ガーリーエアフォース PMCエースの機動   作:セルユニゾン

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ガーリーエアフォースの二次創作が3作目の出現。
セルユニゾンから始まった(何を言うか)ガーリーエアフォース二次創作の輪よ! もっと広がれーーー!!


第27話 相反す者

「わけわかんねぇ」

 

慧が格納庫の中で漏らした声を耳ざとく拾った人物が振り返る。

灰色だけが支配する格納庫の中、浮き上がるように白い髪と肌、何処か歪み、狂気や危険を孕んだ光をスピネルのようば赤い瞳に宿す少年だった。

 

「操縦技術で困っているのかな?」

 

はにかむように笑う姿は、何処か『近所に住む兄』のようだと慧は印象を持つ。

だが、無茶な事を言ったり、快楽主義者のような言動や行動、歴戦の戦士のような考え方、時折見せる悲観漂う姿に別の世界の住人に思えてしまうのも事実だった。

 

「本当にわけわかんねーよ」

「何がだ?」

「あんたの正体だよ」

 

呆れたように話し慧にわけがわからないと言われた少年も困ったような笑みを浮かべる。

その姿に慧は、大人で紳士的な男性と言う印象を持ってしまい、本当に何者なのかわからないと言うような顔になる。

 

「俺はMS社 M42飛行中隊 アンタレス隊 2番機 コードネームはアンタレス02兼M43飛行中隊 アルタイル隊 1番機 コードネームはアルタイル01のTACネーム、バトラだ。それ以上でも、それ以下でもないよ」

「相変わらず、わかんねーな。あんたの人なりがわからない」

「俺は、何時でも自分の素を見せているんだがな」

(どんな性格だよ……)

 

バトラの言葉に項垂れる慧。

 

「それより、座学やトレーニングは良いのか? わからなければ、教えるし訓練も付き合っても構わないが……」

「そんな気分じゃねーよ」

「だろうな。何か新しい作戦で?」

 

その言葉に慧が目を見開いた。

何も言って良いないのに言い当てられた事に若干の恐怖心を抱いた。

その行動にバトラは、唖然とした顔で口を開いた。

 

「まさか、当たるなんてな……」

 

カマをかけただけ、当てずっぽうだとわかると警戒心も恐怖心も無くなった慧がゆっくりと浮き上がり気味だった腰をパイプ椅子に戻す。

 

「あんまり、言いふらすなよ」

慧が釘を刺してから語り出す。

フランスの中尉が自衛隊のドーターの回収任務に民間人の参加に反対し、空母の撃沈を要請した話をした。

 

「恐らくは日仏間での交渉だから、俺たちに情報開示が行われるタイミングは作戦決行が決まった時だろうな。だが、それだけじゃないだろう?」

 

心の内を見通すように目を細めたバトラが告げた言葉に慧がビクリと身体を跳ねさせる。

わかりやすいと肩をすくめるバトラに慧はグリペンと出掛けた時の話をする事にした。

 

「グリペンと出掛けた時の事を知ってるよな?」

「知らんな。デートか?」

ニヤリとした笑みを浮かべるバトラに慧はしまったと冷や汗を流す。

バトラはパイプ椅子の背もたれを抱えるように座り、正面から向き合う形で陣取る事で逃がさないから、洗いざらい吐いてしまえと言う場と空気を同時に作り出した。

慧は観念して、溜め息を吐いてから語り出した。

 

「人形に命をかけるのは間違っている……か……」

顔を上に向けて考えるバトラの顔が酷く冷ややかな物に見えてしまった慧が、必死に自分の考えでは無いことを話すが、その様子が可笑しかったのか、カラカラと言う擬音が似合う笑顔を見せる。

 

「大丈夫だって、もし、そうならグリペンと飛んでいないだろう?」

 

その言葉にハッとした顔を浮かべる慧にバトラはクスリと笑みを浮かべるが、即座に真剣な顔付きになる。

 

「そいつの言う事は正しいな。アニマとドーターは兵器の括りでは、無人機だ。無人機を守る為に人間が死んでは、無人機という考え方に相反する。ぐうの音も出ない正論だな」

 

その言葉に慧が椅子から立ち上がりバトラに掴み掛かろうとするが、額にバトラの指を置かれて、立ち上がれなくなった。

 

「だが、正論ですか感情論を抑えられるとは限らないのが人間だ」

 

その言葉を聞いて、落ち着いたのか立ち上がろうとしなくなった慧を見て、バトラは指を退かした。

 

「もし、俺が件の人物と同じ思考回路だとして、ベルクトを本気で救おうとするか? もし、そうなら宇宙にでもぶっ飛ばせと言う」

 

慧の反応を確認してから、語り出す。

 

「俺は、撃沈ではなく、回収を押そう。何故かって? 戦力増強以外に何がある? 俺たちは防衛戦でしか勝利を収めていない。防衛戦の勝利は戦術的に見れば勝利だが、戦略的に見れば敗北も一緒だ」

 

バトラの言葉に慧はわからないと言う表情を浮かべる。

 

「わからないか? 攻めてきた敵に攻勢に出られる程の損害を与えれば完全勝利だ。だが、俺たちはどうだ? 防衛しただけで攻勢に出られないどころか、2度の上陸作戦失敗で俺たちの戦力は少なくなっている状況下だ。戦術では勝ちを拾っているが、戦略では負け続けている。だからこそ、俺たちは貴重な戦力を捨てるという選択肢は出来るだけ捨てたい」

 

その言葉に慧が頭を抱える。

 

「混乱してるのか? わかりやすく言えばサイコロだ。件の人物はサイコロの1を八代通は2を俺は5を見ている事だ。サイコロは見る角度で目が変わる。そういう事だ」

 

この言葉で慧は納得が行ったという顔になる。

100人いれば100通りの見方ができる。必ず何処かで食い違う。ならば、食い違うからと行って排除したり、正す必要は無い。そいつはそいつ。俺は俺のやり方でやれば良い。

その安心感を手に入れた慧は何処か雰囲気が変わっていた。

 

「ありがとうな」

「気にするな。仲間だろう? 遠慮せずに話せばいい。俺も遠慮無く言ってやるから」

 

その言葉に慧が苦笑いを浮かべるとベルクトがいつの間やら現れた事に気付かなかった。

 

「何を遠慮無くするんですか?」

「「おわ!?」」

 

2人同時に驚く慧とバトラに令嬢のように笑うベルクト。

 

「ベルクトってステルス機だったか?」

「な訳あるか。というか、これは深窓の令嬢か? 何処ぞの熟練老兵とは訳が違うな」

ベルクトの笑みを見て、別の人物を逆連想したバトラにベルクトが引きつった笑みを浮かべる。

ベルクトが後ろを指さすのを見て、振り返った先には。

 

『ゴゴゴゴゴゴゴゴ』と言う擬音が聞こえそうな程のファントムが立っていた。

流石のこれにはバトラも目を揺らしながら、逃走しようとするがベルクトの身体を張って捕まえられる。

 

「離せ! 離せベルクト!」

「嫌です。自業自得です! というか、捕まえないと私がどうにかなりそうです!」

「お前ならR-18Yで済む。だが、俺はR-18Gだ!」

「バトラさん」

 

ベルクトとの口論もファントムの鶴の一声で止まった。

ファントムがゆっくりとバトラに近付き、腹の腰近くを抱えると同時に腰と膝を曲げて、バトラを後ろへと叩きつけた。

バトラは声を上げる暇も無く、白目を剥いて気絶した。

 

「失礼しますね。こんな少女を老兵なんて」

 

慧もベルクトも『いや、西側第3世代ジェットで現役貼ってる数少ない機体だろ』とは、口が裂けても言えなかった。

数少ないF-5も全てがF-16に変わった事で、F-4が最後だろうと言われている。

 

「クッソ。気絶した」

 

バトラが復活したが、ファントムの話題を振り返すつもりは無いためか黙って、メンバーに加わる。

 

「そういえば、ベルクトとファントムは新武装を載せたんだっけ?」

「あ、はい。誘蛾灯を改造したものだそうです」

「寄せ付けないタイプか?」

「それだと良いんですけどね。全然違う物ですよ」

 

ですが、とファントムが含みのある笑みを浮かべる。

 

「紆余曲折あったとは言え、私達はここ数回の大きな作戦で敗退しています。そろそろ、人類の守護天使の役目を果たさないと本当に世界が終わってしまいかねません」

「ファントム?」

 

ファントムの緑色の髪が揺れる。

少女が振り向いた瞬間にドーターと彼女は緑の炎に包まれたように輝くようにバトラは見えた。

清冽な光が弾け、双発の怪鳥を背に両手を広げる。

 

「宴を始めましょう、皆さん。人の未来と繁栄を祝う祭典を。押し寄せる敵を供物に変え、祝福の炎を放ち、祭壇への道を切り開いて上げます。ですから、どうぞ前に進み続けて下さい。恐る事なく、自らの信念を貫いて下さい。魔法と熱狂の時間を共に(ラブソディック・ページェント)

 

 

 

 

「幸先やばそうだな」

バトラがベルクトの状態を見て、漏らす。

ベルクトは薄桃色の肌を青くしながら、横になっていた。

 

「ラファールって、機体の形状がお前と似てるんだろ? なんで、こんなに苦戦するんだよ」

「まあ、仕方ないわな。グリペンとラファールって、デルタ翼にカナード翼と似てるが、大きく違うのがあるからな」

 

慧はわからないが、バトラには察しが付いているらしい。

 

「え?」

「お前な〜〜」

 

慧の反応に呆れを隠せないバトラが深い溜め息を吐いた。

 

「作戦の重要目標なんだから、予習くらいしろ」

「す、すまん」

「まあ、グリペンがこれだから、教えてやるよ。この際、詳しくな」

 

バトラがニヤリとした笑みを浮かべ、咳払いをしてから語り出す。

 

「グリペンとラファールの大きな違いはエンジンが単発で双発かの違いだ。機体形状がファントム、イーグル、ベルクトの中で1番近いからこの人選と言う訳だ」

「成る程な。でも、どうして双発に? 推力不足か?」

「1発約5トンで、2発で約10トン。それでも、推力が不足気味。大人しくF404系を使えと言いたい。独自技術に拘るのがあの国の悪い所」

 

グリペンが復活して、フランスに文句を言う。

それにバトラが待ったをかける。

 

「フランスもF404系を使いたかっただろうが、こうなったのは深い訳がある」

「どんな訳だよ」

「長くなるが?」

「教えてくれ」

 

咳払いをしてから、説明を開始する。

 

まず、ラファールが生まれる理由は、戦争と言うよりも多用途戦闘機の更新だな。

この時に英国の次期戦闘機と要求が似ていたからタイフーンの開発計画にフランスが参加したんだが、問題が発生した。

 

それが、エンジンが双発になった理由だ。

何故かって? 簡単だよ。共同開発はよく言えば、各国の最高の物を取り入れられるが、悪く言えば、取り入れたい物を取り入れられないとも言える。

 

フランスがタイフーンの計画であるECA計画にフランスのエンジンが選ばれない可能性が高かった。

選ばれなければ、フランス唯一のエンジンメーカーが倒産する可能性があったからだ。

自国でエンジンが作れないのは痛いからな。日本がそれだ。心神や震電のエンジンで日本はその苦境から脱せたが、フランスが一昔前の日本状態になる恐れがあった。

 

そう言う理由からF404系は使えなかった。

フランス政府もやむをえない決断だったんだろうな。

 

こうして、バトラの講座は終了した。

その後の空気はお通夜状態だった。

 

「じゃあな。俺は仕事が残っているから」

 

そう言って、バトラは去って行った。

 

 

 

 

 

<<良し、一旦終わろう>>

<<ハァ……ハァ……ありが……ハァ、ござい……ます>>

 

格闘戦の訓練を装甲キャノピーのモニターを利用して行ったが、心身共に疲労したのか、喘ぐようではあるが、綺麗な響きを持つベルクトの呼吸音にバトラは言い表せない興奮に似たものを感じていた。

 

Su-47のコクピットからベルクトが出るのを手伝う内に汗で身体にへばりついた汗と髪が言い表せない蠱惑的な姿にベルクトを変えていた。

内心で燻り始めた感情を追い出してベルクトに肩を貸すバトラの前にスーツを着た女性が立っていた。

 

その目はベルクトに注がれ、冷たい目を向けていた。

バトラは1人で立てることを確認してから、少し離れた場所に置いてある飲み物を飲んで来るようにベルクトに行ってから女性に近付く。

 

「えっと? ブーランジェ中尉でしたっけ? 部下のベルクトが何か粗相でも?」

「そう言う訳ではない。ただ、君がアニマをどう見てるのか気になってな」

「アニマですか? そうですね。ドーターの制御ユニットですかね」

「慧君とはかなり、違うようだが?」

 

ブーランジェは背が若干低いバトラを見下ろす形で見つめる。

 

「なら、どうして肩を貸した? 訓練を共にする?」

「なら、貴方は同じ道具の……その腕時計を買ったら、そのまんまですか?」

「!?」

 

ブーランジェが目を見開いた。

 

道具(兵士)手入れ(訓練)をしなければ簡単に壊れます(殺されます)。それが嫌だから、手入れ(訓練)をするんです。そして、大切な道具(仲間)だからこそ、助け合う。壊れて(殺されて)欲しく無いから。貴方にありますか? 大切にしようと思う道具(仲間)が?」

「……道具は所詮、道具だ。その道具に見合った働きをしてくれれば良いんだ。笑ったり、話したりする必要はない。君はアレが好きか?」

 

ブーランジェが指差す先には、Iℓ-44があった。

それを見たバトラが笑いながら、答える。

 

「その質問をMS社の現場傭兵にするんですか? 相当な馬鹿か、俺たちを勉強していないのか、その両方かのどれかだな。フランスの情報を扱う部署としては致命的だ」

 

嘲笑うバトラにブーランジェが真面目に答えろと怒鳴ると笑いを堪えながら答える。

 

「好きですよ。だって、好きじゃ無いものに命を預けられませんし、好きじゃ無いと機体も命を預けてくれませんから。俺たちは自分の命と技術を売り物にする。好きじゃ無いものに命を乗せられないだろ? それに好きだから、命を乗せられるから、道具は答えてくれる時がある」

 

ブーランジェはバトラを訳がわからない物を見るような目を向けると去って行こうとした。

 

「あ、そうだ。最後に」

「なんだ?」

 

それをバトラは呼び止め、ブーランジェは振り返る。

 

「俺が言ったのは、あくまでも、ロシアや他国のアニマ全般だ。ファントムやイーグル、グリペン、バイパーゼロ、そしてベルクトに抱く感情は別物だ」

「それはーー」

 

話はこれで終わりだと言うようにブーランジェの言葉を無視して、ベルクトへと小走りで駆け寄り、ベルクトがペットボトルから口を離して、キャップを閉めた瞬間、後ろから抱き付いていた。

 

ブーランジェはそれを冷たさと不可解な物を見るような目で見ていた。




因みに私の全作品は全て、報告して下されば、クロス歓迎です。
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