友奈たちが園子から真実を知った次の日、僕は両親の墓の前に来ていた。
「………ねぇ、母さん、父さん、お爺ちゃん。僕がやろうとしていることは本当に正しいのかな?」
墓の前でそう呟くが答えはかえってこない。当然なんだけど……
「きっと生きていたら僕のこと止めたよね。だけど僕は止められてもやるしか無いと思う。それが彼女たちを救う方法だから……」
僕はそのまま墓の前から去っていた。今やるべきことのために振り返らない
墓参りを終え、僕は自分の家に帰ろうとしていると端末にメッセージが入った。それは東郷からだ。きっと今日僕が学校に行かなかったことについてかと思った。僕は東郷の家に行くことにした。
「………桔梗くん。来てくれたんだね」
「あぁ、呼ばれたからね」
東郷の家に着くと僕は東郷の部屋に案内された。東郷は真剣な眼差しで僕を見つめていた。
「……今日先輩に話しました。散華についてはまだ夏凛ちゃんと樹ちゃんの二人には話さないほうがいいって決めたの」
「そうか……」
「ねぇ桔梗くん。あの乃木園子が言っていたわっしーって私のことなの?」
どうやらそこまでたどり着いたのか。それなら隠したままではいかないな
「あぁ、そうだ。お前は鷲尾須美。園子と一緒に勇者と戦った仲間の一人だ」
「……それじゃ、私の記憶とこの足は事故ではなく散華で……」
「そうだ。それを証明するのは精霊の数だ。あれは満開をした回数増えていく。勇者に力を貸すのと……」
「……教えて、鷲尾須美の事を、貴方はそれを知っているはずよ」
そうだな、大赦関係者なら鷲尾須美の事を知っているはずだ。東郷はそう思っているはずだ。
「あぁ、教えてやる」
僕は鷲尾須美の事を話した。乃木園子、三ノ輪銀の事、バーテックスとの戦いで三ノ輪銀が死んだこと、そして鷲尾須美が勇者だった頃の最後の戦いを……
「………そうだったんだ」
「これが僕が知るかぎりの大赦の資料の内容だ」
僕は迷っていた僕と東郷……鷲尾須美と会っていたことを……だけどあの事を話す必要があるのか?いや関係ないし話さなくていいか
「それと僕は東郷、鷲尾須美とは入学式で初めて会ったんじゃない。勇者として戦っていた頃に出会っていたんだ」
「えっ!?」
僕は園子から聞かされたことを話した。出会っていたこと、樹海で僕の右腕を食われたこと、そして園子の気遣いで記憶を封印したことを……
「そんなことが……」
「あぁ、僕も最近知ったばかりなんだよ」
「……ねぇ、今の私たちは……勇者はどんな存在なの?」
「きっと園子と同じ祀られていくと思う」
「祀られる……そんなの生き地獄じゃない」
「いや、地獄なんかじゃない。考え方によっては……」
「地獄でしかないわ」
何でそんな風にしか思えないのだろうか?確かに全てを知ったら地獄としか思えないのだろうけど……だけど、僕はそうは思わない。
僕は東郷を抱きしめ告げた。
「安心しろ。僕が地獄なんかにさせない。させるものか」
「き、桔梗くん、苦しい」
「っと、ごめん」
東郷は顔を真赤にさせていた。それもそうかいきなり抱きしめたりしたら……
「桔梗くん。落ち込んでる女の子に優しくしたいのはわかるけど、不用意に抱きしめたりするのはいけないと思うよ」
「ご、ごめん」
「でも、ありがとう」
東郷は笑顔でそう言う。僕はそのまま東郷家を出て行った。そんな時、大赦から連絡が入った。それは先輩の精神が不安定で、何を起こすか分からないというものだった。
「……僕に見張れっていうのかな?悪いけどそれは出来ないことだ」
次の日も学校を休み、四国にある神樹を祀っている場所をめぐっていった。流石に車とかじゃないと回りきれないので、勇者になってだった。そして夕方になり僕は園子と話した場所にたどり着いた。
「一番話す場所はここのほうがいいか?」
僕はあることを始めようとした時、空から夏凛が落ちてきた。それと同時に先輩もやってきた。
「桔梗!!あんたも邪魔をする気なの」
どうやら何かしらあったみたいだな。僕はため息を付き大鎌を構えた
「どこへ行こうと言うのですか?先輩」
「大赦は全て知っていたうえで……隠していた!!満開のことも!散華のことも!あの子から……樹から夢を奪った大赦なんて……私が潰す!」
どうしてこうそっちの方ばっかり考えるんだよ。みんな……
「そうか、それだったら僕を止めてみろ!」
大鎌を大きく振り下ろすが、先輩は大剣で防ぐ。だけど僕は大鎌を離し、蹴りをくらわした。勇者になっているから精霊が攻撃を防いでくれるから怪我とかは大丈夫だろう
「邪魔を……するなぁぁぁぁぁ!!」
更に向かってくる先輩。僕自身いい加減にしてほしかった。みんなそんな考えしか出来ないのか……ふざけるな!!
「いい加減にしろ!!」
僕は銃を取り出し、大剣を弾くと思いっきり先輩の顔を右手で殴った。
「うぐぅ」
「いい加減にしろ。誰が散華で失ったものが戻ってこないと言ったんだ?園子か?夏凛か?僕か?大赦か?誰が言ったんだ!!誰も言っていないだろう!!」
僕は倒れた先輩の胸ぐらを掴みながら更に言い続けた。
「誰も言っていないことを……どうして信じられる」
「でも、先代の勇者の身体だって……治ってないじゃないの……大赦もずっと調査中って」
「治ってないからって治らない見込があるっていうのか?大赦が調査中っていうのは悪意で言っているんじゃない!善意で言っているんだ!そのことを誰も……誰も!」
僕は更に殴ろうとする。だけど右手がワイヤーに縛られた。見てみるとそこには樹とそして友奈の姿があった
「やり過ぎだよ。桔梗くん」
「友奈……お前はどう思うんだ?」
「私は全部知っていてもきっと勇者をやっていた。勇者になれたからこそみんなと出会えた」
「だけど……体の機能が失うことは……」
「それでも、みんなのためだって思えたら戦っていられる。それが勇者だから」
どんなに傷ついても誰かのためにか……
「ねぇ、桔梗くんもそうなんだよね。私達のために……一人で戦おうとしてくれた。散華を知っていても、精霊が勇者を生かし続けることも……全部知っていたからこそ一人で戦おうとしてた。そうだよね」
「……そうだったな」
僕は先輩の胸ぐらを離した。そして樹が側に来て、僕の頬を叩いた
『お姉ちゃんをいじめたバツです』
「あぁ、悪かった。先輩も……夏凛もお前にもすぐに話せばよかったな」
「いいわよ別に……でもこれからどうするつもり?風のやり方はかなり間違ってるけど……」
夏凛の言うとおりかもしれない。けど僕はある考えがあった。
「僕に考えがある。もしかしたら皆怒るだろうけど……」
『どんなことですか?』
「それを話すには東郷にも聞いてもらいたいけど……あいつは」
その時、全員の端末からアラームが鳴り響いた。それは今まで聞いたこともないものだった