーションルームへと連れて行かれたエリオットは整備士から機体の説明を受けて、シミュレーターに乗り込んでいた。

 

<<じゃあ、まずは発艦から、水平飛行までやろう>>

 

<<ラジャー。何か注意事項はあるか?零戦みたいに発艦する時に少し沈むとか>>

 

<<……………>>

 

<<マジなの!?>>

 

<<最初に発艦する。一番機と二番機だけだから……>>(震え声)

 

<<声は震えてるじゃねーか!!>>

 

<<ALTAIR1、発艦せよ!>>(逆ギレ)

<<キレるな!?ALTAIR1、takeoff>>

 

発艦するFー3Aは艦首から離れると少し沈んでからふわりと上昇した。

 

<<なぁ、これって機体か?艦か?>>

 

<<ヘリ空母で運用するにはこの大きさが限界なんだ。強いて言うなら国の政治家共の所為だ>>

<<逆に言うとFー3Aだから、出来るわけなのよ>>

 

<<なるほどね。水平飛行に移ったけど次は?>>

 

<<ああ、仮想敵を出すからそれと戦ってくれ>>

 

<<ラジャー>>

 

レーダーに光点が出現する。数は2機の様だ。

 

<<先制してもいいのか?>>

<<構わん>>

 

<<ラジャー>>

 

俺はスロットルを操作して加速した。

 

 

 

「艦長。なぜ、F-2Aを?」

 

シミュレーターに出した仮想敵はF-2Aだったのだ。

それを佳が指摘する。

「何。彼の実力が見たいだけだよ。他のパイロット達も同じだろう?」

 

そう言われて周りを見渡すとギラついた目でモニターを見るパイロット達がいた。

 

(彼の実力は本物よ)

 

その片鱗を三年前から見せていたのを知っている私は彼がF-2如きに墜とされる訳が無いのは知っている。姉としては鼻が高い。

 

 

 

(捉えた。というか、このミサイルの射程距離もそうだけどさ……このレーダーのロックオン距離も遠いな)

 

射程距離ギリギリに仮想敵を捉えた俺はAAM(短距離ミサイル)の発射準備に入る。

 

<<FOX2>>

 

<<FOX2>>

 

ミサイルを発射してF-3Aは斜め上方に横回転(バレルロール)しながら移動したら完全に回る切らずに背面飛行して再び同じ目標にミサイルを発射した。

 

機体はそのまま背面急降下を開始。途中で反転して海面に腹を見せる。

 

ミサイルを発射されたF-2Aは下方向にブレイクを開始し、位置エネルギーを運動エネルギーに変換してミサイルを回避する。

 

F-2Aが運動エネルギーを位置エネルギーに変換しようとした時にもう一発のミサイルが接近する。

 

F-2Aは再びブレイクするが位置エネルギーは運動エネルギーに変換済み、運動エネルギーも位置エネルギーに変換す少ない間で、位置エネルギーも運動エネルギーも少ない状況では満足な回避機動が取れるはずがなく、F-2Aはエンジンにミサイルを喰らい横向きに設置された花火の様に爆発した。

 

3Aが上昇の為に一瞬だけ水平飛行する場所に機銃を向ける。

 

(成る程ね……)

 

バトラもF-2Aの意図に気づく。空戦は腹の探り合いである。狙っていることがバレれば後の先の取られ撃墜されるのが相場である。無論、実力が高ければ返り討ちに出来るが。

 

F-3Aは海面に達した途端に偏向ノズルを真上に向けて、機首を斜め上に無理矢理に向ける。

 

[lock-on]

<<FOX2>>

 

レーダーがF-2Aをロックオンしたのを確認して即座にミサイルを発射する。

 

F-2Aはフレア(ミサイル用デコイの一種)を撒きながらブレイクしてミサイルの回避を行うが、ミサイルとの距離が近過ぎるが故にフレアに惑わされずに本体を追う。

 

F-3Aは絞っていたスロットルを開いて加速と同時に偏向ノズルも操作して急上昇する。バトラはここに主翼を操作して機体を横倒しに変えた。

 

F-2Aは横機動での回避は不可能と判断してスロットルを絞り、エアブレーキを展開。同時に主翼を操作して錐揉み回転に持っていく。錐揉み回転のその複雑な機動にミサイルは付いて行けずに大きく横にずれた位置を素通りしていった。F-2Aは一旦、F-3Aを引き剥がそうと加速する為にスロットルを開こうとする頃には立て向きの状態で後ろに張り付いていた。

 

<<FOX2>>

 

無情にも宣言されたミサイル発射の合図と共に左翼に搭載されたAAMが煙を吐きながら左翼から離れて、海洋迷彩の鉄の鷲に食いついた。

海洋迷彩の鉄の鷲は空に炎の花を咲かせて、海へと墜ちて行った。

 

<<全ての敵機を撃墜した。次はなんだ?>>

 

 

 

 

 

 

<<F-2A01 lost>>

 

<<F-2A02 lost>>

 

<<全ての敵機を撃墜した。次はなんだ?>>

 

『おいおい、幾ら攻撃機のF-2Aに最新鋭機のF-3を使ったと言え一方的じゃねーか!』

『そんな事よりも!初めて乗った機体であの機動をやすやすとこなすあのパイロットは何者だよ!』

『あんな機動は見た事ない』

 

モニターに映し出されたバトラの戦いを見て騒つく室内。

 

「佳さん。彼は一体何をしたんですか?」

 

新人と思しきパイロットには何が何やらわかっていなかった。

 

「そうだね。まず1を墜としたとこからだけど。まず、最初の一発は囮で位置エネルギーを奪う為のもので撃墜目的で撃ったものじゃない。本命は間を置いて発射したミサイルで間を置いてのは運動エネルギーを位置エネルギーに変えようとしたその一瞬を狙ったからだね」

 

「エネルギーが少ない状況じゃ、満足に回避行動は取れませんね」

 

納得したと頷く新人パイロット。

 

「でも、なんでミサイルを撃った後に背面飛行急降下をしたのでしょう?」

 

「それは恐らく、ミサイルを撃たれない為だね。撃たれる前に回避行動を起こした所為でF-2Aはバトラを追って、追おうとした時に01にミサイルが、02は急降下したバトラを追ったけど、急降下中であった事と海面の反射でロックオンがしずらいからだよ」

 

「02の撃墜はどうやったのでしょう?」

 

「それが私にもわかんないだよね〜」

 

「あれはドリフトみたいなものだな」

 

「浅野!でも、飛行機でドリフトって出来るの?」

 

話に割り込んだのは浅野だった。浅野には何をやっとのかわかっていた。

 

「横向きのコブラ機動だと思えばいい」

 

「コ……コブラ…機動?」

 

新人が頭を傾げる。

 

「コブラ機動っていうのは機体を水平から90度上に向ける機動の事だよ。海面でやったのは180度でクルピットだけどね」

 

「じゃあ、あの人は機体を横に向けた状態でそのコブラ機動をやったって事ですか?」

 

「そうだ。彼奴はノズルが180度全てに向く事を把握していたから機体を横倒しすれば左右両方にコブラ出来るからやったんだ。で、「錐揉み回転したから速度を失って降下した所でコブラをやって追いかけた訳だ!」……そうだ」

 

「成る程。でも、普通やりますか?」

 

最もな事を言う新人パイロット。しかし、佳が真っ向から斬り伏せた。

 

「ザイは普通の戦いでは墜とせない。いえ、普通の戦いでは生き残れない戦場を味わったのよ……彼は」

 

その言葉に新人パイロットは自分より年下の少年に畏怖を抱いた。

 

<<いや、充分だ。この後は実機に乗って貰うから実際に操縦してくれ>>

 

<<ラジャー。これはテストだった訳だ。契約違反……と言いたいとこだが、ポッとでの若造に何が出来るのと言う様な顔だったから試したんだろう?差し詰め佳姉さんの発言か?>>

 

<<正解だ。でも、良かった。違約金とか言ってせびられるかとヒヤヒヤしたよ>>

 

<<傭兵は信頼されなきゃ仕事が出来んからな>>

 

<<はは、わかったよ。シミュレーターの電源はこっちから落とすよ。お疲れ様>>

 

<<お疲れ様です>>

 

電源が落ちたのか真っ暗になるシミュレーターから出て伸びをする。

 

「お疲れ様、バトラ。少し休憩を挟んだら実機搭乗でテストして頂戴」

 

「わかりました」

 

 

 

 

 

 

ギーーーーーン

 

垂直二段式エンジン特有の音が甲板に響く。

 

「それじゃあお願いね。機体は通常のものでザイとの戦闘は不可能よ。でも、他は一緒だから安心して」

 

「はい。じゃあ、行ってきます」

 

梯子を登りキャノピーに身を沈める。

 

<<ALTAIR1発艦を許可します>>

 

<<ラジャー。エンジンスタート>>

 

エンジンがアイドリングから起動し回転数が上昇する。

 

<<ALTAIR1発艦します!>>

 

真ん中から艦首の方向に滑走する。ほうしょうにはカタパルトもスキー・ジャンプ式飛行甲板もデッキも政治家の所為で装備されていない為に昔の空母の様な発艦が要求される。

 

<<ALTAIR1発艦成功。高度制限を解除します。試験飛行を行って下さい>>

 

<<ラジャー>>

 

そう言われて様々な機動を行う。

 

(うん。結構ダイレクトに機体に反映されるな……良し!次は増減速をチェックしよう)

 

エアブレーキを操作したり、スロットルを操作したりなどして色々試す。

 

(………こことここは改良した方が良さそうだな。全体的には90点かな)

 

試験飛行終了時刻になったので一旦、艦に帰る。

 

 

 

 

 

 

「取り敢えず、カナード翼だけど、あれをマニュアル制御できる様にした方が良いと思う」

 

カナード翼がグリペンと同じ様にスロットルを絞ると直立してエアブレーキになるのだ。エアブレーキを作動してもカナード翼が稼働しないのだ。

 

「何故?」

 

佳姉さんが質問するので正直に言う。

 

「安定性の為なら正解だけど、対ザイ戦闘になると出力を維持したままでエアブレーキのみで減速が出来ないのは辛いよ」

 

「如何してだ?」

 

浅野さんが質問する。

 

「ザイは加速もだけど減速も微妙な速さがあることと急減速してオーバーシュートしようとしても急加速で逃げられる。となるとこっちも加速すれば良いんだけど、向こうは追っていて速度が乗っている。こっちは速度が遅い。ザイの速度に追いつこうとしてスロットルを開ける頃には向こうは加速しきっていて、HiMATで背後に回ってるんだよ」

 

「そんなに速いのか!」

 

「速いと言うオーバーシュートするとわかると追わずに離脱するんだよ。だから、こっちはスロットルを絞らずにエアブレーキだけでスロットルを絞った場合と同じ位に減速しなきゃならない訳」

 

「じゃあ、エアブレーキを増やせば良いじゃない?」

 

「エアブレーキを増やすとなると一回工場に持っていかないとダメでしょう?」

 

「費用とかを考えるとプログラムの変更と操縦席の簡易の改修で済む訳だ。他は?」

 

「垂直離着陸用のファンを飛行中でもハリアーみたいに使える様にした方が良いと思う」

 

「ハリアーに乗ったことあるの!」

 

佳が驚く。彼女達も訓練過程でVTOLに慣れる為にハリアーを使用していた。

 

「ええ、亡霊撃墜後にイギリス女王陛下から勲章と一緒に頂きました。まだ、保持してますよ」

 

「だが、何故にそう思ったのか聞いて良いか?」

 

「ザイのミサイルがあり得ない角度で飛んでくることとザイのHiMATに対抗するにはショートカットしかありませんからね。例えば、後ろに回ってくるならヘリみたいに後ろに回るとか」

 

「ガンポットガン積みのハリアーが初めての撃墜記録らしいが面制圧とそういった移動が出来るからか……」

 

「ハリアーは足が遅いのでカモに成りますけどね。だいたいこんな所ですね」

 

「ありがとう。私たちでは出てこない意見ばかりだったよありがとう」

 

艦長が締めに入る。

 

「いえ、役に立ったのなら幸いです」

 

「明日には君の機体も修理されているか帰れるよ。故障箇所以外は触らせてないから安心してくれ」

 

「わかりました。では、後日にここを出ます」

 

「では、宴会でもしようか。食堂で準備は整っているから直ぐ始めるぞ!」

 

そう言って我先にと食堂に向かう艦長から廊下の壁に反射した声があった。

 

「酒が飲めるぞー」

「「「「「「飲みたいだけじゃねーか!!」」」」」」

 

全パイロットのツッコミが艦内に木霊した。




(0w0)ノイジェークト

「クッソ!オメガ11のパーフェクトインジェクト教室の生徒だったかか」

次回予告カッコカリ
小松へと帰投するが雰囲気は変わっており面食らうアルタイル1であるが、そんなことザイは考えない。小松にザイが攻めてきていた。その危機にアルタイル1が飛び込む。

別命あるまで第三種戦闘配備だ。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。