お正月はどうお過ごしでしたか? 私は食事系はそれっぽい感じになっただけで普段とたいして変わらないです。
でも、不変もまた良いよね。
バトラ「出来が不変なのはダメだがな」
煩いぞ!
「そう言えば、PMCにも階級ってあるのか?」
シュミレーターの突然の故障により訓練を一時繰り上げて、小休止をしていると慧からこんな質問がバトラに飛んで来た。
バトラはミネラルウォーターを喉に流し込んでから口を開く。
「民間軍事会社と言えども、階級があった方が楽だならな。あるぞ」
そう言われると気になるのが人間の性。
慧は好奇心に駆られて階級を聞く。
「特務大尉だ。でも、戦時待遇と言うか戦時階級でな。平時だと特務准尉になる」
「うん? 自衛隊だと何になるんだ?」
「自衛隊に特務階級は無いからな〜。一尉とかかな? 」
「特務って何だよ」
「武功を挙げて階級が上がった叩き上げ兵の事。少しMS社の階級環境について少し教えてやるよ」
MS社では何かしらの理由で保護された。テロ組織に利用されて社会復帰が難しかったり、借金のツケ、元テロリストや海賊業から足を洗うなどの理由から入った非正規ルートで入社した社員が三等兵から一等兵に配属される。
昇格は勤務年数により決まるが三等兵は3年で二等兵に上がり、二等兵は5年で一等兵に上がれる。
一等兵からは一定数以上の資格を得ると上等兵と言う階級へと上がれる。
上等兵には上記の条件が当てはまる社員の他に正規ルートで入社し、研修として5年間一等兵として勤務した社員も無条件で上がる事が出来る。
そして、正規ルートから入社した社員はこれらの三等兵から上等兵までの社員を指揮する現場指揮官として兵長と言う座に付ける。
因みにバトラはヘッドハンティングと言う事と実戦経験有りと言う事で特例条件を満たしたので上等兵からスタートしている。
そして、上等兵か兵長の階級で試験をクリアするか指定資格を一定数以上の獲得で伍長へと昇格出来る。
そして、伍長から働きや試験により軍曹、曹長へと昇格する。
「まあ、これが俗に言う現場職での限界だな。曹長以上の昇格は現場職ではこれ以上は望めない」
「じゃあ、マイケルさんとかとバトラは如何なんだ?」
「それはまた、別の話でな。そうだな……学校の入り方でも一般入試と推薦入試ってあるだろ? MS社も正規ルートでの入社には複数ある」
外部からの楽なルートとして、バトラのようなヘッドハンティングによる入社と社内推薦による入社があるが、前者は曹長までが限界だが、後者や元々の正規ルートに管理職員候補入社試験と言うルートで入社すれば曹長以上の昇格が見込める。
これは俗言う階級が高い方がやり易い仕事と言う奴で決して現場と無関係と言う訳では無い。
主に司令官やオペレーターなど誰かに指示を出したり、何か言ったりする事が多い仕事に就きたい者達が受ける試験だ。
このルートだと研修時で曹長。5年間の勤務の後に准尉。資格や試験のクリア、働き次第で大尉まで上がる。
そして、この道で入って大尉までなった社員で、佐官以上の社員から推薦状を貰い、合格率10パーセントの試験をクリアして少佐の道に入る事ができる。
そして、そこからの昇格は評価と推薦状と回数制限ありの試験をクリアして昇格する。
ただし、ヘッドハンティングでは前居た組織での階級や働きにより階級が変動する事がある。
そして、将官からは前任者に託されるか正規軍でそこまで上り詰め始めて就く事が出来る階級だ。
逆に言えば託されるような人物であれば、三等兵からいきなり大将になったりも出来る。
「最後の話が衝撃的過ぎるわ」
「俺もな。で、特務って言うのは戦時中に勤務した人間で武功を挙げた人間や勲章が与えれるような事をした社員に与えられる。まあ、勲章制度があるが基本的に勲章よりもボーナスを欲しがるからな」
普通の軍隊らしからぬ所があるのもPMCの面白いところなのだろう。
普通なら勲章を欲しがる(一部の正規軍人以外)がMS社は勲章よりも臨時ボーナスが欲しいと叫ぶのだ。
「俺は上等兵からの昇格はヴァラヒア事変中。つまりは武功を挙げて叩き上げだから特務軍曹だ。兵長は上等兵からの出される管理職だから、飛ばそうと思えば飛ばせる」
そこまで聞くと慧の中で新たな疑問も生じた。
「特務が付くといい事ってあるのか?」
「給料はあっても無くても変わらないが、勤務地が基地内じゃなくて現場で固定されるな。軍曹からは基地内での書類仕事が発生して、階級が上がれば基地内での勤務時間が増える」
「良いことなのか?」
「俺みたいな事務が出来ない奴には良いことだな。M42飛行中隊で特務なのは俺だけだ」
その発言に苦笑いでしか返せない慧は話題をバトラから方宮姉妹へと変更する。
「あの2人の階級ってなんなんだ?」
「あいつらか? 確か戦時階級で兵長で、平時が上等兵だったか?」
「兵長ですよ。試験をザイ襲撃直前に合格しましたからね」
突然の女声にバトラが飛び退く。
「なんだよ。詩苑か。兵長試験に合格したのか」
「詩鞍もですよ。報告書見なかったんですか?」
「ああ……覚えて無いだけだ」
「酷い……お兄様にとっての私はそんな存在なんですね……」
如何にもな声と体勢で泣き始める詩苑に慧とバトラが反応に困っていると女性自衛官達がヒソヒソと話し始める。
「お前の外観でそういうのされると困る。あと、俺が請求書と武器関係以外の書類チェックはそれなりなのは知ってるだろう」
「確かにそうなんですけど……もう少し部下に関心を持って欲しいです」
「関心が無かったら、部下にしないし訓練も付き合わないさ。俺が求めるのは階級では無く現場で動ける実力重視だ」
詩苑はそれに複雑そうな視線を送る。
関心はあるがそれは仕事仲間だからだけでそれ以外の関心は無いとも受け取れる発言に詩苑は視線だけで訴えるがバトラは何処吹く風で受け止める。
「まだ、あるか?」
「少尉試験は受けないんですか?」
いきなりの詩鞍登場にバトラが若干だが跳ねて、視線を右往左往させる。
特務准尉になれば少尉への繰り上がり試験は受けられるのだが、バトラはそれを受けようとしていなかった。
勿論、それには理由があった。
「いやな……ほら、叩き上げって感覚が多いじゃん。なんでそうなるのかを理論的に説明出来なくて……」
「訓練中はできてるじゃないですか」
「多少の感覚がある奴なら通じるんだよ。試験はそうはいかないからな。声が簡単だがペンは難しいと言う奴だ」
「……それ以外にもあるんじゃないんですか?」
バトラが溜息を吐く。
「隠せないな」
「ちゃっちゃと吐いて下さい。同じ兵長仲間からは特務准尉が隊長の部隊とか言われてるんですから。小隊ならまだしも中隊なら少尉にはなって下さいよ」
「馬鹿野郎。俺の戦績だったら少尉に上がった途端に大尉コースだ」
万年上等兵が武功だけで特務准尉まだ上がった為に非正規入社組には英雄的扱いのバトラだが、正規ルート組の社員にとっては繰り上がりで隊長になったとしても体面的には少なくとも少尉になって欲しいと言うのはある。
だが、バトラは試験が面倒、少尉になった瞬間に大尉コースと言う事で受けたがらない。
「まあ、兎に角だ。これ以上の昇格は無しだ。上がりかけたらバーフォードをブン殴ってやる!」
「バーフォード大佐を殴らないで下さい。早く吐き出して下さい! なんで受けないのか」
「大尉になったらあの人の同僚になっちまう。俺はあの人の後ろを飛びたいんだ。大尉になったら正真正銘でこの隊を率いることになる」
詩鞍が首を傾げる。
「アンタレス隊の隊長は未来奈さんだ。俺は臨時隊長。あの人の階級は特務大尉。俺の入社方法だと試験を受けないと尉官や管理職には就けない。ついたら大尉になるから特務大尉より偉くなっちまうからな」
「今でも未来奈さんの部下なんですね」
「ああ。あの人が居たからここに居る。お前達に会えたんだ、彼女には感謝しているし最初の恋心を抱いた人だから……」
その言葉を聞いて、詩鞍と詩苑が驚く。
「まさか、お兄様が初恋をしていたなんて……」
「正直言って、愛を知らない方かと……」
「お前ら……はっ倒すぞ!」
詩鞍と詩苑が可愛らしい悲鳴を上げながら追いかけっこをしている間に機材は直ったが訓練再開は数時間後だった。
こんな感じな階級小話と過去でした。
ぶっちゃけ知らなくても良いけど、コラボ考えてる人なんかは役に立つんじゃないかな?
それと我が家の実家では電気ケトルは仏壇に供えるものらしい。