「死ね! 今日こそあの世に逝けぇ!」
「待ってサッちゃん! お願いやから話を聞いて! 拳を振るうのやめてー!」
「抑えろサツキ! オレらが悪かった!」
「それ以上はダメよ! もし当たればジークが……!」
「ジークが死んでしまう!」
「お、落ち着いてくださいっ!」
「離せテメエら! 今回は絶対に許さねえ! 許さねえぞぉ!!」
「皆さん、一体何をしたんですか!?」
アタシは今、夜景が素晴らしいホテルみたいな場所で猛烈にキレている。
事の始まりは帰宅中にジークから送られてきたメールだ。そこにはこう書いてあった。
【今日、
これだけならすぐに断っていただろう。しかし、このメールには写真が添付されていた。
どうせ話し合う場所でも写したんだな、と思って写真を見てみると――
【来なきゃこれを燃やすぞ】
――という文字と共に、ジークに借りパクされたままの合鍵が写されていた。
その真下には燃え盛る炎があり、合鍵を落とせば文字通り燃え尽きてしまうというシチュエーションがそこにはあった。
さすがのアタシもプッツン通り越して爆発した。タスミンのときよりは確実にキレたよ。
合鍵を奪うに飽き足らず、今度はそれを燃やすだと!? 物事には限度があるんだぞ!?
ブチギレたアタシは本能で奴等のいそうな場所を捜索し、数分で見つけたってわけだ。
まず手始めに合鍵の真下で炎を燃やしていたであろうハリーに跳び膝蹴りをかまし、次にメールの主であるジークをフルボッコにしようとしたところでヴィクター、シェベル、タスミン、そして復活したハリーに取り押さえられ今に至る。
「まさか、これほどのパワーとは……っ!」
「実際はこれ以上だ……っ!」
「待てコラジーク!」
「イヤや!
「というかこの人、本当に人間ですか!?」
「残念ながら人間よ……っ!」
「アタシは人間だぁ!」
……とはいっても、アタシからすればそれもあってないようなものだがな。
そんなことよりもジークだ。エレミアの神髄を使う間も与えずにぶっ殺してやる!
『…………そっちで何が起きているの?』
「え、えっと……」
「スミレがいてくれたらええんやけど……」
「サツキさんっ! 暴れるならこっちで――」
「リオは落ち着いて! ていうかもう喋らないで!」
なんか今スクライアの声がしたけど……まあいいか。ここにはいねえみたいだし。
~~しばらくお待ちください~~
「や、やっと収まった……」
「一時はどうなるかと思いましたわ……」
「ふぅ。なんか落ち着いたらバカバカしくなってきたから帰るわ」
「えーっ!? サツキさん帰っちゃうんですか!?」
「当たり前だ。アタシは招かれざる客だしな」
少しだけスッキリしたアタシは帰ろうと準備する。
周りを見渡すと、アタシを止めようとしたであろう連中が完全にバテていた。
ちなみにジークは顔面に一発ブチ込んだだけで許してやった。
「その辺は大丈夫や。ジークリンデがサツキも参加するって言うてたから、ちゃんと人数に入れといたんよ」
「待て八神。アタシが大丈夫じゃねえ。つーか本人の許可もなく勝手に入れんな」
「インターミドル中の大事な時期や。一番問題を起こして――起こしそうな子をここにきて野放しにすると思うか?」
そこを突かれるとかなり痛いな。ていうかなんでコイツ知ってんの?
言った覚えないんだけど。もしかしてマークされてたとか?
……そういえばシャマルは知ってたな。なるほど、奴を経由したのか。
「それにサツキもなんだかんだでベルカっ子や。同胞は少しでも多い方がええからな」
やはりそういうことか。恨むぞ古代ベルカ。
「……もういいや。けど今日のところは帰らせてもらうぞ」
「つまり明日の無限書庫探索ツアーには参加するってことでええんか?」
「おうよ」
よかった。家に帰るのはオーケーみたいだ。
「サツキさん! 早く部屋に行きましょう!」
「おいコラ引っ張るなウェズリー。……ジーク。テメエはなぜアタシの右腕に引っ付いてやがるんだ?」
「サッちゃんと寝たいんよ」
「サツキさんはあたしと寝るんです! これだけは譲れません!」
「サッちゃんと寝るんは
「いや決まってねえし。それとウェズリー、いつアタシがお前と寝るつったよ?」
ていうか一人でいいだろうが。なんでそんなにアタシと寝たがるんだよ。迷惑でしかねえぞ。
「アタシは家に帰るんだよ。お前らで勝手に言い争ってろ」
「「え?」」
「だがその前にハリー、シェベル。さっきまで何を話していたか聞かせてもらうぞ」
「あ、ああ……」
「別に構わないが……」
「さ、サツキさん!?」
「え、ちょ、サッちゃーん!?」
とりあえずうるさいジークとウェズリーは放置しておこう。ウザいし。
そんなこんなで、アタシは二人から詳しい話を聞いてからホテルを後にした。
「……え? お前も来るの?」
「……うん。私も無限書庫に行く」
帰宅したのはいいがなぜかクロがいた件について。まあ、そんなことは置いといてだ。
コイツが言うにはさっきまで窃視と盗聴を行っていたとか。
恨みがあるとはいえ良い子なお前がそこまでするとはねぇ……いや、まだマシか。
「アタシはお前の内通者ってわけか?」
「……私の協力者」
ほとんど一緒だコノヤロー。
「ていうかいつアタシが協力するって言ったよ?」
「…………協力、してくれないの?」
「いや、おもしろそうだからしてやってもいいぞ」
「……本当?」
「嘘はつかん」
ここで断った場合、下手すれば癒しを失うことになってしまう。
当然、今のアタシにとってそれはダメージが大きすぎる。
なら協力するのは必然だろう。例え大丈夫だったとしても。
「………………ありがとう」
「別に。もう一度言うけどおもしろそうだしな」
「…………それだけ?」
「うん。それだけ」
おもしろくなけりゃバッサリ捨てるけどね。
「ま、それはそうとして今日はもう遅いから泊まってけ」
「…………いいの?」
「ホントはダメだが今回は良しとしよう」
「………………じゃあお言葉に甘えて」
このあとアタシとクロは適当に計画を立て、すぐに就寝したのだった。
もちろん、クロはジーク――エレミアの末裔がアタシん家に居候してることは知らないままだ。
《今回のNG》TAKE 51
「や、やっと収まった……」
「一時はどうなることかと思いましたわ……」
「ふぅ。なんか落ち着いたらバカらしくなってきたから――ジークをもう少しだけ殴るわ」
「なんでだよ!?」
「待ってサッちゃん! これ以上は
「よし、歯を食いしばれ」
「最悪や――っ!!」
「サツキを止めろ――っ!!」