勇者の花と桔梗の花   作:水甲

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第14話 新たな勇者

友奈達が勇者に選ばれてから一ヶ月がたった。一ヶ月の間全くもってバーテックスの侵攻がなく、平穏な日々を送っていたのだが……

 

「来た」

 

一ヶ月ぶりにバーテックスが現れ、僕たちは樹海にて勇者に変身してバーテックスの動きを待っていた。

 

「あれが五体目」

 

友奈達から離れた場所で敵の動きを見張る東郷。その隣には僕もいた。

 

「状況に応じて武器を変える……今回は援護になるけど、東郷だけで十分だな」

 

「そんなことないよ。桔梗くんのこと頼りにしてる」

 

「おだてるなよ」

 

一ヶ月ぶりなのかみんな緊張しているだろうと思っていたけど、友奈と樹の二人は何か話しているためか、ほんわかした空気が流れていた。

 

「緊張感がないのか、まぁ変に意識するよりかはましか」

 

「ふふ、桔梗くん、風先輩より部長っぽいね」

 

「聞こえてるわよ!!東郷」

 

地獄耳だな、先輩は……とりあえずみんなで攻撃を仕掛けようとした瞬間、上空から何本もの刀がバーテックスの頭に突き刺さり爆発した。まだ全員攻撃はしてないはずだけど……

 

「東郷さん?それとも桔梗くん?」

 

「私じゃない」

 

「僕でもない」

 

「それじゃあ一体誰が……」

 

フッとある場所を見るとそこに一つの影があった。その影に僕は見覚えがあった。

 

「ふん、ちょろい」

 

影は大きく跳ぶと幾つもの刀を投げ、バーテックスを囲み封印の準備に入った。

 

「封印開始!!思い知れ!私の力を!」

 

「まさかあの子一人でやる気!?」

 

「まぁあいつらしいな」

 

「桔梗くん知ってるの?」

 

「ちょっと知り合いなだけだ」

 

すると出てきた御霊からガスが吹き出した。御霊から攻撃のためか精霊達が友奈たちを守る中、あいつは刀を取り出し、ガスの中に入っていった。

 

「そんな目眩まし!気配で見えてんのよ!!」

 

あいつは御霊を一刀両断した。

 

「殲滅!!」

 

『諸行無常』

 

バーテックスの封印が完了し、僕と東郷の二人は友奈たちの所へと行くと、あいつも来ていた。

 

「揃いも揃ってぼーっとした顔してんのね。こんな連中が神樹様に選ばれた勇者ですって」

 

鼻で笑うけど、それって僕も入ってるのか?とりあえずチョップを食らわしておこう

 

「つぅ、痛いじゃない!何をするのよ!?」

 

「いや、何となく」

 

「何となくってあんたね!」

 

「あ、あの、」

 

「何よチンチクリン」

 

「チン…」

 

「私は三好夏凜。大赦から派遣された正真正銘、正式な勇者。あんたたち用済み。はい、お疲れ様でした」

 

友奈たちが夏凛の言葉を聞いて驚く中、もう一発チョップを食らわした。

 

「いたっ、だから何を……」

 

「いや、そういうのはちゃんと説明しないと駄目だろ」

 

「あんたね……」

 

「何だか……」

 

「二人共仲がいいね……」

 

僕と夏凛のやり取りを見ていた樹と友奈。

 

「ちょっと桔梗、ちゃんと説明を……」

 

「……そうですよ。ちゃんと説明してくれないと分からないよ。桔梗くん」

 

何故だが東郷の言葉に何らかの感情が詰め込んであるんだが、正直怖い

 

そんなやり取りをしていると樹海から元の世界へと戻るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

学校の屋上に戻ると夏凛の姿が無かった。別の場所にいるだろうけど……

 

「それで桔梗。あの子と知り合いみたいだったけど……」

 

先輩が夏凛と僕の関係を知りたがっている。まぁあれだけ親しくしていれば気にはなるだろうけど……とはいえ、何故か東郷が睨んでいるのは気のせいかな?

 

「ただの顔見知り程度ですよ。まぁ一回模擬戦やったらそれから勝負を挑んできたりして……」

 

「それってずっと前に言ってた負けず嫌いな子が三好……夏凛ちゃん?」

 

「そうそう。まぁ近いうちにまた会うだろうけど……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

近いうちとはいったけど……

 

 

「三好夏凜です。よろしくお願いします」

 

まさか次の日に讃州中学校に、それも僕達のクラスに転入してくるとはね

 

 

放課後になり、勇者部に夏凛が来ていた。

 

「そう来たか~」

 

「転入生のフリをするのも面倒くさい。でもま、私が来たからもう安心ね。完全勝利よ」

 

「何故今このタイミングで? どうして最初からきてくれなかったんですか?」

 

東郷の言うとおりだな。あんな自信満々に言うのだから最初から来ていてもおかしくはないと誰だって思う。

 

「私だってすぐに出撃したかったわよ。でも大赦は二重三重に万全を喫しているの。最強の勇者を完成させるためにね!」

 

「最強の勇者……」

 

「そう。あなたたち先遣隊の戦闘データを得て、完璧に調整された完成型勇者。それが私。私の勇者システムはバーテックス用に最新の改良を施されてあるわ。その上、あなたたちトーシロとは違って、戦闘のための訓練を長年受けてきている!」

 

「30戦中30敗してるのにか?」

 

「うるさいわよ!?桔梗なんてすぐに……」

 

何かを言いかけるが、すぐに体を震わせ言うのをやめる夏凛。う~ん、あのことが結構効いてるのかな?

 

「よろしくね。夏凛ちゃん」

 

「いきなり下の名前!?」

 

「嫌だった?」

 

「フン、どうでもいい。名前なんて好きに呼べばいいわ」

 

夏凛の返事を聞いて、笑顔になる友奈。こういう所は友奈らしいな

 

「それじゃ夏凜ちゃん、ようこそ勇者部へ!」

 

「部員になるなんて話、一言もしてないわよ!」

 

「え? 違うの?」

 

僕も友奈の言っている通り、ここに来たということは入部するということかなって思ったけど、

 

「違うわ、私は貴女たちを監視するためにここにきただけよ」

 

「え、もう来ないの?」

 

「……また来るわよ。お役目だからね」

 

あんな風に友奈に言われたらそう言うしかないよな。僕も友奈に対しては押し負けたりする。

 

「じゃあ部員になっちゃった方が話が早いよね」

 

「確かに」

 

東郷も友奈の案に賛成みたいだしね。

 

「まぁいいわ、そのほうが貴女たちを監視しやすいでしょうしね」

 

「さっきから監視監視ってあんたねぇ、見張ってないとアタシたちがサボるみたいな言い方止めてくれない?」

 

「それ以外になんて言い方すればいいのよ。貴女たちどうせまともな訓練してないんでしょ? トーシロの癖して大きな顔するんじゃないわよ」

 

「偉そうにしてるところ悪いけど、夏凛。お前の精霊食われてるぞ」

 

「はっ?」

 

夏凛の精霊義輝の方を見ると、牛鬼にかじられていた。夏凛は急いで義輝を救出した。

 

「何してんのよ、このクサレ畜生!!」

 

『外道め』

 

「外道じゃないよ牛鬼だよ~。ちょっと食いしん坊くんなんだよね」

 

「自分の精霊のしつけも出来ないなんてやっぱりトーシロね!」

 

「牛鬼にかじられてしまうから、みんな精霊を出しておけないの」

 

「それだったらそいつを引っ込めなさいよ!」

 

「この子勝手に出てきちゃうんだ~」

 

「はぁ!? アンタのシステム壊れてんじゃないの!?」

 

『ゲドウメ』

 

「そういえば、この子喋れるんだね~」

 

「えぇ、私の能力にふさわしい強力な精霊よ」

 

夏凛は誇らしげに言うけど、東郷の場合は……

 

「あ、でも東郷さんには三匹いるよ?」

 

東郷も精霊を三匹出すと夏凛はなんとも言えない気持ちになっていた。そりゃ、あれだけ自慢気に言ってたんだからな

 

「僕の場合は一体で二体分だからな」

 

僕も前鬼を出し、前鬼から後鬼へと姿を変えてみせた。

 

「うぅ、わ、私の精霊は一体で最強なのよ。言ってやんなさい」

 

『諸行無常』

 

まぁ聞いてる感じではその精霊は『諸行無常』と『外道め』としか言えないみたいだな

。すると樹が声を上げていた。

 

「どうしよう、夏凜さん」

 

「今度は何よ!?」

 

「夏凜さん死神のカード」

 

「勝手に占って不吉なレッテル貼らないでくれる!?」

 

何だかんだで馴染んでる夏凛。その後友奈は夏凛の歓迎会のためうどんを食べに行こうと言い出すが、夏凛はそれを断るのであった。

 

 

 

 

 

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