ガーリーエアフォース PMCエースの機動   作:セルユニゾン

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原作者さんが私と同類かもしれない存在が……


作戦48 第2次小松防衛戦開始

「これより、独立飛行隊並びにM42、M43飛行中隊は稼働可能機体全てがスクランブル待機に入る。

 

小松基地が1つのダイナモになったのかと思う程の人の声や機体のエンジン音に包まれる中でバーフォードが口を開いた。

戦闘機搭乗メンバーがホワイトボードを注視する。

 

「色々と言いたい事や憂いる所があるだろうが敵は我々の事情など知った事では無いと攻めて来る」

 

バーフォードが息を吐くと状況の説明が始める。

 

「ファントムとバトラが必死の覚悟で設営したピケットレーダー群の1つが敵の降下を捉えた」

 

この報告で全員の顔に真剣さが増す。あの2人が血で切り開いた道だ。

 

「直ぐに反応が消えたが小松への攻撃が近づいているのは確かだ。我々は高度7万を限界ラインとして、ここを超えた場合は即出撃し、迎撃。攻撃予測時間だが今から22時間以内と言うのが妥当だ。その間はコクピット待機を基本とする。我々AWACS部隊も機内待機だ。辛いと思うだろうが、あの2人はもっと辛いだろう」

 

生死の境を未だに彷徨っている2人がいるのだ。22時間のコクピット待機を辛いなどと言える立場では無い。全員が頷くとグレアムが続く。

 

「管制と索敵は我々AWACS部隊が引き受けます。作戦の大まかな変更はありませんがミサイル発射のパイロットをラファールから鳴谷慧に変更します。ラファールは制空戦に参加して下さい。予備戦力は無しです」

「グレアムの言う通りだ。まずは敵の捕捉を第一段階とし、終了次第BARBIE01はズーム上昇で成層圏に到達して、ミサイルを放つ。たった2行程の作戦だが、チャンスは1回こっきりの大博打だ。他の機体は直掩を行い、成功の援護だ」

 

バーフォードがホワイトボードに立って地図に円を描く。

 

「これが限界だが敵の出現予想エリアだ」

 

日本海・黄海・東シナ海と広大な面積にラファールが反論仕掛けるがバーフォードが先に手で制する。

 

「核攻撃で爆撃機が未だに一翼を担い続けるのも自由に飛び回れるが故にカバー範囲が広がることもある。相手が飛行機である以上は広大な予想範囲になる。これでも賭けに出て小さくした位だ。ただ、警報が出たらスクランブル。航路は直ぐに我々から指示する」

 

バーフォードの言葉にラファールは頷いて席に座るとグリペンからザイの迎撃に関して聞かれると京香が答える。

 

「それに関しては空自の203と302から6機ずつとMS社からM61飛行中隊ラサルハグェの6機に……凶鳥フッケバインが参加します」

 

最後の追加人員を聞いてオペレーター人が立ち上がる。

 

凶鳥フッケバイン。

高齢で第一線からは退いた男だが、その腕は今尚健在。今回は自分の教え子であるバトラの重傷を聞いて操縦桿を握り決意をした。

 

「因みにだがこれ以上の増援は見込めない。状況は古風に言ってしまえば右翼を押され、中央は崩れかけている。撤退は不可能と言うべきか?」

「ムッシュバーフォード。状況は最高、これより反撃するが抜けている。それにフォッシュ翁は陸軍で航空戦に彼ほど無理解だった者はいない」

 

それを引き合いに出すのは間違っている。とでも言いたげなラファールだったがニヤリと笑う。

「もとより引き退る気は毛頭無い。敵との戦力比が10分の1なら10倍の働きで補うだけだ。前回の二の舞は舞わないと誓おう」

 

ラファール目に鋭さが増して慧を見る。他の者も同様でこれが無事に終わったら説教が待っているから覚えていろよとでも言いたげな言葉に慧が身震いをしているとバーフォードが全員を見渡して告げる。

 

「状況は最悪に近いだろう。我らがエースが2人。絶対安静の状況で、成功率は3分の1の作戦に従事するのだ。しかし、鳴谷君は勇気を取り戻してくれた。ならば、次は我々が見せる番だろう。鳴谷君の勇気を無駄にするような飛行はするなよ」

 

全員が力強く了解と告げて、それぞれの機体に向おうとするとイーグルが慧の背中に頭突きを食らわして出て行き、呆気に取られる慧の後頭部をラファールが叩くと手を振りながら出て行く。今度は不思議そうな顔をしている慧の前に片宮の2人が現れると左右の頬にビンタを喰らわされる。

流石のこれには慧も痛みから声を上げるが今度は背中にMS社の女性オペレーターからモミジを喰らい背筋を伸ばした瞬間にベルクトの白く細い足が慧の脛を蹴る。

慧は脛を抑えながら倒れると倒れた慧に今度は男性オペレーターが1発づつ肩に蹴りを入れて行く。

最後にバーフォードが立たせると頭を撫でるように叩くと出て行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

<<アンノウン! エリア・チャーリー2、進路100。作戦開始。全機スタンバイ!>>

 

静寂が立ち込める基地に突如としてサイレンと通信が響くと翼を下ろしていた鉄鳥達が目を覚ました様にその叫び声を上げる。

 

最初に動き出したがF-15J、続けてF-35、そして機体の後部の一部分だけを赤く塗ったF-14と続き、Mig-21bisが滑走路へと躍り出ると山吹色のF-15Jから空へと飛び立って行く。

誘導路が手空きになると格納庫からは黒と白のA-10が対空兵装満載で出てきて、別の格納庫からはオニキスブラックのラファールMとスノーホワイトのSu-47が現れる。

 

最後に紅のJAS39Dが現れるが腹に巨大なミサイルに主翼にはブースターと異形と言える姿をしていた。

 

全ての機体が飛び立った後にF-4EJ改がひっそりと離陸する。

 

全機が空に上がるとAWACS・警戒機部隊を指揮するカノープスから迎撃予想位置が示される。

「ここって……」

 

グリペンが声を漏らす。

そこは中国大陸の沿岸部。どう見繕っても敵勢力圏であり、大陸防衛の任に就いているザイからのインターセプトを受ける場所。

Su-47の機体がベルクトの恐怖に反応したのか小刻みに揺れると初めての回線で通信が入る。

 

<<君がベルクトだね>>

 

優しそうな声にベルクトが首を回すと隣には海灰色の海軍迷彩に似たカラーリングが施されたMig-21bisが並ぶ様に飛行していた。

 

<<怖がる事は無い。空と言うものは元来として孤独な物だが君には頼りになる仲間がいる。怖がる事はないだよ>>

<<フッケバイン。申し訳無いが彼女は空を飛び始めて日が浅い。どうか彼女の長機になってくれないか?>>

<<了解だ、カノープス。聞こえたね嬢ちゃん。私の後ろについて離れるんじゃないよ>>

<<わかりました>>

 

通信を終えると同時に敵の反応がレーダーに現れる。

敵は真っ直ぐにAWACSと警戒機に飛び込んで来る。カノープスがEPCMを無効化した空間を作ると各機がその中で空戦を始める。

空戦をするには狭過ぎる範囲だが、護衛をするには広大な戦場はかえって敵を有利にする場合もある。

 

フッケバインは機体を翻すとグリペンもそれに続くが、フッケバインの操るMig-21bisはMig-21とは思えない機動で動き、最初の1機を撃墜すると同時にベルクトに左の敵の排除を願い、ベルクトも返事と共に空対空ミサイルで撃墜する。

 

<<おお、やるね。それじゃあ、久しぶりに戦闘機動を試して見るか。付いてくるんだよ>>

<<はい!>>

<<よい返事だ>>

 

フッケバインが大きく右に旋回するとグリペンもそれに続くがフッケバインの鋭い機動にグリペンの技量では大幅な差がある機体性能で助けられているにも関わらずついて行くのすらやっとの状態だった。

 

「すごい……なんて技量なんですか……」

 

フッケバインはそんな状態にも関わらず機銃を放ち、ザイに命中させるが致命傷になっておらずベルクトが少しの無茶をしてトドメを機銃で刺すが離れたベルクトに別のザイが迫る。

 

<<何をしているのですか!>>

 

詩苑の言葉と同時に放たれた30mm弾がガラス細工を粉砕する。

 

<<すみません……>>

<<まずは私についてくる事を考えるんだ。気持ちを楽にしてきっと出来る。バトラ君の僚機だろう?>>

<<はい>>

 

コースに戻ったベルクトを確認したフッケバインがバレルロールにエルロンロールを混ぜた機動で低空から殴り掛かるように飛ぶザイに機銃を放って撃墜する。ベルクトも歪な形になりながらも必死にフッケバインについて行く。

そんなベルクトの上空を2機のザイが編隊を組んだまま通り過ぎ、背後に回る。

 

<<後ろに敵機が!>>

<<集中力を保つんだ。クールにね>>

 

フッケバインがループを描く様に上昇するとベルクトもそれに続き、ベルクトを追っている2機のザイもベルクトの後を追って旋回上昇を開始するが後ろを飛んでいたザイが頂点に達したフッケバインがハンマーヘッドで機首を向けられた事でロックオンされ、ミサイルで撃墜される。

 

そして、急旋回でザイとの巴戦を始めたフッケバインに追いつこうとベルクトもハンマーヘッドを使うと通信が入る。

 

<<そのままループだ>>

 

意味がわからなかったがGに耐えながらループを再開するとレーダーの端にフッケバインに追われたザイが現れ、このまま行くと自分に当たると思ったがループで速度が低下した事でザイが目の前を通り過ぎる機動となり、フッケバインもその瞬間には機動を少しずらしてベルクトの銃撃を受けない位置に機体をズラしていた。

 

ベルクトは意味を察して機銃のトリガーを作動させてザイを撃墜する。

 

<<そう、その調子だ。上手いぞ>>

 

その後も迫る機体をベルクトが何とかついて行けると言う機動で動き、時にはベルクトにも撃墜させる動きを見せるフッケバイン。

 

「なんて、操縦なの……人間とは思えません」

<<おいおい、買いかぶり過ぎだよ>>

 

それを見た詩鞍が零した言葉が通信機から聞こえたのかフッケバインが笑う様な声で通信を入れてくる。

止めなく迫るザイがいる中でもこんな余裕を見せるフッケバインにベルクトが戦慄しているとレーダーから味方の警戒機の反応が消失する。

 

<<海面に敵機!>>

<<何ですかアレは!>>

 

詩苑の言葉に詩鞍が見た物は翼端を切り落とした旅客機の様なザイだった。

 

<<エクラノプラン!? 内海でしか運用出来ない筈じゃ!>>

 

エクラノプラン。細かいところは端折るが簡単に言ってしまえば翼と地面の間に空気のクッションを作り、その上をエンジンの推力を使って移動する船舶並みの搭載量に飛行機並みの速度を出すと言う兵器だ。

現実世界では機体強度の軟弱さからの事故や整備維持に問題が多いなどで採用されていないが、ザイにとっては強度さえどうにかできれば運用可能な兵器だ。

 

そんな兵器が海面すれすれを飛びながら警戒機にミサイルを放っていた。

 

<<ALTAIR02と03はエクラノプランを撃破しろ。残りは直掩をつづけろ!>>

 

バーフォードが素早く対地攻撃が上手い2機を迎撃に向かわせる。だが、エクラノプランの到着から間を置いて別のザイが出現し迎撃戦が加速して行く。

そして遂に味方戦闘機部隊からも損害が出始めると防空網の穴が空いたのかJAS39Dに3機のザイが迫る。

 

それにはパイロットである慧も気付いていたが作戦の性格上既に移動は出来ない状況になっている。それでも上昇を続けるとラファールが横殴りの機銃で2機を撃墜し、離れる最後の敵機にミサイルを放って墜とすと間髪入れずにその翼を翻して別のザイに襲い掛かる。

 

足りない分は自分で補う。そう言っていたラファールが有言実行の働きをしているが制空戦に多くを割いているとわかったのかザイはエクラノプランを増援で送り込んだ事で状況は悪化。

 

電子戦機達に迫るミサイルを何とか撃墜したフッケバインとベルクトだが撃ち漏らしたミサイルがカノープスの右端のエンジンをギリギリで破壊し、別の電子戦機が2機ほど撃墜される。

 

作戦に必要な電子戦機は5機分。カノープスが2機分の働きをするとは言えどもリソースはカノープス含めて6機。ギリギリの状況ではあるが作戦は大詰めで黒くボヤけているが遥か彼方を飛ぶ目標のザイがマークされ、主翼のブースターが起動した。




モンゴルにイーグル飛ばした時も給油機を何機も飛ばしたとかブラックバック作戦に近いし今回のエクラノプランとか珍兵器だよ?
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