勇者の花と桔梗の花   作:水甲

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第22話 後遺症

バーテックスとキキョウの殲滅を成し遂げた讃州中学勇者部部員は現在みんな大赦の病院に入院していた。とはいえ検査入院みたいなものだった。僕はというと……

 

「身体にはどこも異常は見当たりませんね。身体的、精神的、記憶の方にも異常は見られません。三好夏凛からの報告では満開を行ってようですが……」

 

「それはそうさ、僕はなくしたものを捧げたんだからな」

 

「とはいえ、まさかそのような偶然が……」

 

「神頼みしてみるものだな」

 

とはいえまさか叶えてくれるとは……思いもしなかったな。

 

「……園子様は怒っていましたよ。貴方がやったことに関して……」

 

「後で謝っておくか」

 

医師との診断を終えた僕はそのままみんなが集まっている休憩室へと訪れた。そこでは何故かみんなお菓子を広げていた。多分打ち上げみたいなものか。それはそうと先輩のある異変が気になってしょうがない

 

「先輩、その眼帯は?」

 

「これ?これはいうなれば」

 

「中二病はいいんで」

 

先輩のことだ。左目に封印された何かがどうのこうのとか言うのだろうな。まぁ眼帯つけたらみんなそういう事をしたくなる気持ちはあるけど……

 

「桔梗ってつまらないわね。医者が言うには戦いの疲労みたいなものだって、まぁ療養していれば治るって」

 

「疲労か……」

 

仕方ないことなのかもしれない。先輩の他にも樹にも異変が有るみたいだった。どうやら声が出なくなったらしい。仕方ない……仕方ないのことなのか……

 

「それじゃ、みんな揃ったことだしお祝いしよう」

 

「なんだ?まだ打ち上げやってなかったのか?」

 

先に始めているものだと思っていたのだが、友奈は笑顔で答えた。

 

「やっぱり皆が集まってからのほうがいいかなって、みんな飲み物持って」

 

言うとおりに机の上に置かれたジュースを持った僕達。

 

「では勇者部部長から一言!」

 

「私!?え、えっと。本日もお日柄も良く」

 

「真面目か」

 

「堅苦しいのは抜きで」

 

「それじゃ。みんな、よくやったー。勇者部大勝利を祝って、カンパーイ」

 

「カンパーイ」

 

皆で乾杯をしてジュースを飲む中、友奈はある異変に気がついた。だけどみんなが心配するだろうと思い、黙ってジュースを飲むのであった。だけどその異変に僕とそれに東郷が気がついているみたいだ。

 

 

 

 

 

 

それから程なくして僕と東郷以外は退院していった。東郷の場合はまだ検査が続いているみたいだし、僕の場合は右腕の調整のために……調整くらいなら通院でいいのだがいちいち行くのが面倒だから入院したままにしてもらった。そして退院前日の夜、僕の部屋に誰かが扉をノックした。

 

「どうぞ」

 

僕は病室に入ることを許可すると来客は東郷だった。

 

「夜に男の部屋に来るなんてどうかしていると思うぞ」

 

「桔梗くんのことは信頼しているから」

 

東郷は笑顔でそう答えた。僕のことを信頼って……まぁ元々その気はないし、ちょっとした冗談だけど……

 

「それで何の用だ?」

 

「……桔梗くんは風先輩や夏凛ちゃんと違って大赦の方では上の方だって聞いているわ」

 

お爺ちゃんがね。まぁそれでもあの二人よりは上の方だな。

 

「それが?」

 

「もしも貴方が知っているなら教えてほしい。満開の後遺症について……」

 

どうやらそのことには東郷がいち早く気がついたみたいだな

 

「先輩に聞いても知らないみたいだった。そしたら桔梗くんなら何か知っていると聞いたの。夏凛ちゃんが満開について話していた時、少し変だったから……」

 

そこまで気がついていたなんて、まぁ夏凛にも気が付かれていたし、みんなも気がついているだろうな。

 

さて、どこまで説明すればいいものか……

 

「まずはみんなの異変について教えてくれないか?」

 

僕がそう言うと東郷はパソコンの画面を見せてきた。そこには満開した友奈たち四人の異変が書かれていた。友奈は味覚、先輩は左目、樹は声、東郷は左耳、夏凛は満開していないから異変なし。そして僕の名前も書かれているが?がついていた。

 

「ここまで調べたのか。質問に答えるよ。みんなの異変は確かに満開の後遺症だ」

 

「……やっぱり、でもどうして桔梗くんに異変がないの?」

 

「僕は……昔なくしたものが影響しているからね」

 

「なくしたもの……」

 

「さて、質問には答えた。後は?」

 

「治るものなの?」

 

「………それは東郷、お前がもう少し真実を知ってからだ。もしくは話すべき時が来るのを待ってもらう」

 

僕はずるいな。本当なら彼女に、彼女たちに真実を伝えたい。だけど真実を伝えた瞬間、彼女たちはどんな反応を示すのだろうか?どんな結果をもたらすのか……

 

「……分かったわ。ありがとう」

 

彼女はそのまま病室を出て行った。僕はというと壁に枕を投げ捨てるのであった。

 

「……僕はまだいい。だけどみんなには辛い思いをしてほしくなかったのに……」

 

後悔するしか無かった。僕がするべきことはそれしか無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日

 

僕は園子のところに来ていた。

 

「可能性に低いのに本当に実現するなんてね」

 

園子は少し怒っている。みんなを満開させてしまったことに関してか?いいや僕が無茶をしたことだ

 

「下手をすればあのバーテックスにきょうくんは吸収されていたんだよ」

 

「僕が考えられる可能性を試しただけだよ。それはそうと園子……」

 

僕が何かを言いかけた瞬間、彼女は全てを察したみたいだった。彼女は笑顔で答えた。

 

「わっしーに言えなかったんだよね。ううん、みんなにかな?しょうがないよ。大赦から固く禁じられていることだし……」

 

「だけどやっぱり僕は……」

 

「一人で戦ったほうがいい?それはおかしいよ。だって貴方がこうして生きていられるのはみんなのお陰なんだから……」

 

確かに皆がいたからこそ僕はこうして今を生きていられる。けれど…

 

「本当にすべてが終わったのか?」

 

何故かまだ終わっていない気がする。これから戦いがなく普通の学園生活が待っているはずなのに……何故かずっと違和感を感じてしょうがない

 

「…………それは時が来るのを待ったほうがいいかな?」

 

園子は知っているみたいだ。これから先のことを……僕はその先に待つ未来でどうするのだろうか……

 

 

 




原作6話の話とはいえ、殆どオリジナルでした。次回は7話の話です
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