ガーリーエアフォース PMCエースの機動   作:セルユニゾン

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皆さんお待たせしました。 作戦31です。

今回の6巻ですが、ドキドキして、ヘラヘラして、ドキドキして、ニヤニヤして、バクバクして、ゴフゴフして、ヒヤヒヤして、ドキドキして、ヒヤヒヤして、ニマニマして、ヒヤヒヤして、ドキドキして、ガフガフした。


作戦31 私に良い考えがある

「慧にアーケード版エースコンバットさせたら、結構強かった。こっちがF-4の使用を考え直すレベルだけど」

 

バトラが小松航空祭の後に慧とアーケード版エースコンバットをやった事を話し、その実力を賞賛する。

それを聞くベルクト・片宮姉妹は驚きの声を上げる。

 

小松基地の食堂の一角では和気藹々とした雰囲気が作られている。

 

「バトラ、ベルクト、詩苑、詩鞍。何も言わずにこれを見て、何も相談せずにこれを書け」

 

振り向くと神妙な顔付きで1枚のラバーファイルを差し出す。

ファイルに書かれた『PMCU-RS』という表紙を見て、バトラはまたかと溜め息を吐きながら受け取り、3人に見えない様に読んで行く。

 

内容は日系企業が所有する鉱山でF-15J戦闘機の破片が発見されるが、場所がモンゴルと言う事と鉱山の位置が対ザイ戦闘の最前線に近く、停止した発掘作業を再開する為には制空権の確保が必要である事のだが、ややこしい事に破片をロシアが欲しがっており、モンゴル政府としてはロシア政府の言葉を無視出来無いが、日本との繋がりも有るのと鉱山が日系企業所有と言う事もあり、モンゴル政府はPMCに制空権の確保を各社民間軍事会社に依頼してきた。と言う物と細々とした事情が書かれていた。バトラは納得が行ったのかファイルを閉じ、隣の詩苑に渡す。

 

「拝見します」

 

そう言って、ファイルを読み、終われば詩鞍へ、詩鞍が終わればベルクトへと渡り、最後にバーフォードへと帰ってきた。

 

「わかってくれたか?」

「ああ」

「えっと……」「質問が……」「私も……」

 

バーフォードの言葉にバトラは全てを理解した様に話し、残りの3人はこの話を知って、どうしてそうまで神妙な顔付きになるのか理解しきれていない様だった。

 

「お前ら……自分達の世界の事くらい勉強しろよ……」

 

呆れたと肩を竦めつつも、懐からメモ用紙とペンを取り出す。

なんだかんだ言いつつも教えてくれる辺りにバトラの優しさを感じずには居られない。

 

「いいか? 俺たちPMCには使用機材で大きく3種類に分けられる。どんな分け方かはわかるか?」

 

メモに話した内容を一目でわかる様に大きく円を描きその中にPMCと描き、その円を3つに分ける。

描きながら返答を待つバトラだが、誰からもそれらしい事を言わない為に頭で伝える情報を足し、整理してから口を開ける。

 

「簡単に言うと世界と同じ様に西側と東側の機材を中心に運用しているのかで2つに分ける」

 

大きく書いた円のほぼ中央に点を描き、2本の斜線を加えて、分けた2つに西と東を書き入れる。

 

「3つ目が1番多い両陣営の機材を使う人間にコストを出させる陣営だな。MS社やザイ相手に協働攻略作戦を行ったPMCは殆どこれだな。ただ、【オーシア・ズ・ユーク】はその戦力の大半が艦載機で艦隊を運用する関係上どちらかと言えば西側に近い」

 

最後の空白に東西と書き入れ、西にOUを書き入れる。

 

「さて、ここで装備で分け方について理解して貰った所で今回の案件を加えてみよう」

 

メモの空いている空間に丸を描きそこに鉱山の文字を入れる。

 

「件の鉱山に破片があり、所在はモンゴルだ」

 

=を円に繋げ、=の先に新しく円を描き、モンゴルと書く。

 

「だが、鉱山は日本企業の物だ」

 

逆側に同じ様に円を=で繋げ、繋げた円に日本と書き入れる。

 

「そして、モンゴルとしては問題しか生まない破片は早い事取り除きたい。だがザイが邪魔。でも、自国の軍事力かザイから鉱山付近の制空権は取れない。そこでPMCに依頼して戦力を増やして鉱山付近の制空権を取る」

 

メモに制空権確保と書き加える。

 

「だが、PMCには報酬が入るがモンゴルにザイから制空権を取れる数・質の部隊を雇い入れる余裕は無い」

 

モンゴルから矢印を引き、報酬の字を囲んだ円に引いてから矢印の中央にバツ印を付ける。

 

「と、すれば破片で儲けるしか無いが更にここでややこしくなる」

 

メモに鉱山の円から矢印を出し破片を囲んだ円に繋げる。そして、その円に矢印を2つ付け、矢印の始まりに円を1つずつ書き、それぞれに日本・ロシアと書き足す。

 

「日本はFー15Jの破片だから欲しいのは当たり前、ロシアはなんでか知らないがFー15Jの破片が欲しい。モンゴルは破片を使って報酬を払うと同時に釣り銭を懐に入れるつもりでいる」

 

その話を聞いて、ベルクトが手を挙げた。

 

「それはつまり、他の民間軍事会社の人達は払われるかわからない報酬を目当てに仕事はやりたく無いって事ですか?」

「それもあるだろうな。特に私たちMS社はそうだ」

 

その質問にバーフォードが答える。

 

「それもあるが、それは俺たち東西の武装を使う側のPMCが持つ理由だろう。モンゴルに差し出す戦闘機は恐らく正規軍で言う2線級規模を少数だろう。だが、それでは制空権確保が無理なモンゴルは西側と東側に打電したが、面倒な事になる。ここでさっきの武装の話が出てくる」

「えっと……どういうことでしょう?」

 

詩鞍が疑問を口にするとバトラが今から話すと前置きしてから語り出した。

 

「理由は同じだ。万が一、制空権確保をしたとして、破片が自分達と逆側の陣営に渡された事を危惧しているんだよ」

「……なんとなくわかった気がします」

 

ベルクトが察しがついた様だが、片宮姉妹は未だに首を傾げている。

 

「西側と東側のPMCの良いところはそれぞれの陣営の武装なら安く、比較的大量に手に入る所だ。ただし、両陣営に良い様に使い回される事もありうるがな。さてと、ここで問題だが、破片を逆側の陣営に売ったら、売られなかった側は自分達の陣営のPMCにこう来るんだよ。『どうして、敵が得をする様な事をしたんだ』ってな。それでは補給ルートでの補給が難しくなるなら良い方で、最悪は補給ルート寸断なんて事もあり得る。だからこそ、このPMCUーRSが出てくる」

「そもそも、このPMCU-RSってなんですか?」

 

ベルクトはPMCU-RSのファイルを始めてみる為に首を傾げる。

 

「民間軍事会社連合回覧板を英訳して各単語の頭文字を繋げただけだ」

「……回覧板……民間軍事会社連合?」

「NATOの民間軍事会社版みたいな物だ。かなりの大規模作戦で質と量の両立が必要になった時はみんなでそれなりの部隊を出し合って、協働攻略しましょうね。っていう繋がりだ。あとは面倒くさい政治が挟まった時はPMCUの参加会社で口裏合わせの為に各会社の意見を集めたりするやつだな。面倒くさいシステムはバーフォード中佐か軍曹ズに聞け。今回はモンゴルの依頼を受けるか受けないかを合わせようってとこだな」

 

バトラの締めくくりに全員が理解と納得が行ったのか大きく頷く。

 

「俺は受けたく無いな。どっちにしろ被害がでる」

「どうしてですか?」

 

詩苑の疑問にバトラが答える。

 

「俺は東西の機材を使ってる訳だが、ここで両方・片方の仲が悪くなったら俺は予備機が予備機じゃ無くなるんだよ」

「成る程。私達は西側ですからね」

「私は生粋の東側です」

「な? 戦力が37.5パーセント減だ。これは避けたい」

 

バトラのこの言葉で全員の意見は一致して、受けないという方針で固まるとバーフォードはこれを報告する為に姿を消した。

バーフォードの姿が無くなるとベルクトは胸を撫で下ろした。

 

「やっぱり、ロシア機……いや、古巣のロシア軍とはやり合いたくは無いか?」

「……そうですね。ザイはまだしも、人間やアニマとは戦いたくは無いです」

「俺もだよ。戦争以外で人間とは殺り合いたくは無いな」

 

カラカラと乾いた笑いを浮かべるバトラだが、片宮姉妹とベルクトには何処からかバトラの悲しさを薄っすらとだが感じとっていた。

 

「マジかよ……」

 

重たい雰囲気を醸し出す空間の横で慧の絶望に満ちた声が聞こえて視線を向ける。

視線の先ではグリペンが安堵の表情を浮かべながら、箸に摘んだ唐揚げを取り下げる。

慧の元気の無さを心配して、唐揚げを渡そうとしたらしいがその箸が翼とエンジンを痛めた戦闘機の如く震えていた事にMS社の4人は黙っておく事を意思疎通無く、全会一致していた。

 

「暫く、様子を見るぞ」

 

バトラの小声に全員が頷く。

4人に気付く事無く、グリペンは無表情で慧の肩に身を寄せるが慧の指摘を受けて、笑顔を作るが慧はそれを止めて、頭を抱える。

その光景をバトラは声を殺して笑う。

 

「相変わらず、仲が良いな、君達は」

 

愉快そうな声に6人が顔を上げるとキャリアウーマンを思わせるパンツスーツを着た、マネキンの様なプロポーションに黒髪という組み合わせの外国人が立っていた。

 

「中尉」

「ブー……じゃなかったな。ラファール、愉快そうな声を出してどうした? 良い事でもあったのか?」

 

フランス軍の情報機関、対外治安総局(DGSE)所属のブーランジェ中尉、今はラファールのアニマとして自衛隊と協力関係にある人物だ。

シャルル・ド・ゴールからの一件以来、近付き難い印象は鳴りを潜めており、今では簡単な世間話をする位には柔らかい雰囲気となっている。

 

「いや、君達の仲の良さが面白くてな。それとバトラは慣れ始めた様だな」

「TACネームと思って、なんとか慣れさせようとしている所だ。もう少し待ってろ」

「あ、そう言う考え方もあったのか」

 

ラファールからの言葉にバトラは苦笑いを浮かべながら答え、慧は良い事を教わったと笑顔になる。

慧はラファールを中尉やブーランジェ中尉と未だによく呼び、その度にラファールは訂正を入れていたのだが、今の所は効果はない様だった。

 

「で? 随分と憂鬱そうだったが?」

「わかるんですか?」

「DGSEの同僚が離婚の時に同じ顔をしていたよ。家も貯金も全部取られるとぼやいていた」

「そうとう搾り取られたな。正真正銘の鬼嫁だ。ここにも居たな。そうなりそうな奴が1人」

 

バトラの言葉に無言と無表情になる一同。思い当たる節がある様だ。

「で? 学校か?」

 

なんとかこの雰囲気を一蹴しようと話を振るバトラに慧は頷きながら、八代通から言われた南モンゴル奪還戦の事と学校が休みがちだという事を話すとバトラは訝しげに舌打ちする。

 

「モンゴルの野郎……」

表情は然程変わる事は無いが、確かに怒りを燃やすバトラだが、目下の問題は別の為、即座に平静になる。

 

「学校な。手段の1つとして、個人的意見なしで言うなら、自衛隊の航空学校かMS社入社だな」

 

その言葉にラファールは考える目となり、口を開いた。

 

「君は今の生活を継続したいのか?」

「それは俺も思った」

「どういう事です?」

 

ラファールの黒檀色の瞳に見つめられた慧は鼓動が跳ねる。

 

「言葉通りだ。平和な日時、普通の学校生活、幼馴染との青春。どれも素晴らしいものだが、君の現状とは乖離しているだろう。方々に嘘をつきまくり、仮面を被りまくる事でようやく、体裁を整えている状況だ」

「はぁ……」

「ラファールが言いたいのは、外ばかりを整えていて、内は全く異なる状態だ。いっその事、現状をぶちまけて周囲からの理解を得る方が良いかもしれないと言う事だな。俺も一言で言うならば、噓偽りを重ねに重ねた日常は虚しくなるだけだ」

 

最後の一言は実感が込められた声で囁かれ、慧は瞑目して思考を整理する。

 

「確かに中尉……ラファールやバトラの言う通りかもしれません……でも、戻る場所がわかってないと時々ですが、何処かに流されてしまうような気がするんです……ザイと戦っていると自分がどんどん遠い所に行ってしまう気がして……現実感が無くなって来て、心が磨り減って、薄くなっていくように思えて。だから……だからここでの生活は貴重なんです。当たり前の日常が小松に待っている。元通りの、何時もの風景が広がっている。その確信が自分には必要な気がしてなら無いんです」

「確信」

「確信……ねぇ」

 

慧の告白にラファールは真摯に、バトラは考えるように答える。

 

「軸って言っても良いかもしれません。俺と言う人間を繋ぎ止めてくれる楔、道標」

「成る程な」

「成る程ね」

 

ラファールはしかめ顔で頷き、バトラは苦痛に歪んだ顔で頷く。

 

「君には君のアイデンティティ・クライシスがあると言う事か。で、あるならば理解できる。己を失う恐怖は私にも馴染み深い物だからな。ここでの日常が君の精神安定剤の役割を担っているのならば、自分から投げ捨てるのはあり得ない」

「ええ」

 

慧は理解者に会えたと安堵する一方でラファールはバトラに向き直って、口を開く。

 

「何か言いたそうだな」

「何も言えなくなって、手持ち無沙汰になっただけです。精神安定剤としてここの日常があるならば、自分に使った対処法が使えない。いや、慧が使うつもりは無いのだろうな」

「因みにその方法って?」

 

慧が興味本意で聞こうし、バトラは『気を悪くするかもしれんぞ』と前置きを置いて、語りだす。

 

「簡単に言えば、今の日常との決別と新たな日常との出会いだな。今の日常を捨てて、新しい日常を普段の日常との捉えて生きて行く。例えば、幼馴染との学校生活と小松での生活と言う日常を捨てて、MS社の社員達と戦場で基地で過ごす日々を日常として、生きて行くと言う方法だ。これなら変わらぬ日常と言う物が変わるだけで、変わらぬ日常は存在する。俺はこれを何回もしてきた。だからこそ……あの人までの狂いは無かった」

 

最後の一言は全員にも聞こえなかったが、慧は何処か納得が行っていないというよりも理解出来ないと言う様な表情を浮かべる。

 

「いつかわかるさ。だが、現実問題どうする? 流石に時期が来たと言う奴だぞ? これ以上は騙せなくなるだろうな」

 

実際の所、もう嘘を付いて片が付く、先延ばしにできる段階では無い事を知っている慧は机に突っ伏すが意外な所から救援が来た。

 

「嘘と言うのは小さく付くから露見するんだ。あり得ない程大きな嘘は逆に人から疑う気を失わせる」

「待て! 余りにも大き過ぎると今後の慧の生活が悲惨な事になるぞ。大それた嘘は線引きが難しいぞ!」

「じゃあ、どうするつもりだ」

 

バトラがラファールの言おうとする所を急いで止めるが、ラファールの返しに少し考え込む。

 

「要は奇想天外だがあり得そうな事で、一般人から見れば大それた事にすれば良い訳だ。つまりは、今の慧のレベルでも可能な事で一般的な世界では大それた事でかつ、慧の生活を脅かさない程度の大嘘と言う条件さえあれば良いわけだろ?」

 

確認する様な口調に全員が頷く。

 

「私に良い考えがある」

 

そう言った瞬間、バトラの背に赤いコンボイの司令官のビジョンが見えた気がしたバトラ以外の全員は内心が一致した。

 

『これ、失敗フラグ』だと……




とりあえず、6巻をわかりやすく言うならば、今までとは違った内容で、2次を書かせて頂いている身としては無視できない文章や原作設定が見えてきそうなキーワードやらセルフやらが出てきているなって感じです。

まあ、何かあればご都合主義でどうにかなるさ。

それと関係無いかもですが、私は文章読んでから表紙近くのカラーイラストページを見る派なのですが、ロシアアニマ3人組の集合絵のディー・オーの口元にホクロがある外見と笑顔にやられました。
ファントムとベルクトとディー・オーの板挟みです。不味いです。どれだけまずいかと言えば、●●●●《検閲対象》とメビウス1とゴルト隊に囲まれました。誰か助けて……
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