ガーリーエアフォース PMCエースの機動   作:セルユニゾン

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量産が止まらない。時間があるせいで執筆作業が進む進む。
それとサブタイトルで良いのが中々思い付きませんね。


作戦38 陸地で交わる思い

八代通の方針と理由を話した後にここがナライフ空港近くの病院である事が話され、情報収集と処理、細かな所での方針策定と事務関係でやらなければならない事が多い為に此処でもう1日滞在する事を八代通が話すとバトラはそれを了承した所でベルクトが病室へと飛び込んで来た。

 

「バトラさん!!」

「ベルクト。病院ではお静かにな」

 

バトラが慈愛に満ちた微笑みを送りながら人差し指を自身の唇につけるとベルクトは蚊の鳴く様な声で謝罪を述べる。

 

「俺は居ない方が良いだろうな」

 

八代通は2人きりにする為に病室から出て行く。

八代通が病室から出て行った音が鳴り止むと沈黙が2人の間に降り、何方共に口を噤んでいる。

 

「……あの、襲ってきた人達ですが……」

「殆どが射殺されて、一部が逮捕されたか?」

「……はい」

 

何処か泣きそうなベルクトに懐かしい物を見る様な目を向けたまま、ベルクトに手招きを送る。

招かれたベルクトはゆっくりとバトラに近付くと右手で後頭部を抑えられ、左手を腰に添えられると布団越しに膝枕に移行させられる。

 

「残酷で、無残で、醜悪な物に遭遇したな。あれが陸戦で数ある人間の心の1つなんだ。雄々しい空戦とは大きく違うだろう」

 

バトラは優しい手つきでベルクトの側頭部の髪を指が引っかからない様に注意しながら櫛で梳く様な撫で方をする。

ベルクトの視界にはバトラの着る病院着しか見えないがベルクトには怒ってはおらず微笑んでいるとベルクトは分かっているのか、身をバトラに委ねている。

 

「陸戦がどんな物だったのか。人の心の1つを見た事を思い出としてなら忘れて構わない。だがな……」

 

バトラはベルクトを仰向けに変わる様に動かして、ベルクトの瞳を見据える。

 

「体感と経験、知識と言う点では忘れるな」

 

バトラが告げると今日の襲撃を思い出したのかベルクトがバトラの腹に縋り付く。

 

「如何した!? 如何したんだ! ベルクト!」

 

縋り付いてきた事に若干の驚きを見せるバトラだが、服が濡れている事に気付いて平静を取り戻した。

 

「なんで、泣いてるんだよ」

「……もう……もう、会えないと思ってました。バトラさんがこんな事でやられる筈が無い。そう思ってました……けど、けど……」

 

ベルクトの流れる涙が多くなって行く。

 

「ファントムさんの援護が遅かったら、死んでいたかもしれないとカルーレさんから言われて……いつか、いつか本当に2度と会えなくなると考えたら……怖くて……恐ろしくて……だからお願いです」

 

ベルクトは身体を起こし、バトラに顔を向ける。

 

「お願いです。私を置いて行かないで下さい」

「ベルクト……」

 

ベルクトの懇願にバトラはベットに座ったまま、ベルクトに抱擁で返答する。

身体を締め付ける程の抱擁にベルクトの顔が苦痛でほんの少し歪むがバトラはそれに気付く事は無く、さらに少しずつ強めて行く。

何分かした位にベルクトから痛みを訴える様な声が漏れるとバトラは締めすぎた事に気付き、抱擁を解いた。

 

「あーー……その……なんだ……星でも見に行くか?」

 

申し訳無さそうな笑みを浮かべながら話すバトラにベルクトは恥ずかしさと嬉しさを混ぜ回せた笑みを浮かべながら了承した。

 

バトラとベルクトは病院着から隊服に着替え、病院の暗い廊下を歩いて外に出ると星がよく見える暗い場所として、病院とは逆方向の草原へと歩を進める。

病院の明かりが分からなくなり、病院の周りに植えられた木々を向けるとそこは海と勘違いしてしまう程に深い闇で覆われた草原に出る。

これ以上離れると病院に戻るのが難しいと判断したバトラは病院を囲む木々が目に分かる範囲内で足を止めて空を見上げる。それに引かれてベルクトも空を見上げ、感嘆から声を出すもののバトラは至って平然と空を見上げる。

 

「綺麗ですね。バトラさん」

 

さっきまで泣いていた所為か、今だに目が赤いベルクトだったが華やかな笑みを浮かべてバトラ前に出て、ターンをしながらバトラの方を見る。

 

「綺麗だが、やっぱり天体観測には高度1万mが1番だな」

 

バトラは見上げていた顔をベルクトの方に向けるとはにかみ、頭を掻く。

 

「ロマンがわからないですね。でも、バトラさんらしいですね」

 

ベルクトはバトラのそんな言葉に笑う。

 

「だが、草原で星を見る時の楽しみ方は知ってるぞ。受け売りなんだがな」

 

そう言うとバトラは飛び込む様に草原に仰向けで倒れ込む。

少し盛り上がった地面が絶妙な角度で、闇に閉ざされた草原と黒い背景に宝石を散りばめた様な星空が視界全体に映る。

ベルクトもバトラを見習ってかそのすぐ隣に横になる。

 

空気が澄んでいる為か星の瞬きが強く、今までの空とは別の何かだと勘違いしてしまう程に神秘的で幻想的な空間が視界の上を覆い、視界の下は月明かりに淡く照らされているが溶け込む様な黒い草原が広がり、寝転がっている自分達が何処か異空間に飲み込まれてしまうのでは無いだろうかと思ってしまい、一種の恐怖心を覚えかねないがやはり神秘的で幻想的な光景でもあった。

 

ベルクトはその恐怖心を紛らわせようと腕を動かすとバトラの手に触れ、バトラの腕を握る。バトラもベルクトに握られた事に気付き、星を見ていた視線をベルクトへと移す。

遠過ぎ無いが近過ぎないと言う絶妙的と言える距離で2人は同時に口を開いた。

 

「なんか、異世界に行きそうですね」

「なんか、冥府に行きかねないよな」

 

2人して似たような感想に2人が笑う。

 

「此処にお前がいて、今この瞬間に触れ合っている。だから、俺は死んでいない。それと俺が居るのに異世界は無いだろう?」

「そうですね。異世界だったら、此処にバトラさんが居て、こうして触れ合っている。異世界な訳が無いですよね」

 

今度は慈しみ様な笑みを浮かべる2人の頭上で何かが近付く気配を感じ、視線をそこにずらすと髪が淡いエメラルドグリーンの光を放つ少女が近付いて来た。

 

「ファントムか? 如何したんだ?」

「ああ、バトラさんですか。いえ、グリペンの携帯にお父様からEGGの調整を掛けると電話を掛けていたんですが、一向に出ないので私が様子を見に行ったら……」

「部屋にグリペンの電話があったんですね。でも、本人が病院に居ないから探しに来たと?」

 

ベルクトの言葉に肯定の意味で頷くファントムだが、バトラが周りを立って見渡すと一角だけペールピンクの淡い光に照らされた場所に近付く1人の人影を見つける。

 

「慧君とグリペンを見つけた。だが、雰囲気的に面白そうだ」

 

バトラは姿勢を低くしながら、音を立てずに2人の声が届くであろう位置に近付く。

ファントムも面白そうに口角を上げると携帯をサイレントモードにしてから同じ様にバトラの横に陣取る。

ベルクトも何をしているのか気になった為にバトラと同じ様に息を殺してバトラの隣に着く。

3人が見え辛い様に地面にうつ伏せになり、バトラがベルクトの頭に上着を重ね髪の光を遮り、ファントムにはサイズ調整を施した帽子を被せ、自身には草を千切って乗せる事で白髪を隠す。

 

周りが無音という事もあり、2人の話声は3人にも充分に聞こえた。

 

『星、見てた』

『(此処に来て、星を見る以外、何があるんでしょう?)』

『一緒に見て良いか?』

『(何か甘い展開になりそうですね)』

『うん』

『(中々、面白くなって来たじゃない!)』

 

グリペンと慧のやり取りに2人が聞こえない音量でベルクト・ファントム・バトラの順で話し合うバトラ・ベルクト・ファントムの3人。

慧とグリペンはお互いに肩を並べて空を見上げる。1人の少年と1人の愛らしくも美しさを持つ少女が満天の星空の下で肩を寄せ合う光景は写真家が居れば、写真に収めずには居られない程の絵になっていた。

 

『グリペン』

『ん?』

『お前が生きてて良かった』

『うん。慧も』

『(なんか、有ったのか?)』

『(ああ、バトラさんは知らなかったですね)』

『グリペンは逃走中に銃弾が額を掠めた影響で気絶したんです)』

 

ベルクトとファントムの説明で慧が如何なった容易に想像が付いたバトラは呆れた様な笑みを浮かべる。

頭部の怪我と言うのは傷の深さは大きさに反して、酷く見えやすい。これは頭部に毛細血管が多く有り、出血量が多いからだ。それに加えて、銃弾が掠めた衝撃は容易に脳震盪を起こす。頭部からの出血に加えて、反応が無く、頭部の傷は銃弾が原因と有れば死んだと誤認しても何ら可笑しくは無いだろう。

 

『(結構、取り乱しただろ?)』

『ええ、殺してやるって叫んで飛び降り様としましたよ)』

『(私とベルクトで必死に止めましたがね)』

 

慧の行動になんとも言えない感情に飲まれるバトラだが、グリペンの声を聞く為に耳を澄ませる。

 

『ハルカもアサクラもナライフに居る整備の人達も、皆が無事で良かった。……本当は他の人も死んで欲しく無かったけど』

『他の人?』

『駐車場で撃たれた女の人とMS社の人達、あと私達を追いかけて来た人達』

『お前』

『(異常な程、博愛主義だな。戦場に博愛主義を持ち込むと早死にするのが相場だが……わかっていないだろうな)』

 

バトラが冷たい目でグリペンを見つめる。

 

『グリペン、お前さ、なんで俺のそばに居てくれるんだ。意識障害の対策ならメンテや戦闘の時だけ一緒に居れば良いだろ。でも、お前はずっと俺の側に居てくれた』

 

慧の言葉にグリペンは黙したまま聞き入れる。

 

『それだけじゃ無い。弱気になったら叱りつけて、挫けそうになったら励まして、此処まで導いてくれた。如何してそこまでしてくれるんだ』

『(面白くなって来ましたよ。奥様方)』

『『((ちょっと、黙って下さい))』』

 

バトラのおふざけを一撃の元で瞬殺したベルクトとファントム。瞬殺されたバトラは芝生に顔を押し付ける。

 

『分からない。慧と一緒に居なければならないのは事実。私の凄く深い所にある指針。それは最初から決まっていた。だからあなたを直ぐに認識出来た。鳴谷慧と共にある事と人間を守り抜く事の2つは私にとっては本能に近い概念。である以上何1つ迷う事は無かった』

 

この言葉に3人は言葉を失う。

 

『でも……』

『でも?』

『最近少し変になってきている』

 

グリペンの長い髪が横顔を覆う。

 

『慧の側に居ると胸がドキドキして、息が苦しくなって、凄く切ない気分になってくる。楽しければ楽しい程そう。正しい事をしている筈なのにどんどん不安になって来て、辛くて、悲しくて、寂しくて』

『グリペン?』

 

グリペンが月明かりに照らされながら、震える小動物が光に進む様にゆっくりと慧に近付いて行き、ガーディガンの袖を掴む。

 

『慧、怖い』

『(最高にポジショニングだ)』

『(今、いい所なんです。黙って下さい)』

『(良い所です。今は黙っていて下さい)』

 

縋るように顔を近付けるグリペンにバトラが呟くとベルクトとファントムからのチョップが頭頂部へ全く同時に着弾する。

 

『慧と離れたくない。ずっと一緒に居たい』

『(告白キター)』

『『((黙って))』』

 

またもチョップが同じ場所に着弾するバトラ。

 

『俺も一緒だよ。もし、置いて行ったのがグリペンだったら、俺は車から飛び降りてでもお前の側に居た。もし、同じ様な事が有れば何度でも助けに行く。分かってるだろ』

『分かってる。分かってるけど。でも』

 

グリペンの瞳に涙が溜まり始めると慧の指が伸び、涙を拭う。視線も絡め合い、そっと肩も押さえられる。

密着しているが絶妙な距離を保つ唇と唇。押さえらた肩は引き剥がすにも抱き寄せるにも最高な位置を確保している。見つめられる女性はぼうとした様子で男性を見つめる。

雰囲気的に此処から先に行くのも申し分無し。だが、引き離すのも、このまま会話をするのも可笑しな距離と空気が出来上がっている。

 

『慧』

 

囁き声が静かな草原と星空に響く。グリペンはギュッと慧の二の腕を握り、身体と顔を一層近付ける。

 

『慧、私』

 

慧の理性は崩壊して、覚悟を決め、グリペンに近付くべく手に力を込めた時だった。

 

「甘さにドーン」

 

手を顔の前でクロスした状態で慧へとジャンプをしながら突撃するバトラ。

その顔は黒い喪服を着たセールスマンの様な笑顔だった。

突撃された慧は草原を3回程転がると直ぐに立ち上がり、振り返る。

 

「何するんだよ!!」

「時間切れだよバカヤロウ! コノヤロウ!」

 

バトラの後ろにファントムとベルクトが現れる。

ファントムは何処か呆れた様な表情でグリペンの携帯をヒラヒラとかざし、ベルクトは申し訳なさからか苦笑いを浮かべている。

 

「グリペン。さっきから携帯にEGG調整をするから来いと言う催促の電話が鳴りっぱなしなんです」

「これでも、10回は無視したんですよ」

「てな訳で、時間切れ。グリペンはささっと行く。駆け足!」

 

そう言われたグリペンは携帯を受け取ると駆け足で病院へと走って行った。

 

「まあ、邪魔した本人が言うのもなんだが、別に邪魔したくて邪魔した訳じゃない。邪魔しないといけなかったから遊んだだけだ」

「とっと押し倒してしまえば良いのに。2人して散々、私の事を弄んでおいて、本当に大事な子にはキス1つ出来ないんですか。業腹ですね」

「お、お前らなぁ」

 

笑いながら話すバトラとファントムの言い分に慧が顔を赤くするがそれをファントムが真顔を浮かべて、人差し指1本で制する。

 

「ハンボクドへの移動日が決まりました。明日の夜明けだそうです」

「え」

「と言う事は24時間と少し後か。漸く航空歩兵の本領だな」

 

慧は定まった目標に鼻息を荒くし、バトラは両手を打ち付ける。共に気合は充分だった。

 

「既に発掘用の重機は現地に向かっています。制空権の確保と拠点構築を同時に行います」

「速攻かけて、有利な状態を作り、ロシアに先制を取る。という訳だな」

「速攻をかけて、取るものは取って、日本でゆっくりと解析すると言う訳ですか」

 

ファントムの言葉にバトラとベルクトが口を開き。解散しようと言う流れに自然になるタイミングでバトラが口を開いた。

 

「丁度良いタイミングだ。慧だけ残ってくれ」

 

そう言われた慧は首を傾げ、ファントムとベルクトが疑問を話そうとするがそれを眼光だけでねじ伏せるバトラ。

2人は後で聞かせて貰うと言う空気を出すと病院へと戻って行く。

 

「慧。お前は俺達の今の関係がずっと続くと思っているか?」

「は? どういう意味だよ」

「言葉通りの意味だ。俺達は傭兵だ。何か有れば離叛したりする事もある。昨日同じ釜の飯を食べた仲間が今日的になったなんて事もあり得るんだ」

 

その言葉に慧の目が見開く。

 

「そんなことって……」

「あり得るんだ。俺は1回それを味わっている。だが、1番多い別れは死別だ。俺達航空歩兵の命は菓子の包み紙より軽い。墜とされれば炎と爆発に飲み込まれて、二度会えなくなり、記憶の中だけの存在になるんだ。集まって馬鹿やれなくなるかもしれない。それを認識してるか?」

「でも、それは……」

 

今までも同じだと慧が言えば、成長した子に向ける様な笑みを浮かべて話し始める。

 

「その通りかだ。だがな、俺達のタイムリミットを教えるタイマーは壊れたタイマーだ。急にゼロになる事もある。今、この瞬間に狙撃されて死ぬかもしれない」

「辞めろよ。そういう事言うの……テロリストに追われてナイーブになってるのか?」

 

それを言うとバトラは面白いから笑ったと言う笑顔を浮かべる。

 

「そんな事でナイーブになるものか。だがな、永遠に続く物は存在しない。いつか誰かがこの世から消え去り、皆居なくなる時が来る。だから、後悔の無いように行動しろ」

 

バトルが慧の肩に手を置くと行き違い、病院へと戻る為に歩く。

 

「そうだ。恋愛事でたった1つ出来るアドバイスをしておこう。グリペンが好きだと確信できたならその気持ちを直ぐに言葉に変え、態度で示し、行動をしろ。手遅れになってから気付くなよ。……俺みたいにな」

 

何処か憂いのある顔を作ると病院へと歩を進める。

その哀しき過去を匂わせる顔と哀しき過去を背負った背中に慧は何も言えず、見送るだけだった。




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