死戦女神は退屈しない   作:勇忌煉

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第29話「チーム戦ってなんだっけ?」

「当たっちまえよオラァ!」

「それは無理な話だねっ!」

 

 アタシは今、姉貴と入れ替わるように登場したなのはと交戦を始めている。

 さっそく束ねていた弾幕を弾き飛ばすも簡単にかわされてしまった。

 

「ところでストラトスはどうした?」

「アインハルトちゃんならさっき仕留めてきたよ」

「マジ――」

「ファイアッ!」

「おまっ!?」

 

 いきなり前触れもなく撃ちますか普通!?

 

「――なんてな♪」

 

 それでもアタシは砲撃を片手で弾き返す。まあ、このくらいならわけないさ。

 しかし、その砲撃がなのはに当たることはなかった。チッ、ちょこまかと……!

 

「そんじゃま、さっさと落ちろエース様ぁ!」

「おっと!」

 

 一刻も早く終わらせるため、なのはに蹴りと拳のラッシュを掛ける。

 なのはもレイジングハートを使って防いではいるが、だんだん押され始めた。

 

「やっぱりサツキちゃんはスミレちゃん似で強いねぇ……!」

「似てるだけで一緒ではないがな……!」

 

 少し空いた懐に左の拳を突き立てる。なんらかの手応えはあった。

 あったにはあったんだが……この違和感はなんだ?

 

 

 ガシャッ(アタシの左腕にバインドが掛けられる音)

 

 

「しまったあぁあああああっ!!」

〈このバカマスター! 少しは頭を使ってくださいよ!〉

 

 まさかの捕縛盾(バインディングシールド)である。

 確かこれはなのはの近接封じの必勝パターンだっけか。まあいいか、どうでも。

 掛けた本人はというと、ジャケットの腹部辺りが破けながらも上空で砲撃を撃とうとしていた。手応えの正体はあれか。

 

「このままではヤバイな……」

〈このままでは、ですけどね〉

 

 ちなみについさっきランスターがクロスファイア・フルバーストを放ったが、姉貴とその姉貴に守られたなのははノーダメージだった。

 前者は明らかにおかしいだろ。実はチラッと見えたんだが両手のみで弾幕を相殺してやがった。

 全く、そこは脚も使うところだろうが! 少しは考えろよ!

 

「――とりあえず、考えるのはこんぐらいにして」

「にゃはは……やっぱりダメか~」

 

 左腕に掛けられているバインドを力ずくで振りほどく。

 伊達に姉貴の拘束技(物理)を攻略してきたアタシではない。

 傷ついているなのはの懐目掛けて突撃する。今度こそぶっ潰す!

 

「やらせないよっ!」

 

 当然それを許すはずもなく、準備が完了したであろう砲撃が放たれた。

 さっきのと違っておそらく本物ってやつだな。

 

「チッ。あんまり使いたくはなかったんだが……」

 

 アタシは左手を前に突き出し、右手を猫の手のような形にしてから後ろに引いて構え――

 

 

 

「――絶花」

 

 

 

 左手を引っ込めると同時に構えた右手を突き出して砲撃を弾き返した。

 その際、砲撃に螺旋回転を加えて貫通力を向上させているので……

 

「……!?」

 

 咄嗟に展開されたなのはの障壁が見事に粉々になった。しかし、手応えがない。なんで……?

 

「――さすがにそれはアウトだ」

「姉貴……!」

 

 どうやら姉貴がなのはを助けたようだ。それにしてもダメージを負った様子がまるでない。

 さすがに受けきったはないだろうから……かわしたのか、あれを。

 

「スミレちゃん! 私を助けるためとはいえ、いきなり投げ飛ばすなんてどうかしてるよ!?」

「さて、続きをやろうか」

「あれ? スルー!?」

 

 なのはが珍しく猛抗議していた。そうか、またやらかしたのかあんた。

 気のせいかなのはのジャケットがさらに傷ついているようにも見える。

 

「さっきまでどこに行ってたんだよ」

「ちょっとランスターと軽く遊んでた。ついでにお前をなのはに任せてな」

「ついで、ねぇ……」

 

 アタシもナメられたもんだなぁ、おい。

 ちなみにこのとき、周りでは2on1が展開されていたことをアタシは知らない。

 

「潰してやるよ」

「その言葉、そのまま返してやる!」

 

 姉貴が突き出した右拳をかわし、左拳を打ち込んでから左蹴りを肩にぶつける。

 それらを受けきった姉貴はアタシの懐目掛けて渾身の回し蹴りを繰り出してきた。

 あまりの威力に意識が翔びそうになるもなんとか耐え、懐にタックルをかます。

 不意をつかれたのか、姉貴は踏ん張れずに倒れた。

 しかしすぐに立ち上がり、何事もなかったかのように間合いを取った。

 

「「せーのっ!!」」

 

 ガシィッ! という音と共に取っ組み合いを始める。

 力んだ際に地面が少し陥没してしまったが気にしないでおこう。

 

「やるじゃねえか……!」

「伊達にあんたの妹ってわけじゃねえんだよ……!」

 

 そしてここからの動作は一つ――

 

 

 

「「――ふんがっ!」」

 

 

 

 頭突きしかない。

 

 最初の一発を皮切りに競い始める。もちろん最初は互角だったのだが……

 

「がっ!?」

「テメエじゃ私には勝てねえよ……!」

 

 当然、競い負けた。これはチーム戦なのだが、アタシと姉貴は独断行動が許される。

 というよりもその方がより実力を発揮でき、結果的にチームにも貢献できるらしいのだ。

 ……あれ? チーム戦ってなんだっけ?

 

 

『『集束砲(ブレイカー)で一網打尽にするから(しますから)っ!』』

 

 

「「は?」」

 

 ふと、そんな声が聞こえてくる。集束砲だと? さすがにそれはマズイ。

 一瞬、姉貴と目が合う。少し焦った表情をしつつもアタシと同じ目をしているな。どうやら考えは一緒のようだ。

 

 

((コイツを生け贄にすれば……!))

 

 

 なんとも魅力的な提案である。けどそうなれば実力で劣るアタシが生け贄になる。それなら――

 

「アチョッ!」

「っぶねー!?」

 

 まずは目潰しを仕掛けてみるも、咄嗟にかわされてしまった。

 このクソアマが……。相変わらず野生の直感は健在か!

 

「危ねえなおい(ブスッ)」

「がああぁっ! 目が、目があぁ……!」

 

 逆に目潰しを掛けられてしまった。目がたまらなく痛い。

 

「いってて……」

 

 えーと、LIFEは――

 

 

 LIFE 900

 

 

 あ、詰んだなこれ。それに比べ姉貴はまだまだ余裕といった感じだ。そんなら……

 

「ほいっと!」

「あらぁー!?」

 

 一瞬の隙を突いて姉貴を転ばす。ふはははは、これで条件は同じだァ!

 姉貴も後頭部からいったらしく、意外と悶えていた。

 

「クソッタレめ!」

「おおぅ!?」

 

 姉貴が転んだまま例の刃物を振りかざしてきた。アタシはこれをバックステップで回避する。

 ていうかさっきから周りが騒がしいような……。

 

 

『『スターライト――!!』』

 

 

 ……え? もう集束終わったのか? なんかいつもより早くない?

 クソッ、やっぱりここは姉貴を道連れにしてやる。一人だけ生き残るなんて不公平だからな。

 

「抜け駆けは許さねえぞ」

「テメエこそなぁ……!」

 

 姉貴は折り曲げて刃間の間隔を広げた二枚刃を壁側へ追い詰められたアタシの首に突き立てた。

 当然、これにより逃げ場をなくしたアタシは姉貴が逃げられないように首を掴んだ。そして――

 

 

『『ブレイカー!!』』

 

 

 ――桜色と橙色の閃光が激突し、アタシは姉貴と共になす術なく飲み込まれた。

 

 

 

 




《今回のNG》TAKE 9

((コイツを生け贄にすれば……!))

 なんとも魅力的な提案である。けどそうなれば実力で劣るアタシが生け贄になる。それなら――

「わかってるよな、姉貴」
「言われるまでもない」

 アタシたちは互いに拳を突き出す。もちろん、これで決まるのだ。

「「最初はぐふぅ!!」」

 最初はグー! と同じリズムでパンチを顔にぶつけた。結果は――

「「やんのかゴラァ!!」」

 ――当然こうなる。だってアタシらそういう人間だし。





「さすがにあれは予想外ね」
「アイツら本当に周り見えてんのかな……」


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