勇者の花と桔梗の花   作:水甲

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第2話 勇者部

讃州中学に入学してから早一ヶ月が経った。入学当初は自分の右腕について色々と気を遣われた。とは言え僕自身あまり気にしない性格だったのと二人の友人のおかげで、今は普通に接してくれている。その友人とは……

 

「桔梗くん。部室行こう」

 

彼女は結城友奈。入学してからの友達である。彼女の性格上困った人は放っておけないタイプ。だからこそ、俺のことを結構気にかけてくれている。そしてもう一人は

 

「最近部活に来てないって風先輩が怒ってましたよ」

 

東郷美森。友奈と同じ入学直後の友達である。見た感じは大和撫子的だが、若干性格が変わっていたりする。彼女は両足が動かないため車椅子での生活をしている。僕と似た境遇とはいえ、互いに同情しあったりせず、逆に気を使われていた。

 

「一応先輩には連絡してあるんだけど……」

 

「それでも一週間も部活に来ないのは寂しいよ」

 

「今日は行くだろう」

 

「今日だけじゃなくて毎日来たほうが先輩に怒られないんじゃないの?」

 

東郷がそう言うが、僕としては毎日行きたいけど、あっちの方で忙しいのだ。やれ会議に参加しろだの、やれ勝負しろだの、やれ、退屈しているから遊び相手になってくれ。ただしくれぐれも失礼のないようにだの。面倒くさい仕事を任されていたりする。拒否をしてもいいけど、お世話になっている分断ることも出来ない。

 

(というかあっちもそう言った連絡くらいは入れておけよ)

 

心のなかでツッコミを入れるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日は来たわね。桔梗」

 

仁王立ちで部室に待ち構えていたのは犬吠埼風先輩。僕と友奈と東郷が入った部活『勇者部』の部長だ。いい先輩なんだがやれ女子力がどうのこうのって結構面倒くさかったりする。

 

「部長、部活には来れなかったですが、一応部活動はしてましたよ」

 

「へぇ、どんな?」

 

「負けず嫌いな子と遊んだり、暇を持て余した子と遊んだりとか……」

 

「遊んでるだけだね」

 

「遊んであるだけね」

 

「遊んでだけじゃない」

 

友奈、東郷、部長の三人にツッコミを入れられた。いや、違う。遊んでるように見えてしっかり働いていたんだぞって言い訳したいがこれ以上は何を言われるか分からないし、やめとこう

 

「それで部長。今日は何をするんですか?」

 

「一応桔梗用に依頼があるわよ」

 

部長はそう言って一枚の紙を渡した。受け取り読んでみる

 

「絵ですか?」

 

「そう、桔梗って絵を書いてって言う依頼が入るのよね。まぁ私の次くらいには上手いだろうけど」

 

部長の言葉を聞いて苦笑いをする友奈と東郷の二人。部長の絵は何というか……個性的だからだと思う

 

「どんな絵を描くの?」

 

「迷子の猫の絵だよ。まだ飼い始めたばっかりで写真とか無いんだって、一応特徴は書いてあるから大丈夫かな」

 

「それじゃあ、友奈とあたしはゴミ拾い。東郷はホームページの更新。桔梗の絵が完成したら載せるように」

 

「了解しました」

 

「はい」

 

敬礼をする東郷と元気に頷く友奈だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

部長と友奈の二人が外に出かけ、部室に残った僕と東郷は自分の仕事に集中していた。すると更新が終わったのか東郷は話しかけてきた。

 

「桔梗君はどうして絵が上手いの?」

 

「いきなりだね。最初はリハビリのために始めたんだけど……」

 

義手を着けてからはリハビリのためにしばらく風景画を描くようにしていた。慣れるまでは下手だったが、それでも描いているうちに段々楽しくなってきたのか、リハビリから趣味へと変わっていった。

 

「趣味になってからは必死に練習もしたな。多分そのお陰だと思う。でも何でそんなことを聞いたんだ」

 

「部活以外で登下校とか休み時間でも一緒にいること多いけど、桔梗君のことあまり知らないから……」

 

「まぁそうだな。僕も東郷と二人っきりになるのも初めてだから、何を話せばいいか考えていたけど……」

 

「そうだね。でもこれからは話す機会増やそう」

 

東郷は優しく微笑んだ。僕は何故か東郷の微笑みを見て何だか顔が熱くなった気がした。そんな時、スマホに二つ連絡が入った。一つは部長からだった。

 

『二人の仕事が終わり次第、帰りにかめ屋に集合』

 

ともう一つはお世話になっている場所からだ。

 

『例の件に関して、電話にて連絡を』

 

の二つだった。僕は絵を完成させ、電話をすると東郷に言って部室から屋上へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

屋上に着き直ぐに電話を入れた。

 

「もしもし、神宮桔梗です。お待たせしました」

 

『いえ、折角の学校生活を邪魔をして悪かったわね』

 

「大丈夫ですが、何か問題でも?」

 

『こっちは大丈夫よ。………様もあまり迷惑をかけたら悪いと思っているわ』

 

「それはいいですが、それで要件は?」

 

『現在犬吠埼風には素質ある者に送ったシステム。貴方用が出来ていなかったわね』

 

「偶然とはいえ僕も何ですね」

 

『えぇ、それも彼女たちとは違い必ずなると言われるほどにね』

 

「……もしも彼女たちが外れだとしても、いや他の子達も外れたとしたら、僕は一人でも戦います。そう決めたんですから」

 

『貴方には苦労をかけるわ。引き続き彼女たちを見守って上げなさい。それとくれぐれも東郷美森には真実を伝えないように』

 

「わかりました」

 

僕は電話を切り、部室へと戻りながら願った。

 

願わくば彼女たちが外れますように……そして一人でも戦うと……

 

 

 

 

 

 




第2話更新です。しばらくは日常編やっていこうと思います。

二話目を書いてて大赦の人がどんな会話をするのか分からず、こんな感じだろうと書いてみました。

因みに負けず嫌いの子と暇を持て余している子は三話目で出ます。
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