作戦5 嵐の前の静けさを開始する。
『pipipipipipi 』
レーダーのロックオンを知らせる音が鳴り止まない。しかし、今回に限っては鳴り止まらせれないと言った方が正しいだろう。
赤くなったターゲットコンテナには紅い小型戦闘機が入っている。
(10秒だ)
ミサイル発射の為にトリガーを引こうとした時に紅い機体がパワーダイブに入った。
「逃げれるとでも?」
すかさずこちらもパワーダイブで追撃する。
向こうもこちらに気づき急旋回する。
(高度を失って速度を得たのにもう捨てるのか?)
俺なら海面ギリギリまで降下して上昇して、相手の上を取るようにループしながら上昇する。
「FOX2」
短距離ミサイルの距離で中距離ミサイルを放つ。
紅い機体はフレアを巻くがこのミサイルは金属反射で追尾する。赤外線を欺瞞するフレアでは防げない。向こうも気づいてチャフを巻くが距離は近すぎる故に防げず撃墜された。
<<BARBIE01の被弾を確認>>
一機墜としたが残りが3機いる。
二機は57mm弾を撃ち合っている。てか、対爆撃機用じゃなかったか?それ。
(あの二機だけで撃ち合っているのを見ると…)
ロックオンの警告音がコックピットに鳴り響く。
後ろを見ると案の定、山吹色の機体が食いついた。
<<今日こそ墜としてやるんだから!>>
惜しいな。黙って撃っていれば撃墜出来たかもしれないのに。
俺は機体を減速させて同時に横回転させながら上昇してミサイルをやり過ごす。
<<しまった!!>>
こっちも下降中だった所為で向こうも速度が乗っていた所為で追い抜かしてしまったようだ。向こうもすかさず加速してやり過ごそうとするがこっちもやられる訳には行かない。
エアブレーキをしまうと同時に山吹色の機体のノーズが自機のノーズを超えた辺りから30mm弾を発射する。
<<BARBIE02の撃墜確認>>
「ドライブ!」
未だに巴戦をしている二機に
<<ちょっとこれは無理です>>
<<イジェクト>>
<<ALTAIR04の撃墜確認。ALTAIR03の緊急脱出成功。状況終了、
空は今日も憎たらしい程に青い。
「まず、お前はエネルギーの節約を考えよう」
グリペン・慧のペアに俺の思ったことを伝える。
「お前達は無闇やたらに戦闘機動をするからすぐ後ろにつかれるんだ」
「じゃあ、どうすんだ?」
「勉強と経験だ!幸いここは練度化物で知られた自衛隊なんだ。最高の教師はいるだろう?」
「教えてくれるのか?」
慧が言っているのはアニマの事だろう。
「そこは問題無い。小松防衛戦以降は空気が変わっただろう?」
「なんでだ?」
「航空機乗りを黙らせるには実力を示すのが一番だってこと」
「成る程な」
「わかったら行きな。時間は有限だぜ」
「おう!」
何処かにグリペンと一緒に消えていった。
「さてと……」
振り向いた先に不貞腐れてるイーグルがいた。
「なんで、墜とせなかったの!」
「撃つタイミングを教えたのと速度と距離を考えなかったからだろう?」
「う〜〜……」
「ま、頑張れ」
そう言ってハンガーに格納された機体の後部コックピットに乗り込む。
「何をしてらっしゃるのですか?」
RF-4TP-AJZの後部コックピットがあった場所に備え付けられているPCを弄ろうとしているとアルタイル03が声を掛けてきた。
「何って、本社からの電子メールの確認だ。お前もチェックしてるか?」
「そこは妹がしてくれてますから」
「………ごく偶に個人で来るから自分でも確認しな?」
「………わかりました。確認してきます」
そう言って白い方のA-10に乗り込む。
(全く、さて確認をっと)
PASSWORD ●●●●●●●
Login
『Personne》』
『Weaponry》』
『Objective 》』
▶︎『Mission 》』
『Exit. 》』
アルタイル隊各員は先の小松防衛戦もご苦労だった。
日本は先日、アニマ、及びドーターのみの飛行隊を編成したと言う情報が入った。アルタイル隊はこの飛行隊の援護部隊として引き続き日本に在中してくれ。尚、指揮下は今まで通りと同じくMS社所属だ。
以上が連絡だ。
アルタイル隊の各員は仕事に励んでくれ。
(これはまた、面倒な事を…)
アニマ・ドーターだけの飛行隊を作るそれが世界にどれ程の影響を与えるのかわかっているのだろうか?
そんな事を考える彼に一通のメールが入る。
(なんだ?)
アルタイル隊の化けの皮を剥ぐ準備はしておいてくれ。いつ剥がすかは君に一任する。
(こんな物を送ってくるとなると佐官クラス以上にしか開示されていない情報に面倒な物が送られてきたのか…)
とりあえずは剥がす準備はしておこう。
PCの電源を落としてコックピットから降りて後ろを向く。
彼の視線の先には垂直尾翼に描かれた、鷲の絵に鷲一際大きく描かれた星がある鷲座が描かれたシールだった。
「よし!終了と。買い物でも行くか」
暗い話題は置いておこう。
「う〜〜〜〜ん」
A-10から何か聞こえるが放っておこう。
トライクに乗って基地近くの店に来ていた。
購入したのは輸入物の菓子だ。輸入物となると基地では手に入りずらい。
近くの駐車場に止めてある愛車に跨がろうとすると黒のインナーにデニムシャツに顎に髭を生やした顔は絵に描いたような遊び人だ。
「ちょっと、ちょっとつれないじゃん、お嬢ちゃん。少しお話ししようよ」
そんな遊び人が自分と同じ位の身長の少女に軽薄な猫なで声で話掛けていた。
(うん。どう見てもイケナイ構図です。ありがとうございました)
流石に誘拐まがいな事をされるとも限らないので近づいて様子を伺う。
少女の格好は一人旅中のお嬢様といったところだった。白いブラウスに黒いコルセットスカートと言う服装に持っているトランクは派手さとは真逆なシンプルでクラシックな手提げ型だった。そこにおかっぱ髪が清楚な印象を与えていて、ますます、この遊び人について行くような少女じゃない。
周りから見ると早く助けに行けよ状態かもしれないが万が一でも勝気な性格だったら嫌な気分で終わる。と言う事を考えるとマズい状況になるまで手を出さない方が良いと言うのが俺の持論だ。
「どこ行くの?一人旅?」
無言の少女の事など気にせず話す遊び人。
「でも、不安じゃない?君みたいな可愛い子だと悪い奴がいっぱい寄ってきそうだし。そうだ!俺が案内役になってやろうか」
悪い人はどう見ても貴方です。本当にありがとうございました。そして、あんたが案内するのはベットウェーだろ。
(ナンパにしても強引な気がする)
いや、ナンパされたこともしたことも無いけどさ。
そうこうしている内に向こうも無言の少女の対応が気に入らないらしく。声が少々威圧的になる。そして、遊び人の指輪をつけた長い指が二の腕を撫でてブラウスの胸に伸びようとする。
(流石にここまでくると止めるか)
物陰から飛び出す。
「こっちの連れに何してやがる!」
「っち。男連れかよ」
そう吐き捨てて何処かに消える遊び人。
「大きなお世話だったかな?」
「いえ、助かりました」
柔らかな声だった。
「助かりました。見知らぬ土地でどうしたら良いかわかりませんでしたから」
「そんな時は嫌ってはっきり言いな。黙ってるとつけ込んでくるからな。それでもダメな時はタマに爪先蹴りをお見舞いして逃げるが一番だぜ。後、この季節はあんな輩が多いから気をつけなよ」
手を振って去ろうとする。
「あ、少し道をお尋ねしたいのですが?」
「なんだ?」
呼び止められてしまった。
「小松空港にはどう行ったらいいでしょう?」
「小松空港?」
やばいな公共交通機関での行き方なんて知らねーぜ。しかし、ここで調べるとなると格好が付かない。
「小松空港なら俺が送って行くがどうだ?」
とりあえず、暗に知りません宣告しておく。
まあ、『見ず知らずの男に送られるな』と教育を受けてそうだなと言った後で後悔する。
「その出来れば自衛隊の基地の方にお願いできますか?」
「え?……あ、可能だよ。じゃあ車持ってくるから」
一瞬、何故に小松基地と思ったが親が働いているのだろうと勝手に自己解釈しておく。無闇に家庭事情に踏み込まないのは普通だ。
「色々、ありが「お礼は着いた時に貰うよ。無事に着けるという保証は無いからな」
トライクの所まで移動してロータリーに戻ってくる。
「後部コック……座席に乗ってくれ」
つい職業病を発症してしまった。
俺の愛車は爺さんが後ろが完全に潰れたヴィンテージ物の大型バイクを無理矢理トライクに改造したものだ。バイクは詳しくないので原車は知らない。
「念のためにヘルメット被ってくれ」
一様日本の法律では車扱いで要らないが一応つけているのでその予備を渡す。
「……パイロット用のヘルメットですね…」
「……………趣味だ」
性能と外見の両立を目指した結果だ。
だって、市販の奴でいいの無かったからね。
見た目と機能性の両立は難しいよね。
ていうか、良くパイロット用ってわかったな。
「出すぞ」
「はい」
そして、小松基地に到着した。
え?道中どうしたって?何も無く終始無言でしたが何か?
「ここ真っ直ぐ行けば、詰所だから」
「ありがとうございました」
「気にすんな。ついでだったしな」
そして、そのまま駐車場に停めに行く。
「あ!メット、返して貰って無かった」
ま、いっか。予備だし。
「気にすんな。ついでだったしな」
そう言って私がお礼を言った後に発車していきました。
私はポケットから小さなビスを取り出してそのあたりに投げておく。今頃彼は携帯端末がバラバラになっていることでしょう。
(いっそ、生身を分解するべきだったでしょうか?)
今更ながら自分の甘さが悔やまれるがもし実行に移していれば、彼との接触は出来なかっただろう。
アルタイル隊の隊長。
まさか、小松に来てすぐに遭遇出来るとは。運命の不思議さに驚きたくなる。
「アルタイル01、バトラと言ったかしら」
本当なら移動中に色々と聞きたかったが各国のマスコミにも二つの名前が出ていないこととこの情報は関係者にしか知られていないと考えるとどちらの情報も出せない。よって話掛けるきっかけが無い。名前を聞いても『答えない』『はぐらかす』が落ちでしょう。
そして、話し掛けなかった理由は自分以上に濃密な死線を潜り抜けた強者だと見ただけで理解したというのもありますが。
私は携帯端末を起動して回線を繋ぐ。繋ぐ相手は待っていたかのようにワンコールで出てきた。
<<遅いぞ。今、何処にいる>>
野太い男性の声。
<<今、小松基地の目の前です>>
<<すぐに迎えに行く。そこで待っていろ>>
<<はい。
少し待つと前から男性が近づいてきた。
「よく来たな。三沢と同じことをするなよ」
「あら、私は何もしていませんが、何の話でしょう?」
「どの口が言うんだか」
「この口です。ですが、退屈はしなそうです」
「詳細は後で聞かせてもらおう」
「はい。では後程。RF-4EJ-ANM ファントムⅡ。小松基地に参陣致しました」
特に言うことは無い。各員は新たな作戦が発令されるまで待機してくれ。