勇者の花と桔梗の花   作:水甲

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第29話 天の神

あの戦いから数日がたった。勇者部四人の身体の代償は全て元に戻りつつあり、平穏な日々が流れていく。だけど友奈だけが今だ目が覚めずにいた。そんなことを浜辺で話す風と夏凛の二人。風はあることを話した。

 

「ねぇ、私達は本当に五人だったんだっけ?」

 

「何言ってるのよ?私、友奈、東郷、樹、風の五人じゃない」

 

「でもさ、私、もう一人いた気がするの。そのもう一人におもいっきり殴られたり、お詫びに奢るとか言ってた気がするのよね」

 

「夢でも見てたんじゃないの?でも、私にもそんな覚えがあるの。そいつとはライバル的な感じだった気が……」

 

「一体誰なのかしらね?」

 

二人はもう一人の存在のことを思い出そうとするが、まったく思い出せない。一体これはどういうことなのだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

崩壊した世界。そこでは無数の星屑が見る見るうちに切り裂かれていく。そこには黒い影が世界を駆け抜けていく

 

「うおおおおおおおお」

 

大鎌を振るい、星屑を倒していく少年。それは僕、神宮桔梗だった。僕はあれから一人である場所を目指しながら戦い続けていた。

 

「これでも喰らえ!!」

 

銃から爆発弾を放ち、何体もの星屑を爆散させていった。更に接近していく星屑を槍で薙ぎ払っていった。

 

「まだたどり着かないか………」

 

崩壊した世界の中でも、宙に舞う瓦礫の後ろに隠れながら僕は休憩した。

 

「今頃皆どうしてるだろうな?学校の方には大赦の方でなんとかしてくれてるだろうな」

 

僕の願いは勇者たちの記憶から僕の記憶を消すこと。だけど学校の人や大赦の人、園子だって僕のことを覚えているはずだ。一応そこら辺のことは大赦に言っておいたから良かったけど……でも、何でだろうな。ずっと願っていたことなのに……

 

「一人で戦うのがこんなに寂しいのか……」

 

休憩しているところを星屑に見つかり、襲い掛かってくる。僕はすぐにジャンプをして避けて行った。

 

「今頃気がつくなんてな……」

 

星屑をなぎ倒していく中、星屑の他に十二体のバーテックスが僕の前に現れた。

 

「復活早いな……だが、負けられないんだよ!!」

 

僕が満開しようとした瞬間、突然十二体のバーテックスの中心から新たなバーテックスが現れた。巨大な建造物に纏わりつく蛇のバーテックス。あれは……蛇使い座なのか?

 

「十三体目……いいぜ、来いよ。相手に不足は……」

 

『待って』

 

突然蛇使い座のバーテックスから声が聞こえた。バーテックスは見る見るうちに姿を変え、フードを被った少女へと変わっていった。

 

「ふぅ、もう落ち着いて、あなたのしたいことは知ってるわ」

 

少女がそう言いながら、少女の後ろに太陽が現れた。戦っている内にたどり着いていたのか?

 

「こっちに来て、天の神に会わせてあげるから」

 

少女の言うとおりにした方がいいな。なにせ目的達成が出来るのだから……

 

 

 

 

 

 

 

 

少女の案内で太陽の中に入り込んだ僕、そこは月と太陽が同時に見える世界だった。そして僕は気がついた時にはどこかのお城に来ていた。

 

「ここは神世期前に存在したと呼ばれる外国のお城をモチーフにした場所なの」

 

「太陽の中にこんな場所が……」

 

周りを見渡していると少女が何故かこっちを見ていた。フードを深く被っているから顔がよく見えない

 

「何か?」

 

「ううん、なんでもない。ほら、着いたよ。ここに貴方が会いたがってる人がいる」

 

少女が指差した場所にはフードを被った十二人に囲まれながら玉座に座る少女がいた。

 

「初めまして、神樹に導かれし勇者よ。私は天の神」

 

「僕は神宮桔梗。ここに来たのはあんたと話をするためだ」

 

「知っていますよ。ずっと見ていたのですから……貴方が戦う理由、ずっと後悔していたこと、そして貴方が勇者になれたことも……」

 

「僕が勇者になれたこと?僕にそういう素質があるって言われてるぞ」

 

ずっとそう言われ続けていた。だけど、天の神は首を横に振った

 

「貴方はある少女の願いによって勇者になれたのよ。それを叶えたのは私です」

 

「ある少女?」

 

「少女は死んでここに導かれました。ずっと少女は死んだことを悔やんでました。仲間である二人を残して死んじゃうなんて、それにあの子のために何もできてないって」

 

もしかしてその少女は……三ノ輪銀なのか?彼女もこの世界にいるのか?

 

「私は彼女の願いを叶えました。人というものに惹かれたのでしょう。彼女の願いは自分を生き返らせてほしいとかではなく、貴方に力を与え、彼女たちを守ってほしいと……」

 

それで僕が勇者になったのか……でも、僕が気がついた時には守ることすら出来ていなかった。おまけに右腕を無くした

 

「間に合わなかった上に一体の星屑が貴方の腕を食べてしまい、人を理解しようとした。その結果がキキョウです。私は見ていることしか出来ませんでした」

 

「それはいいんだ。今更色々知った所で過ぎたことだ。それよりも僕の願いを聞き届けてほしい。もう神樹を、四国を襲うのはやめてほしい。お前たちのせいでみんながつらい目にあってしまう。もうやめてほしんだ」

 

こんなことを頼んでも聞いてもらえないかもしれない。だけど、これだけは譲れない

 

「………」

 

しばらく沈黙したあと、神は口を開いた。

 

「良いでしょう。ずっと私はそれを待っていたのですから」

 

神は願いを叶えた?だけど待っていたって……

 

「どういうことだ?」

 

「私はずっと思っていました。私達が神樹を狙っているせいで人間が辛い目に遭う。もうやめようと思っていましたが、神は簡単に一度決めたことをやめたらダメなんです。それならどうすればいいか……それが今です。貴方のような人が来るのを待っていました。そしてやめてほしいという言葉が出た瞬間に、叶えるようにしました」

 

「天の神……ありがとう」

 

「今回の件は神樹にしっかり伝えておきます。私達はもう争ったりしないと……そして全てをやり直そうと……どんなに時間がかかっても」

 

天の神は微笑んでいた。そういえばまだ聞きたいことがあった

 

「そういえばバーテックスって一体何なんだ?こっちで聞いてるのは人類の敵とかしか」

 

「バーテックス、星屑はこの世界の人々の魂の形。一度倒されても治療をすれば復活できる。そんな存在よ。というより私を守ってるこの方々がバーテックスよ」

 

やっぱり数がぴったりだからそうだと思っていたけど、結構倒したりしちゃって悪い気が……

 

「ごめん。知らなかったとはいえみんなを傷つけて」

 

僕は十二人に謝ると巨漢の男が僕に握手を求めた。

 

「もう良いのだ。我々もお前たちに辛い思いをさせてしまったのだから……」

 

「ありがとう」

 

互いに握手をかわすと、僕をここまで案内してくれた少女があることを告げた。

 

「さぁ、戻りましょう。元の居場所へ、そして伝えて私達はわかりあえたって……そしてごめんって謝っておいて……二人に」

 

少女のフードが取れた時、僕は少女が誰なのか理解した。

 

「あぁ、任せろ。銀」

 

「うん、それと時間があったらまた此処に来て、こんどは皆と……」

 

眩い光が僕を包み込んでいった。この世界から去ろうとしている。消えかかる意識の中、天の神は告げた。

 

「貴方は我々をつなぐ架け橋となる勇者です。そして気をつけてまだ戦いは終わらない。その時が来たら……」

 

僕はそのまま消えていくのであった。涙を流す銀

 

「銀、その時まで力を付けていなさい。貴方は天の神の勇者のだから、それも神樹の真の勇者と一緒に戦えるくらいに」

 

「真の勇者って、桔梗のこと?」

 

「いいえ、最後まで諦めなかった。最高の勇者、彼女の名前は………」

 

 

 

 




次回で最終回です。最後に出てきた世界は天の世界という感じですね。かなり自己解釈でした。
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