園子によって呼び出された僕、友奈、東郷の三人。園子は彼女たちに全てを話す気だった。
「二人は満開……あのパッーとなってガッーって強くなったんだよね」
「は、はい」
「私も、友奈ちゃんもそれに桔梗くんも……」
「でも体の機能をどこか失った。満開は花が咲き誇ること、咲き誇った花は、そのあとどうなると思う?満開のあとに、散華という、隠された機能があるんだよ」
「散…華?『華が散る』の散華?もしかして私達の体の機能が失ったのは」
「それって……」
園子は静かに語り出す。僕はただ彼女の話を聞くしか無かった。
「それが散華。神の力を振るった満開の代償。花1つ咲けば、1つ散る。花2つ咲けば、2つ散る。そのかわり、決して勇者は死ぬことはないんだよ」
「死なない?」
「でっ、でも…しっ、死なないなら、いいことなんじゃないのかな?ねっ?」
「そして、戦い続けて今みたいになっちゃったんだ。元からぼ~っとするのが特技でよかったかなって。全然動けないのはきついからね」
「い…痛むんですか?」
「痛みはないよ。敵にやられたものじゃないから。満開して、戦い続けて、こうなっちゃっただけ。敵はちゃんと撃退したよ。
「満開して、戦い続けた」
「じゃあ、その体は代償で…」
「うん。その時だっけかな?きょうくんと会ったのは……そしてきょうくんには全て話した。勇者のことも満開のことも散華のことも……」
そう僕は最初から全てを知っていた。だけど知っていただけだ。彼女たちに伝えるべきかずっと悩んだままだった。
「桔梗くん……」
「もしかしてずっと一人で戦おうとしていたのも、満開について話していた時の様子も……」
「あぁ、僕は全て知っていたさ。だけど話すことも、一人で戦うことも……そして君たちが勇者として戦うことを……止めることが出来なかった」
それが僕がずっと胸にしまいこんでいた思い……二人はただ俯いていた。
「で、でも、どうして私達が……」
「いつの時代だって、神様に見初められて供物となったのは、無垢な少女だから。汚れなき身だからこそ、大いなる力を宿せる。その力の代償として、体の一部を神樹様に供物として捧げていく。それが勇者システム」
「私たちが、供物?」
「大人たちは神樹様の力を宿すことができないから、私たちがやるしかないとはいえ、ひどい話だよね」
「それじゃあ、私たちはこれから、体の機能を失い続けて…」
「でも、桔梗くんは……勇者だけど私達と違って……」
東郷はみんなに話してなかったみたいだな。僕も散華の影響を受けていることを……
「友奈ちゃん、桔梗くんは昔失くしたものが関係あるって言っていたわ。そして桔梗くん、貴方が散華で供物として持って行かれたのは……」
「あぁ、お前の予想通りだ。あの時の人型のバーテックス、キキョウの御霊と一つになっていた右腕、あれは僕の右腕だ」
僕は彼女たちに話した。右腕を無くしたこと、人型バーテックスを倒すために一種の賭けに出たこと、そして……
「友奈、東郷、ごめん。僕のせいで……勇者部の皆に辛い思いをさせてしまって……」
「 でも、12体のバーテックスは倒したんだから、もう戦わなくっていんだよね。大丈夫だよね、桔梗くん、東郷さん」
「友奈ちゃん」
「倒したのはすごいよね。私たちのときは追い返すのが精一杯だったから。
「そうなんですよ!もう戦わなくていいはずなんです」
「…そうだといいね」
どういうことだ?何で園子はそんな言い方をするんだ?
「そ…それで、失った部分は、ずっとこのままなんですか?みんなは、治らないんですか? 」
「治りたいよね…。私も治りたいよ。歩いて、友達を抱き締めに行きたいよ」
園子の頬を伝う涙。園子もずっと苦しんでいたんだよな……それに二人も……
「悲しませてごめんね。大赦の人たちも、このシステムを隠すのは、一つの思いやりではあると思うんだよ。でも…私はそういうの、ちゃんと、言ってほしかったから、うぅ…分かってたら、友達と…もっともっと、たくさん遊んで…。だから…伝えておきたくて」
東郷はそっと園子の涙を拭う。園子は彼女が持つリボンに気が付き、微笑んだ。そうだった、あれは……
「そのリボン、似合ってるね」
「このリボンは…とても大事なものなの。それだけは覚えてる。けど…ごめんなさい、私、思い出せなくて」
「しかたがないよ」
悲しそうの微笑む園子。すると気がついた時には仮面をつけた大赦の人間が周りを囲んでいた。
「彼女たちを帰してあげて、これは私が勝手にやったこと……もし彼女たちを傷つけたら………許さないから」
園子は口調を強めた瞬間、大赦の人間は一歩後ろへと下がった。
「二人共、本当にゴメン」
「桔梗くんが謝ることじゃ……」
「ずっと苦しい思いをしていたのは貴方だったんだから……」
二人がそう言うけど、僕はずっと後悔しかしていない。こんな悲しい結末しか持っていないのであれば……僕は
「僕はもう少しここに残っているから……今回のことは僕も一緒に先輩に話すから……」
「分かった」
「はい」
大赦の車で二人は家に帰っていく、きっと車の中では悲しみに耐え切れず泣いてしまっているのだろうか……
残った僕は園子に向き合った
「園子、さっきの話でまだ終わっていない感じなことを言っていた。どういうことだ?」
「……本当に真実を知りたいのなら壁の外に出てみて……」
園子がそう告げた瞬間、周りの人々がざわついた。ここにいる人も全部知っているのか……
「分かった。行ってみる。それと園子に大赦の人。僕は散華はそんなシステムなんて思わない。僕は……きっと戻るって信じてる。いや、戻してみせる」
僕は変身し、四国の壁へと向かった。僕が去った後、園子は小さく呟いた。
「やっぱりすごいな、きょうくんは……でも、本当の真実をしっても貴方は……」
僕は彼女の言うとおりに壁の上まで来た。壁の外は一見、綺麗な景色が広がっているが、勇者の姿のまま僕は壁の外へと一歩踏み出した。
「なっ……これは」
それは絶望。そう言うしかないほどの絶望の真実。僕はすぐに壁の中へと戻っていった
「あれが……真実だって言うなら……みんなはこれから戦い続けることに……どうすれば……」
必死に考えた。誰も傷つかない、悲しい結末を迎えない方法を……そんなとき、義手を見てあることを思いついた
「そうだ、やってみる価値がある。だけど、いや僕の願いも聞いたんだ。それにまだ調べることがある」
僕はすべてを知り、ある決意を固めた。
次回は9話の話となります。残された謎は何故桔梗が勇者になれたのかです