勇者の花と桔梗の花   作:水甲

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オリジナル回となります。


第16話 キキョウ

ある日の放課後、勇者部の活動を行っている時の事だった。

 

「メッセージ?」

 

作業中に携帯にメッセージが入り、僕はそれを確認すると……

 

『キミニアエルヨ』

 

僕はそれを見た瞬間、頭に痛みが走った。頭を抑えていると心配そうに東郷が声をかけてくれた。

 

「大丈夫?調子が悪いの?」

 

「いや、別に大丈夫だけど」

 

「風邪?それだったら早く帰らないと」

 

友奈も心配そうにしていた。いや、先輩も、樹も、夏凛もだ。

 

「調子悪いのに無理したら駄目でしょ。絵の作業だったら夏凛が替わりにやってくれるし」

 

「ふん、まぁあんたの作業くらいは簡単にこなすわ」

 

それはそれでかなり心配だ。先輩と夏凛の絵は本当に独創的だしな……

 

「あの、保健室でお薬もらってきましょうか?」

 

「いや、多分そこまで酷いものじゃないから大丈夫かと……」

 

皆がここまで心配してくれるのは本当にありがたい。さっきのメッセージなんて忘れてしまおう。僕がそう思った瞬間、アラームが鳴り響くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

樹海へと訪れた僕らは、変身を終える。だが、ある異変に気がついた。

 

「どこにも敵がいないわね」

 

先輩の言うとおり敵の姿が確認できなかった。もしかしたら小型のバーテックスがいる可能性だってあるはずだ。僕は端末で敵の位置を確認した。

 

「えっ?」

 

マップの中に確かに敵の位置が表示されている。だけど敵の名称がおかしい。みんなもそれに気がついている。

 

「ねぇ、これって」

 

「壊れちゃった?」

 

「そんな訳ないじゃない」

 

「それじゃあ、壊れてないって言うことは……」

 

「みんな!?敵が動いたわ!このスピード……桔梗!?」

 

先輩の叫びが聞こえた瞬間、僕の右腕が切り裂かれた。咄嗟のことで判断が出来なかった。ましてや前鬼の守りが間に合わなかった。

 

「くそっ!!」

 

大鎌を取り出し、敵の方を見た。敵は白い装束、白い身体、顔には星屑と似た口が開いていた。襲ってきたのは人型のバーテックス。だが、僕が気になったのは奴の右腕だ。何故か右腕だけ人の物だった。

 

「………アエタ」

 

奴は僕の首をつかもうとするが、前鬼がそれを防いだ

 

「ジャマ」

 

右腕で攻撃を仕掛けてきた。すると何故か前鬼は障壁を張ろうとしなかった。僕は首を捕まれそのまま投げ飛ばされていく。

 

「ぐううううううう」

 

「桔梗くん!?」

 

 

 

 

 

 

敵に投げ飛ばされていくと神樹の近くまで来ていた。僕はすぐに体勢を整え、奴を睨んだ。

 

「アエタ、ヨウヤクアエタ。オレトヒトツ」

 

「気持ち悪いことを言うな!?お前が何なのか知らないけど、敵である以上お前を……」

 

「テキ?オレハチガウ。オレハ……」

 

奴が何かを言いかけた瞬間、僕は大鎌で奴を切り裂こうとした。だが奴は左腕を鎌に変化させて防いでいた。

 

「くっ!?」

 

今度は背中から無数の触手を生やすと僕を縛り上げていく。何とかして脱出しようとするが、右腕がないため今いち動きづらい。奴は僕を縛りあげた状態で近づいた。

 

「オレハオマエ、キキョウダ」

 

「何を……言っているんだ」

 

「ワスレタノカ?オマエハイチドオレニアッテイル」

 

奴が何を言っているのかわからない。唯でさえマップに表示された奴の情報ですら戸惑っているのに……何で奴の名前が『キキョウ』なんだよ。お前は……

 

「お前は……」

 

「「バーテックスじゃないの(ジャナイノカ)」」

 

奴と言葉が被った。奴の口が笑みを浮かべているように見えた。

 

「オマエトヒトツニナレバ、オレハ………」

 

突然僕を縛る触手が破壊されていった。触手を破壊したのは東郷が撃った銃弾だった。

 

「桔梗を離せぇェェェ!!」

 

すると空から先輩と夏凛の二人が奴に攻撃を仕掛ける。奴は二人の攻撃を避けるが樹の糸が奴を縛り上げた。

 

「コレハ………」

 

「はあああああああ!!勇者パンチ!!」

 

拘束された奴は友奈の拳を喰らった。その隙をつき四人で封印の儀を始めた。

 

「バーテックスだったら御霊を破壊すれば……」

 

奴はバーテックスと同じように身体の中から御霊が出現するが、通常の御霊とは違い、御霊を掴んでいる右腕が現れた。

 

「あ………」

 

僕はその右腕を見て何故か無いはずの右腕が痛みだした。

 

「何アレ?」

 

「気持ち悪すぎでしょ」

 

「さっさと破壊するわよ」

 

夏凛が刀を抜き、御霊を破壊しようとした。

 

「や、やめろ!!」

 

何故か僕はそう叫んでいた。僕の叫びを聞き、夏凛は攻撃をやめた瞬間、御霊が奴の身体に戻った。

 

「ツギハカクジツニ……」

 

奴が何処かへと消えていくと同時に樹海から元の世界に戻るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

学校の屋上に戻った僕ら。

 

「一体あれは何なのよ」

 

「人型って初めてですよね」

 

「それに桔梗くんの事を狙っていました」

 

「桔梗さん?」

 

「ちょっと桔梗!?どうしたのよ」

 

僕はまた頭痛に襲われた。今度はかなりの痛みだ。

 

「くっ、何なんだよ。これは一体……」

 

あまりの痛みに地面に倒れ、僕は意識を失いそうになった。意識を失いながら僕はある記憶を見ていた。星屑の口元が血に染まり、僕の右腕も血に染まり、その横で泣きじゃくる………乃木園子……

 

「桔梗くん!?」

 

「夏凛!大赦に連絡して」

 

「解ってる!」

 

そして彼女たちの声を聞きながら僕は完全に意識を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

東郷SIDE

 

 

 

桔梗くんが意識を失って数日が経った。彼の容体は悪いのか病院ではずっと面会謝絶だった。

 

「桔梗くん……」

 

部室は彼のことが気になりすぎて重い空気が張り詰めていた。

 

「一体あの敵は何なの?キキョウなんてふざけた名前だし……」

 

「大赦の方に報告はしたけど、返事はないわ」

 

「桔梗さん、大丈夫でしょうか?前にも倒れたって聞きました」

 

「あの時は何ともなさそうだったんだけど……」

 

一年前にも彼は頭痛で倒れた。その時は私達が彼を介抱したけど……

 

「……私達はまだ彼のことをよく知らないのかもしれない」

 

「東郷さん?」

 

「どういうこと?」

 

風先輩がそう聞くと、私は気になっていたことを告げた。

 

「桔梗くんは満開のことを話した時も、まだなにか知っているみたいでした。それに一人で戦いたがる理由も……」

 

「あいつが一人戦いたがる理由聞こうとしたけど、ごまかされたわ。でも、あいつ言っていた。『もう誰にもあんな思いをさせたくないから』って」

 

あんな思いって一体……桔梗くんは一体何を隠しているの?

 

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