死戦女神は退屈しない   作:勇忌煉

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第15話「アタシと理不尽と久々のスパー」

「ハリー」

「どした?」

「もうすぐ前期試験だったよな?」

「ああ。つってもまだ先だぞ?」

「勉強しなくていいのか?」

「おめーには言われたくねえ!」

「アタシはもう上位確定なんだよ」

「どっから沸いてくるんだよその自信」

「さあ?」

「まあいいか。そうだ、帰りに飯でも食いに行かねーか?」

「いいぜ。お前の奢りなら」

「奢らねーよ!」

「なんでだよ!?」

「奢り前提で考えてたのか!?」

「当たり前だろ!」

「もう一回言うが奢らねーからな!」

「んだとゴラァ!」

「待て! オレなんか間違ったこと言ったか!?」

「じゃかましいっ!」

「いやマジで待てよ! つーか最近お前ますます理不尽になってないか!?」

「リーダー。サツキの理不尽なんて今に始まったことじゃないっスよ」

「そうそう。こないだ無銭飲食させられそうになったのを忘れたんですか?」

「……………………ああ、そうだったな」

 

 

 

 

 

 

 

「……お帰り」

「おう、ただいま」

 

 いつも通り帰宅すると、ジークではなくファビアがいた。

 つーかマジでご無沙汰だな。今までなにしてたんだよ。めちゃくちゃ気になるじゃねえか。

 まあ、今日も疲れてるから聞かないでおこう。

 

「……ケーキ屋巡りで大変だった」

「わざわざ教えてくれてありがとう」

 

 コイツも心を読めるのだろうか? まあ、他の連中よりかはずーっとマシだけどな。

 どういうわけか不快にならない。だからといって心地が良いわけでもないけど。

 

「…………他にもいろんなお菓子屋を回った」

「お前の頭の中にはお菓子しかないのか?」

 

 どんだけお菓子大好きなんだよ。ツッコむ気にもなれねえよ。

 

「もういいわ。ご飯食おうぜ」

「……わかった」

 

 

 ――数十分後――

 

 

「ごちそうさん」

「…………ごちそうさまでした」

 

 とりあえず晩飯を済ませた。ちなみに今日のご飯は中華料理だ。

 

「お前って小さいんだな」

「……何してるの?」

 

 後ろから抱きしめてるんだけど?

 

「悪いな。最近ストレスが溜まることばっかでよぉ……」

「…………そう」

 

 なんか妹を抱きしめてる感じだな。アタシはジークと違って永遠にノーマルだから百合に目覚めたりはしない。絶対に。

 ファビアはアタシに抱きしめられても全く嫌がってない。それとも無表情だからわかりにくく嫌がってるのか?

 

「…………不思議と嫌な感じがしない」

「マジかよ」

「……マジ」

「…………そうか」

 

 まあ、そろそろ寝るか。アタシはファビアから離れ、自分の部屋にあるベッドにダイブした。

 

「ふかふかだぜコノヤロ~……」

「…………あ、あの」

「どうした? 枕なんか持って」

「……………………一緒に、寝てもいい?」

「別にいいけど」

 

 お前のおかげでストレスも解消されてることだし。なんでかは知らんけど。

 このあとファビアと一緒に寝たが、ジークのときと違ってイヤな感じは一切しなかった。

 ……それと気遣いの良さパネェなマジ。改めてファビアの気遣いに感心させられたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

「サッちゃん! 今日のご飯は?」

「そこにあるだろ」

 

 翌日。満足したらしいファビアが帰ると同時に、まるで入れ替わるようにジークがやってきた。

 来るなりご飯を求めるのはおそらくお前だけだ。ファビアなんか礼儀を重んじないんだぞ。

 

「今日は……骨?」

「おうとも。骨だ」

(ウチ)は犬とちゃうよ!?」

「違うのか!?」

 

 これは驚きだ。

 

「しょうがねえな。ほらよ」

「待ってサッちゃん」

「なんだゴラァ」

「ゴラァちゃうよ!? 今度は卵の殻ってどーゆーことや!?」

 

 別にどうもしない。お前にやるご飯はねえってことだ。

 あーどら焼き食いてえ……。今日はどら焼きでも買いに行こうかな?

 

「まだ昼だもんなぁ……」

「??」

 

 アタシの呟きに首を傾げるジーク。深く考える必要はないんだがな。

 ま、アホだから無駄に考えてしまったということか。さすがだな。

 

「ちょっと出掛けるわ」

「どこ行くん?」

「暇潰し」

(ウチ)も――」

「確か冷蔵庫にアタシの食べかけだけどヨーグルトがあったなぁ」

「――お留守番しとく!」

 

 チョロい。

 

 

 

 

 

 

 

「ってわけだ。侵略者のせいで遅れた」

「お前は何を言っているんだ」

 

 実を言うと今日はハリーとお出掛けである。

 目的は……えーっと――

 

「――なんだっけ?」

「お前な…………」

 

 仕方ねえだろ。忘れたものは忘れちまったんだから。

 ……あ! スパーか! そんでもって――スパーキングか!

 

「ハリー! アタシは思い出したぞ! 今日は確かスパーキングするんだよな?」

「スパーリングだ」

 

 あれ?

 

「まあいいか」

「よくねーよ」

「なんだとこのペッタンコ!」

「黙れデカパ――」

「オラァ!(ブスッ)」

「ぬぉおおおおおおっ!! 目が燃えるようにいてえー!?」

 

 ざまあみろ。口を滑らすからそうなるんだよ。

 次なんかしたら日本の都市伝説で泣かしてやる。そしてそれを写真に収めて配信してやる。

 それにしてもスパーか。一年ほどやってなかったような気がするな……。

 

「着いたぞ。いつまで目を押さえてるんだよ」

「おめーのせいだろうが!!」

 

 そんな事実は認められない。

 

「いいからいくぞ。今日は久々に本気でやろうと思ってんだからさぁ」

「……………………今なんつった?」

「だから、本気でやるつったんだよ」

「マジか!?」

 

 そこまで驚くようなことなのだろうか。確かに本気でやるのは一昨年以来ではあるけど。

 とはいってもたまには本気でやらないと体が鈍ってしまうからな。

 もう一度言うが、スパーをやること自体が久々だったりする。いつもは喧嘩三昧だったし。

 

「ぶっちゃけお前にそれを見せるのが目的だしな」

「なんでオレなんだ?」

 

 なんで、か……。ま、理由は一つだな。

 

「――付き合いが長いから、かもな」

 

 

 

 

 

 

 

「…………ま、マジかよ……?」

「ふむ。これなら実戦でもいけそうだな」

 

 あれから数十分後。久々に本気を出したアタシはハリーを相手に無双した。

 とはいっても所詮はスパーだから試合じゃこう簡単にはいかない。

 本気のアタシを相手にしたハリーは驚愕の表情を浮かべ、その場に座り込むほど疲れている。

 

「なんで今まで隠してたんだよ……!」

「別に隠した覚えはないがな」

 

 誰にも聞かれなかったし、一昨年は一応出したには出したけど誰にも指摘されなかったし。

 

「ま、しばらくは出す必要ないかもな」

「なんでだ……?」

「なんでってそりゃお前――そうする必要がないからに決まってんだろ」

 

 そうする必要があった奴なんてジークぐらいだしな。アイツ、試合だとやたら強いんだよ。

 姉貴に至っては出しても勝てないのが目に見えてる。だからといって諦めはしねえけど。

 だからこそ楽しめるんだけど。強い奴とのバトルは試合でも飽きることがない。

 

「前々から思ってたけど、お前って人間……だよな?」

「人間だ」

 

 どっからどう見ても普通の人間だ。

 

「実は人間やめてるんじゃねーか……?」

「ぶっ殺すぞコノヤロー!?」

「待て! あれだけやっといて普通の人間とか言ってられる方がどうかしてんぞ!」

「ケンカ売ってんのか!? 売ってるよなぁ! 表出ろゴラァ!」

「だから待てって! オレ今疲れて動けねーんだよっ!」

「知るかボケェ!」

「どこまで理不尽なんだよ!」

 

 そんなのアタシの知ったことじゃねえ。アタシを怒らせたお前が悪いんだ。

 ていうか動けるじゃんかお前。普通に立ってられるじゃねえか。

 

「……嘘ついたな?」

「…………あ」

「こっちこいコノヤロー」

「あ、ちょ――」

 

 このあと起きたことはハリーの名誉のためにも言わないでおく。

 

 

 

 

 

 

 

「今日も疲れた~」

「ご飯まだ~?」

「オラァ!」

「ぶっ!? ちょ、なんで服投げたん!?」

「お前へのご褒美」

「嬉しないよ!?」

「嘘だろ!?」

「嘘ちゃうよ!?」

「ば、バカな……」

「どうせならサッちゃんに抱きしめられた方がよっぽど――」

「シャラッパッパー!!」

「サッちゃんあかん! 確かに抱きしめられた方がマシや、って言おうとしたけどこれはあかん! フロントチョークはあかんよ!」

 

 

 

 




 活動報告の方にも書いてありますが、実はイツキを主人公にした外伝作でも書こうかなと考えていたりします。

《今回のNG》TAKE 11

「ぶっ!? ちょ、なんで服投げたん!?」
「おもしれーじゃん」
「おもろないよ!?」
「……え……?」
「待って。なんやその変態を見るような目は」
〈こっちが本編でも違和感がありませんね……〉


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