ガーリーエアフォース PMCエースの機動   作:セルユニゾン

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夏はゲームのイベントと仕事で時間がね……(言い訳する気無し) でも、一ヶ月以内で終わらせたから? ね?


作戦67 大規模空襲

スクランブルの警報と共に拡声器から何度となく放たれるスクランブルの叫ぶ声。これは管制官ですら、慌てる様な状況なのだと、片宮姉妹とベルクト以外の社員は全員が把握しており、その動きはキレが増し、把握が出来ていないが故に一息遅れている3人に怒号が飛ぶ。

 

この様な状況でもフォローを入れるだろうバトラも今回の様な状況では1秒でも早く空に上がらねばならない。その証拠にバトラはベテラン自衛隊員が乗る機体にコンマ遅れで格納庫から今回の乗機として選ばれたIℓ–44が自走で顔を覗かせる。だが、自走での移動速度は慣れているバトラの方がコンマ早く、滑走路に飛び込む様に侵入する。

 

<<バトラ! なんでそっちに飛び込んだ!>>

 

<<サッサと上がれ! 陸地で死ねるか!>>

 

2人の通信だが、上層部からは兎に角上げられる奴から上げろと言う指示に管制官は離陸距離から順番に離陸しろと言ったが、バトラはそれを無視したスロットル操作で加速。離陸した航空自衛隊のF–15のランディングギアが上がった瞬間にその下ギリギリを通る様にバトラの機体が高速で滑走して、離陸する。

 

<<ばっ! なんて危険な事を!>>

 

<<うっさい! ゴムを掠めて無いだけマシだ!>>

 

ヴァラヒアとの戦争時代では大規模なスクランブル発進の際には離陸スパン向上を目的にエース同士を滑走路両側から離陸させると言う狂気の沙汰が当然の様に敢行されており、バトラも数回ではあるがそれを経験しており、バトラのコレは地面で相手のジェットエンジンノズルを受けるかどうかの距離を駆け抜けると言う物で難易度的にはノーマルのそれだ。

 

なのだが、上には上がおり、先代の隊長は尾翼の先が先に離陸した相手のランディングギアが触れると言う何ともクレイジーな事をしてのけていた。余談だが別の会社の人外エース達はコレに編隊離陸を足した何とも変態な事を当然の技術の様に行う。

 

<<こちら、パペットマスター。貴機を今作戦のみ、こちらの指揮下に組み込む>>

 

管制官の言葉を振り切って上昇したバトラに航空自衛隊の管制機、パペットマスターからの連絡が来る。

 

<<パペットマスター、了解。敵の位置は?>>

 

バトラの声に管制官はレーダーを睨みつけるがEPCMで詳しい場所までは表示されない事に苦虫を噛み潰した様な表情を浮かべるが、バトラの機体が自衛隊には数少ないAJZ改修機である事を思い出すと古典的な方法を指示する事を思い付く。

 

<<EPCM脅威が微妙だがある。ザイは高速移動中、方位2ー4ー7に旋回、直進して目視で探してくれ>>

 

バトラは管制官からの指示に機体を素早く旋回させると緩やかなスロットル操作で機体を加速させると直ぐに視認性を考えた迷彩と言う概念を放り捨てた様な極彩色のザイは直ぐに見つける事が出来た。

 

<<ANTARES01、エンゲージ>>

 

バトラはマスターアームがONになっている事を確認するとミサイル発射のコードを通信機に吐きながら、操縦桿のボタンを押し込んで機体下部からマイクロミサイルを1発だが吐き出させる。

 

吐き出されたマイクロミサイルは複雑な軌道を描きながらザイに迫り、バトラは回避されても良い様に高度を取る軌道を行う。

 

ザイもミサイルの接近に気づいたのか回避行動を取るが、その動きはザイとは思えない程に鈍重で尚且つ速度が速過ぎたのか、互いの距離を食い潰し合った事で満足な回避行動も取れずにミサイルは命中し、空には機体サイズに見合わない火球を衝撃波と共に生み出した。

 

「ぬおっ!」

 

その衝撃波は凄まじく、距離を取っていたバトラの機体を揺らし、極小さな破片を機体に打ち付ける。

 

バトラはパニックボタンで水平飛行をコンピューターに任せて自分は機体の損傷を目視とプログラムで確認する。

 

破片は小さく、陸上攻撃も意識したロシア製の機体は装甲が厚かったのか、破片そのものは装甲に突き刺さるが硬度の高い装甲を貫通するには至らず、エアインテークなどの弱点は複合装甲にしていたお陰か触らなければわからない程の極小さな傷で済んだ。

 

<<全機! 被害状況を知らせ!>>

 

<<ANTARES01! 敵の爆風と破片を喰らった。目に見える被害は無し、戦闘に支障なし!>>

 

突然の爆発は遠くを飛んでいた空中管制機にも僅かな衝撃波を電子装置で、コクピットからの視界で確認しており、全ての機体に被害状況の確認を行っていた。

 

幸いにもバトラ以外はまだ被害を負っておらず、管制官は胸を撫で下ろす。

 

<<了解。長距離攻撃で撃破しろ。今回の敵は高速の軽度だが、ステルス性を持った巡航ミサイル型だ。既に数発が日本に落ちている>>

 

既に被害を受けていると知った自衛官から息を飲む。

 

<<陸自が防空戦闘の用意、米海空軍も防空戦闘の用意をしているが暫くは時間が掛かる。可能な限り全弾日本海上空で叩き落とせ>>

 

全機から了解の意を示す言葉が様々な言葉で返ってくると管制官は満足気に頷くと全ての機体にデータ送信と言う形で新たに現れた反応と今まで発見した巡航ミサイルの位置情報を更新させる。

 

<<動きは鈍重だが、速度は速い。長距離からヘッドオンで撃墜しろ>>

 

バトラは管制官からの指示にマイクロミサイルの軌道を高機動機体を意識したプログラムから高速機を意識した速度重視のプログラムへと変更する。

これでミサイルは直線を意識した機動で飛んで行く。

 

バトラは長距離レーダーで捕捉した敵に向けて無誘導ロケット弾の様にマイクロミサイルを発射する。

 

ミサイルはロックオンこそされていないが自分で機動を補正して真っ直ぐに敵機へ向かう。だが、距離があったのかザイは鈍い動きだが機動を変更し、ミサイルの探知距離から逃げようとする。

 

普通ならコレで逃げられるのだが、バトラの出身は操縦士では無く、ドックファイト中でもミサイルの誘導が行える兵装機関士だ。終末誘導の距離に入る前に離脱しようとしたザイの動くをレーダーで見ていたバトラは手動で機動を修正、終末誘導の範囲内にザイを押し込んだ事でザイは無茶な機動を使用とするが機体形状が真っ直ぐ前進する事しか考えていない故に急な軌道変更は空気抵抗の増大を生み、機体全体がエアブレーキとなった事で減速、腹にミサイルの直撃を喰らう羽目になる。

 

巨大な火球と衝撃波がバトラの機体を再び襲う中、遅れて離陸した片宮姉妹とベルクトも情報整理を終えたカノープスの中に座るそれぞれのオペレーターから飛ぶ方向の指示を受けて飛行していた。

 

片宮姉妹は今回の作戦への参加機にA−10を選択していた。

 

<<今回は敵機の撃墜、と言うよりは巡航ミサイルの撃破だ。破壊力が高い。長距離で仕留めろ>>

 

バーフォードの指示を受けた3人だが、ベルクトが通信を返した。

 

<<あの……バトラさんは何処に?>>

 

バーフォードは自衛隊からのデータリンクからバトラさんは位置を割り出そうとするが、EPCMで元からブレた情報では正確な位置が分からず、バーフォードは少し殺した声でだが、ハッキリと返す。

 

<<中国大陸に近い位置で交戦中だ。3人の任務はバトラが取り逃がした巡航ミサイルの撃破だ>>

 

<<中佐!>>

 

グレアムの悲痛な叫びが機内を埋め尽くした。バーフォードは自分のモニターに映る情報を見て、言葉を失った。

 

モニターには日本海の全域から迫るザイの群れと過去に類を見ないEPCM反応が表示されており、自衛隊もこの情報を持っているのか、戦闘機を何処の部隊に対応させるのが適切か考える間も無く、1機でも多く、1秒でも多く参戦させると言う考えで動いていた。

 

なりふり構わない戦力投入だが、相手は一般機だ。ザイの波状攻撃を抑えられる様な物では無く、徐々にではあるが前線を突破したザイが日本本土に近付きつつあった。

 

<<コレで……だと>>

 

バーフォードですら、思考が停止しかけた事実だが、コレがただの大規模侵攻ならこうはならない位にはバーフォードも修羅場を掻い潜って来たが、この大規模侵攻がバトラがほぼ1人で可能な限りで抑えた結果の取り零しのザイだけでの状態であり、もしもバトラが補給を受ける為に下がれば更に悪化すると言う事が目に見えてわかる事実が目の前に横たわっていた。

 

 

 

 

 

「次!」

 

巡航ミサイル型の主翼を数発の30mmで器用にへし折って海に落とす事で自爆させたバトラはその事実を轟音だけで感じ取ると次のミサイルを探す。が、見つかったのか制空型の首を落とした鳥の様なザイに守られた巡航ミサイル型だった。

 

<<ドライブ!!>>

 

腹のランチャーから戦闘機用のプログラムでミサイルを自由落下で吐き出し、自分は急加速を行なって接近する。

ザイは急接近するバトラに気付いて迎撃の行動に移る。バトラはそれを確認しても真っ直ぐ巡航ミサイル型を目指して加速し、制空型のザイは容易く背後を取ったが、その瞬間に後方から自立誘導で迫ったミサイルをエンジン部に喰らって爆発する。

 

自分を囮に確実かつ早急に撃墜すると言う危険な行動だが、それが行えるだけの実力はバトラにはあり、迎撃を即座に破ったバトラは巡航ミサイル型に迫る。速度を上げて逃げようとする巡航ミサイル型だが、バトラは背後に張り付くと距離が離れておりミサイルのしか当たらない距離だ。だが、此処で今まで閉じていた上部ウェポンベイが開く。

 

<<スラッシュ!>>

 

上部ウェポンベイにはEMLが納められており、電力のチャージを終えると弾丸を高速で撃ち出す。

発射された弾丸はサイズと重量がある故か音速を幾度となく超えたことを僅かなソニックブームを残しながら飛翔し、巡航ミサイル型を中心から貫く様に撃墜する。

 

「チッ……残弾ゼロか……」

 

EMLが弾切れを起こし、ADMMも後数発が限界の上に機銃弾も残弾が乏しい状況だった。

 

<<エンゲージ!>>

 

それでも敵は迫って来る。バトラは腹を向けてADMMを撃ち尽くすとセミマニュアルで誘導、火球をいくつも生み出すとそれを背に機体を最寄りの基地である小松基地へと急がせる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……こいつは……」

 

ザイの波状強襲は無事に退けられ、日本各地の空に一時の平穏が戻った。が、MS社の為に作られた機銃弾を凌げる程の簡素な防弾設備を設置したプレハブな様な格納庫では整備長とバトラが死んだ魚を思わせる目で愛機である2機の機体について纏められた書類を見ていた。

 

「被弾はねぇが……2機とも寿命だな」

 

各地の基地から日・米の機体が降りてきた事で騒がしくする中で2人の言葉は妙に空間に響く。

 

機体各所に整備ではどうしようもないダメージの蓄積が今回の出撃で見られる様になった。

 

と言うのも基地に戻っては機体を乗り換え、小松基地でないなら補給を済ませては戦場にトンボ帰りを20回以上も行った上に無茶な機動や動作の連発で機体寿命を短時間に大きく削いでいた。

 

「ウプイリだが、エンジンがやられてやがる。ガソリン点火装置の多用だな。バルムンクは全体的にヨレてる」

 

「ウプイリのアレは無茶な後付け、バルムンクは事故機の再生機だから仕方ない」

 

2人は揃って頭を抱える。

 

こんな状態の機体で出撃すれば何が起きるかわからない以上は出撃はさせられない。最終作戦も近い故に判断と行動は即決と即行が求められる。

 

「取り敢えず今回の事で追加物資がベトナムから船便で送られてきた。その船に乗せて、オーシア・ズ・ユークに渡そう」

 

その言葉にバトラの頬に嫌な汗が滴る。

 

今のこの状況でオーシア・ズ・ユークの名が出ると言う事の意味を即座に理解し、脳裏に片足に補助具を付けた凄腕の女技術者の顔が浮かび上がる。

 

「あぁ……パーツも載せなきゃならんな、倉庫にある奴のリスト探さないと……」

 

「そこは本社から適当に送っておいていいか?」

 

「申し訳ないが頼む。あ、あの3人は?」

 

バトラが今回の出撃で1度も合わなかった自分の部下である少女3人の顔を思い出しながら整備長の男に問うと話題に上がった3人の少女が駆け寄り、片宮姉妹の2人が纏めて抱きついた事でバトラはバランスを崩して縺れ込む様に倒れる。

 

「いてぇ……」

 

強かに背中を地面にぶつけたバトラが僅かに上半身を起こしながら、ベルクトの笑みが何僅かに苦痛を隠す様な物に見えたが様な気がしたが、直ぐに視線を目の前に抱き着く2人に制裁の為の拳骨を落とす為に向けた事でその気が何処かに飛び、格納庫に少女2人の可愛らしい叫びが響く。

 

「いきなり何するんですか!」

 

「兄を心配する可愛い妹に!」

 

「ブーメランだよ! そして、てめーで言ってたら世話ねーな!」

 

連続出撃直後に関わらずぎゃぎゃーと煩い3人のパイロットに精強で名高い航空自衛隊のパイロット達は3人を自分とは違う存在を見る様な目で見つめるが、嫌に視界に映るのは何処か辛そうな雰囲気を放つベルクトだ。

 

自衛官達はベルクトがあの空間から一歩引いた位置で辛そうに見つめる事に疑問を思いながらも彼女の中での話だと理解するとそっとしておくする事にする。

 

「はぁ……機体状況を」

 

一段落したバトラが機体状況の報告を上げる様に指示をする。

 

「A–10ですが、重整備行きです」

 

「決戦ではF−3の使用が妥当ですね」

 

「……ドーターなので問題ないですが、エンジンの整備を少し……」

 

煮え切らない様子のベルクトにいよいよとなって片宮姉妹も気付き始めたが、その疑問を呈する前に通信で技本棟に来る様に言われた3人は大規模な出撃後と言う事も有って急いで技本棟へと向かった。




ラストをマジでどうするか……案が原作風とグットとバットの3パターンもあるんすよ。どうしようかな……

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